VRMMO レヴェリー・プラネット ~ユビキタス監視社会~

夏野かろ

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第1章 下流階級で低収入の俺が本気出したら無双してしまった

第26話 戦いの始まり On the edge

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 俺とマサキングは中央エレベーターの前に立ち、カゴが来るのを待っている。その間にクラン内チャットでワラビーさんが言う。

(私の部隊は引き続き1階を探します。でも、ここには無さそうな予感がするなぁ)

 マサキングがたずねる。

(どうしてそう思うんですか)
(だって、1階っていちばん探しやすいところでしょ? 大事な☆をそんなとこに置くわけないよ。もしあるとすれば、アンズさんが担当の2階と……)

 ポールが発言する。

(うちの部隊が担当する3階ですね)

 俺は申し訳なさそうに答える。

(すんません、俺のかわりに部隊長をしてもらうことになって)
(気にしないでください。それより、これは俺の勘ですが、きっとお二人の行く地下1階に☆がありますよ)
(なんか当たってそうだなぁ……)
(もし☆が無かった場合、お二人は4階に上がって探索を続ける。それでいいんですよね?)
(あぁ。おい、マサキング、黙ってないでさぁ……)
(分かってる。了解だ)

 カゴが到着する。「リーン……」と金属音がして扉が開く。俺はクランの全員に対して発言する。

(それじゃ、みんな! 行ってくるぜ!)

 マサキングと一緒にカゴへ入り、操作盤のキーを叩いて地下1階を指示。
 カゴが動き出す。ウィーンという駆動音と共に、深く深く潜っていく……。



 地下1階に着いて五分後、いきなりワラビーさんが連絡してくる。

(前方に大きな部屋と敵を発見! 戦闘を始めます!)

 俺は聞き返す。

(え? どうしました?)
(ごめん、後で!)

 通信が切れる。交戦中だから喋る余裕がないってことなんだろう。
 マサキングが静かに言う。

(たぶん☆の防衛部隊だ。予想に反して1階に☆があるってわけだな)

 へぇ、意外。じゃあ……。

(じゃあ、この地下1階にもあるかな?)
(可能性は高い)
(だとしたら、どの部屋にあるかが問題なわけだが……)

 立体映像のマップを出す。地下1階だけを拡大表示しているそれは、あちこちに☆マークを光らせている。
 そいつを見ながらマサキングが言う。

(やっぱ奥だな。奥のところが怪しい)
(根拠でもあるのか)
(なにせ出入口が正面ひとつだけだ。守るのにうってつけ、高確率でここに敵がいるさ)
(じゃあとりあえずそこから調べようか……)

 俺たちは進み始める。
 しばらくして、アンズさんから連絡が来る。

(いやぁー、敵やっぱ強いわ。強い!)

 感想を言う余裕があるってことは、つまり……。恐る恐るたずねる。

(あの、今の状況は?)
(ごめん。全滅しちゃった)
(マジすか……)
(まぁリスポーン地点がすぐそこにあるから。態勢を立て直して、また攻めこむよ)
(了解です)
(今度はきっと勝つから、期待しててね!)

 通信が切れる。はぁ、全滅って……。こんなんで大丈夫なのかな。
 ため息ついてる俺をよそに、マサキングがクラン内チャットで言う。

(アンズさん、そっちはどうなってますか)
(もうフロアの8割くらい調べたけど、収穫ゼロ)
(ポールさんは?)
(半分ほど調べましたけど、何もないですね。でも今から向かうところが怪しい。おそらく敵が罠を張ってます)
(気をつけてね)
(了解です。そちらもご無事で……)

 俺はマサキングに話しかける。

(ほら、俺たちも急ごうぜ)

 マサキングが無言でうなずく。俺たちは行動を再開する。
 やがて、そろそろ目的地も近くなってきた頃。ポールが緊急連絡を入れてくる。

(やばい、囲まれました!)

 アンズさんが指示を飛ばす。

(その場所ならあたしが援軍にいけるから、それまで持ちこたえて!)
(無理ですよ、火力が違いすぎる!)

 こんな忙しい最中だってのに、ワラビーさんがのんきな声で連絡してくる。

(みんな~! うちの部隊が☆を壊したよ あと2つ!)

 それを証明するがごとく、ゲーム・システムが(1階の☆が破壊されました)と告げる。
 ポールが(おめでとうございます!)と絶叫する、完全にパニクってるな……。

 さすがに今の絶叫で事態の異常さに気づいたらしく、ワラビーさんが言う。

(ポールくん、どうしたの?)
(交戦中です!)
(マジ? オッケー、助けにいくね!)
(はい!)

 通路の角に身を隠すように立ち、マサキングがぼやく。

(やっぱ戦い慣れてないとこうなるよなぁ……)
(言うなよ。今さらだろ)
(あぁ……)
(ポールは負けるだろうが、みんなと合流すりゃ大丈夫だ。それより自分たちの心配をしようぜ)

 俺はステルスを起動しようとする。(ジャミング中です)。マジかよ。舌打ちしてマサキングを見る。

(なぁ、どうしてこんなところでステルス・ジャミングが行われてるんだろうな?)
(誰かがこの先にいるからに決まってんだろ)

 マサキングは全身に着けた武器を確認し始める。そして俺に同じことを促してくる。

(お前も準備しろよ。これから突っこんで、蹴散らすぞ……!)
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