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第12章 すべてを変える時
第188話 時間の無駄使い Arrogant animals
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《スエナの視点》
さっきからぜんぜんボクの発言チャンスないじゃん! アカネやパティが喋ってばっか!
ボクが総大将なんだから、それにふさわしい扱いをして欲しいね。とにかく何か言おう、目立たないと存在を忘れられちゃう!
「ボクも質問したいんだけどさ、アカネさん。スケルトンは誰が使うの?」
これは実に重要な問題だよね。だって格上の敵を一方的に倒せる兵器って、それこそスケルトンぐらいだもん。
キミが知っての通り、連合軍の中でいちばん弱いのはうちだからね……。少しでも戦闘力を補うには、やっぱスケルトンが必要だ。
アカネさんが答える。
「私としては、パティさんかスエナさん、どちらかの部隊にお任せしたいですが」
「じゃあボクのとこで使わせて。そうしなきゃとても勝てないもん。パティさんもそう思うでしょ?」
「戦力的に厳しいのはわたしの部隊も同じです」
「けどさ……」
「そもそも、事前にもらった打ち合わせメールの内容によれは、ウサギ王国とエクレール、そして第4部隊の仕事は、敵の足止めとかく乱です。
敵を撃滅してベースへのゲートをこじ開けるのは、最も強いネメシスの仕事。だったらむしろネメシスが切り札としてスケルトンを使うべきでは?」
少しイラついた様子でアンドリューが言う。
「いや、うちは要らん。他の部隊が使ってくれ」
「ふぅん、あっさり譲ってくれるんですか?(疑心の眼)」
「そんな目で見るな。下心など無い」
「ならどうしてスケルトンを辞退するの?」
「うちは充分な戦力を持っている。だから譲る、それだけだ」
へー、なるほど。合理的。そう思っているとアップルが突っこみを入れる。
「でもそれ、結局はあなたにとっての利益でしょ。うちやエクレールがスケルトンを使えば、敵は驚いてそっちに意識がいく。つまり、かく乱になる。
あなたはその隙に総攻撃を仕掛け、楽にゲートを攻略する。だから辞退しておくってだけじゃないの?」
「もしそうだとして、悪いか?」
「あのねぇ……」
「(さえぎり、)まぁ聞け。もう一度言うが、ゲートを開けるのは我がネメシスの仕事だ。そのためにはこういうやり方も必要になる。
いろいろ不満があるのはわかるが、しかしな、1つでもゲートが開けば、敵はベース内部を守るために引っこむ。つまり連合軍の全部隊が突入できるようになる。
ネメシスが生み出す利益は全員の利益になるんだ。そう考えたら、ここは俺の言う通りにすべきと思わないか」
「理屈はわかるけどね、でも……」
せっかくアンドリューがいいこと言ったのに、こんな反論してたら議論は終わらない! ボクはアップルを止めにかかる。
「まぁまぁ、落ち着こう。ボクらはネメシスのサポート役に過ぎないかもしれない、でもサポートは大事じゃん。
ここは一致団結して作戦を実行すべきだよ。だからボクはアンドリューに賛成する。ありがたくスケルトンを使わせてもらう、その力で見事にかく乱してみせる」
「スエナ……」
アップルは小さくため息して、静かに言う。
「あなたがそう考えるなら、じゃあ私も同じ意見にする」
「ホント!?」
「で、パティさん。このまま異論がないなら、スケルトンはうちが使わせてもらうけど……」
頑張れ、アップル。うまくパティさんを説得するんだ!
《アップルの視点》
私は「うちが使わせてもらうけど……」と言いながら、個人用チャットの回線を開き、パティに話しかける。
(これ以上ムダな交渉はやめませんか?)
(何が?)
(あなたほどの人ならもう気づいてるでしょ? ウサギ王国の貧弱な戦闘力じゃ、かく乱どころか足止めすら難しいって。
スケルトンがなかったらうちは最低限の働きすらできない、だから……)
(分かっていますよ)
そう言ってパティは回線を一方的に閉じ、全体用チャットに切り替え、澄ました顔で喋る。
「ならそれでいきましょう。スケルトンはウサギ王国が使う、その案にOKします。
考えてみれば、わたしのエクレールだってそこそこの戦力があります。スケルトン無しでもしっかり戦える。だったらウサギ王国に譲りますよ、えぇ」
こいつ、いけしゃあしゃあと……。アンドリューはもちろんムカつくが、この女もなかなかのレベルだ! クソッ!
ずっと昔にパティと喋った時、彼女はこんな印象じゃなかったのになぁ……。いったい何の事件がこの人をこんな性格に変えたんだろう?
私は呆然とパティを見る。彼女はニコリと微笑み、私に言う。
「では、これで話は決着ということでいいですね?」
「えっ、えぇ……」
「スエナさんは?」
「もちOK!」
「他に異論のある方は?」
誰も何も言わない。つまり、これで全員の同意が得られたということだ。それに気をよくしたのか、パティはちょっと勢いを強めて話す。
「じゃ、次の話に移りましょう。実際にどう戦うかということですが、確か打ち合わせメールによれば……」
会議はまだまだ続きそうだ。私は(やれやれ……)と嘆き、精神的な疲れを強く感じ、もうこの場から消えてしまおうかと思う。
いっそ、それでいいかもしれない。大事なことは後でスエナから聞けば十分だ、そうだそうしよう。ログ・アウトしよう。
私は退席のための適当な言い訳を考え始める。スエナ、悪いけど後はよろしく。少なくとも私にとっては、会議はもう終了だ。
さっきからぜんぜんボクの発言チャンスないじゃん! アカネやパティが喋ってばっか!
