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第1部 すべては経験
第14話-2 恋かもしれない/Yes and No
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ギンたちと並行して活動していたキャンディスたちについて語ろう。キャンディスとレーヴ、二人の最優先目的は地図だが、それを手に入れることはなかなかの困難事である。それはなぜだろうか。
まず、地図そのものが貴重品だという理由がある。冒険者にとって、命がけでダンジョンを歩きながら作った地図は宝物である。もしこれを失えば、以前のように、なんの助けもなく危険なダンジョンの中を歩くハメになる。せっかく地図を作っておきながらそんな愚行をするわけがない。
よって、冒険者が地図を手放すことはまれで、市場に供給されないのだ。
二つ目の理由として、地図を複製することが大変ということがある。当然の話だが、この世界にコピー機などない。もし文書類を複製するなら、手で書き写すか、高難度とされている複製の魔法を使うか、いずれにしろお金と手間がかかる。
そういうわけで、複製された地図は高価であり、これを買うにはそれなりの出費を覚悟しなければならない。こういった事情が地図の入手を難しくしているのである。
それでも、キャンディスとしては地図が欲しかった。四階という未知のエリアに何の策もなく乗り込むなど、彼女にはできない相談なのだ。もっとも、レーヴは違う。レーヴは言う。
「ねぇねぇ、やっぱ地図はやめてさー、そのお金で服でも買ったほうがよくない?」
「服って、このお金は冒険のために……」
「いやいや、私服って意味じゃなくて、冒険用の服ってことだよ。あたしだってさ、キャンディスみたいな服が欲しいもん。見てよ、このローブ。ボロい上に何の効果もなし、おまけに、リッチーがこぼしたコーヒーの染みがついてる」
「あれは災難でしたね……」
「災難なんてもんじゃないよー、すっごい熱かったしさー、あいつもうちょっと紳士になってくれたらって思う時あるよ。うんうん」
「まぁまぁ、悪気があったわけではないのですから……」
「わかってるよ、それは。でもやっぱり服が欲しいなぁ……。ねぇ……」
「ダメですよ、ダメです。地図がなければ大きな危険にあうかもしれないんですよ?
四階には、強力な魔法を使うモンスターがいると聞いたことがあります。そんな相手が出没する場所に近づいたらどうなるか……。地図があれば、そういうところを避けて探索できます」
「相変わらず慎重だねぇ……」
しばらくの間、二人は無言のまま歩く。そんな二人の向こう側から、若い男女のカップルが近づいてくる。そのカップルは手をつなぎ、楽しそうにお喋りしながらキャンディスたちへ近づき、彼女たちの横を通っていく。レーヴ。
「今の見た? 素敵な二人だったね!」
「えぇ」
「そういえばさー、キャンディスって、カールさんのこと……どう思ってるの?」
「えっ! カールさんのことって」
「やっぱ、好きなわけ?」
「どうして今それを……」
「いいじゃん別に。まぁ、無理に聞こうとは思わないけどさ。でも女同士、たまにはこういう話もいいじゃん」
「そうですね……」
少しの間、キャンディスは考え、それから口を開く。
「異性として好きかどうか、それは……わかりません。今まで恋をしたことなんて、ありませんし」
「ふーん……」
レーヴの顔に少しいたずらっぽそうな表情が浮かぶ。
「ねぇ、もしカールさんにまた会えたとして、彼が可愛い子と一緒にいたら……どう思う?」
「一緒に……」
キャンディスの顔が険しくなる。
「不愉快です。不愉快ですね、えぇ。考えるだけで不愉快です」
「へぇー……」
今のやりとりで、レーヴは何かを理解したらしい。だが、彼女はそれを言おうとしない。かわりに別のことを言う。
「あっそうだ、話は変わるんだけどさ。ココナツ・アヴェニューに行ってみない?」
「あそこに?」
ココナツ・アヴェニューとは、冒険者たちが集まって商いをしている場所である。ギンたちが行った市場と違って、売る側も買う側もほとんどが冒険者であり、一般人が欲しがらないようなものが多く売られているのが特徴である。
何が売られているかはその時によりけりだが、たまに地図を売る者が現れることがある。また、使い古した装備品を売る者もいる。うまく話が進めば、地図と装備品を同時に手に入れることができるかもしれない。レーヴは自案を主張する。
「ね、行こっ? ここからすぐだしさ、きっといいものあるから」
キャンディスはこれを了解し、二人はそのアヴェニューへ行くことになった。
そこには何があるのだろう?
まず、地図そのものが貴重品だという理由がある。冒険者にとって、命がけでダンジョンを歩きながら作った地図は宝物である。もしこれを失えば、以前のように、なんの助けもなく危険なダンジョンの中を歩くハメになる。せっかく地図を作っておきながらそんな愚行をするわけがない。
よって、冒険者が地図を手放すことはまれで、市場に供給されないのだ。
二つ目の理由として、地図を複製することが大変ということがある。当然の話だが、この世界にコピー機などない。もし文書類を複製するなら、手で書き写すか、高難度とされている複製の魔法を使うか、いずれにしろお金と手間がかかる。
そういうわけで、複製された地図は高価であり、これを買うにはそれなりの出費を覚悟しなければならない。こういった事情が地図の入手を難しくしているのである。
それでも、キャンディスとしては地図が欲しかった。四階という未知のエリアに何の策もなく乗り込むなど、彼女にはできない相談なのだ。もっとも、レーヴは違う。レーヴは言う。
「ねぇねぇ、やっぱ地図はやめてさー、そのお金で服でも買ったほうがよくない?」
「服って、このお金は冒険のために……」
「いやいや、私服って意味じゃなくて、冒険用の服ってことだよ。あたしだってさ、キャンディスみたいな服が欲しいもん。見てよ、このローブ。ボロい上に何の効果もなし、おまけに、リッチーがこぼしたコーヒーの染みがついてる」
「あれは災難でしたね……」
「災難なんてもんじゃないよー、すっごい熱かったしさー、あいつもうちょっと紳士になってくれたらって思う時あるよ。うんうん」
「まぁまぁ、悪気があったわけではないのですから……」
「わかってるよ、それは。でもやっぱり服が欲しいなぁ……。ねぇ……」
「ダメですよ、ダメです。地図がなければ大きな危険にあうかもしれないんですよ?
四階には、強力な魔法を使うモンスターがいると聞いたことがあります。そんな相手が出没する場所に近づいたらどうなるか……。地図があれば、そういうところを避けて探索できます」
「相変わらず慎重だねぇ……」
しばらくの間、二人は無言のまま歩く。そんな二人の向こう側から、若い男女のカップルが近づいてくる。そのカップルは手をつなぎ、楽しそうにお喋りしながらキャンディスたちへ近づき、彼女たちの横を通っていく。レーヴ。
「今の見た? 素敵な二人だったね!」
「えぇ」
「そういえばさー、キャンディスって、カールさんのこと……どう思ってるの?」
「えっ! カールさんのことって」
「やっぱ、好きなわけ?」
「どうして今それを……」
「いいじゃん別に。まぁ、無理に聞こうとは思わないけどさ。でも女同士、たまにはこういう話もいいじゃん」
「そうですね……」
少しの間、キャンディスは考え、それから口を開く。
「異性として好きかどうか、それは……わかりません。今まで恋をしたことなんて、ありませんし」
「ふーん……」
レーヴの顔に少しいたずらっぽそうな表情が浮かぶ。
「ねぇ、もしカールさんにまた会えたとして、彼が可愛い子と一緒にいたら……どう思う?」
「一緒に……」
キャンディスの顔が険しくなる。
「不愉快です。不愉快ですね、えぇ。考えるだけで不愉快です」
「へぇー……」
今のやりとりで、レーヴは何かを理解したらしい。だが、彼女はそれを言おうとしない。かわりに別のことを言う。
「あっそうだ、話は変わるんだけどさ。ココナツ・アヴェニューに行ってみない?」
「あそこに?」
ココナツ・アヴェニューとは、冒険者たちが集まって商いをしている場所である。ギンたちが行った市場と違って、売る側も買う側もほとんどが冒険者であり、一般人が欲しがらないようなものが多く売られているのが特徴である。
何が売られているかはその時によりけりだが、たまに地図を売る者が現れることがある。また、使い古した装備品を売る者もいる。うまく話が進めば、地図と装備品を同時に手に入れることができるかもしれない。レーヴは自案を主張する。
「ね、行こっ? ここからすぐだしさ、きっといいものあるから」
キャンディスはこれを了解し、二人はそのアヴェニューへ行くことになった。
そこには何があるのだろう?
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