29 / 227
第1章 下流階級で低収入の俺が本気出したら無双してしまった
第26話 戦いの始まり On the edge
しおりを挟む俺とマサキングは中央エレベーターの前に立ち、カゴが来るのを待っている。その間にクラン内チャットでワラビーさんが言う。
(私の部隊は引き続き1階を探します。でも、ここには無さそうな予感がするなぁ)
マサキングがたずねる。
(どうしてそう思うんですか)
(だって、1階っていちばん探しやすいところでしょ? 大事な☆をそんなとこに置くわけないよ。もしあるとすれば、アンズさんが担当の2階と……)
ポールが発言する。
(うちの部隊が担当する3階ですね)
俺は申し訳なさそうに答える。
(すんません、俺のかわりに部隊長をしてもらうことになって)
(気にしないでください。それより、これは俺の勘ですが、きっとお二人の行く地下1階に☆がありますよ)
(なんか当たってそうだなぁ……)
(もし☆が無かった場合、お二人は4階に上がって探索を続ける。それでいいんですよね?)
(あぁ。おい、マサキング、黙ってないでさぁ……)
(分かってる。了解だ)
カゴが到着する。「リーン……」と金属音がして扉が開く。俺はクランの全員に対して発言する。
(それじゃ、みんな! 行ってくるぜ!)
マサキングと一緒にカゴへ入り、操作盤のキーを叩いて地下1階を指示。
カゴが動き出す。ウィーンという駆動音と共に、深く深く潜っていく……。
地下1階に着いて五分後、いきなりワラビーさんが連絡してくる。
(前方に大きな部屋と敵を発見! 戦闘を始めます!)
俺は聞き返す。
(え? どうしました?)
(ごめん、後で!)
通信が切れる。交戦中だから喋る余裕がないってことなんだろう。
マサキングが静かに言う。
(たぶん☆の防衛部隊だ。予想に反して1階に☆があるってわけだな)
へぇ、意外。じゃあ……。
(じゃあ、この地下1階にもあるかな?)
(可能性は高い)
(だとしたら、どの部屋にあるかが問題なわけだが……)
立体映像のマップを出す。地下1階だけを拡大表示しているそれは、あちこちに☆マークを光らせている。
そいつを見ながらマサキングが言う。
(やっぱ奥だな。奥のところが怪しい)
(根拠でもあるのか)
(なにせ出入口が正面ひとつだけだ。守るのにうってつけ、高確率でここに敵がいるさ)
(じゃあとりあえずそこから調べようか……)
俺たちは進み始める。
しばらくして、アンズさんから連絡が来る。
(いやぁー、敵やっぱ強いわ。強い!)
感想を言う余裕があるってことは、つまり……。恐る恐るたずねる。
(あの、今の状況は?)
(ごめん。全滅しちゃった)
(マジすか……)
(まぁリスポーン地点がすぐそこにあるから。態勢を立て直して、また攻めこむよ)
(了解です)
(今度はきっと勝つから、期待しててね!)
通信が切れる。はぁ、全滅って……。こんなんで大丈夫なのかな。
ため息ついてる俺をよそに、マサキングがクラン内チャットで言う。
(アンズさん、そっちはどうなってますか)
(もうフロアの8割くらい調べたけど、収穫ゼロ)
(ポールさんは?)
(半分ほど調べましたけど、何もないですね。でも今から向かうところが怪しい。おそらく敵が罠を張ってます)
(気をつけてね)
(了解です。そちらもご無事で……)
俺はマサキングに話しかける。
(ほら、俺たちも急ごうぜ)
マサキングが無言でうなずく。俺たちは行動を再開する。
やがて、そろそろ目的地も近くなってきた頃。ポールが緊急連絡を入れてくる。
(やばい、囲まれました!)
アンズさんが指示を飛ばす。
(その場所ならあたしが援軍にいけるから、それまで持ちこたえて!)
(無理ですよ、火力が違いすぎる!)
こんな忙しい最中だってのに、ワラビーさんがのんきな声で連絡してくる。
(みんな~! うちの部隊が☆を壊したよ あと2つ!)
それを証明するがごとく、ゲーム・システムが(1階の☆が破壊されました)と告げる。
ポールが(おめでとうございます!)と絶叫する、完全にパニクってるな……。
さすがに今の絶叫で事態の異常さに気づいたらしく、ワラビーさんが言う。
(ポールくん、どうしたの?)
(交戦中です!)
(マジ? オッケー、助けにいくね!)
(はい!)
通路の角に身を隠すように立ち、マサキングがぼやく。
(やっぱ戦い慣れてないとこうなるよなぁ……)
(言うなよ。今さらだろ)
(あぁ……)
(ポールは負けるだろうが、みんなと合流すりゃ大丈夫だ。それより自分たちの心配をしようぜ)
俺はステルスを起動しようとする。(ジャミング中です)。マジかよ。舌打ちしてマサキングを見る。
(なぁ、どうしてこんなところでステルス・ジャミングが行われてるんだろうな?)
(誰かがこの先にいるからに決まってんだろ)
マサキングは全身に着けた武器を確認し始める。そして俺に同じことを促してくる。
(お前も準備しろよ。これから突っこんで、蹴散らすぞ……!)
0
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
アガルタ・クライシス ―接点―
来栖とむ
SF
神話や物語で語られる異世界は、空想上の世界ではなかった。
九州で発見され盗難された古代の石板には、異世界につながる何かが記されていた。
同時に発見された古い指輪に偶然触れた瞬間、平凡な高校生・結衣は不思議な力に目覚める。
不審な動きをする他国の艦船と怪しい組織。そんな中、異世界からの来訪者が現れる。政府の秘密組織も行動を開始する。
古代から権力者たちによって秘密にされてきた異世界との関係。地球とアガルタ、二つの世界を巻き込む陰謀の渦中で、古代の謎が解き明かされていく。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
EX級アーティファクト化した介護用ガイノイドと行く未来異星世界遺跡探索~君と添い遂げるために~
青空顎門
SF
病で余命宣告を受けた主人公。彼は介護用に購入した最愛のガイノイド(女性型アンドロイド)の腕の中で息絶えた……はずだったが、気づくと彼女と共に見知らぬ場所にいた。そこは遥か未来――時空間転移技術が暴走して崩壊した後の時代、宇宙の遥か彼方の辺境惑星だった。男はファンタジーの如く高度な技術の名残が散見される世界で、今度こそ彼女と添い遂げるために未来の超文明の遺跡を巡っていく。
※小説家になろう様、カクヨム様、ノベルアップ+様、ノベルバ様にも掲載しております。
毒素擬人化小説『ウミヘビのスープ』 〜十の賢者と百の猛毒が、寄生菌バイオハザード鎮圧を目指すSFファンタジー〜
天海二色
SF
西暦2320年、世界は寄生菌『珊瑚』がもたらす不治の病、『珊瑚症』に蝕まれていた。
珊瑚症に罹患した者はステージの進行と共に異形となり凶暴化し、生物災害【バイオハザード】を各地で引き起こす。
その珊瑚症の感染者が引き起こす生物災害を鎮める切り札は、毒素を宿す有毒人種《ウミヘビ》。
彼らは一人につき一つの毒素を持つ。
医師モーズは、その《ウミヘビ》を管理する研究所に奇縁によって入所する事となった。
彼はそこで《ウミヘビ》の手を借り、生物災害鎮圧及び珊瑚症の治療薬を探究することになる。
これはモーズが、治療薬『テリアカ』を作るまでの物語である。
……そして個性豊か過ぎるウミヘビと、同僚となる癖の強いクスシに振り回される物語でもある。
※《ウミヘビ》は毒劇や危険物、元素を擬人化した男子になります
※研究所に所属している職員《クスシヘビ》は全員モデルとなる化学者がいます
※この小説は国家資格である『毒物劇物取扱責任者』を覚える為に考えた話なので、日本の法律や規約を世界観に採用していたりします。
参考文献
松井奈美子 一発合格! 毒物劇物取扱者試験テキスト&問題集
船山信次 史上最強カラー図解 毒の科学 毒と人間のかかわり
齋藤勝裕 毒の科学 身近にある毒から人間がつくりだした化学物質まで
鈴木勉 毒と薬 (大人のための図鑑)
特別展「毒」 公式図録
くられ、姫川たけお 毒物ずかん: キュートであぶない毒キャラの世界へ
ジェームス・M・ラッセル著 森 寛敏監修 118元素全百科
その他広辞苑、Wikipediaなど
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる