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第三章 あばよ課金ゲー
第1話 有終の美を飾れ
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あたし(アヤメって名前だよ)がギルド『マッド・ドッグ』を立ち上げてから、気づいてみればもう一年の時が流れた。
ここまでには本当いろんなことがあったなぁ。みんなでイベントやったりオフ会やったり、敵対ギルドとつぶしあいしたり。
敵対ギルド。そりゃあうちはさ、サーバで最強の同盟だし、目の上のたんコブに思って突っかかってくる奴らは多い。
特に『大きな子猫』の連中はあたしや仲間たちをすっごい敵視してて、なにかあるたんびにトラブルを起こす。
そういったことに疲れて辞めていくメンバーは多い。
うん。ぶっちゃけあたしも疲れたよ。そしてそれは小梅にとっても同じことなんだろうな。
小梅との付き合いはギルド設立の時にさかのぼる。
あたしと彼女はほぼ同じ時期にヘルヴァスを始め、街で出会って意気投合し、それからはずっと一緒にプレイし続けてきた。
あの子は本当にいい子だよ。あたしがギルドを作るって言った時、既に他のギルドにいたのにわざわざ脱退してこの『マッド・ドッグ』に参加してくれた。
二人して誓い合ったなぁ。最強のギルドにするんだって。その夢は叶い、見事に最大手となり、そしたら……なんかやることなくなっちゃった。
最初は楽しかったヘルヴァス、でも、今じゃなんかつまんない。むしろ苦痛ですらある。
毎日のように起きるメンバー間のいざこざ、その仲裁。他のギルドとのいがみ合い、外交と交渉、調停。負担に感じることを挙げていったらキリがない、つまりまぁ……うんざりするんだ。
小梅もさ、あれやこれやのトラブルで振り回されて。ついにこの間、あたしにメールで伝えてきた。
「私、ヘルヴァスやめようと思うんだ。引退する」
引き留めようと思わなかった。かわりに、快く送り出してあげようと思った。
それでまぁ、最後だしさ。これからみんなで火山にいって、派手に暴れてスッキリしようって思うわけ。
火山は上級者向けのダンジョンで、ドラゴンに加えて巨人や悪魔も出現し、気を抜いてると一瞬で殺される。
でもうちのギルドの幹部にとっちゃそこまでヤバいところじゃない。しっかり人数そろえて出撃すれば生還できる、戦利品を持ち帰れる。
そして、敵が強ければ強いほどドロップ品の質や種類もよくなる。だから、小梅の引退イベントをやるには最適だと思う。
あの子にとって最後の冒険だからさ。すっごい敵を倒して激レアなアイテム手に入れて、その華やかな思い出を胸に引退させてあげようじゃないの。有終の美を飾るってやつでね。
そういうわけで、あたし、小梅、ジャン、エルフィの四人は火山にやってきた。
軽くメンバー紹介をしておこう。あたしは人間族のサムライ、女。小梅は白エルフの魔術師で女、ジャンは人間族の格闘家で男、エルフィはドワーフの君主、女。みんな歴戦の強者、負けるなんてありえないパーティだ。
今、あたしたちは火山へ続く洞窟の入り口に集まっている。先頭にいるあたしは言う。
「さて、出発しましょ」
全員が了解の返事を出し、洞窟に入っていく。
数分後、火山のふもとに到着する。ここからさらに山道を進んでいき、今日の目当てのモンスターであるレッド・ドラゴンがいる場所を目指す。
道中でジャンがぼやく。
「何もこんな面倒なとこ最後の冒険場所にしなくても……」
あたしが返す。
「他にちょうどいいとこないでしょ。いいから油断するな、危険察知はあんたの仕事なんだから」
「へいへい」
「小梅、調子は?」
「問題ないよ」
「エルフィは?」
「悪くない」
「了解」
さすがのあたしたちだって、不意打ちされたら全滅する。それだけはさけないといけない、だからこそ、いい加減野郎のジャンにきっちり仕事させてかないとね。
やがて目的地の平地が見えてくる。まぁ平地といっても岩だらけで歩きづらいとこなんだけど。さて、後はレッド・ドラゴンを探すだけ……。
思った直後、ジャンが叫ぶ。
「来たっ! 左手!」
あたしはそこに視線を向ける。そこには確かに一匹のレッド・ドラゴンがいる。
まったく、いつ見てもでかいなぁコイツは。家くらいはあるよ。しかしビビってたまるか、これまでだってやっつけてきたんだ。
