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第三章 冷酷非情の世界に生きる
第21話-2 これが俺の街のやり方だ
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パトロールを終えた後は、特に大きな事件など起きずに時間が流れていった。そして夕方を迎え、やっと仕事から解放されて自由時間になる。
さっきからずっと、何となくブルーな気持ちだよ。ずぶぬれになった靴を履いているような感じだ。たまに、世の中や人生が嫌になっちまうんだよ。そういう時ってお前にもあるだろ? 今の俺がちょうどそうなんだ。
自室に戻り、制服を脱ぎ捨て、私服……少しボロくなった革ジャンにジーンズとブーツ……に着替え、街へ繰り出す。行くあてもなく、ブラブラとうろつき回る。頭の中にレモンズの曲が流れてくる。
♪Boredom つまらねぇ 退屈
Boredom つまらねぇ 退屈
テレビはくだらない ラジオはうるさい
映画は見飽きた 漫画もウンザリ
つまらねぇ Boredom
エレキ・ギターのトゲトゲした音が聞こえる。ベースやドラムスが力いっぱい演奏しているのが聞こえる。ヴォーカルがイライラしながら歌っている姿が見える。
いや、もちろん実際に聞こえたりしてるわけじゃなく、俺の頭の中で曲のイメージが再生されてるってだけなんだが。それでも十分だ、多少の慰めにはなる。
そうだ、ちょっとミュージック・ウェル(music well, 音楽の井戸)にでも寄ってくか。
ミュージック・ウェルって、要するに音楽を売ってる店なんだけど、ダウンロード販売だけじゃなくてCDやレコードなんかも扱ってんだ。要するに音楽おたく、マニアック向けの店なんだよ。
今の時代にCDだのなんだの、骨董品みたいなもんだからな。そんなもん嬉しがるのは俺みたいな間抜けぐらいのものさ。それでも、好きなもんは好きだからさ。
まぁ何を買うってわけじゃないが、店内のロック・スターたちのポスターをながめてるだけでも憂さ晴らしになるだろう。
例の駅前へ足を向け、歩くこと約十五分。俺はアーケード街の中に入り、ミュージック・ウェル目指して進み続ける。その途中、洋服屋から出てくるケイトさんを見つけ、声をかける。
「こんちは、ケイトさん」
「クロベーさん、こんなところで会うなんて……」
「どうしたんです、買い物ですか?」
「いえ、ちょっと散歩でもしようかと思って」
「なら一緒に行きましょうよ」
「いいんですか?」
「もうじき日が暮れて物騒な時間になります。だからボディーガードしたいんです」
「じゃあ、お言葉に甘えさせてもらいましょうか……」
俺たちは横に並んで歩き出す。ケイトさんが話を始める。
「クロベーさん、どこに行くつもりなんですか?」
「まぁ音楽の店でも行こうかと……」
「へぇ、どんなもの聴くんです?」
「ロックですね。パンク、ハード・ロック、ヘヴィ・メタル。プログレなんかも聴きます」
「プログレ! 私、プログレ好きなんですよ」
「レッド・クィーンとか?」
「あれすごくいいですよね! 大好きなんです!」
しばらくの間、俺たちは音楽の話で盛り上がりなら歩き続ける。そしてくだらない騒動に出くわす。
道の途中、シケた博打屋の前、そこで若い男二人が殴り合いのケンカしている。どちらも白人で、片方は黒い短髪、もう片方は金の短髪だ。どうやら黒髪の奴が金髪を叩きのめしているらしい。ケイトさんは不安そうに言う。
「あれ、どうしたんでしょう?」
「どうせイカサマしたとかしてないとか、そういうアレですよ」
「あっ!」
金髪はポケットに手を入れ、何かを出す。それは飛び出しナイフで、即座に刃が出てくる。金髪の怒鳴り声が聞こえる。
「殺すぞてめぇ!」
黒髪が怒鳴り返す。
「うるせぇぞサンピンが! 家に帰ってエロ動画でも見てろ!」
「黙れクソ野郎!」
「やるなら来いよオラァ!」
やべぇな、このままだと血を見る騒ぎになる。警備隊の人間として、こういうのを放置するわけにはいかねーな。俺はケイトさんに声をかける。
