46 / 227
第2章 2084年
第43話 弱い連中を見殺しにすることが必要 She finally wised up
しおりを挟む
熊里は話を続ける。
「こんな時代、俺だって最低と思ってるさ。でもどうしようもないだろ? テロリストたちは革命を叫ぶけど、いくら努力したって何も変わらない……。
革命よりも大事なのは、お行儀よく生きることだ。黙ってLMの言うことに従い、会社の命令に従い、せっせと働いて真面目に暮らす。それで充分だろ?
さいわい給料はたくさんもらえるんだ。嫌なことがあれば、その金で遊んで気をまぎらわせろ」
「でも、それじゃあ私たちは救われても、他の人たちは救われない。あの汚染水を飲んでる人たちは救われない!
私はそんなの嫌です。目の前に大問題が転がってるのに見て見ぬふりなんて、私には出来ません!」
「はぁ……。そうか……」
どうしたら若海の向こう見ずをやめさせられるだろう? 熊里は別角度から攻めてみることにする。
「なぁ若海、よく聞いてくれ。LMに殺されるって、まだマシなエンディングなんだよ。
ほんとに怖いのは、仕事をクビになって下民階級に落とされることだ。
もし落ちたら地獄だぞ。あぁいう汚い水を飲み、同じくらいに汚い空気を吸い、少しずつ体を壊していく。
重い病気にかかって苦しみながら生きるのは嫌だろ? でも、今の状態で真面目に働いてれば、そんなのと無縁でいられる。
よく考えろ。お前がやろうとしてることは、そこまで大きなリスクを背負ってまですることか?」
「……(無言)」
「若海。都会で暮らしてこうと思ったら、弱い連中を見殺しにすることが必要なんだよ。
だから諦めろ。見て見ぬふりで生きていけ。騒いだって何も変わらないし、解決しないんだ……」
熊里は言いながら情けなくなる。臆病な自分に軽蔑を感じる。
しかし、会社やLMと戦うなんて無理なのだ。殺されたくない、下の階級に落とされたくない。そういう恐怖が熊里を支配している。
人間だれだって我が身が可愛い、だったら、我が身を優先して何の問題がある? どうか若海にそれを分かって欲しい。
そんな熊里の願いが伝わったのだろうか。若海は、冷たい視線を熊里に向け、小さく静かに言う。
「はい。……わかりました」
「そうか。ありがとう」
微笑み、熊里は安心する。そうだ。それでいい。下民なんて捨て置けばいい。
二人のチャットはこうして終わった。
「こんな時代、俺だって最低と思ってるさ。でもどうしようもないだろ? テロリストたちは革命を叫ぶけど、いくら努力したって何も変わらない……。
革命よりも大事なのは、お行儀よく生きることだ。黙ってLMの言うことに従い、会社の命令に従い、せっせと働いて真面目に暮らす。それで充分だろ?
さいわい給料はたくさんもらえるんだ。嫌なことがあれば、その金で遊んで気をまぎらわせろ」
「でも、それじゃあ私たちは救われても、他の人たちは救われない。あの汚染水を飲んでる人たちは救われない!
私はそんなの嫌です。目の前に大問題が転がってるのに見て見ぬふりなんて、私には出来ません!」
「はぁ……。そうか……」
どうしたら若海の向こう見ずをやめさせられるだろう? 熊里は別角度から攻めてみることにする。
「なぁ若海、よく聞いてくれ。LMに殺されるって、まだマシなエンディングなんだよ。
ほんとに怖いのは、仕事をクビになって下民階級に落とされることだ。
もし落ちたら地獄だぞ。あぁいう汚い水を飲み、同じくらいに汚い空気を吸い、少しずつ体を壊していく。
重い病気にかかって苦しみながら生きるのは嫌だろ? でも、今の状態で真面目に働いてれば、そんなのと無縁でいられる。
よく考えろ。お前がやろうとしてることは、そこまで大きなリスクを背負ってまですることか?」
「……(無言)」
「若海。都会で暮らしてこうと思ったら、弱い連中を見殺しにすることが必要なんだよ。
だから諦めろ。見て見ぬふりで生きていけ。騒いだって何も変わらないし、解決しないんだ……」
熊里は言いながら情けなくなる。臆病な自分に軽蔑を感じる。
しかし、会社やLMと戦うなんて無理なのだ。殺されたくない、下の階級に落とされたくない。そういう恐怖が熊里を支配している。
人間だれだって我が身が可愛い、だったら、我が身を優先して何の問題がある? どうか若海にそれを分かって欲しい。
そんな熊里の願いが伝わったのだろうか。若海は、冷たい視線を熊里に向け、小さく静かに言う。
「はい。……わかりました」
「そうか。ありがとう」
微笑み、熊里は安心する。そうだ。それでいい。下民なんて捨て置けばいい。
二人のチャットはこうして終わった。
0
あなたにおすすめの小説
貧乏冒険者で底辺配信者の生きる希望もないおっさんバズる~庭のFランク(実際はSSSランク)ダンジョンで活動すること15年、最強になりました~
喰寝丸太
ファンタジー
おっさんは経済的に、そして冒険者としても底辺だった。
庭にダンジョンができたが最初のザコがスライムということでFランクダンジョン認定された。
そして18年。
おっさんの実力が白日の下に。
FランクダンジョンはSSSランクだった。
最初のザコ敵はアイアンスライム。
特徴は大量の経験値を持っていて硬い、そして逃げる。
追い詰められると不壊と言われるダンジョンの壁すら溶かす酸を出す。
そんなダンジョンでの15年の月日はおっさんを最強にさせた。
世間から隠されていた最強の化け物がいま世に出る。