右手の刀、正国(マサクニ)を手に号令をかける。
「さぁ、派手にやろうぜ! 戦闘開始!」
ここまでには本当いろんなことがあったなぁ。みんなでイベントやったりオフ会やったり、敵対ギルドとつぶしあいしたり。
敵対ギルド。そりゃあうちはさ、サーバで最強の同盟だし、目の上のたんコブに思って突っかかってくる奴らは多い。
特に『大きな子猫』の連中はあたしや仲間たちをすっごい敵視してて、なにかあるたんびにトラブルを起こす。
そういったことに疲れて辞めていくメンバーは多い。
うん。ぶっちゃけあたしも疲れたよ。そしてそれは小梅にとっても同じことなんだろうな。
小梅との付き合いはギルド設立の時にさかのぼる。
あたしと彼女はほぼ同じ時期にヘルヴァスを始め、街で出会って意気投合し、それからはずっと一緒にプレイし続けてきた。
あの子は本当にいい子だよ。あたしがギルドを作るって言った時、既に他のギルドにいたのにわざわざ脱退してこの『マッド・ドッグ』に参加してくれた。
二人して誓い合ったなぁ。最強のギルドにするんだって。その夢は叶い、見事に最大手となり、そしたら……なんかやることなくなっちゃった。
最初は楽しかったヘルヴァス、でも、今じゃなんかつまんない。むしろ苦痛ですらある。
毎日のように起きるメンバー間のいざこざ、その仲裁。他のギルドとのいがみ合い、外交と交渉、調停。負担に感じることを挙げていったらキリがない、つまりまぁ……うんざりするんだ。
小梅もさ、あれやこれやのトラブルで振り回されて。ついにこの間、あたしにメールで伝えてきた。
「私、ヘルヴァスやめようと思うんだ。引退する」
引き留めようと思わなかった。かわりに、快く送り出してあげようと思った。
それでまぁ、最後だしさ。これからみんなで火山にいって、派手に暴れてスッキリしようって思うわけ。
火山は上級者向けのダンジョンで、ドラゴンに加えて巨人や悪魔も出現し、気を抜いてると一瞬で殺される。
でもうちのギルドの幹部にとっちゃそこまでヤバいところじゃない。しっかり人数そろえて出撃すれば生還できる、戦利品を持ち帰れる。
そして、敵が強ければ強いほどドロップ品の質や種類もよくなる。だから、小梅の引退イベントをやるには最適だと思う。
あの子にとって最後の冒険だからさ。すっごい敵を倒して激レアなアイテム手に入れて、その華やかな思い出を胸に引退させてあげようじゃないの。有終の美を飾るってやつでね。
そういうわけで、あたし、小梅、ジャン、エルフィの四人は火山にやってきた。
軽くメンバー紹介をしておこう。あたしは人間族のサムライ、女。小梅は白エルフの魔術師で女、ジャンは人間族の格闘家で男、エルフィはドワーフの君主、女。みんな歴戦の強者、負けるなんてありえないパーティだ。
今、あたしたちは火山へ続く洞窟の入り口に集まっている。先頭にいるあたしは言う。
「さて、出発しましょ」
全員が了解の返事を出し、洞窟に入っていく。
数分後、火山のふもとに到着する。ここからさらに山道を進んでいき、今日の目当てのモンスターであるレッド・ドラゴンがいる場所を目指す。
道中でジャンがぼやく。
「何もこんな面倒なとこ最後の冒険場所にしなくても……」
あたしが返す。
「他にちょうどいいとこないでしょ。いいから油断するな、危険察知はあんたの仕事なんだから」
「へいへい」
「小梅、調子は?」
「問題ないよ」
「エルフィは?」
「悪くない」
「了解」
さすがのあたしたちだって、不意打ちされたら全滅する。それだけはさけないといけない、だからこそ、いい加減野郎のジャンにきっちり仕事させてかないとね。
やがて目的地の平地が見えてくる。まぁ平地といっても岩だらけで歩きづらいとこなんだけど。さて、後はレッド・ドラゴンを探すだけ……。
思った直後、ジャンが叫ぶ。
「来たっ! 左手!」
あたしはそこに視線を向ける。そこには確かに一匹のレッド・ドラゴンがいる。
まったく、いつ見てもでかいなぁコイツは。家くらいはあるよ。しかしビビってたまるか、これまでだってやっつけてきたんだ。
右手の刀、正国(マサクニ)を手に号令をかける。
「さぁ、派手にやろうぜ! 戦闘開始!」
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