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教師1年目
体育祭当日 7:00
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「ライヤー、起きなさーい」
体育祭当日。
いつもよりも早めに起きなければいけないが起きられるか自信がなかったライヤはフィオナに目覚ましを頼んでいた。
あんなことがあった後だから気まずくなるかと思いきや、次の日の朝にはいつも通りであったフィオナにいちいち気にするのも馬鹿らしくなって普段通りに接することが出来ている。
「ライヤー?」
あまりに距離感の近い声に目を開けると、目の前にたわわな果実が揺れていた。
一瞬ガン見して状況を理解し、飛び起きる。
飛び起きると言っても起き上がればそれに触れてしまうのでかさかさと頭の上の方に仰向けのまま移動する。
「あ、起きたねー。ほら、朝ごはんも出来てるよ」
ぴょんと立ち上がるフィオナの胸が上下に主張する胸に視線が吸い寄せられ、またすぐに視線を逸らす。
「えっち……」
「すみません。許してください……」
胸をかき寄せ更に強調するフィオナに謝ることしかできないライヤであった。
「いやぁ、何度も思ってるけど本能ってすさまじいよな……」
朝から会場の周りに向かいながらそんなことを考える。
朝起きた瞬間で何を見るかなんて意識していなくともそこに視線がいくんだもんな……。
起きた瞬間は目を開いた目の前にあったから仕方がないとしても、その後はまじで視線が吸い寄せられたもんな……。
「まぁ、切り替えよう。今日一日警備をこなせばまた来週から通常の授業だからな」
休みの前日に体育祭は予定されているので金曜日に体育祭があるようなものである。
「おぉ、凄い人だ」
日本でも体育祭や運動会でいい場所をとりたいが故に朝早くから校門前に並ぶ父兄が問題になっていたが、こちらでも同じようなことになっている。
会場となる闘技場の門は父兄の波でごった返し、今は前に勧めないので大事には至っていないが開門して場所の取り合いが始まれば混乱は必至だろう。
さて。
「お疲れ様です」
「これは、ライヤ先生。会場周りの警備に先生が分担されたというのは本当でしたか」
「先生なんてやめてください、隊長」
「それならば私も隊長と呼ばれるのはおかしいですがね」
会場周りの警備担当は以前の戦争でお世話になったB級以下で構成された部隊であった。
S級やA級級は会場内や要人の警護に当てられ、他の級の一般兵には王国自体の警備などの仕事があるのでB級以下の精鋭で構成されているこの部隊はこの役回りにぴったりなのだ。
「せめて、ライヤと。そもそも年も違いますから」
「はっ、ライヤが軍に来ていれば私の席はあなたのものになっているはずだったんですけどね」
拳を合わせる。
「毎年こんな感じなのですか?」
「まぁ、そうですね。例年このようなものでしょう。貴族のお歴々は専用の門から入られますし、B級以下の父兄しかいないはずですが生徒数が増えるのに従って父兄の数も増えますし、こんな機会でもないと学園に入ることなんてありませんから、一族総出で来る方も珍しくないようです」
言われた通り、祖父母の代や、小さな兄弟たちも列に並んで待っているのが見える。
老人や小さな子たちにとってはきつそうだが、我慢してもらうしかない。
「本日はよろしくお願いします」
「はい、何かあったら声かけを。そろそろ昇進したいので」
数個ついている胸の勲章のうち1つをいじりながらそんなことを言う隊長に苦笑する。
「警備の仕事なんて何もないのが最大の成果のようなものでしょう?」
「ですので、万が一ですよ。アン王女からもアドバイスもいただいていますので」
「……なんと?」
「『ライヤはどうせまた何かに首を突っ込むからできる限りサポートするように』と」
「心配されていて嬉しいと思うべきか、余計なお世話だと怒るべきか……」
「押さないで! そこも走らない! 席はたくさんありますから!!」
門が開き、人の波が動き出す。
予想通り、大変な事態だ。
行列の問題点はそれぞれの動くスピードが異なるという事だ。
比較的速い人が遅い人に追い付いてそこで衝突が生まれ、同じスピードで動いていた人たちにも影響を与える。
「これを毎年やってんのか……」
あくまで会場周りの警備が仕事であるライヤは門の上からその様子を見降ろすが、とてもじゃないがあれを整理できるとは思えない。
それでも、毎年の事だけあって隊の人たちは慣れているようだ。
老人や子供がいる辺りは特に気を遣ってけが人が出ないように配慮しているのがわかる。
「それで、気になるのはあそこらへんだよな……」
明らかに人の流れがおかしい部分があるのだ。
闘技場はその性質もあって周りに住宅はない。
代わりに露店などが並んでいてこういうイベントがあるときには開いているのだが、数店開いていない店がある。
それだけならたまたま休みなのだろうとなるところだが、開いていないはずの店に闘技場とは逆方向に進む人も見える。
