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第2章 さぁ、やろう!
リターンとリスク
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ドロ4を出して上がり。そんなの許されるのか? 俺と同じことをゲンキも考えたらしい。彼はさっそく麻里先輩に食ってかかる。
「そんなのずるいですよ! ドロ4で上がるって、ルール違反じゃないですか!」
「別にそんなことないでしょ。ねぇ、フラニー。ルール説明の時、記号札で上がっちゃダメなんて話、あったかな?」
「いや、ないよ」
「ほらね。これは私の勘だけど、記号札で上がっちゃダメって、たぶん日本だけのものなのよ。昔、そんな話を聞いたことがあってね。そうでしょ、フラニー?」
「その通り。記号札で上がってもいい、それが本来のルール」
ゲンキ、今度は会長に不満をぶつける。
「姉さん! こんな大事なこと、なんで言わなかったの?」
「いやぁ~、ははは……。つい忘れちゃって……」
「それ、ホント? わざと言わなかったんじゃないの?」
「ちょ、そんなことあるわけないでしょ! ゲンキ、お姉ちゃんを疑うワケ!?」
「うん(即答)」
「ふ~ん、そう……。なら、あんたから借りた漫画、中古屋に売っちゃおうかな」
「あっ、ひどい!」
「終わったことはもういいでしょ! はい、わかったら、さっさと4枚引く!」
「えぇ!? なんでだよ!」
「ドロ4やドロ2で上がった場合、カードを引く効果はきちんと発揮される。麻里の次はあんたの番、つまり、あんたが4枚引く番でしょ」
「そんな……」
「ほらほら、早くしなさい!」
ゲンキ、不満そうな顔をしながらカードを引く。それが終わった後、点数計算の時間になった。
(えぇと、俺の点数は……。合計79点か)
無茶してドロ4使ったせいで、数字札のみの7点だったのが、79点までふくらんじまった。By gum, もっと慎重にやるべきだった……。ドロ4を使わなければ、数字札の7点、プラス、ドロ4の50で計57点。これだけで済んでいたんだ。まったく、自分のヘボさにため息出るぜ。
俺はゲンキに声をかける。
「おい、そっちはいくつだ?」
「62……」
彼は手札を俺に見せる。数字札に混じって、スキップ2枚とリバース1枚が見える。こんなカードを終盤まで持っておくわけがないから、きっとこれ、先輩のドロ4で引いちまったんだな。
(やれやれ……)
俺とゲンキの点数を合わせると、合計で141。これに香と会長の点が加わるわけだから、先輩の獲得点はかなりのものになるだろう。おいおい、こんなんで大丈夫なのか? まったく、第2ラウンドが終わったばかりなのに、嫌な雰囲気だぜ。
その時、点数計算を終えた香が発言した。
「会長、私は25点です」
「了解」
「会長は?」
「3点よ……」
会長はホワイト・ボードの前へ行き、点数を書きこむ。麻里先輩、計169点。ずいぶん派手に稼いだもんだ。
(それにしても……)
なぜ先輩は、最後にドロ4を出したんだろう? 俺は先輩に質問する。
「あの、先輩」
「ん、なぁに?」
「どうして最後にドロ4を?」
「どういうことかな?」
「あんな危険なカード、最後まで持ってる意味がない。誰だってさっさと捨てる。それなのにあそこで出てきたって、何かの作戦だったんですか?」
「まぁね」
「つまり……」
「あのドロ4、実はね、最初の手札にあったんだ。それで考えたわけ。”これを最後に使えば、絶対に上がれる”って」
「そりゃ、ドロ4なら上がれますよ。場の色が何色でも出せるんですから」
「虎くんが言いたいことはわかるよ。もし上がれなくて、作戦が失敗して、逆に誰かに上がられたらそれまで。50点もの点数を与えてしまう」
「なら、なんで……」
「虎くん。リターンが欲しかったら、リスクを背負うしかないのよ。私は、ドロ4を抱え込むというリスクを背負って、上がりを楽にするっていうリターンを手に入れた。いえ、それだけじゃなく、上がった時に4枚引かせて自分の点数を増やす、そういうリターンも手に入れた」
「博打じゃないですか、そんなの」
「その通り、博打よ。けど、勝とうと思ったらこれくらいしなくちゃね」
先輩はそう言って、にこり、と笑う。その笑顔は俺から毒気を抜き去る。
先輩の彼氏になる人は、きっと苦労するだろうなぁ……。
「そんなのずるいですよ! ドロ4で上がるって、ルール違反じゃないですか!」
「別にそんなことないでしょ。ねぇ、フラニー。ルール説明の時、記号札で上がっちゃダメなんて話、あったかな?」
「いや、ないよ」
「ほらね。これは私の勘だけど、記号札で上がっちゃダメって、たぶん日本だけのものなのよ。昔、そんな話を聞いたことがあってね。そうでしょ、フラニー?」
「その通り。記号札で上がってもいい、それが本来のルール」
ゲンキ、今度は会長に不満をぶつける。
「姉さん! こんな大事なこと、なんで言わなかったの?」
「いやぁ~、ははは……。つい忘れちゃって……」
「それ、ホント? わざと言わなかったんじゃないの?」
「ちょ、そんなことあるわけないでしょ! ゲンキ、お姉ちゃんを疑うワケ!?」
「うん(即答)」
「ふ~ん、そう……。なら、あんたから借りた漫画、中古屋に売っちゃおうかな」
「あっ、ひどい!」
「終わったことはもういいでしょ! はい、わかったら、さっさと4枚引く!」
「えぇ!? なんでだよ!」
「ドロ4やドロ2で上がった場合、カードを引く効果はきちんと発揮される。麻里の次はあんたの番、つまり、あんたが4枚引く番でしょ」
「そんな……」
「ほらほら、早くしなさい!」
ゲンキ、不満そうな顔をしながらカードを引く。それが終わった後、点数計算の時間になった。
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俺はゲンキに声をかける。
「おい、そっちはいくつだ?」
「62……」
彼は手札を俺に見せる。数字札に混じって、スキップ2枚とリバース1枚が見える。こんなカードを終盤まで持っておくわけがないから、きっとこれ、先輩のドロ4で引いちまったんだな。
(やれやれ……)
俺とゲンキの点数を合わせると、合計で141。これに香と会長の点が加わるわけだから、先輩の獲得点はかなりのものになるだろう。おいおい、こんなんで大丈夫なのか? まったく、第2ラウンドが終わったばかりなのに、嫌な雰囲気だぜ。
その時、点数計算を終えた香が発言した。
「会長、私は25点です」
「了解」
「会長は?」
「3点よ……」
会長はホワイト・ボードの前へ行き、点数を書きこむ。麻里先輩、計169点。ずいぶん派手に稼いだもんだ。
(それにしても……)
なぜ先輩は、最後にドロ4を出したんだろう? 俺は先輩に質問する。
「あの、先輩」
「ん、なぁに?」
「どうして最後にドロ4を?」
「どういうことかな?」
「あんな危険なカード、最後まで持ってる意味がない。誰だってさっさと捨てる。それなのにあそこで出てきたって、何かの作戦だったんですか?」
「まぁね」
「つまり……」
「あのドロ4、実はね、最初の手札にあったんだ。それで考えたわけ。”これを最後に使えば、絶対に上がれる”って」
「そりゃ、ドロ4なら上がれますよ。場の色が何色でも出せるんですから」
「虎くんが言いたいことはわかるよ。もし上がれなくて、作戦が失敗して、逆に誰かに上がられたらそれまで。50点もの点数を与えてしまう」
「なら、なんで……」
「虎くん。リターンが欲しかったら、リスクを背負うしかないのよ。私は、ドロ4を抱え込むというリスクを背負って、上がりを楽にするっていうリターンを手に入れた。いえ、それだけじゃなく、上がった時に4枚引かせて自分の点数を増やす、そういうリターンも手に入れた」
「博打じゃないですか、そんなの」
「その通り、博打よ。けど、勝とうと思ったらこれくらいしなくちゃね」
先輩はそう言って、にこり、と笑う。その笑顔は俺から毒気を抜き去る。
先輩の彼氏になる人は、きっと苦労するだろうなぁ……。
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