「あいつらを止めてきます。ここで待ってて下さい」
「大丈夫なんですか?」
「ケガしないように気をつけますよ」
俺は奴らに怒鳴りつけながら走る。
「お前ら、おとなしくしろ! 警備隊だ!」
すぐに騒ぎの現場に到着。懐からリボルバー式の拳銃を抜き、それを見せつけて威圧しながらさらに怒鳴る。
「そこの金髪の男! 武器を捨てて、両手を頭の後ろで組め!」
金髪は俺をにらみつけ、言い返す。
「なんだてめぇ、すっこんでろ!」
「もう一度だけ言うぞ。武器を捨てて両手を頭の後ろで組め!」
「そんなチャチなレンコン(リボルバー拳銃)にビビると思ってんのかてめぇ!」
問答無用、俺は金髪の肩を撃ち抜く。
「うぉっ……!」
金髪の手からナイフが落ちる。さらに発砲、奴の左の太ももに一発ぶち込む。
「ぐっ……!」
「安心しろ、殺しはしねぇ。だが、暴れられたら面倒なんでな」
「だからっていきなり撃つのか!」
「一つ言っておく。俺は現代の警備隊の人間であって、旧時代の警察官とは違う。必要なら迷わず撃つし、それをしても処分されないんだ」
「ふざけんな!」
「よその街は知らねぇが、これが俺の街のやり方だ」
「くそっ……」
「すぐに再生カプセルに入れて治してやる。その後で事情聴取だ」
俺は黒髪にも話をする。
「お前にも事情聴取だ。分かったな?」
「あっ、あぁ……」
うむ、おとなしくなったな。そりゃそうだろう、目の前で人が撃たれるのを見たら、普通はビビるんだから。
俺がやったことは荒っぽいかもしれない、だが、今の時代じゃあこれくらいしないと生き残れないんだ。下手すると逆襲されて俺が死ぬ。だから先手必勝だ。
まったく、デートできるかと思ったのにこれだよ。ついてねぇなぁ。
ちなみに、さっき話に出てきた再生カプセルってのは、生物を入れてケガを治す機械のことだ。よほど重傷でなけりゃ、これでだいだい何とかなる。もっとも、金がかかるから簡単には使えないが……。
金髪は俺をにらみながらブツブツ言っている。
「殺してやる……てめぇ、いつかぶっ殺す……!」
こいつ、身なりから判断するに難民だな。まったく、面倒な事件を起こしやがって……。今後もこんなことが起きるのか? だとしたら、どこにいても気が抜けねーな……。
かったるい話だぜ。
さっきからずっと、何となくブルーな気持ちだよ。ずぶぬれになった靴を履いているような感じだ。たまに、世の中や人生が嫌になっちまうんだよ。そういう時ってお前にもあるだろ? 今の俺がちょうどそうなんだ。
自室に戻り、制服を脱ぎ捨て、私服……少しボロくなった革ジャンにジーンズとブーツ……に着替え、街へ繰り出す。行くあてもなく、ブラブラとうろつき回る。頭の中にレモンズの曲が流れてくる。
♪Boredom つまらねぇ 退屈
Boredom つまらねぇ 退屈
テレビはくだらない ラジオはうるさい
映画は見飽きた 漫画もウンザリ
つまらねぇ Boredom
エレキ・ギターのトゲトゲした音が聞こえる。ベースやドラムスが力いっぱい演奏しているのが聞こえる。ヴォーカルがイライラしながら歌っている姿が見える。
いや、もちろん実際に聞こえたりしてるわけじゃなく、俺の頭の中で曲のイメージが再生されてるってだけなんだが。それでも十分だ、多少の慰めにはなる。
そうだ、ちょっとミュージック・ウェル(music well, 音楽の井戸)にでも寄ってくか。
ミュージック・ウェルって、要するに音楽を売ってる店なんだけど、ダウンロード販売だけじゃなくてCDやレコードなんかも扱ってんだ。要するに音楽おたく、マニアック向けの店なんだよ。
今の時代にCDだのなんだの、骨董品みたいなもんだからな。そんなもん嬉しがるのは俺みたいな間抜けぐらいのものさ。それでも、好きなもんは好きだからさ。
まぁ何を買うってわけじゃないが、店内のロック・スターたちのポスターをながめてるだけでも憂さ晴らしになるだろう。
例の駅前へ足を向け、歩くこと約十五分。俺はアーケード街の中に入り、ミュージック・ウェル目指して進み続ける。その途中、洋服屋から出てくるケイトさんを見つけ、声をかける。
「こんちは、ケイトさん」
