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第一章
一人ぼっちの夕御飯
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「ふーっ。つっかれたー」
風呂からあがると、フラフラしながら土鍋に火をつけなおし、和室に戻るとドライヤーとヘアアイロンを二段使いだ。
こちらに越して来て一番の痛手だったのが、今のところ美容室選びではないだろうか。
アパートから歩いて数分のところに美容室があるのを発見し、地元と全く同じカットと縮毛矯正を頼んだのだ。
するとまさかの三万円……
みいはあの時ほど顔色が悪くなったことはないだろう。
だって地元で全く同じこと頼んだって一万五千円行くか行かないかだったのだ。
何で全く同じなのに、こんなにぼったくられにゃあならんのだと、しばらく立ち直れなかったが、いい勉強代とすることにした。
後々分かったことなんだが、どうやらその店はオシャレな雑誌とかに載ってるような店だったみたいで、田舎者のみいには身の丈に合わない所だったようなのだ。
近いからとほいほい行った事を激しく後悔し、もう二度とあの店には行くまいと心に誓って以降、美容室自体に行っていない。
自分で適当に切ってみたり、バサバサになってはドライヤーとヘアアイロンで抑え込んでいる状態だ。
そんなこんなで今日も二段使いで何とか髪を整えていると、土鍋からグツグツと良い音が聞こえてくるではないか。
「よしよし♪」
蓋を開ければ程よく煮えた野菜とササミが鍋の中で踊っている。
みいはニヤリとしながら鍋敷きをしくと、土鍋をそっと和室へと運ぶ。
改めて蓋を開けると、美味しい湯気がみいの眼鏡を曇らせた。
「それでは、いただきます」
一人ぼっちの夕御飯。
「うんうん、うまいうまい」
喋る人もおらず、静かすぎる部屋なので、テレビをつけてさらに独り言もでかくなる。
「うまいうまい」
でも、ふとした時に心がいっぱいいっぱいになってしまうんだ。
「うまい……うま……」
こうやって誰も見ていない時に涙が出てしまうようになったのは、越してきてからだったか。
「……」
ホームシックや何やら、色んな気持ちが混ざりあって溢れだし、涙を流すに任せながら、みいは一人夕食をすませた。
*****
夜8時。みいは食器の片付けを終えると、今度はアイロン作業だ。
今日乾いた洗濯物をアイロンがけしなければ。
和室にアイロン台を広げると、地元で買ったアイロンを使い出す。
正直アイロンがけした洋服の畳み方はうまくない。
お店みたいな畳み方じゃなく、実家でやっていたように、半分に折って畳んでいる。
相方は全然大丈夫だよと言っていたが、相方の実家のお母さんはお店みたいな畳み方をしているようだった。
無意識だか何だか知らないが、相方はよく実家のやり方と比べてくる事があるので、全然大丈夫だよと言う言葉も本当かどうか疑ってしまうようになったのは、相当精神的にキてる証拠なのだろうか?
でもそっちはそっち、こっちはこっち。
みいは畳み方を改める気はさらさら無いと決めていた。
何故なら、そこで折れたら実家のやり方を否定され、さらにそれを認めたような気になってしまうからだ。
そう言うわけではないのは分かってはいるのだが、何となく譲れないなと思っている。
「よし、アイロン終わったー」
思いの外時間がかかってしまった。時計を見ればもう夜の十時ではないか。
しかし、相方はまだ帰って来ない。
みいは相方の作業服やタオルを明日着やすい場所に置き、残りは寝室のタンスへしまう。
ほっと一息し、夜のコーヒータイムだ。
色々と悩みもあるが、そればかりでは人生面白くない。
「また何か作るかなぁ」
みいはコーヒー片手に鞄作りの本を眺めながら、相方の帰りをまったり待つのだった。
風呂からあがると、フラフラしながら土鍋に火をつけなおし、和室に戻るとドライヤーとヘアアイロンを二段使いだ。
こちらに越して来て一番の痛手だったのが、今のところ美容室選びではないだろうか。
アパートから歩いて数分のところに美容室があるのを発見し、地元と全く同じカットと縮毛矯正を頼んだのだ。
するとまさかの三万円……
みいはあの時ほど顔色が悪くなったことはないだろう。
だって地元で全く同じこと頼んだって一万五千円行くか行かないかだったのだ。
何で全く同じなのに、こんなにぼったくられにゃあならんのだと、しばらく立ち直れなかったが、いい勉強代とすることにした。
後々分かったことなんだが、どうやらその店はオシャレな雑誌とかに載ってるような店だったみたいで、田舎者のみいには身の丈に合わない所だったようなのだ。
近いからとほいほい行った事を激しく後悔し、もう二度とあの店には行くまいと心に誓って以降、美容室自体に行っていない。
自分で適当に切ってみたり、バサバサになってはドライヤーとヘアアイロンで抑え込んでいる状態だ。
そんなこんなで今日も二段使いで何とか髪を整えていると、土鍋からグツグツと良い音が聞こえてくるではないか。
「よしよし♪」
蓋を開ければ程よく煮えた野菜とササミが鍋の中で踊っている。
みいはニヤリとしながら鍋敷きをしくと、土鍋をそっと和室へと運ぶ。
改めて蓋を開けると、美味しい湯気がみいの眼鏡を曇らせた。
「それでは、いただきます」
一人ぼっちの夕御飯。
「うんうん、うまいうまい」
喋る人もおらず、静かすぎる部屋なので、テレビをつけてさらに独り言もでかくなる。
「うまいうまい」
でも、ふとした時に心がいっぱいいっぱいになってしまうんだ。
「うまい……うま……」
こうやって誰も見ていない時に涙が出てしまうようになったのは、越してきてからだったか。
「……」
ホームシックや何やら、色んな気持ちが混ざりあって溢れだし、涙を流すに任せながら、みいは一人夕食をすませた。
*****
夜8時。みいは食器の片付けを終えると、今度はアイロン作業だ。
今日乾いた洗濯物をアイロンがけしなければ。
和室にアイロン台を広げると、地元で買ったアイロンを使い出す。
正直アイロンがけした洋服の畳み方はうまくない。
お店みたいな畳み方じゃなく、実家でやっていたように、半分に折って畳んでいる。
相方は全然大丈夫だよと言っていたが、相方の実家のお母さんはお店みたいな畳み方をしているようだった。
無意識だか何だか知らないが、相方はよく実家のやり方と比べてくる事があるので、全然大丈夫だよと言う言葉も本当かどうか疑ってしまうようになったのは、相当精神的にキてる証拠なのだろうか?
でもそっちはそっち、こっちはこっち。
みいは畳み方を改める気はさらさら無いと決めていた。
何故なら、そこで折れたら実家のやり方を否定され、さらにそれを認めたような気になってしまうからだ。
そう言うわけではないのは分かってはいるのだが、何となく譲れないなと思っている。
「よし、アイロン終わったー」
思いの外時間がかかってしまった。時計を見ればもう夜の十時ではないか。
しかし、相方はまだ帰って来ない。
みいは相方の作業服やタオルを明日着やすい場所に置き、残りは寝室のタンスへしまう。
ほっと一息し、夜のコーヒータイムだ。
色々と悩みもあるが、そればかりでは人生面白くない。
「また何か作るかなぁ」
みいはコーヒー片手に鞄作りの本を眺めながら、相方の帰りをまったり待つのだった。
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