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第1部 すべては経験
第6話 厄介者/What a Man
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結論から言えば、その倒れていた男は街の医院に担ぎ込まれた。今は、担ぎ込まれてから数日後。午前中の医院、その男が寝ている病室、ギンたちはそこに集まって話をしている。開口一番、リッチーが怒る。
「で、えーと、カールとか言ったっけ? まったく、とんだ疫病神だよ、あんたは。おかげで俺たちは大損だ」
男……カール、彼は体を起こそうとする。キャンディスがそれを止めようとする。
「いけません、まだ寝ていなくては……」
「いや、いいんだ、もう大丈夫。楽になったから……」
リッチーはなおもカールに突っかかる。
「お前の治療費、どこから出たと思う? 全部、俺たちの財布からだ。おかげですっからかん、質屋を使うはめになっちまった」
「それは……すまない」
「すまないじゃねーよお前、どうしてくれんだ? 俺たちは貧乏なんだぜ」
「すまない、本当にすまない。金なら持っているから、それで埋め合わせをするよ」
「金の問題だけじゃねーんだよ、いいか……」
ギンは会話を止めようとする。
「リッチー、もういいだろう? ここは病室なんだ、静かにしないと」
「これが黙っていられるか? 俺の大事なクロス・ボウが質屋行きになったんだぞ」
「俺だって剣を質に入れたじゃないか。とにかく、カールから話をきこう。俺たちだけで騒いでもしかたない」
ギンはカールに視線を向ける。カールは何を話すか迷ったように見えたが、とにかく口を開いた。
「改めて自己紹介するよ。私はカール、冒険者をやっている」
「へぇ、冒険者……」
「君たちも?」
「えぇ、そうです。それで、どうしてあんなとこに?」
「街を目指している途中、モンスターにやられてね。大した傷じゃなかったが、あいつ、毒を持っていたらしい。気づいた時にはもう病気だった。何とかあそこまではたどり着いたが、その時、体力が限界になったんだ」
「そりゃあ大変でしたね……」
「あぁ、まったくだ。本当、酷い病気だったよ」
レーヴが口を挟む。
「それで、カールさん。今後はどうすんの?」
「おいおい、まだ治りきってないんだぜ? まずは完全復活しないと」
「でもさぁ、いつまでもここで寝てるわけにもいかないっしょ?」
「はは、それはそうさ。まぁ、君たちにかけた迷惑をつぐなって、そしたらまた旅に出るよ」
「いつも旅してるの?」
「そりゃあ、冒険者だからね」
「よかったら聞かせて欲しいんだけど、じゃあ、冒険者レベルはいくつ?」
「5だよ」
5。その言葉を聞いて、全員の顔が驚きに包まれる。
「5!? すごいじゃん、あたしらなんてまだ2だよ」
「2? とてもそうは見えないが」
「ポイズン・リザードが倒せなくってさー、いつまでたっても3に上がれないんだ」
「ふむ……」
冒険者レベルについて説明しよう。この世界の各地には、冒険者同士の互助組織、冒険者組合というものがある。組合は、冒険者の実力に応じて、それを証明する認定書を発行している。この認定書に書かれているレベルが「冒険者レベル」と呼ばれるものである。
これは、冒険者の世界だけでなく、一般の社会においても一種の身分証明として機能する。レベルが高い冒険者は尊敬されて、有力者から歓待されたり、割のいい仕事を紹介されたり、様々な利益を得る。
冒険者の中には、不正行為をして認定書を手に入れる人々も存在する。よって、高レベル、イコール、優秀、とは断定できない。それでも、冒険者レベルは大事なものであり、特に駆け出しの冒険者は、これを上げていくことを目標に頑張るのである。
冒険者レベルを上げる方法は様々だが、よくある方法の一つは「指定されたモンスターを撃破し、その証拠を持ち帰る」ことである。セラの街の組合は、ポイズン・リザードを倒して舌を持ち帰れば、レベル3の認定書を出すことにしている。そしてギンたちは、まだリザード退治の条件を達成できず、レベル2の状態に留まっている……というわけだ。
さて、話を戻そう。キャンディスは何かを思いつく。彼女はカールに話しかける。
「カールさん。よかったら、私たちの仲間になってくれませんか? あなたがいたら、ポイズン・リザードだって倒せると思うんです」
「それはそうかもしれないが、しかし、私は団体行動が苦手でね……」
リッチーが会話に加わる。
「あんたは俺たちに借りがあるんだぜ? リザード退治くらい、手伝ってくれてもいいじゃねぇか」
「うーん、それを言われると弱いな……」
カールはしばし考え込む。それから、彼は喋った。
「よし、じゃあこれならどうだろう? ポイズン・リザードを倒すまで、君たちの仲間として戦う。そしてそれが終わったらお別れする」
「おい、ギン」
「俺は賛成。カールさん、確認のために聞くけどさ。カールさんって前線で戦える?」
「戦えるも何も、それが私の仕事だよ」
「戦士ってこと?」
「戦士もやるし、魔法も使う」
「魔法戦士か、すごいなぁ……。よし、俺以外の戦士が欲しいと思ってたところだ。俺は大歓迎するよ」
今の話がきっかけとなって、その場にいる全員がカールの仲間入りを歓迎した。彼としてはいろいろ思うところもあったのだが、話の流れがこうなってしまっては今さら断れない。彼は次のセリフを言って、話をまとめたのだった。
「それじゃあしばらくの間、ギンたちの厄介になるよ。これから、どうぞよろしく」
「で、えーと、カールとか言ったっけ? まったく、とんだ疫病神だよ、あんたは。おかげで俺たちは大損だ」
男……カール、彼は体を起こそうとする。キャンディスがそれを止めようとする。
「いけません、まだ寝ていなくては……」
「いや、いいんだ、もう大丈夫。楽になったから……」
リッチーはなおもカールに突っかかる。
「お前の治療費、どこから出たと思う? 全部、俺たちの財布からだ。おかげですっからかん、質屋を使うはめになっちまった」
「それは……すまない」
「すまないじゃねーよお前、どうしてくれんだ? 俺たちは貧乏なんだぜ」
「すまない、本当にすまない。金なら持っているから、それで埋め合わせをするよ」
「金の問題だけじゃねーんだよ、いいか……」
ギンは会話を止めようとする。
「リッチー、もういいだろう? ここは病室なんだ、静かにしないと」
「これが黙っていられるか? 俺の大事なクロス・ボウが質屋行きになったんだぞ」
「俺だって剣を質に入れたじゃないか。とにかく、カールから話をきこう。俺たちだけで騒いでもしかたない」
ギンはカールに視線を向ける。カールは何を話すか迷ったように見えたが、とにかく口を開いた。
「改めて自己紹介するよ。私はカール、冒険者をやっている」
「へぇ、冒険者……」
「君たちも?」
「えぇ、そうです。それで、どうしてあんなとこに?」
「街を目指している途中、モンスターにやられてね。大した傷じゃなかったが、あいつ、毒を持っていたらしい。気づいた時にはもう病気だった。何とかあそこまではたどり着いたが、その時、体力が限界になったんだ」
「そりゃあ大変でしたね……」
「あぁ、まったくだ。本当、酷い病気だったよ」
レーヴが口を挟む。
「それで、カールさん。今後はどうすんの?」
「おいおい、まだ治りきってないんだぜ? まずは完全復活しないと」
「でもさぁ、いつまでもここで寝てるわけにもいかないっしょ?」
「はは、それはそうさ。まぁ、君たちにかけた迷惑をつぐなって、そしたらまた旅に出るよ」
「いつも旅してるの?」
「そりゃあ、冒険者だからね」
「よかったら聞かせて欲しいんだけど、じゃあ、冒険者レベルはいくつ?」
「5だよ」
5。その言葉を聞いて、全員の顔が驚きに包まれる。
「5!? すごいじゃん、あたしらなんてまだ2だよ」
「2? とてもそうは見えないが」
「ポイズン・リザードが倒せなくってさー、いつまでたっても3に上がれないんだ」
「ふむ……」
冒険者レベルについて説明しよう。この世界の各地には、冒険者同士の互助組織、冒険者組合というものがある。組合は、冒険者の実力に応じて、それを証明する認定書を発行している。この認定書に書かれているレベルが「冒険者レベル」と呼ばれるものである。
これは、冒険者の世界だけでなく、一般の社会においても一種の身分証明として機能する。レベルが高い冒険者は尊敬されて、有力者から歓待されたり、割のいい仕事を紹介されたり、様々な利益を得る。
冒険者の中には、不正行為をして認定書を手に入れる人々も存在する。よって、高レベル、イコール、優秀、とは断定できない。それでも、冒険者レベルは大事なものであり、特に駆け出しの冒険者は、これを上げていくことを目標に頑張るのである。
冒険者レベルを上げる方法は様々だが、よくある方法の一つは「指定されたモンスターを撃破し、その証拠を持ち帰る」ことである。セラの街の組合は、ポイズン・リザードを倒して舌を持ち帰れば、レベル3の認定書を出すことにしている。そしてギンたちは、まだリザード退治の条件を達成できず、レベル2の状態に留まっている……というわけだ。
さて、話を戻そう。キャンディスは何かを思いつく。彼女はカールに話しかける。
「カールさん。よかったら、私たちの仲間になってくれませんか? あなたがいたら、ポイズン・リザードだって倒せると思うんです」
「それはそうかもしれないが、しかし、私は団体行動が苦手でね……」
リッチーが会話に加わる。
「あんたは俺たちに借りがあるんだぜ? リザード退治くらい、手伝ってくれてもいいじゃねぇか」
「うーん、それを言われると弱いな……」
カールはしばし考え込む。それから、彼は喋った。
「よし、じゃあこれならどうだろう? ポイズン・リザードを倒すまで、君たちの仲間として戦う。そしてそれが終わったらお別れする」
「おい、ギン」
「俺は賛成。カールさん、確認のために聞くけどさ。カールさんって前線で戦える?」
「戦えるも何も、それが私の仕事だよ」
「戦士ってこと?」
「戦士もやるし、魔法も使う」
「魔法戦士か、すごいなぁ……。よし、俺以外の戦士が欲しいと思ってたところだ。俺は大歓迎するよ」
今の話がきっかけとなって、その場にいる全員がカールの仲間入りを歓迎した。彼としてはいろいろ思うところもあったのだが、話の流れがこうなってしまっては今さら断れない。彼は次のセリフを言って、話をまとめたのだった。
「それじゃあしばらくの間、ギンたちの厄介になるよ。これから、どうぞよろしく」
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