「クロベーさん、こんなところで会うなんて……」
「どうしたんです、買い物ですか?」
「いえ、ちょっと散歩でもしようかと思って」
「なら一緒に行きましょうよ」
「いいんですか?」
「もうじき日が暮れて物騒な時間になります。だからボディーガードしたいんです」
「じゃあ、お言葉に甘えさせてもらいましょうか……」
俺たちは横に並んで歩き出す。ケイトさんが話を始める。
「クロベーさん、どこに行くつもりなんですか?」
「まぁ音楽の店でも行こうかと……」
「へぇ、どんなもの聴くんです?」
「ロックですね。パンク、ハード・ロック、ヘヴィ・メタル。プログレなんかも聴きます」
「プログレ! 私、プログレ好きなんですよ」
「レッド・クィーンとか?」
「あれすごくいいですよね! 大好きなんです!」
しばらくの間、俺たちは音楽の話で盛り上がりなら歩き続ける。そしてくだらない騒動に出くわす。
道の途中、シケた博打屋の前、そこで若い男二人が殴り合いのケンカしている。どちらも白人で、片方は黒い短髪、もう片方は金の短髪だ。どうやら黒髪の奴が金髪を叩きのめしているらしい。ケイトさんは不安そうに言う。
「あれ、どうしたんでしょう?」
「どうせイカサマしたとかしてないとか、そういうアレですよ」
「あっ!」
金髪はポケットに手を入れ、何かを出す。それは飛び出しナイフで、即座に刃が出てくる。金髪の怒鳴り声が聞こえる。
「殺すぞてめぇ!」
黒髪が怒鳴り返す。
「うるせぇぞサンピンが! 家に帰ってエロ動画でも見てろ!」
「黙れクソ野郎!」
「やるなら来いよオラァ!」
やべぇな、このままだと血を見る騒ぎになる。警備隊の人間として、こういうのを放置するわけにはいかねーな。俺はケイトさんに声をかける。
「あいつらを止めてきます。ここで待ってて下さい」
「大丈夫なんですか?」
「ケガしないように気をつけますよ」
俺は奴らに怒鳴りつけながら走る。
「お前ら、おとなしくしろ! 警備隊だ!」
すぐに騒ぎの現場に到着。懐からリボルバー式の拳銃を抜き、それを見せつけて威圧しながらさらに怒鳴る。
「そこの金髪の男! 武器を捨てて、両手を頭の後ろで組め!」
金髪は俺をにらみつけ、言い返す。
「なんだてめぇ、すっこんでろ!」
「もう一度だけ言うぞ。武器を捨てて両手を頭の後ろで組め!」
「そんなチャチなレンコン(リボルバー拳銃)にビビると思ってんのかてめぇ!」
問答無用、俺は金髪の肩を撃ち抜く。
「うぉっ……!」
金髪の手からナイフが落ちる。さらに発砲、奴の左の太ももに一発ぶち込む。
「ぐっ……!」
「安心しろ、殺しはしねぇ。だが、暴れられたら面倒なんでな」
「だからっていきなり撃つのか!」
「一つ言っておく。俺は現代の警備隊の人間であって、旧時代の警察官とは違う。必要なら迷わず撃つし、それをしても処分されないんだ」
「ふざけんな!」
「よその街は知らねぇが、これが俺の街のやり方だ」
「くそっ……」
「すぐに再生カプセルに入れて治してやる。その後で事情聴取だ」
俺は黒髪にも話をする。
「お前にも事情聴取だ。分かったな?」
「あっ、あぁ……」
うむ、おとなしくなったな。そりゃそうだろう、目の前で人が撃たれるのを見たら、普通はビビるんだから。
俺がやったことは荒っぽいかもしれない、だが、今の時代じゃあこれくらいしないと生き残れないんだ。下手すると逆襲されて俺が死ぬ。だから先手必勝だ。
まったく、デートできるかと思ったのにこれだよ。ついてねぇなぁ。
ちなみに、さっき話に出てきた再生カプセルってのは、生物を入れてケガを治す機械のことだ。よほど重傷でなけりゃ、これでだいだい何とかなる。もっとも、金がかかるから簡単には使えないが……。
金髪は俺をにらみながらブツブツ言っている。
「殺してやる……てめぇ、いつかぶっ殺す……!」
こいつ、身なりから判断するに難民だな。まったく、面倒な事件を起こしやがって……。今後もこんなことが起きるのか? だとしたら、どこにいても気が抜けねーな……。
かったるい話だぜ。
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