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人形龍と飛び立つ
しおりを挟むディリーとの夕飯はとても楽しいものだった。
奏那以外と会話と話すのは久しぶりで、すごく盛り上がった。
そして、ディリーもリラックし、楽しそうだった。
ディリーは、その見かけの通りたくさん食べた。
主食は肉なのかと思いきや、なんでも食べるらしい。
周りが海に囲まれている場所に住んでいるので、主に魚を食べているそうだ。
(いや~!さすが姉上様方!!これはとても美味しいですね!私が姉上様方の料理を食べたと知ったら、他の家族が羨ましがるでしょうね!!)
(でしょでしょ?醤油と味噌があればもっと美味しいんだよ!)
(ほう!それは是非とも食べてみたいですね!)
そう言いながら、奏那とディリーは揃って私の方を見た。
え?醤油作れって?無理だけど。
(大豆と麹があれば作れるだろうけど、半年くらいかかると思うよ。しかも、作り方わかんないし。)
そう言うと、奏多とディリーは、あからさまに顔を伏せて、首を振った。
(…………オババの知恵袋もここまでか………。我が料理長ともあろう者が無理だとは………はぁ………地球では、色んなこと試してたのに………はぁ。)
(姉上様は決して出来ないと仰る方ではなかった。………変わられたのですね。)
すごく、
すごく、ムッとした。
やってやろうじゃん。作ってやんよ。料理長なめんなよ!
やる気を出した私に、二人は"さすが!!"と、ヒューヒュー言って褒め称えた。
そのわかりやすい態度に、乗せられた感満載だったが、嫌な気分にはならなかった。
二人が楽しそうに話をしていることが、たまらなく嬉しかったのだ。
やっぱり、怒りに塗れながら過ごすより、楽しそうに過ごしていた方がずっといい。
いつかはケリをつけないといけない問題だが、それまでは笑って過ごしたい。
早速、大豆探しをしようと二人に持ちかけたが、ディリーから反対意見がでた。
(すみませんが、一度家族の元に一緒に帰って頂きたいのです。私自身も、実際にお会いするまでは、心配で心が千切れそうでしたから。島で待っている家族の心配はそれ以上でしょう。できれば、一緒に来て頂けませんか?)
(そうだよね。うん、私はいいよ。奏那は?)
(もちろんいいに決まってるよ!そうと決まったら、早速行こう!早く行った方がいいよね?ディリー、片付けるから絨毯から降りてね!)
奏多は、すぐに立ち上がり片付けを始めた。
私達は、脇によけてそれを見ていたが、ディリーは目を丸くして驚いていた。
(凄いですね。一瞬で消えてしまう魔法なんて初めて見ました。)
(うん、奏那の魔眼の能力だよ。私は使うこと出来ないんだよね。)
(興味深いですね。魔法で消せるものは魔法で出来た物だけだと思っていました。それも賢者が作った物なんですよね?)
(うん、賢者の弟子はそう言ってたけどね。なんかディリーの話を聞いて、違うかもしれないと思い始めてる。)
((どう言うこと?))
片付けを素早く終わらせた奏那が、こちらに向かいながら、ディリーと同じく聞いて来た。
(まだよくわからないんだけど、人には生まれた時から使える魔法が、限られてる。でも、ディリー達古龍は大抵の魔法を使えるんでしょ?身体能力も高いし、攻撃力も、速度も人間では敵わないじゃん?なのに、なんでわざわざ敵に回すような事をしたんだうと思って。
もしかしたら、古龍達を敵に回しても、対抗出来る戦力があるのかもしれないけど、わざわざ"賢者の弟子"なんて名乗る必要ないよね?
もしかしたら、賢者の仕業に見せかけたかった他の誰かの仕業なんじゃないかと思ったんだよね。)
(なるほどね、確かにそうかも。)
(でも、これは"もしかしたら"の話だから、本当は違うかもしれないけどね。)
(賢者自身に会うことが一番いいんだけどね。)
(そうですね。でも、もし我々に対抗できる戦力があった場合、どうなるかわかりません。私達は姉上様方を二度と失うことは出来ないので、無茶なことはしないで下さいね。)
ディリーが辛そうにそう言ったことで、話は終了した。
移動は、ディリーの背中に乗って飛ぶことになった。
私達は空を飛ぶことが出来ないので、街で使った荷車の箱部分を取り外し、ディリーの背中に括り付け、それに乗る事になったのだ。
(ディリー、きつくない?)
(大丈夫ですよ!さぁ、乗って下さい、出発しましょう。)
(よし!出発ー!!)
その掛け声と共にディリーの翼がはためき、上昇する。
背の高い木々を抜けて空へ舞い上がろうとした時だった。
木々の間から5人の人間が姿を現した。
フードを被り、ディリーが飛び立つのをジッと見つめていた。
え?だれ?
探知はずっとかけてた。なのに何も引っかからなかった。鑑定も出来ない。
ゾワッと嫌な感覚がしたと思ったら、奏那が叫んだ。
(ディリー!急いで!!はるか!あいつら誰?!)
(わかんない!!探知に反応しないし、鑑定もできない!)
得体のしれない5人の内の一人がフードを外してこちらに話しかけてきた。
『おやおや。どこに行こうというのだ?』
そいつは、賢者の弟子だった。
『ははは!私には探知も鑑定も効かないよ!驚いたかい?まさか、古龍と一緒にいるとはね。降りてくるんだ。』
奏那はディリーにスピードを上げるように言いながら、箱から飛び出してディリーの首にしがみ付いた。
そして、目にも留まらぬ速さで、魔法を次々と弟子に浴びせる。
私も箱から身を乗り出して、ディリーをサポートするように風で上昇を助けた。
どんどん地上から離れて行く中で、弟子の声が聞こえた。
『馬鹿な古龍と一緒にいても君達は何もできない!戻って来るんだ!』
森に空いた空間が見えなくなるくらいの、高さまで上昇したディリーは、ようやく前へ飛び始めた。
その様子に、ホッとしてヘタリ込む私の隣で、奏那は胡座をかき、ずっと舌打ちをしていた。
(なんなのあいつら!!)
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