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第9章 この社会を革命するために 前編
第150話 真実を守るための方法 Virtual immortality
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柳さんはこう言った。
「まずはこの間の新宿区役所への爆弾テロについて、報告をお願いします」
倉間さんがうなずき、語り始める。
「結論としては作戦成功と思います。我々の確認によれば、死者は30人、負傷者は100人近く。予想を上回る成果です」
もし話半分に受け取るとしても死者15人だ。政府発表の10人よりずっと多い。このこと一つとってみても、権力者がいかに情報をねじ曲げているかよくわかる。
俺のそばにいる男性メンバーが倉間さんにたずねた。
「犯行声明についてはどうですか?」
「予定通りに実行し、予定通りの結果になった、そう思います。どこのマス・メディアも我々の主張をそのまま報道していますよ。こんなふうに。
”先日に行われた死者3人のデモにおいて、政府は「デモ隊が先制攻撃を行った」と発表し、警官の武力行使は身を守るためのやむを得ない措置だったと述べた。
しかし、これはねつ造された映像記録に基づく誤った主張だ。我ら反LM武装戦線は本物の記録を入手し、事実を確かめた。
それによれば、先制攻撃はむしろ警官が仕掛けたのである。武装戦線はこのような歪曲を認めない、事実はありのままに報道されなければならないと考えるからだ。
よって、まずはこの映像をインターネットに投稿し、公開する。これを見れば何が本当であるかがただちに理解できるだろう。
また、このようなエゴイスティックな改ざんを実行した政府に対しては制裁を加える。そのためにこの爆弾テロを行った”
だいたいこんなところです」
その男性は更なる質問をする。
「しかし倉間さん、LMはこう言ってますよ。武装戦線の言うことは嘘っぱちであり、ネットに出回っている映像は、武装戦線が都合よく編集したものである、と」
「それはいつものことじゃないですか。なにせ情報戦ですからね、罵倒合戦にもなりますよ。
いいですか、大切なことが二つあります。一つは、我々が手に入れた映像記録は間違いなく本物であるということです。
我々はデモの参加者たちの証言を集め、それと映像を照らし合わせて事実関係を確認した。それについては前に説明しましたよね?」
男性は「はい」とうなずく。倉間さんは真剣な面持ちで続ける。
「我々の映像はどこからどう見ても本物です。そして、本物と偽物が戦ったなら、最後に勝つのは必ず本物ですよ。
だからもう少し時間が経てば、我々とLMのどちらが嘘つきであるか、国民の誰もがきちんと理解するでしょう。
そして二つ目ですが、インターネットが持つ特性、コピーによるイモータリティ(immortality)をどうか思い出してください」
「イモータリティ……?」
「日本語で表現するなら不死性、あるいは永遠の命です。そうですね、もう少し詳しく説明したほうがいいでしょう。
インターネットに投稿されたデータは誰もが簡単にコピーできる。だからもし元のデータが消されても、誰かがコピーを投稿すればまた閲覧可能になる。
今回も同じ事で、我々のデータはとっくに世界中の人々がコピーして保存しました。
情報局がどれだけ必死に動画サイトから削除しても、次々にコピーが投稿されていく。つまり完全削除はもはや不可能というわけです」
「なるほど……」
「現代の高度な情報化社会においては、ネットにデータを投稿した時点で勝負が決まる。もちろん投稿した人の勝ちです。
こういったわけですから、混乱が収まるまではいろいろトラブルも起きますが、いずれは良い結果に落ち着きます。それを信じてください」
「はい」
実際、倉間さんの言う通りだ。ネットにばら撒かれて何度もコピーされたデータは決して消えない。
しかも俺たちのデータは国内だけでなく外国の人たちにも閲覧される。そのうち国際的な規模で改ざんへの批難が巻き起こるだろう。さすがのLMも打つ手なしだ。
こういった外圧が少しずつLMを弱らせ、崩壊へと追いこむ。だが俺たち攻撃はこれで終わりじゃない、まだまだ続くんだ。それについて今度は柳さんが説明する。
「新宿テロについてはひとまずこれで良しとしましょう。では次、豪月円太の暗殺計画について。担当の方は進捗状況の報告をお願いします」
俺は心身が軽く緊張するのを感じる。ツバを軽くごくりと飲み、可能な限り気を落ち着けて話していく。
「暗殺方法については以前に説明した通りです。奴が海沿いの道をドライブする時、大型トラックを突っこませてぶつけ、そのまま崖の下へ叩き落とす。
トラックは遠隔操作で動かす予定ですから、我々に死人が出る心配はありません。また、念には念を入れ、トラックには爆弾を搭載します。
ターゲットがもし衝突で死ななかったとしても、とどめとして大爆発が起きる。間違いなく死にます」