余命半年のはずが?異世界生活始めます
ゆぃ♫
ファンタジー
静波杏花、本日病院で健康診断の結果を聞きに行き半年の余命と判明…
不運が重なり、途方に暮れていると…
確認はしていますが、拙い文章で誤字脱字もありますが読んでいただけると嬉しいです。
白衣の下 第一章 悪魔的破天荒な医者と超真面目な女子大生の愛情物語り。先生無茶振りはやめてください‼️
高野マキ
ライト文芸
弟の主治医と女子大生の甘くて切ない愛情物語り。こんなに溺愛する相手にめぐり会う事は二度と無い。
魔女ハンナと従士クレイ
朝パン昼ごはん
ファンタジー
魔女とは魔法を総べる者である。
従士とはそれを支える者である。
ハンナが魔女となって村を出ることを知ったクレイは、従士となって旅についていくことを決める。
少年と少女の二人旅。
それは怪異と隣り合わせの旅だった。
これは剣と魔法と、ちょっと不思議なファンタジー。
カクヨムで投稿した物の転載となります。
こちらは不定期となります。
最遅で最強のレベルアップ~経験値1000分の1の大器晩成型探索者は勤続10年目10度目のレベルアップで覚醒しました!~
ある中管理職
ファンタジー
勤続10年目10度目のレベルアップ。
人よりも貰える経験値が極端に少なく、年に1回程度しかレベルアップしない32歳の主人公宮下要は10年掛かりようやくレベル10に到達した。
すると、ハズレスキル【大器晩成】が覚醒。
なんと1回のレベルアップのステータス上昇が通常の1000倍に。
チートスキル【ステータス上昇1000】を得た宮下はこれをきっかけに、今まで出会う事すら想像してこなかったモンスターを討伐。
探索者としての知名度や地位を一気に上げ、勤めていた店は討伐したレアモンスターの肉と素材の販売で大繁盛。
万年Fランクの【永遠の新米おじさん】と言われた宮下の成り上がり劇が今幕を開ける。
クラス最底辺の俺、ステータス成長で資産も身長も筋力も伸びて逆転無双
四郎
ファンタジー
クラスで最底辺――。
「笑いもの」として過ごしてきた佐久間陽斗の人生は、ただの屈辱の連続だった。
教室では見下され、存在するだけで嘲笑の対象。
友達もなく、未来への希望もない。
そんな彼が、ある日を境にすべてを変えていく。
突如として芽生えた“成長システム”。
努力を積み重ねるたびに、陽斗のステータスは確実に伸びていく。
筋力、耐久、知力、魅力――そして、普通ならあり得ない「資産」までも。
昨日まで最底辺だったはずの少年が、今日には同級生を超え、やがて街でさえ無視できない存在へと変貌していく。
「なんであいつが……?」
「昨日まで笑いものだったはずだろ!」
周囲の態度は一変し、軽蔑から驚愕へ、やがて羨望と畏怖へ。
陽斗は努力と成長で、己の居場所を切り拓き、誰も予想できなかった逆転劇を現実にしていく。
だが、これはただのサクセスストーリーではない。
嫉妬、裏切り、友情、そして恋愛――。
陽斗の成長は、同級生や教師たちの思惑をも巻き込み、やがて学校という小さな舞台を飛び越え、社会そのものに波紋を広げていく。
「笑われ続けた俺が、全てを変える番だ。」
かつて底辺だった少年が掴むのは、力か、富か、それとも――。
最底辺から始まる、資産も未来も手にする逆転無双ストーリー。
物語は、まだ始まったばかりだ。
少しの間、家から追い出されたら芸能界デビューしてハーレム作ってました。コスプレのせいで。
昼寝部
キャラ文芸
俺、日向真白は義妹と幼馴染の策略により、10月31日のハロウィンの日にコスプレをすることとなった。
その日、コスプレの格好をしたまま少しの間、家を追い出された俺は、仕方なく街を歩いていると読者モデルの出版社で働く人に声をかけられる。
とても困っているようだったので、俺の写真を一枚だけ『読者モデル』に掲載することを了承する。
まさか、その写真がキッカケで芸能界デビューすることになるとは思いもせず……。
これは真白が芸能活動をしながら、義妹や幼馴染、アイドル、女優etcからモテモテとなり、全国の女性たちを魅了するだけのお話し。
【運命鑑定】で拾った訳あり美少女たち、SSS級に覚醒させたら俺への好感度がカンスト!? ~追放軍師、最強パーティ(全員嫁候補)と甘々ライフ~
月城 友麻
ファンタジー
『お前みたいな無能、最初から要らなかった』
恋人に裏切られ、仲間に陥れられ、家族に見捨てられた。
戦闘力ゼロの鑑定士レオンは、ある日全てを失った――――。
だが、絶望の底で覚醒したのは――未来が視える神スキル【運命鑑定】
導かれるまま向かった路地裏で出会ったのは、世界に見捨てられた四人の少女たち。
「……あんたも、どうせ私を利用するんでしょ」
「誰も本当の私なんて見てくれない」
「私の力は……人を傷つけるだけ」
「ボクは、誰かの『商品』なんかじゃない」
傷だらけで、誰にも才能を認められず、絶望していた彼女たち。
しかしレオンの【運命鑑定】は見抜いていた。
――彼女たちの潜在能力は、全員SSS級。
「君たちを、大陸最強にプロデュースする」
「「「「……はぁ!?」」」」
落ちこぼれ軍師と、訳あり美少女たちの逆転劇が始まる。
俺を捨てた奴らが土下座してきても――もう遅い。
◆爽快ざまぁ×美少女育成×成り上がりファンタジー、ここに開幕!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる