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第1部 すべては経験
第8話-5 本当の敵/Pandemonium
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戦いの幕が切って落とされる。先手必勝、レーヴが眠りの魔法を放つ。
「スリープ(sleep, 眠り)、眠れーーーっ!」
横並びで通路をふさいでいるカマキリたちのうち、左側のほうに魔法が命中する。そのカマキリの動きが鈍くなり、大きな隙をさらす。ギンが突進する。
「叩っ斬ってやる!」
上からの一撃、それはカマキリの片腕を斬り落とし、自慢のカマを使えなくする。この攻撃は、もちろんカマキリの目を覚ませる。カマキリは「ガッ、ガッ!」と怒りの声を上げながら、残った片腕のカマを広げてギンに襲いかかる。
ブンッ、大ぶりな一撃。ギンは素早く後退してその攻撃をよけ、剣を構え直す。直後、カマキリは口からブレス(breath, 息)を吐き出す。「ブォーッ!」、毒を含んだそのブレスはギンに直撃する。彼は思い切り吸い込んでしまい、強くせき込む。
「ごほっ、ごっ、くそ……!」
ギンを助けるべく、キャンディスが行動を起こす。「解毒だけでも!」。カウンターアクション(counteraction, 毒や薬の中和)の魔法が飛び、ギンの体内に入った毒を消し去る。ギンは体が楽になるのを感じる、だが、ブレスによって受けたダメージが回復したわけではない。彼はカマキリを睨みつけながら喋る。
「これ以上やられる前に……!」
セリフの直後、リッチーが矢を放つ。矢はカマキリの腕の根元に突き刺さり、強烈な痛みを発生させる。「ギッ!」、カマキリは悲鳴を上げて怯む。そこにレーヴの魔法が炸裂する。
「ギン、ライトニングだよ!」
魔法の光球がカマキリの体に接触し、直後、稲妻に変化してダメージを与える。苦手とする属性の魔法をもろにくらったせいで、カマキリの動きが止まる。ギンはこのビッグ・チャンスを逃さない、全力で行動に移る。
「うおおぉぉぉっ!」
彼は大きく跳び上がり、剣をカマキリの脳天に打ち込む。急所に攻撃を受け、カマキリはついに絶命する。砕けた頭部の傷口から黄色い体液が流れだし、その体をどろどろに汚す。そしてカマキリの体は地面に崩れ落ちる。
ちょうど同じ頃、カールとカマキリの戦いも終わりを迎えようとしていた。カールはカマキリにライトニングを放つ。
「はぁーっ!」
彼の左手から稲妻が飛び、カマキリを打ちのめす。「ギーッ!」、カマキリの悲鳴、動きが止まる。カールは即座にジャンプ、剣をカマキリの頭に振り下ろす。そのまま体の下まで振り切って、頭も胴体も真っ二つに斬り割く。カマキリはその生命を失い、無様な格好で崩れ落ちる。
仕事を終えたカールは、ギンたちのほうへ向き声をかける。
「どうやら、終わったようだね」
ギンが返答する。「どうにか片付けました」。彼の後ろにはキャンディスがいて、その右手から魔法の青い光を出し、ギンの体力を回復している。それを見たカールが苦笑いする。
「意外と手こずったようだね?」
「ブレスをくらっちゃって……」
「大丈夫かい?」
「えぇ、なんとか」
「回復したら、カマを回収して街に帰ろう。かなりの収穫だ、今日はきっとごちそうが食べられるぞ」
「ごちそう、そりゃあいい!」
ギンは笑う。だが、その笑顔はすぐに消え、代わりに驚きの表情が出現する。
「カールさん、後ろ!」
「何!?」
後ろへ振り向いたカールの視界に飛び込んできたのは、冒険者風の恰好をした3人の男たち。彼らのうち、前の方にいる2人は片手剣と盾で武装していて、後ろの1人は魔法使い風のローブを着ている。そのローブの男が喋る。
「やるねぇ、お兄さんたち。カマキリ相手にあれだけ戦えるたぁ、すげぇよ」
リッチーが警戒しながら話しかける。「おい、なんだ、お前ら?」。ローブの男がそれに返す。
「俺たちはお願いに来たのさ。なぁ、お前らの武器と金、置いてってくれよ。なにせ俺たち、金がなくてよぅ」
「はぁ!? ふざけんな、誰がそんなことするかよ!」
「おう、抵抗すんのか?」
「当たり前だろ!」
「はっ、馬鹿じゃねぇの? 戦いで疲れてるお前らなんぞ、俺たちの敵じゃねぇ」
そう言って、ローブの男は手に魔法の光球を作る。炎の色に輝くそれは、見るからに凶悪な雰囲気を漂わせている。レーヴが冷や汗を流しながら言う。
「リッチーやばいよ、あんなの食らったらあたしたち黒コゲだよ」
「くそっ……」
カールが語り始める。
「ダンジョン・マン(dungeon man)。ダンジョンの中で、冒険者を相手に追いはぎをする犯罪者。久しぶりに出会ったな……」
「追いはぎィ? 犯罪者ァ? そいつぁー違うね……。なぜなら、ダンジョンの中は無法地帯。誰が誰を殺そうと、物を奪おうと、まったくお咎めなし。だから俺たちは犯罪者じゃねぇんだ」
「……理屈としては正しい」
「で、どうすんだ、お前ら? 命までは取らねぇ、おとなしくブツを出しゃあ、街へ帰してやるよ。だが、逆らうなら……」
ローブの男の前にいる連中が剣を構える。その刃は鋭く、青白い光を放っている。もし一太刀でも浴びたなら、強烈なダメージを受けるだろう。ギンはそれを睨みながら全員に声をかける。
「みんな、どうする? 奴らに従うか、それとも、戦うか……!」
人間の本当の敵は人間である。誰かがそんな言葉を残したらしい。
「スリープ(sleep, 眠り)、眠れーーーっ!」
横並びで通路をふさいでいるカマキリたちのうち、左側のほうに魔法が命中する。そのカマキリの動きが鈍くなり、大きな隙をさらす。ギンが突進する。
「叩っ斬ってやる!」
上からの一撃、それはカマキリの片腕を斬り落とし、自慢のカマを使えなくする。この攻撃は、もちろんカマキリの目を覚ませる。カマキリは「ガッ、ガッ!」と怒りの声を上げながら、残った片腕のカマを広げてギンに襲いかかる。
ブンッ、大ぶりな一撃。ギンは素早く後退してその攻撃をよけ、剣を構え直す。直後、カマキリは口からブレス(breath, 息)を吐き出す。「ブォーッ!」、毒を含んだそのブレスはギンに直撃する。彼は思い切り吸い込んでしまい、強くせき込む。
「ごほっ、ごっ、くそ……!」
ギンを助けるべく、キャンディスが行動を起こす。「解毒だけでも!」。カウンターアクション(counteraction, 毒や薬の中和)の魔法が飛び、ギンの体内に入った毒を消し去る。ギンは体が楽になるのを感じる、だが、ブレスによって受けたダメージが回復したわけではない。彼はカマキリを睨みつけながら喋る。
「これ以上やられる前に……!」
セリフの直後、リッチーが矢を放つ。矢はカマキリの腕の根元に突き刺さり、強烈な痛みを発生させる。「ギッ!」、カマキリは悲鳴を上げて怯む。そこにレーヴの魔法が炸裂する。
「ギン、ライトニングだよ!」
魔法の光球がカマキリの体に接触し、直後、稲妻に変化してダメージを与える。苦手とする属性の魔法をもろにくらったせいで、カマキリの動きが止まる。ギンはこのビッグ・チャンスを逃さない、全力で行動に移る。
「うおおぉぉぉっ!」
彼は大きく跳び上がり、剣をカマキリの脳天に打ち込む。急所に攻撃を受け、カマキリはついに絶命する。砕けた頭部の傷口から黄色い体液が流れだし、その体をどろどろに汚す。そしてカマキリの体は地面に崩れ落ちる。
ちょうど同じ頃、カールとカマキリの戦いも終わりを迎えようとしていた。カールはカマキリにライトニングを放つ。
「はぁーっ!」
彼の左手から稲妻が飛び、カマキリを打ちのめす。「ギーッ!」、カマキリの悲鳴、動きが止まる。カールは即座にジャンプ、剣をカマキリの頭に振り下ろす。そのまま体の下まで振り切って、頭も胴体も真っ二つに斬り割く。カマキリはその生命を失い、無様な格好で崩れ落ちる。
仕事を終えたカールは、ギンたちのほうへ向き声をかける。
「どうやら、終わったようだね」
ギンが返答する。「どうにか片付けました」。彼の後ろにはキャンディスがいて、その右手から魔法の青い光を出し、ギンの体力を回復している。それを見たカールが苦笑いする。
「意外と手こずったようだね?」
「ブレスをくらっちゃって……」
「大丈夫かい?」
「えぇ、なんとか」
「回復したら、カマを回収して街に帰ろう。かなりの収穫だ、今日はきっとごちそうが食べられるぞ」
「ごちそう、そりゃあいい!」
ギンは笑う。だが、その笑顔はすぐに消え、代わりに驚きの表情が出現する。
「カールさん、後ろ!」
「何!?」
後ろへ振り向いたカールの視界に飛び込んできたのは、冒険者風の恰好をした3人の男たち。彼らのうち、前の方にいる2人は片手剣と盾で武装していて、後ろの1人は魔法使い風のローブを着ている。そのローブの男が喋る。
「やるねぇ、お兄さんたち。カマキリ相手にあれだけ戦えるたぁ、すげぇよ」
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「はぁ!? ふざけんな、誰がそんなことするかよ!」
「おう、抵抗すんのか?」
「当たり前だろ!」
「はっ、馬鹿じゃねぇの? 戦いで疲れてるお前らなんぞ、俺たちの敵じゃねぇ」
そう言って、ローブの男は手に魔法の光球を作る。炎の色に輝くそれは、見るからに凶悪な雰囲気を漂わせている。レーヴが冷や汗を流しながら言う。
「リッチーやばいよ、あんなの食らったらあたしたち黒コゲだよ」
「くそっ……」
カールが語り始める。
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「追いはぎィ? 犯罪者ァ? そいつぁー違うね……。なぜなら、ダンジョンの中は無法地帯。誰が誰を殺そうと、物を奪おうと、まったくお咎めなし。だから俺たちは犯罪者じゃねぇんだ」
「……理屈としては正しい」
「で、どうすんだ、お前ら? 命までは取らねぇ、おとなしくブツを出しゃあ、街へ帰してやるよ。だが、逆らうなら……」
ローブの男の前にいる連中が剣を構える。その刃は鋭く、青白い光を放っている。もし一太刀でも浴びたなら、強烈なダメージを受けるだろう。ギンはそれを睨みながら全員に声をかける。
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