迷宮の中の青春 -Soldiers of Fortune-

夏野かろ

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第2部 闇に死す

第5話-1 イーホウの屋敷

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 翌日、午前、イーホウ邸。そこを訪れたギンたちは、玄関の前に立っている。やがて、ドアの内側からメイド服を着た女性が現れ、ギンたちに話しかける。

「イーホウ様から許可をいただきました。ただいま、応接室にご案内します。どうぞ、お入りください……」

 メイドに導かれ、ギンたちはイーホウ邸の中に入る。
 そこはなかなか洒落た空間だった。高くはないが、上質な調度品……コート・スタンドや小さな机、椅子などがあって、それらは一体となり、穏やかな雰囲気を作り出している。レーヴが感想を言う。

「すごーい。あか抜けてるって感じー」

 それに取り合わず、メイドは喋る。

「こちらです……」

 メイドは歩き出す。彼女に続いてギンたちも歩き出す。やがて彼らは一つの部屋の前に到着した。メイドはその部屋のドアを開け、話す。

「こちらの中でお待ちください。イーホウ様はすぐお見えになります」

 メイドは立ち去る。その後、ギンたちは部屋に入り、ソファに腰を降ろす。
 部屋の中もまた、それまでの場所と同じように洒落た空間である。リッチーは、目の前にある机を触り、いろいろと確かめてみる。

「だいぶ痛んでるけど、結構いいな、これ。値打ち物だ」

 ソファをぽんぽんと叩きながら、レーヴが返答する。

「このソファもいいよね。すべすべして、柔らかーい! それに、ふっかふか!」

 ギンがたしなめる。

「ちょっと、みんな。泥棒じゃないんだからさ、そんなあれこれ調べなくたっていいだろ」

 リッチー。

「いいじゃねぇか、ちょっとぐらい。それにしても金持ちだよな、俺が泥棒なら何か持って帰りたいくらいだぜ」

 その時、室内にドアをノックする音が響いた。リッチー、レーヴ、二人は素早くソファに腰かけ、何事もなかったかのような澄ました態度をとる。そのすぐ後に、一人の若い男性が入室してくる。彼は言う。

「どうも、こんにちは。お待たせしてすみません……」

 彼はギンたちの正面にあるソファに腰かけ、自己紹介をする。

「改めまして、こんにちは。イーホウです」

 イーホウ。その容姿は、東の国々に住む人たちの特徴を示している。やせ型で、少し背が低く、黄色人種の肌に黒い瞳、黒い髪。服装すらも東国風で、これらはギンたちに、どこかミステリアスな印象を与える。
 初対面の緊張感を和らげるべく、イーホウが話し出す。

「カールの友だちということですか、そうなのですか?」

 ギンが答える。

「友だちというか、以前いっしょに冒険したことがあって……」
「なるほど、それで……。事情はわかりました。それで、僕に何か相談があるということですが……」
「はい。実は、このアイテムについて調べていて」

 ギンはバッグから綿の包みを取り出し、その中から例の金属板を取り出す。

「これなんですが」
「ふむ、これは……。ちょっとお借りしていいかい?」
「はい」

 ギンは金属板をイーホウに渡す。イーホウはそれを静かにながめ、文様を指でなぞってみたり、板の裏側を確認したり、簡単な調査を始める。そうしながら言う。

「うーん……なんだろう? だいぶ古い物のようだけど……」
「どこのお店に行っても正体が分からなくて、それで、イーホウさんなら分かるんじゃないかと思って」
「ふむふむ……。実に興味深いね、これは」

 イーホウは金属板をテーブルの上に置き、喋る。

「もしよければ、僕に預けてくれないか? 何日か調査してみたいんだ。じっくり調べれば何かわかるかもしれない」
「お願いしていいですか?」
「あぁ、もちろんだよ」

 リッチーが口を挟む。

「それで、謝礼は?」
「はは、お金はいいよ。カールの友だちからお金をとるなんて、そんなことはできないし。それに、珍しいものを研究させてもらうこと自体が謝礼みたいなものさ」

 話をまとめるべく、ギンが喋る。

「それでは、よろしくお願いします。何日後に来ればいいですか?」
「とりあえず二日くれないか?」
「了解です」
「いい結果を伝えられるよう、努力するよ」
「ありがとうございます」



 こうして、ギンたちの目的はとりあえず達成された。しかし、イーホウ邸での物語はこれで終わりではない。彼に用がある者は、ギンたち以外にもいるのだから。



 その日の午後。ある男がイーホウ邸にやってきた。
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