25 / 55
第1部 すべては経験
第13話 宿から出よう、ダンジョンに入ろう/About Time You Went
しおりを挟む
カールが仲間から外れた後、しばらくの間、ギンたちは何もする気になれずにいた。特にキャンディスのアパシー(apathy, 無気力、無感動、無関心)は深刻で、いつもボーッとして、夕方までベッドで過ごすような生活を送るようになった。だが、このままでいいはずがない。
ある日、みんなを宿の一室に集め、レーヴが言った。
「ねぇ、そろそろしっかりしようよ! これじゃあたしたち、ゾンビみたいだよ!」
ギンが少しだるそうに返す。
「俺だって分かってるよ、気合い入れなくちゃならないことは……。でもなんか、やる気が迷子なんだよ……」
「シャキッとしなよ、ギン! お金だっていつまでもあるわけじゃない、お金と氷は、放っておいたらなくなっちゃうんだから」
「……みんな、どうしようか?」
多少はしっかりした顔つきのリッチーが言う。
「俺たちの夢を思い出せよ。俺たち、ダンジョンを一番最初に攻略して、有名人になって、金持ちになるんだろうが。そろそろ腰上げて、またダンジョンへ行くんだよ。ギン、それ以外に何があるってんだ?」
「……ダンジョンか」
「おうよ、ダンジョンよ。俺たち、せっかく冒険者レベル3になったんだぜ? この調子でどんどん上げて、バンバン稼いで、いい装備買って強くなって、ガンガン突き進むんだよ。うまいメシ、いい宿、イケてる彼女、その他その他。手に入れようと思ったら、頑張るしかねぇだろ?」
「……そうだ、その通りだな」
ギンの顔に少し気合が入る。彼はキャンディスに話を振る。
「キャンディス、君がふさぎ込むのもわかるけどさ。カールさんのことはもう一区切りつけようよ。いずれまた会えるかも知れないだろ。今は、俺たちの夢に向かって頑張る時だよ」
「はい」
「なんか、頼りないなぁ……」
「いえ、大丈夫です。大丈夫ですよ」
レーヴが言う。
「ベッドでへたばってると、そのうちマジで心も体もやられちゃうよ。すっごい辛いなら休むことも必要だけどさ、どうなの、そこんとこ? まだ本調子じゃない?」
「辛い部分は少しありますよ。でも、お金のこともありますし。そろそろ頑張ろうかなって思います」
「……無理してない?」
「多少はそうかもしれません。でも、活動しているうちに調子が良くなってくる、そういうこともあると思うんです」
「分かった。でも、辛くなったら言ってよ?」
「はい、ありがとうございます」
二人の会話が終わったのをみてギンが喋る。
「とりあえずさ、地下四階へ行ってみようよ。俺たち強くなったと思うし、今なら行っても大丈夫だと思うんだ」
これに返すのはキャンディス。
「本当に大丈夫でしょうか?」
「危なくなったら逃げればいいんだよ」
「でも……」
リッチーが援護射撃する。
「もちろん、今のままじゃ少し不安だな。だから、装備を買おうぜ。今よりいいもの買えば、多少強い奴が来たって安心だ」
「うーん……」
「いずれ、四階を攻略することになるんだぜ? なら、早いうちに偵察したほうがいいだろ?」
レーヴも説得に加わり、数分の間、全員がキャンディスに話をする。その結果、彼女はこのようなことを提案した。
「地図を買いませんか? 地図があれば、初めてのところでもうまく探索できると思うんです」
話し合いの末、このアイデアが採用された。そのうえでさらに話し合いが行われ、買い物の担当が決まる。ギンがそれについて発表する。
「まず、キャンディスは地図の買い出し。レーヴは身を守る装備を、俺とリッチーは、武器や鎧、膝当てなんかを買う。薬はこの前買ったのがあるから、それでいこう。これで問題ないかな?」
特に質問は出ない。ギンは話をまとめる。
「よし、じゃあ明日は買い物に行こう。ついでに何か美味しい物でも食べて元気出して、その次はダンジョンだ」
レベル3に成長したギンたちの冒険が、いよいよ始まる。
ある日、みんなを宿の一室に集め、レーヴが言った。
「ねぇ、そろそろしっかりしようよ! これじゃあたしたち、ゾンビみたいだよ!」
ギンが少しだるそうに返す。
「俺だって分かってるよ、気合い入れなくちゃならないことは……。でもなんか、やる気が迷子なんだよ……」
「シャキッとしなよ、ギン! お金だっていつまでもあるわけじゃない、お金と氷は、放っておいたらなくなっちゃうんだから」
「……みんな、どうしようか?」
多少はしっかりした顔つきのリッチーが言う。
「俺たちの夢を思い出せよ。俺たち、ダンジョンを一番最初に攻略して、有名人になって、金持ちになるんだろうが。そろそろ腰上げて、またダンジョンへ行くんだよ。ギン、それ以外に何があるってんだ?」
「……ダンジョンか」
「おうよ、ダンジョンよ。俺たち、せっかく冒険者レベル3になったんだぜ? この調子でどんどん上げて、バンバン稼いで、いい装備買って強くなって、ガンガン突き進むんだよ。うまいメシ、いい宿、イケてる彼女、その他その他。手に入れようと思ったら、頑張るしかねぇだろ?」
「……そうだ、その通りだな」
ギンの顔に少し気合が入る。彼はキャンディスに話を振る。