ボクが総大将なんだから、それにふさわしい扱いをして欲しいね。とにかく何か言おう、目立たないと存在を忘れられちゃう!
「ボクも質問したいんだけどさ、アカネさん。スケルトンは誰が使うの?」
これは実に重要な問題だよね。だって格上の敵を一方的に倒せる兵器って、それこそスケルトンぐらいだもん。
キミが知っての通り、連合軍の中でいちばん弱いのはうちだからね……。少しでも戦闘力を補うには、やっぱスケルトンが必要だ。
アカネさんが答える。
「私としては、パティさんかスエナさん、どちらかの部隊にお任せしたいですが」
「じゃあボクのとこで使わせて。そうしなきゃとても勝てないもん。パティさんもそう思うでしょ?」
「戦力的に厳しいのはわたしの部隊も同じです」
「けどさ……」
「そもそも、事前にもらった打ち合わせメールの内容によれは、ウサギ王国とエクレール、そして第4部隊の仕事は、敵の足止めとかく乱です。
敵を撃滅してベースへのゲートをこじ開けるのは、最も強いネメシスの仕事。だったらむしろネメシスが切り札としてスケルトンを使うべきでは?」
少しイラついた様子でアンドリューが言う。
「いや、うちは要らん。他の部隊が使ってくれ」
「ふぅん、あっさり譲ってくれるんですか?(疑心の眼)」
「そんな目で見るな。下心など無い」
「ならどうしてスケルトンを辞退するの?」
「うちは充分な戦力を持っている。だから譲る、それだけだ」
へー、なるほど。合理的。そう思っているとアップルが突っこみを入れる。
「でもそれ、結局はあなたにとっての利益でしょ。うちやエクレールがスケルトンを使えば、敵は驚いてそっちに意識がいく。つまり、かく乱になる。
あなたはその隙に総攻撃を仕掛け、楽にゲートを攻略する。だから辞退しておくってだけじゃないの?」
「もしそうだとして、悪いか?」
「あのねぇ……」
「(さえぎり、)まぁ聞け。もう一度言うが、ゲートを開けるのは我がネメシスの仕事だ。そのためにはこういうやり方も必要になる。
いろいろ不満があるのはわかるが、しかしな、1つでもゲートが開けば、敵はベース内部を守るために引っこむ。つまり連合軍の全部隊が突入できるようになる。
ネメシスが生み出す利益は全員の利益になるんだ。そう考えたら、ここは俺の言う通りにすべきと思わないか」
「理屈はわかるけどね、でも……」
せっかくアンドリューがいいこと言ったのに、こんな反論してたら議論は終わらない! ボクはアップルを止めにかかる。
「まぁまぁ、落ち着こう。ボクらはネメシスのサポート役に過ぎないかもしれない、でもサポートは大事じゃん。
ここは一致団結して作戦を実行すべきだよ。だからボクはアンドリューに賛成する。ありがたくスケルトンを使わせてもらう、その力で見事にかく乱してみせる」
「スエナ……」
アップルは小さくため息して、静かに言う。
「あなたがそう考えるなら、じゃあ私も同じ意見にする」
「ホント!?」
「で、パティさん。このまま異論がないなら、スケルトンはうちが使わせてもらうけど……」
頑張れ、アップル。うまくパティさんを説得するんだ!
《アップルの視点》
私は「うちが使わせてもらうけど……」と言いながら、個人用チャットの回線を開き、パティに話しかける。
(これ以上ムダな交渉はやめませんか?)
(何が?)
(あなたほどの人ならもう気づいてるでしょ? ウサギ王国の貧弱な戦闘力じゃ、かく乱どころか足止めすら難しいって。
スケルトンがなかったらうちは最低限の働きすらできない、だから……)
(分かっていますよ)
そう言ってパティは回線を一方的に閉じ、全体用チャットに切り替え、澄ました顔で喋る。
「ならそれでいきましょう。スケルトンはウサギ王国が使う、その案にOKします。
考えてみれば、わたしのエクレールだってそこそこの戦力があります。スケルトン無しでもしっかり戦える。だったらウサギ王国に譲りますよ、えぇ」
こいつ、いけしゃあしゃあと……。アンドリューはもちろんムカつくが、この女もなかなかのレベルだ! クソッ!
ずっと昔にパティと喋った時、彼女はこんな印象じゃなかったのになぁ……。いったい何の事件がこの人をこんな性格に変えたんだろう?
私は呆然とパティを見る。彼女はニコリと微笑み、私に言う。
「では、これで話は決着ということでいいですね?」
「えっ、えぇ……」
「スエナさんは?」
「もちOK!」
「他に異論のある方は?」
誰も何も言わない。つまり、これで全員の同意が得られたということだ。それに気をよくしたのか、パティはちょっと勢いを強めて話す。
「じゃ、次の話に移りましょう。実際にどう戦うかということですが、確か打ち合わせメールによれば……」
会議はまだまだ続きそうだ。私は(やれやれ……)と嘆き、精神的な疲れを強く感じ、もうこの場から消えてしまおうかと思う。
いっそ、それでいいかもしれない。大事なことは後でスエナから聞けば十分だ、そうだそうしよう。ログ・アウトしよう。
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※この小説は国家資格である『毒物劇物取扱責任者』を覚える為に考えた話なので、日本の法律や規約を世界観に採用していたりします。
参考文献
松井奈美子 一発合格! 毒物劇物取扱者試験テキスト&問題集
船山信次 史上最強カラー図解 毒の科学 毒と人間のかかわり
齋藤勝裕 毒の科学 身近にある毒から人間がつくりだした化学物質まで
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