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第3章 仲間たちと共に
ボロ儲けのチャンス
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ここはパイロット養成校の宿舎内にある交流室。
そこにあるテーブルの周りにいるのは、クレイグ、ギルダー、ローゼンの3人。
彼らはフタ付きの紙コップに入ったコーラを飲みながら、ポーカーをしている。
各人の前に積み上げられたコインや紙幣がそれを証明している。
今はショウ・ダウン……手札を公開して対決する時。
ギルダーが手札を全員に見せつつ喋る。
「ほらよ、ストレート。ローゼン、お前は?」
「……ワン・ペア」
「はっ、そんなクズ手で突っ張ったのか?」
「うるさい」
「で、クレイグ、お前はどうなんだ? 見せてみろよ」
「フル・ハウス」
クレイグはすべての手札をテーブルの上に置く。Kが3枚にJが2枚。
ギルダー、自分の手札を投げ出してぼやく。
「クソッタレ、土壇場でそんな役、作りやがって!」
「はは、悪いね。でも、こう見えて危機一髪だったんだぜ。
最後のカード交換でKが来なかったら、どうしようもなかった。
まぁ、運も実力のうちって言うだろ? じゃ、悪いけど、賭け金をいただくよ」
クレイグは椅子から立ち上がり、笑いながら全員の賭け金を回収する。
金額をざっと確認、その後、財布を出しながら言う。
「さて、だいぶ遊んだことだし。少し休憩しようじゃないか」
ギルダーの返答。
「別にいいけどよ。でも、話すことなんかないぜ。
おい、ローゼン、なんかねぇのか?」
「今度の期末試験、試合賭博」
「あぁ、あれか……」
お金を財布にしまったクレイグが言う。
「まったく、この学校も変なところだよね。
試合をネタに賭けをする、それを学校自らがやってるなんて」
「ベリー教官が言ってただろ。
生徒同士で勝手にバクチやって喧嘩になるより、
学校がきちんと管理してやったほうがマシだって」
「まぁ、合理的と言えば合理的だよね。
不正やインチキが行われる危険は低い、レートは常識的な範囲に収まる。
誰かがお金を持ち逃げしたり、払わずにごまかすこともない」
「それで、今度のバクチ、どうなんだ?」
「どう……って?」
「お前の試合だよ。トラタローとの試合、どうなんだ?」
クレイグはコーラの紙コップに手を伸ばし、それを飲みながら喋る。
「まさか、僕が負けるわけないだろう? あんなザコ相手に。
まぁ鉄板さ、9対1で僕の勝ち。
ホントは10対0なんだけど、それじゃあ賭けにならないしね」
「いつも通り、お前に有り金ぜんぶ賭けていいんだな?」
「もちろんさ。今度の試合もボロ儲けだよ」
「おい、ローゼン! お前も、もちろんやるよな?」
「やる。けど、クレイグ。心配なことがある」
「なんだい?」
「クレイグは一度、リンに負けた。あの時は大損した」
「……あれは仕方ない。リンは特別だ。
僕も、彼女があそこまで強いとは思わなかった」
クレイグは紙コップをテーブルに置く。苦々しい顔を浮かべる。
ローゼンが話を続ける。
「最近、リンがトラタローを特訓してる。知ってる?」
「あぁ、あれか。とっくに知ってるさ」
「トラタローは強くなる。クレイグ、負けるかもしれない」
「おいおい、冗談はやめてくれ。
ちょっと頑張ったくらいで、あいつが僕に勝てるわけないだろ」
「それはとても低い可能性、だけど、存在する」
「まぁ確かに、とても低い可能性、危険性ってのはあるさ。
車にひかれたり、飛行機が落ちたり、
毎年どこかでそういう事故が起きてるわけだしね。
けど、それとこれとは別物さ。
こいつは実力勝負、あいつがインチキしない限り、僕の勝ちだよ」
「……本当?」
「なんで嘘だと思うのさ?」
「不安」
「安心しなよ、仮にインチキがあれば学校が調査する。
よほどのアクシデントがない限り、僕の勝ちに決まってる。
だから、何も心配しなくていい。
賭博委員会に有り金すべてを預ければ、それでOKなんだ」
「……わかった。信じる、クレイグのこと」
ローゼンはうなずく。手をクレイグに差し出す、握手する。
クレイグはギルダーを見て声をかける。
「ギルダー、君はどうする?」
「俺はいつだって、お前に賭けてきた。今回も、儲けさせてもらうぜ」
ギルダーとクレイグが握手する。
全員の顔に笑顔が浮かんでいる。
誰も気づいていない。ポーカーのカード交換、Kが来ない可能性があったことを。
そこにあるテーブルの周りにいるのは、クレイグ、ギルダー、ローゼンの3人。
彼らはフタ付きの紙コップに入ったコーラを飲みながら、ポーカーをしている。
各人の前に積み上げられたコインや紙幣がそれを証明している。
今はショウ・ダウン……手札を公開して対決する時。
ギルダーが手札を全員に見せつつ喋る。
「ほらよ、ストレート。ローゼン、お前は?」
「……ワン・ペア」
「はっ、そんなクズ手で突っ張ったのか?」
「うるさい」
「で、クレイグ、お前はどうなんだ? 見せてみろよ」
「フル・ハウス」
クレイグはすべての手札をテーブルの上に置く。Kが3枚にJが2枚。
ギルダー、自分の手札を投げ出してぼやく。
「クソッタレ、土壇場でそんな役、作りやがって!」
「はは、悪いね。でも、こう見えて危機一髪だったんだぜ。
最後のカード交換でKが来なかったら、どうしようもなかった。
まぁ、運も実力のうちって言うだろ? じゃ、悪いけど、賭け金をいただくよ」
クレイグは椅子から立ち上がり、笑いながら全員の賭け金を回収する。
金額をざっと確認、その後、財布を出しながら言う。
「さて、だいぶ遊んだことだし。少し休憩しようじゃないか」
ギルダーの返答。
「別にいいけどよ。でも、話すことなんかないぜ。
おい、ローゼン、なんかねぇのか?」
「今度の期末試験、試合賭博」
「あぁ、あれか……」
お金を財布にしまったクレイグが言う。
「まったく、この学校も変なところだよね。
試合をネタに賭けをする、それを学校自らがやってるなんて」
「ベリー教官が言ってただろ。
生徒同士で勝手にバクチやって喧嘩になるより、
学校がきちんと管理してやったほうがマシだって」
「まぁ、合理的と言えば合理的だよね。
不正やインチキが行われる危険は低い、レートは常識的な範囲に収まる。
誰かがお金を持ち逃げしたり、払わずにごまかすこともない」
「それで、今度のバクチ、どうなんだ?」
「どう……って?」
「お前の試合だよ。トラタローとの試合、どうなんだ?」
クレイグはコーラの紙コップに手を伸ばし、それを飲みながら喋る。
「まさか、僕が負けるわけないだろう? あんなザコ相手に。
まぁ鉄板さ、9対1で僕の勝ち。
ホントは10対0なんだけど、それじゃあ賭けにならないしね」
「いつも通り、お前に有り金ぜんぶ賭けていいんだな?」
「もちろんさ。今度の試合もボロ儲けだよ」
「おい、ローゼン! お前も、もちろんやるよな?」
「やる。けど、クレイグ。心配なことがある」
「なんだい?」
「クレイグは一度、リンに負けた。あの時は大損した」
「……あれは仕方ない。リンは特別だ。
僕も、彼女があそこまで強いとは思わなかった」
クレイグは紙コップをテーブルに置く。苦々しい顔を浮かべる。
ローゼンが話を続ける。
「最近、リンがトラタローを特訓してる。知ってる?」
「あぁ、あれか。とっくに知ってるさ」
「トラタローは強くなる。クレイグ、負けるかもしれない」
「おいおい、冗談はやめてくれ。
ちょっと頑張ったくらいで、あいつが僕に勝てるわけないだろ」
「それはとても低い可能性、だけど、存在する」
「まぁ確かに、とても低い可能性、危険性ってのはあるさ。
車にひかれたり、飛行機が落ちたり、
毎年どこかでそういう事故が起きてるわけだしね。
けど、それとこれとは別物さ。
こいつは実力勝負、あいつがインチキしない限り、僕の勝ちだよ」
「……本当?」
「なんで嘘だと思うのさ?」
「不安」
「安心しなよ、仮にインチキがあれば学校が調査する。
よほどのアクシデントがない限り、僕の勝ちに決まってる。
だから、何も心配しなくていい。
賭博委員会に有り金すべてを預ければ、それでOKなんだ」
「……わかった。信じる、クレイグのこと」
ローゼンはうなずく。手をクレイグに差し出す、握手する。
クレイグはギルダーを見て声をかける。
「ギルダー、君はどうする?」
「俺はいつだって、お前に賭けてきた。今回も、儲けさせてもらうぜ」
ギルダーとクレイグが握手する。
全員の顔に笑顔が浮かんでいる。
誰も気づいていない。ポーカーのカード交換、Kが来ない可能性があったことを。
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