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終章 決着!

最後のラウンド

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 それからも勝負は続き、たくさんの時間が流れていった。楽しい時間って、ホントすぐ終わるよね。それはこの場合も例外じゃなかったさ。
 その時の俺たちは、8ラウンドだか、10ラウンドだか、とにかくそのラウンドを戦っていた。時間は夕方、下校時刻が近いことを知らせるチャイムがピンポンパンと鳴る。会長が喋り出す。

「やれやれ、これじゃあ500点達成は無理かな。というわけで新ルール、このラウンドが終わった時に最下位だった人が罰ゲーム!」

 俺を含め全員がそのルールへ賛同する。まぁホント言うと、俺は反対したかったんだけどね。なぜって、点数がやばかったからさ。最下位だったんだ。会長473、麻里先輩458、ゲンキ381、香338、俺302。俺としたことが、香に後れをとるとは……。しかし、その点差は36。まだ逆転が狙えるレベルだ。よし、じゃあ次は手札の状況を整理してみよう。
 俺、手札2枚、緑の1と青の3。香、手札2枚。ゲンキ4枚に麻里先輩3枚、会長4枚。俺と香以外は手札の処理が遅く、ドロ2がぽんぽん出て妨害されたり、どうにも具合が良くなかった。そのドタバタに乗じて俺はどんどん捨て、この残2枚の態勢まで持ってきた。
 俺はテーブルの上の場札を見つめる。赤の5。ちっ、手札に赤なんてない、ツイてないぜ。番は会長、彼女はカードを捨てる。

「はい、赤の4」

 何も出せない俺は仕方なく山札から引く、黄色の8。駄目だ、これは捨てられない、手札にしまうしかない。えぇい、もたもたしてる暇なんてないのに、なんでこんなトロくさいカードを引いてしまうかな? 俺がそんなこと内心で愚痴ってる間にも番が進む、香の番、彼女はとんでもないものを捨てる。

「えへへ……ワイルド! 色は黄色、ウノ!」

 うわっ、この土壇場で! 俺は思わず言葉をもらしてしまう。

「お前、さてはそいつをため込んでたな? 最後、楽に上がるために!」
「さぁ、どーでしょうねー?」

 得意満面な笑顔を浮かべる香。Shoot,  見くびり過ぎた、ワイルドため込みなんて大胆な作戦をしてくるとは。えぇい、嘆いても始まらん、次はゲンキの番だ。奴は手札から出さない、1枚引いて捨てる。

「ふぅ、黄色の9」

 続いての麻里先輩、黄色のリバースを捨てる。「よしよし、これでお荷物とさよならね」。次番またもやゲンキ、山札から引いて捨てる。

「おっ、黄色のドロ2じゃん」

 香が文句を言う。

「ちょっとー、何それ!」
「いやごめん、でも出ちゃったものは仕方ないよ」

 出ちゃったものは仕方ないって、おならを出した時みたいなこと言うなよ。ともあれ、香は2枚を引く。これで奴の上がりは遠のいた、次は俺。俺は前番で引いた黄色の8を捨てる、次は会長。

「黄色の6だよ」

 会長の手札はこれで残り2枚、やべぇ、上がりそうな雰囲気になってきた。お次の麻里先輩、「ちぇっ……」なんて言いながら山札を引き、黄色の5を捨てる。続いてゲンキ、「青の5!」。さて、いよいよ香の番だ。

「う~ん……」

 何やら悩んでいる様子、ちらちらと俺の顔を見てくる。なんだ、何を考えてる?

「えぃっ、緑の5!」

 くっ、残り2枚まで持ってきたか! 続いては俺、緑の1を捨てて宣言、「ウノ!」。会長が苦笑いををする。

「こりゃ、意外と早く決着つきそうかな……。緑の7、ウノ」

 やべぇ、次かその次で勝負を決めないと上がられるかも……! 次の麻里先輩、「緑の2、ウノ」。Darn it,  さすがは先輩、最後まで食らいついてくる。お次のゲンキ、頼む、ここでさっきみたいにドロ2を……。

「なんだダメだな……」

 彼は山札から引いて捨てる、黄色の2。ここで妨害できないんかい、ダメなのはお前の方だよ……。そして、ついに香。彼女は自分の手札と俺の顔を見比べ、少し考える。俺は催促する。

「おいおい、ぼやっとしてると決着つかないだろ。早くしてくれよ」
「分かってるよぉ……」

 香、なおも考える。ややあって、彼女はそのカードを捨てる。



「ワイルド・ドロー4! ウノ!」
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