「キャンディス、君がふさぎ込むのもわかるけどさ。カールさんのことはもう一区切りつけようよ。いずれまた会えるかも知れないだろ。今は、俺たちの夢に向かって頑張る時だよ」
「はい」
「なんか、頼りないなぁ……」
「いえ、大丈夫です。大丈夫ですよ」
レーヴが言う。
「ベッドでへたばってると、そのうちマジで心も体もやられちゃうよ。すっごい辛いなら休むことも必要だけどさ、どうなの、そこんとこ? まだ本調子じゃない?」
「辛い部分は少しありますよ。でも、お金のこともありますし。そろそろ頑張ろうかなって思います」
「……無理してない?」
「多少はそうかもしれません。でも、活動しているうちに調子が良くなってくる、そういうこともあると思うんです」
「分かった。でも、辛くなったら言ってよ?」
「はい、ありがとうございます」
二人の会話が終わったのをみてギンが喋る。
「とりあえずさ、地下四階へ行ってみようよ。俺たち強くなったと思うし、今なら行っても大丈夫だと思うんだ」
これに返すのはキャンディス。
「本当に大丈夫でしょうか?」
「危なくなったら逃げればいいんだよ」
「でも……」
リッチーが援護射撃する。
「もちろん、今のままじゃ少し不安だな。だから、装備を買おうぜ。今よりいいもの買えば、多少強い奴が来たって安心だ」
「うーん……」
「いずれ、四階を攻略することになるんだぜ? なら、早いうちに偵察したほうがいいだろ?」
レーヴも説得に加わり、数分の間、全員がキャンディスに話をする。その結果、彼女はこのようなことを提案した。
「地図を買いませんか? 地図があれば、初めてのところでもうまく探索できると思うんです」
話し合いの末、このアイデアが採用された。そのうえでさらに話し合いが行われ、買い物の担当が決まる。ギンがそれについて発表する。
「まず、キャンディスは地図の買い出し。レーヴは身を守る装備を、俺とリッチーは、武器や鎧、膝当てなんかを買う。薬はこの前買ったのがあるから、それでいこう。これで問題ないかな?」
特に質問は出ない。ギンは話をまとめる。
「よし、じゃあ明日は買い物に行こう。ついでに何か美味しい物でも食べて元気出して、その次はダンジョンだ」
レベル3に成長したギンたちの冒険が、いよいよ始まる。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します
namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。
マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。
その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。
「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。
しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。
「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」
公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。
前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。
これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。
出来損ない貴族の三男は、謎スキル【サブスク】で世界最強へと成り上がる〜今日も僕は、無能を演じながら能力を徴収する〜
シマセイ
ファンタジー
実力至上主義の貴族家に転生したものの、何の才能も持たない三男のルキウスは、「出来損ない」として優秀な兄たちから虐げられる日々を送っていた。
起死回生を願った五歳の「スキルの儀」で彼が授かったのは、【サブスクリプション】という誰も聞いたことのない謎のスキル。
その結果、彼の立場はさらに悪化。完全な「クズ」の烙印を押され、家族から存在しない者として扱われるようになってしまう。
絶望の淵で彼に寄り添うのは、心優しき専属メイドただ一人。
役立たずと蔑まれたこの謎のスキルが、やがて少年の運命を、そして世界を静かに揺るがしていくことを、まだ誰も知らない。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
旧校舎の地下室
守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。
屈辱と愛情
守 秀斗
恋愛
最近、夫の態度がおかしいと思っている妻の名和志穂。25才。仕事で疲れているのかとそっとしておいたのだが、一か月もベッドで抱いてくれない。思い切って、夫に聞いてみると意外な事を言われてしまうのだが……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる