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第2部 闇に死す
第10話-1 塔
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マックスの処刑から数日後、例の塔。その扉の少し前には、ギンたち四人とカールが立っている。カールに対し、ギンは心配そうに言う。
「大丈夫ですか、本当に? やっぱり、今からでもやめたほうが……」
「問題ないさ」
カールは馬鹿馬鹿しく笑う。リッチーが声をかける。
「先日はやり過ぎだった、そう思いますよ、俺。カールさん、心が疲れ切ってんじゃないですか?」
「そうかもしれないな」
「なら、引き返しましょうよ。準備不足で冒険に行ったらひどい目にあう、あなたが教えてくれたことですよ」
「なぁに、体は元気なんだ。問題ないよ。」
カールは扉へ進み、それを開け放つ。塔の内部にたまっていたホコリくさい空気が外へと流れ出し、ギンたちに嫌なにおいを届ける。ランプの魔法を使って灯りの光球を呼び出し、カールは言う。
「さぁ、行こう。お宝を探しに」
彼は塔の中へと姿を消す。それを見ているレーヴがぽつりと言う。
「メーユイさんはもういない、結婚式なんて無理だけど……。もしお宝を手に入れたら、カールさん、何に使うつもりなのかなぁ?」
誰もその質問には答えない。無言のまま、キャンディスが歩き出す。ギンとリッチーがその後に続く。レーヴも歩き出し、彼ら四人は塔の中へ入る。
塔の内部、一階、悪魔の石像の前。それを簡単に説明するなら、いわゆるガーゴイルのようなものと言えば十分だろう。石像の後ろにある壁には石板があり、謎の文字が刻まれている。
ギンたちは石板をながめている。リッチーがだるそうに言う。
「あれだけ探してよ、何もなかった。なら、最後はここしかねぇ」
ギンは石板の左側へと近づき、細部を観察してみる。
「なんだろうなぁ、これ……。何かのメッセージなんだろうけど、読めないや」
レーヴ、右側へと近づいていろいろな部分を見る。
「怪しい感じがプンプンするんだよね、ここ。ねぇ、あたし思うんだけどさぁ……。ここにある石板って、その石像についての説明じゃないかな?」
リッチー。
「調べるべきはこいつってか?」
「うん」
「どれ……」
リッチーは石像に近寄ってみる。石像は、リッチーを威嚇するかのように大口を開けている。まるで侵入者を追い払う犬のようだと彼は思う。無言の叫びが聞こえてくるかのような錯覚。彼は思わず背筋を震わせる。
「なぁ……。もう帰ろうぜ?」
レーヴの返事。
「はぁ? 何言ってんの、あんた! まだなんも見つけてないでしょ!」
「いや、まぁ、そうだけどよ。なんか、ここはヤクいっつーか……。とにかく帰ろうぜ。正直、ちょっと怖くなってきた」
「あんたねぇ……」
レーヴはリッチーへと近づく。そして石像を見る。
「こんなもんにビビっちゃって。情けないなぁ、まったく」
「うるせぇよ」
「まぁ、確かになんか不気味だけど。でもさぁ、しょせんは石像だよ。何もできやしないって。ほら、見て見て!」
レーヴは右手を石像の口の中に突っこむ。それを見たリッチーは呆れる。
「お前、そんなことして……」
この光景を見たカールの頭の中に、何かが閃く。
「リッチーくん。思うんだが、ここにあの金属板、いや、メダルを入れてみたらどうだろう?」
「えぇ? なんでです?」
「まぁとにかく、物は試しだよ」
「ふぅ、じゃあ早速……」
リッチーは腰のバッグからメダルを取り出し、そっと石像の口内に置いてみる。瞬間、メダルがぼんやりと赤い光を放ち、続いて、石像の口がゆっくりと閉まり始める。驚くリッチー。
「うわっ! なんだこれ!」
彼は石像から飛びのく。そうしている間にも口は閉じていく、メダルをがっちりと噛み、離さないようにする。直後、石像は後ろへ向かってゆっくりと動き出し、動き続け……止まる。
石像があった場所の床から、地下へ向かう階段が現れる。
「大丈夫ですか、本当に? やっぱり、今からでもやめたほうが……」
「問題ないさ」
カールは馬鹿馬鹿しく笑う。リッチーが声をかける。
「先日はやり過ぎだった、そう思いますよ、俺。カールさん、心が疲れ切ってんじゃないですか?」
「そうかもしれないな」
「なら、引き返しましょうよ。準備不足で冒険に行ったらひどい目にあう、あなたが教えてくれたことですよ」
「なぁに、体は元気なんだ。問題ないよ。」
カールは扉へ進み、それを開け放つ。塔の内部にたまっていたホコリくさい空気が外へと流れ出し、ギンたちに嫌なにおいを届ける。ランプの魔法を使って灯りの光球を呼び出し、カールは言う。
「さぁ、行こう。お宝を探しに」
彼は塔の中へと姿を消す。それを見ているレーヴがぽつりと言う。
「メーユイさんはもういない、結婚式なんて無理だけど……。もしお宝を手に入れたら、カールさん、何に使うつもりなのかなぁ?」
誰もその質問には答えない。無言のまま、キャンディスが歩き出す。ギンとリッチーがその後に続く。レーヴも歩き出し、彼ら四人は塔の中へ入る。
塔の内部、一階、悪魔の石像の前。それを簡単に説明するなら、いわゆるガーゴイルのようなものと言えば十分だろう。石像の後ろにある壁には石板があり、謎の文字が刻まれている。
ギンたちは石板をながめている。リッチーがだるそうに言う。
「あれだけ探してよ、何もなかった。なら、最後はここしかねぇ」
ギンは石板の左側へと近づき、細部を観察してみる。
「なんだろうなぁ、これ……。何かのメッセージなんだろうけど、読めないや」
レーヴ、右側へと近づいていろいろな部分を見る。
「怪しい感じがプンプンするんだよね、ここ。ねぇ、あたし思うんだけどさぁ……。ここにある石板って、その石像についての説明じゃないかな?」
リッチー。
「調べるべきはこいつってか?」
「うん」
「どれ……」
リッチーは石像に近寄ってみる。石像は、リッチーを威嚇するかのように大口を開けている。まるで侵入者を追い払う犬のようだと彼は思う。無言の叫びが聞こえてくるかのような錯覚。彼は思わず背筋を震わせる。
「なぁ……。もう帰ろうぜ?」
レーヴの返事。
「はぁ? 何言ってんの、あんた! まだなんも見つけてないでしょ!」
「いや、まぁ、そうだけどよ。なんか、ここはヤクいっつーか……。とにかく帰ろうぜ。正直、ちょっと怖くなってきた」
「あんたねぇ……」
レーヴはリッチーへと近づく。そして石像を見る。
「こんなもんにビビっちゃって。情けないなぁ、まったく」
「うるせぇよ」
「まぁ、確かになんか不気味だけど。でもさぁ、しょせんは石像だよ。何もできやしないって。ほら、見て見て!」
レーヴは右手を石像の口の中に突っこむ。それを見たリッチーは呆れる。
「お前、そんなことして……」
この光景を見たカールの頭の中に、何かが閃く。
「リッチーくん。思うんだが、ここにあの金属板、いや、メダルを入れてみたらどうだろう?」
「えぇ? なんでです?」
「まぁとにかく、物は試しだよ」
「ふぅ、じゃあ早速……」
リッチーは腰のバッグからメダルを取り出し、そっと石像の口内に置いてみる。瞬間、メダルがぼんやりと赤い光を放ち、続いて、石像の口がゆっくりと閉まり始める。驚くリッチー。
「うわっ! なんだこれ!」
彼は石像から飛びのく。そうしている間にも口は閉じていく、メダルをがっちりと噛み、離さないようにする。直後、石像は後ろへ向かってゆっくりと動き出し、動き続け……止まる。
石像があった場所の床から、地下へ向かう階段が現れる。
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