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高校編

男子たちの争奪戦【第三者視点】

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久留米先生から遠足の知らせを受けた日の放課後、まつりのクラスの男子たちは、自分たちの教室である、1-1に集まっていた。

「さて、行動班の決め方だけど……くじで良いよな?40人だから…4×10班か。」

「あぁ……」「まぁ……」

ざわざわと肯定が上がるなか、勢いよく手が上がった。

「はい!別に女の子と一緒じゃなくても良いやつは除外で良いと思います!」

「確かに……」「倍率は低くなるよな…」

これもまた肯定の声が上がる。

「まぁ…でも一緒じゃなくてもいいやつなんているのか?
いたら手ェあげてくれー」

朝井が声をかけるが、もちろん誰も上がらなかった。
このままでは38人で争うことになる。
少しでも倍率を下げたい男子の中の1人が、指を差しながら言った。

「あ"っ!鳴宮!天羽!お前らいつも本条さんたちと一緒にいるだろ!?今回は俺らに譲ってくれてもいいんじゃねぇの!?」

「えぇー、それはちょっと……仲を深める絶好のチャンスだし?」

「ぼ、僕も……」

「なんだよお前ら!もう落ちてんのか?本条さんか!?霧ヶ谷さんか!?」

ニヤニヤしながらその男子が揶揄うように言う。

「まぁ僕らは中学でもずっと一緒のクラスだったからね……」

「(こくこく)」

「ってことは本条さんかー!!美人だもんなー!!性格も女神だし!(?)」

「そ、それは良いとして!結局どうするの?クジでするの!?」

鳴宮が顔を赤くしながら、全力で話を逸らした。天羽も同じように顔を赤くしながらうんうんと頷いている。

「あー……まぁクジでいいだろ!俺もう作ったし。」

仕事人かよー!というツッコミを入れながら、男子生徒たちは大人しく朝井お手製のクジを引いていく。
そして、同じような流れでバスの席順もクジで決まっていくのだった。

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