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4話
しおりを挟むその後、家へ退避することが出来なくなったシエスタは、学園に残って謂れのない冤罪を耐えた。
かつて友人だった貴族の生徒たちも、「貴女には失望しましたわ」と軽蔑の眼差しを残してシエスタの元から去っていった。
シエスタは孤独だった。
そして、完全に味方がいなくなったシエスタへイザベルが近寄る。
「ちょっとお話をさせていただけますか?」
「……」
シエスタはイザベルと顔を合わせない。
するとイザベルはシエスタへと顔を寄せ、耳打ちをした。
「あんた、拒否できる立場だとおもってんの? こっちは今すぐにでもあんたを犯罪者にできるのよ?」
「っ!」
「そうなれば、あんたの家がどれだけの不名誉を被るか……分かるわよね? さっさとついてきなさい」
シエスタは半ばイザベルに脅迫されて、人気の少ない場所へと連れてこられた。
「チッ、手間かけさせるんじゃないわよ」
「イザベルさん、なんでこんなことをするんですか……!」
「は?」
イザベルはにやりと笑う。
「決まってるでしょ? あんたみたいな恵まれた人間から全てを奪うのが楽しいからに決まってるじゃない……!」
「そんな! 自分が楽しいからってこんな酷いことをてしていいはずがありません!」
「うるっさいわね……」
イザベルがシエスタを睨む。
「もういいわ。アンタ、絶対に許さないから。──奴隷にしてあげる」
「え?」
「まぁこんなとこに呼び出したのもそれが目的だしね」
イザベルがケタケタと笑う。
シエスタは困惑していた。
「ど、奴隷……?」
「アンタの弱みを握ってんのよ? 当たり前でしょ」
「そ、そんな……」
「ほら、まずは足でも舐めなさいよ。言っとくけど、どれだけ泣いても止めないから」
そう言ってイザベルは片足を前に出した。
「舐めるなら、この件チャラにしてあげなくも無いわよ? まぁ、考えるだけだけどね」
「っ……!」
イザベルは愉快そうに笑った。
それに対してシエスタは──
ゴン!
近くにあった手頃な石を手に取り、額へ勢い良く自分で打ち付けた。
額から血が流れる。
「なっ! アンタ何を……!」
「これで“おあいこ”ですね、イザベルさん」
シエスタがイザベルに罠に嵌められた時と同じ状況だ。
周囲には人気はなく、目撃者はいない。
シエスタの反撃が始まった。
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