仁義なきウノ! -Don't mess with me-

夏野かろ

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第2章 さぁ、やろう!

彼女の笑顔は毒リンゴ

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 俺の次の番、香。彼女は赤の3を捨てる。お次はゲンキ。彼は捨てない、山札から1枚引く。次、麻里先輩。ここで捨てるのは、もちろん、会長への妨害カードですよね?

「はい、赤のリバース」

 えっ……リバース? ってことは、順番が逆になる……。会長→麻里先輩→ゲンキ→香→俺→会長、こうなるよな? んん? 待てよ……。

(今までは、麻里先輩→会長の流れだったから、先輩が会長を妨害できた。でも今は、俺→会長の流れ。もし会長を妨害するなら、それは俺がやるしかない……!)

 先輩! 妨害役を俺に押しつけるなんて! おまけに、このリバースのせいで、俺のワイルドがお荷物になっちまった! 下手にこれを捨てると、会長の上がりを助けることになる……。このワイルドは慎重に捨てないとヤバい。俺は麻里先輩の顔を見る。彼女はニコニコと微笑っている。

(まさか、俺のワイルド引きを察知してのリバースなのか……?)

 俺は背筋が寒くなるのを感じ、思わず視線を自分の手札へと落とす。
 ゲームはどんどん進む、1巡、2巡、3巡……。そろそろ会長の上がりが近い、それなのに、ここにきて俺の手が進まない。どうにか残り3枚まで持ってくるのが精いっぱいだ。

(黄色の5、赤の7、ワイルド。Oh my...)

 ダメだ、ワイルド以外はとろくさいカードばっかりだ。ぼやぼやしてるうちに俺の番が来る、山札から引く、緑のリバース……これは捨てられない。しかたなく手札に加える。
 
 その次の巡、ゲンキがワイルドを捨てて、色を青に指定。回ってきた俺の番、捨てられそうなカードがない。もちろんワイルドを捨てることはできるが、この切り札はまだ温存したい。俺は山札から1枚引くことを選択、引いたのは赤の9、これは捨てられない。手札に加える。

(Shoot,  これで5枚……! もたもたしてる暇なんてないのに!)

 次に回ってきた俺の番、俺は苦し紛れにワイルドを捨てて赤を宣言、その次の番で赤の7を捨てる。
 さらに順番が回り、また俺の番になる。場札の色は緑。俺は緑のリバースを捨てる。これで、会長→俺→香→ゲンキ→麻里先輩→会長の順番に戻ったわけだ。

 これで俺の手札は残り2枚。内訳は、黄色の5と赤の9。会長も残り2枚だが、他の連中はみんな、4枚か5枚という感じ。いけるいける、勝てる流れ!
 次の番は香、「うーん」と言いながら緑のスキップを捨てる。ゲンキの番が飛ばされて麻里先輩の番になる。(どうする、先輩?)。先輩は少し渋い顔になる、「ふぅ、駄目だな……」、そう言って山札から1枚引く。次はフラニー会長の番、彼女は緑の2を捨てて宣言する。

「ウノ!」

 次、俺の番。Dash it!  捨てられる札がない! 俺は山札から1枚引く。引いてきたのは赤のスキップ。次、香が緑の5を捨てる。ゲンキ、緑の3を捨てる。お次の麻里先輩、山札から1枚を引いて捨てる、緑の9。
 ついに会長の番がやって来た!(ここで会長が捨てれば会長の勝ち、捨てられなければ、俺は赤の9を捨ててウノを宣言!)。会長、頼む、捨てないでくれ!
 だが、現実は冷酷だ。会長はあっさりと緑の1を捨てる。そして言う。

「よーし、上がりっ!」

 Gimme a break,  勘弁してくれよ……。俺は思わずため息をもらす。香が言う。

「会長、ずるいですよ! ルールを知ってるからって、一人で突っ走って!」
「香ちゃん、勝負は情け無用なのよ。だいたい、こんなのいつものことでしょ」
「ぶぅ……」
「ほら、みんな! まだ完全に勝負は終わってない、手札の計算をしなくちゃ!」

 俺たちは手札の点を数え始める。俺は黄色の5と赤の9で合計14点。
 手短に他の連中の点数を言おう。香、79点。ゲンキ、77点。麻里先輩、10点。会長はそれらをホワイト・ボードに書きこみながら言う。

「説明した通り、全員の点数を合計したものが上がった人の点数になる。えぇと、今回は……(スマホを取り出して計算)180点ね」

 会長はホワイト・ボードの左側に「第1ラウンド Win:フラニー」と書く。ボードの右側には各人の名前を一つずつ書き、自分の名前の下に「180点」と書く。彼女は言う。

「まぁざっとこんな感じ。こうやって遊んでいって、誰かが500点になれば終わり」

 俺は考える。

(ラウンド1回で今みたいな点数……180前後が発生するなら、誰かが3回上がった時点で500越え、ゲーム終了だ。もうこれ以上、会長に上がらせちゃ駄目だ。次のラウンドからは、俺も含めて全員が会長を妨害しないと……!)



 勝負は情け無用なんだろ、フラニー会長? なら、覚悟してもらうぜ!
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