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8話
しおりを挟む翌日、国王からフォード公爵家へ手紙が来た。
今度は、シエスタ側が王宮へと呼び出される側だった。
シエスタと父は王宮へと向かった。
話し合いの場は、デイビットと国王、そしてシエスタと父がそれぞれ向かい合って座っていた。
中でもデイビットは一層青い顔をしている。
自分が信じたイザベルの言っていたことは全て嘘で、婚約者であるシエスタに冤罪をかけたのだから当然の反応だった。
どれだけ重い処罰が下されるのかは、想像に難くない。
「まずは謝罪を。ウチのバカ息子がシエスタ嬢にしでかしたことはしっかりと償わせるつもりだ」
国王はまず謝罪をした。
そしてデイビットをチラリと見た。
その目は完全にデイビットのことを切り捨てるつもりだった。
ここまでのことをしたのだから見捨てるのは当然の判断とも言えるが、私情を挟まずに実行できるのは流石としか言いようがない。
「私としてはコイツにはもう王としての資格は無いと思っている。廃籍するつもりだ」
「ち、父上!?」
「ん、何が疑問なんだ? 婚約者ではない女の話を鵜呑みにして婚約者を貶め、果ては王族として権力を濫用したそうじゃないか。王になる資格があるとでも?」
国王の言っていることは正論だった。
しかしデイビットは廃籍されたくないのか、何とか食い下がる。
「で、ですが! 私は反省しました! 二度と同じ過ちは繰り返しません!」
「反省なんてしてももう遅い。お前は今から廃籍するのだからな」
そう言って国王はシエスタの父に向き直る。
「それで公爵、どうだろうか。廃籍したあとで身柄を引き渡す方がいいだろうか?」
「ええ。平民の方が都合よく処分できますから」
「な、何の話をしているんです? 処分って……俺のことですか!」
デイビットの悲痛な叫びが部屋の中に響いた。
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