「違和感ってレベルだからここを動くわけにもいかないけど……」
また面倒なことになりそうだ。
体育祭当日。
いつもよりも早めに起きなければいけないが起きられるか自信がなかったライヤはフィオナに目覚ましを頼んでいた。
あんなことがあった後だから気まずくなるかと思いきや、次の日の朝にはいつも通りであったフィオナにいちいち気にするのも馬鹿らしくなって普段通りに接することが出来ている。
「ライヤー?」
あまりに距離感の近い声に目を開けると、目の前にたわわな果実が揺れていた。
一瞬ガン見して状況を理解し、飛び起きる。
飛び起きると言っても起き上がればそれに触れてしまうのでかさかさと頭の上の方に仰向けのまま移動する。
「あ、起きたねー。ほら、朝ごはんも出来てるよ」
ぴょんと立ち上がるフィオナの胸が上下に主張する胸に視線が吸い寄せられ、またすぐに視線を逸らす。
「えっち……」
「すみません。許してください……」
胸をかき寄せ更に強調するフィオナに謝ることしかできないライヤであった。
「いやぁ、何度も思ってるけど本能ってすさまじいよな……」
朝から会場の周りに向かいながらそんなことを考える。
朝起きた瞬間で何を見るかなんて意識していなくともそこに視線がいくんだもんな……。
起きた瞬間は目を開いた目の前にあったから仕方がないとしても、その後はまじで視線が吸い寄せられたもんな……。
「まぁ、切り替えよう。今日一日警備をこなせばまた来週から通常の授業だからな」
休みの前日に体育祭は予定されているので金曜日に体育祭があるようなものである。
「おぉ、凄い人だ」
日本でも体育祭や運動会でいい場所をとりたいが故に朝早くから校門前に並ぶ父兄が問題になっていたが、こちらでも同じようなことになっている。
会場となる闘技場の門は父兄の波でごった返し、今は前に勧めないので大事には至っていないが開門して場所の取り合いが始まれば混乱は必至だろう。
さて。
「お疲れ様です」
「これは、ライヤ先生。会場周りの警備に先生が分担されたというのは本当でしたか」
「先生なんてやめてください、隊長」
「それならば私も隊長と呼ばれるのはおかしいですがね」
会場周りの警備担当は以前の戦争でお世話になったB級以下で構成された部隊であった。
S級やA級級は会場内や要人の警護に当てられ、他の級の一般兵には王国自体の警備などの仕事があるのでB級以下の精鋭で構成されているこの部隊はこの役回りにぴったりなのだ。
「せめて、ライヤと。そもそも年も違いますから」
「はっ、ライヤが軍に来ていれば私の席はあなたのものになっているはずだったんですけどね」
拳を合わせる。
「毎年こんな感じなのですか?」
「まぁ、そうですね。例年このようなものでしょう。貴族のお歴々は専用の門から入られますし、B級以下の父兄しかいないはずですが生徒数が増えるのに従って父兄の数も増えますし、こんな機会でもないと学園に入ることなんてありませんから、一族総出で来る方も珍しくないようです」
言われた通り、祖父母の代や、小さな兄弟たちも列に並んで待っているのが見える。
老人や小さな子たちにとってはきつそうだが、我慢してもらうしかない。
「本日はよろしくお願いします」
「はい、何かあったら声かけを。そろそろ昇進したいので」
数個ついている胸の勲章のうち1つをいじりながらそんなことを言う隊長に苦笑する。
「警備の仕事なんて何もないのが最大の成果のようなものでしょう?」
「ですので、万が一ですよ。アン王女からもアドバイスもいただいていますので」
「……なんと?」
「『ライヤはどうせまた何かに首を突っ込むからできる限りサポートするように』と」
「心配されていて嬉しいと思うべきか、余計なお世話だと怒るべきか……」
「押さないで! そこも走らない! 席はたくさんありますから!!」
門が開き、人の波が動き出す。
予想通り、大変な事態だ。
行列の問題点はそれぞれの動くスピードが異なるという事だ。
比較的速い人が遅い人に追い付いてそこで衝突が生まれ、同じスピードで動いていた人たちにも影響を与える。
「これを毎年やってんのか……」
あくまで会場周りの警備が仕事であるライヤは門の上からその様子を見降ろすが、とてもじゃないがあれを整理できるとは思えない。
それでも、毎年の事だけあって隊の人たちは慣れているようだ。
老人や子供がいる辺りは特に気を遣ってけが人が出ないように配慮しているのがわかる。
「それで、気になるのはあそこらへんだよな……」
明らかに人の流れがおかしい部分があるのだ。
闘技場はその性質もあって周りに住宅はない。
代わりに露店などが並んでいてこういうイベントがあるときには開いているのだが、数店開いていない店がある。
それだけならたまたま休みなのだろうとなるところだが、開いていないはずの店に闘技場とは逆方向に進む人も見える。
「違和感ってレベルだからここを動くわけにもいかないけど……」
また面倒なことになりそうだ。
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