仁義なきウノ! -Don't mess with me-

夏野かろ

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第2章 さぁ、やろう!

迷走の第2ラウンド

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 第2ラウンドが始まって10分、少しずつ場が煮詰まってきた。全員のそれぞれの手札は、3~5枚というところ。俺は3枚、赤の2、赤の3、緑の2だ。
 遊んでいて俺は思ったが、今回は多分、手札を同色に染める作戦が有利だ。なぜなら、ウノは場の色を変えるのが難しいゲームだからだ。色を変えるにはいくつかの方法があるが、数字を合わせてカードを捨て、色を変えるってのはやりにくい。そうそう都合よく、場札の数字と合う数字札なんか持っているわけないからだ。
 他にはワイルドやワイルド・ドロー4があるが、今回のルールは点数制ってことを忘れちゃいけない。ワイルドやワイルド・ドロ-4は、誰かに上がられると50点、爆弾のような危険物。よって、序盤に捨てられる可能性が高い。

(ということは……)

 終盤、ワイルド等が誰かの手札に残っている可能性は低い。従って、終盤は色が変わりにくい。なら、序盤に手札の色を同色に揃え、終盤、自分に有利な色がきたところでガンガン捨てて一気に上がる。おそらくこの作戦が強い。

(問題は、これに気づいてる奴がどれだけいるかだ……)

 俺はさりげなく全員の様子を観察し、推理する。ゲームの実力から見て、会長と麻里先輩は気づいてるだろう。香はおそらく気づいていない、麻里先輩の言ったことを実行しているだけだ。その証拠に、香は場の色が何になってもあっさり手札を捨てている。

(もし手札の色がそろっていれば、必然的に、手札から何かの色札が消える。赤で揃える作戦なら、緑、青、黄色、これらは数が少ないはずだ。それなのに、場札がどんな色でも捨ててるって、つまり……揃えてないんだ。揃えてないから、手札の色がバラバラ。よって、場の色が何になろうと捨てていける)

 次に、俺はゲンキについて考える。しかし、どうもわからない。俺の席から少し遠いということもあり、注意を払うのをサボってしまった。推理するための情報、材料が足りない。まぁ、手札が4枚はあるみたいだし、すぐには上がれないはず。なら、放っておいても大丈夫だ。
 現在の場札は青の4。番は会長だ。残り手札3枚の会長はカードを捨てる。

「はい、青のリバース」

 これで会長は残り2枚。順番が反時計回りになり、会長→麻里先輩→ゲンキ→香→俺→会長となる。次番の麻里先輩、手札は残り3枚。彼女はカードを捨てる。

「青の5」
 
 これで先輩も残り2枚。会長と同じ枚数だ。次はゲンキ、山札から引いてそのまま捨てる、捨てられたのは青の9。その次の香、彼女は青の8を捨てる。俺の番、捨てられないので山札から1枚引く、引いてきたのは……ワイルド・ドロー4。思わず心中でうめく。

(うおっ、このタイミングで……!)

 どうする、捨てるか? しかし、今回は≪チャレンジ≫とかいうドロ4絡みの難しいルールがある。わけのわからんことをやるなんて、そんなリスクは冒せない。誰かがチャレンジをやるところを見て、具体的にどういう話の流れになるか、それを確認した後にドロ4を捨てたい。

(大体、会長はまだ「ウノ」を宣言していない、すぐに上がれるわけじゃない。なら、今は危険をさけてドロ4を手札にしまおう……)

 俺は何もせず、順番を会長へと譲る。
 次番の会長、手札から青の3を捨てる、「ウノ!」。Shoot,  マジかよ! 次の番の麻里先輩、手札から青の0を捨てる。「ウノ!」

 ウノ宣言者が2人! やばいやばい、何とかしないと……! 場が進んで番がゲンキに回る、彼は山札から引いて手札にしまう。香の番、山札から1枚引いてそのまま捨てる。捨てられたのはワイルド、香は色を指定する。

「う~ん、赤!」

 この局面で、よりによってワイルドか! Tough luck!  俺の番が来る、俺は頭を抱える。

(手札は赤の2、赤の3、緑の2、ワイルド・ドロー4)

 ここで何もせずに会長へ番を回すと、最悪、上がられる。その場合、このドロ4の50点は会長の点になる。もちろん他の連中の手札も加算されるんだから、会長は第1ラウンドの得点と合わせ、400前後の合計点に達するだろう。そんな事態、絶対に発生させちゃ駄目だ。

(ドロ4を捨てて上がりを邪魔するか……?)

 落ち着け……落ち着け、俺……。ルールをよーく思い出すんだ。

≪ワイルド・ドロー4は、場に出せる色のカードを持ってない時に限って使える≫

 このルールを別の角度から考えると、

≪場に出せる色のカードがある時、ドロ4は使えない≫

 ってことだ。今の俺は赤のカードを出せる。もしドロ4を使ったらルール違反だ。

(しかし、ルール違反とばれなければ、会長に4枚引かせて大ダメージ……)

 このドロ4を引いてきた時、場札は青の8だった。あの時はドロ4以外に出せるカードがなかった、だから、使ってもルール違反じゃなかった。こいつはあの時に使うべきだったんだ。ちっ、しくじった。

(えぇい、終わったことはどうにもならん! とにかく打開策だ!)

 俺は頭を冷やしながら必死に考える。

(ルール違反を承知でドロ4を使うか、それとも、会長が次で上がれないことに期待して、普通にプレイするか……?)



 ここが正念場だ!
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