二段構えの必殺の作戦だ。これで生き残れる奴は世界のどこにも存在しない。間違いないぜ。
「まずはこの間の新宿区役所への爆弾テロについて、報告をお願いします」
倉間さんがうなずき、語り始める。
「結論としては作戦成功と思います。我々の確認によれば、死者は30人、負傷者は100人近く。予想を上回る成果です」
もし話半分に受け取るとしても死者15人だ。政府発表の10人よりずっと多い。このこと一つとってみても、権力者がいかに情報をねじ曲げているかよくわかる。
俺のそばにいる男性メンバーが倉間さんにたずねた。
「犯行声明についてはどうですか?」
「予定通りに実行し、予定通りの結果になった、そう思います。どこのマス・メディアも我々の主張をそのまま報道していますよ。こんなふうに。
”先日に行われた死者3人のデモにおいて、政府は「デモ隊が先制攻撃を行った」と発表し、警官の武力行使は身を守るためのやむを得ない措置だったと述べた。
しかし、これはねつ造された映像記録に基づく誤った主張だ。我ら反LM武装戦線は本物の記録を入手し、事実を確かめた。
それによれば、先制攻撃はむしろ警官が仕掛けたのである。武装戦線はこのような歪曲を認めない、事実はありのままに報道されなければならないと考えるからだ。
よって、まずはこの映像をインターネットに投稿し、公開する。これを見れば何が本当であるかがただちに理解できるだろう。
また、このようなエゴイスティックな改ざんを実行した政府に対しては制裁を加える。そのためにこの爆弾テロを行った”
だいたいこんなところです」
その男性は更なる質問をする。
「しかし倉間さん、LMはこう言ってますよ。武装戦線の言うことは嘘っぱちであり、ネットに出回っている映像は、武装戦線が都合よく編集したものである、と」
「それはいつものことじゃないですか。なにせ情報戦ですからね、罵倒合戦にもなりますよ。
いいですか、大切なことが二つあります。一つは、我々が手に入れた映像記録は間違いなく本物であるということです。
我々はデモの参加者たちの証言を集め、それと映像を照らし合わせて事実関係を確認した。それについては前に説明しましたよね?」
男性は「はい」とうなずく。倉間さんは真剣な面持ちで続ける。
「我々の映像はどこからどう見ても本物です。そして、本物と偽物が戦ったなら、最後に勝つのは必ず本物ですよ。
だからもう少し時間が経てば、我々とLMのどちらが嘘つきであるか、国民の誰もがきちんと理解するでしょう。
そして二つ目ですが、インターネットが持つ特性、コピーによるイモータリティ(immortality)をどうか思い出してください」
「イモータリティ……?」
「日本語で表現するなら不死性、あるいは永遠の命です。そうですね、もう少し詳しく説明したほうがいいでしょう。
インターネットに投稿されたデータは誰もが簡単にコピーできる。だからもし元のデータが消されても、誰かがコピーを投稿すればまた閲覧可能になる。
今回も同じ事で、我々のデータはとっくに世界中の人々がコピーして保存しました。
情報局がどれだけ必死に動画サイトから削除しても、次々にコピーが投稿されていく。つまり完全削除はもはや不可能というわけです」
「なるほど……」
「現代の高度な情報化社会においては、ネットにデータを投稿した時点で勝負が決まる。もちろん投稿した人の勝ちです。
こういったわけですから、混乱が収まるまではいろいろトラブルも起きますが、いずれは良い結果に落ち着きます。それを信じてください」
「はい」
実際、倉間さんの言う通りだ。ネットにばら撒かれて何度もコピーされたデータは決して消えない。
しかも俺たちのデータは国内だけでなく外国の人たちにも閲覧される。そのうち国際的な規模で改ざんへの批難が巻き起こるだろう。さすがのLMも打つ手なしだ。
こういった外圧が少しずつLMを弱らせ、崩壊へと追いこむ。だが俺たち攻撃はこれで終わりじゃない、まだまだ続くんだ。それについて今度は柳さんが説明する。
「新宿テロについてはひとまずこれで良しとしましょう。では次、豪月円太の暗殺計画について。担当の方は進捗状況の報告をお願いします」
俺は心身が軽く緊張するのを感じる。ツバを軽くごくりと飲み、可能な限り気を落ち着けて話していく。
「暗殺方法については以前に説明した通りです。奴が海沿いの道をドライブする時、大型トラックを突っこませてぶつけ、そのまま崖の下へ叩き落とす。
トラックは遠隔操作で動かす予定ですから、我々に死人が出る心配はありません。また、念には念を入れ、トラックには爆弾を搭載します。
ターゲットがもし衝突で死ななかったとしても、とどめとして大爆発が起きる。間違いなく死にます」
二段構えの必殺の作戦だ。これで生き残れる奴は世界のどこにも存在しない。間違いないぜ。
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