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教師1年目
勉強は進まない
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「それで、エロ爺。そろそろ引退の決意を固めたのか?」
「ひょほほ! わしのワシが萎えるまで引退などしておれんわ!」
何とも欲に忠実な爺である。
「じゃあ、なんだよ。俺はともかく、アンとは関わりたくないって言ってただろ?」
庶民であり、何の立場もないライヤに賢者が接触したところでなにも起こりはしない。
だが、王族に接触しようものなら王国が何かしようとしていると他国に受け取られてもおかしくはない。
賢者という称号の成り立ちから、軍や国に属してなくとも賢者は生まれ、そのはぐれ状態にある賢者が国と接触したとなれば警戒せずにはいられない。
その1人で戦力は大きく変わってくるのだから。
「忠告に来たんじゃよ」
「ほう」
「今までならライヤにだけ伝えておったが、お主も何やら大層な役職を持ったじゃろう? そんなライヤに話を通せば、当然アン王女にも話はいくと、他国も間違いなく思うじゃろう。そこに気を遣う必要がなくなったからの。今回はアン王女も呼んだというわけじゃ」
想像よりもしっかりとした理由であった。
「あなたの子供の問題で王家がすっごい苦労して怒られてから顔を見せなくなったと聞いているのだけれど?」
「ひょほ、ほ……」
訂正。
やっぱろくでもなかった。
「ま、まぁ、昔のことはええじゃろ。そんなことより、忠告じゃよ、忠告」
不満げなアンだが、賢者直々の忠告ともなれば聞かざるを得ない。
「内容は?」
「戦争が、近いかもしれん」
「はぁ……」
「……先生、疲れてる……?」
「いや、疲れとはまたちょっと違うんだけどな……」
翌日の放課後。
自宅でシャロンからの世界史の質問に答えていたライヤだったが、放課後という事もあり、少し気が緩んでいた。
「……疲れてるなら、私、もう自分で……」
「いやいや! 本当に疲れてはないんだ! ちょっと気が重いだけで!」
気を遣って勉強道具を片付け始めるシャロンを必死に引き留める。
折角質問に来てくれたのだから、ちゃんと教えなくては。
「……悩みですか……?」
「ちょっと、違うかな……。なんて言えばいいんだろうな」
いきなり戦争が近いですよって言われ、とりあえずはまだ秘密ね、と爆弾を抱えさせられた気持ち。
「……ちょっと、休憩……?」
「……そうだな、そうさせてもらうか」
あまり無理をしてもよくないだろう。
そう自分に言い聞かせて布団に潜り込むライヤ。
「シャロン。悪いが自習か、休憩しておいてくれ。十分したら起きるから」
どこでもいつでも寝れるのが得意なライヤ。
1分も経たずに眠りに落ちていった。
「……先生……?」
1人残されたシャロンは、ライヤが本当に寝ているかどうかを確かめる。
「……えへへ……」
そしてライヤの寝顔を見ながら、軽く笑顔を浮かべる。
恋心だと自覚してはいないものの、その姿は間違いなく恋する少女のそれであった。
「ちょっと失礼」
「きゃあ……!」
「おっと、騒がない騒がない。ライヤ君が起きてしまうじゃないか」
「……! ……大家さん……?」
「フィオナと呼んでくれたまえ。よしよし、良く寝てるね」
天井からシュタッと降り立ち、当然のようにライヤの布団に潜り込むフィオナにシャロンは目を丸くする。
「……え、なにを……?」
「何って、添い寝さ」
当然、といった様子のどや顔を披露するフィオナ。
「こう見えても私はライヤ君のことが好きでね。何度もアプローチはしているのだが、どうにも振り向いてもらえない」
突然の告白に顔を真っ赤にするシャロン。
「そこで、何度か夜這いを試したんだけど。どうにも1人で寝てる時のライヤ君の警戒心は高くてね。気づかれてしまうんだよ」
「だが、君がいればライヤ君が安心して眠るんじゃないかという仮説は正しかった。ふふ、これで間違いでも寝相でもなんでも、私に手を出してくれればそれで私の勝ちさ……!」
「……そ、そんなの……!」
「おや? 言っている意味が分かるのかい。君も実はむっつりなんだねぇ」
シャロンはその指摘に口をパクパクさせてそれまで以上に顔を真っ赤にする。
シャロンの実家、ヨンド家は子供に無知ゆえの間違いなどないように、しっかりと性教育を行う家系であった。
よって、本当に細かいところまでは知らずとも、ある程度の知識はあったのだ。
「それとも、君も混ざるかい?」
「!?」
「私は独り占めにしたいという欲望はないからね。歓迎するよ?」
さぁ、と自分が入っている方と逆のライヤの横を示すフィオナに混乱したシャロンは従ってしまった。
そして、少しして自分がどれだけ不埒なことをしてしまっているかという事実に思い至り、固まってしまう。
それから5分後。
顔を真っ赤にして固まっているシャロンと、いつも通りの過激な格好でニヤニヤしているフィオナに囲まれてライヤは目を覚ます。
「どんな状況だこれ……?」
「ひょほほ! わしのワシが萎えるまで引退などしておれんわ!」
何とも欲に忠実な爺である。
「じゃあ、なんだよ。俺はともかく、アンとは関わりたくないって言ってただろ?」
庶民であり、何の立場もないライヤに賢者が接触したところでなにも起こりはしない。
だが、王族に接触しようものなら王国が何かしようとしていると他国に受け取られてもおかしくはない。
賢者という称号の成り立ちから、軍や国に属してなくとも賢者は生まれ、そのはぐれ状態にある賢者が国と接触したとなれば警戒せずにはいられない。
その1人で戦力は大きく変わってくるのだから。
「忠告に来たんじゃよ」
「ほう」
「今までならライヤにだけ伝えておったが、お主も何やら大層な役職を持ったじゃろう? そんなライヤに話を通せば、当然アン王女にも話はいくと、他国も間違いなく思うじゃろう。そこに気を遣う必要がなくなったからの。今回はアン王女も呼んだというわけじゃ」
想像よりもしっかりとした理由であった。
「あなたの子供の問題で王家がすっごい苦労して怒られてから顔を見せなくなったと聞いているのだけれど?」
「ひょほ、ほ……」
訂正。
やっぱろくでもなかった。
「ま、まぁ、昔のことはええじゃろ。そんなことより、忠告じゃよ、忠告」
不満げなアンだが、賢者直々の忠告ともなれば聞かざるを得ない。
「内容は?」
「戦争が、近いかもしれん」
「はぁ……」
「……先生、疲れてる……?」
「いや、疲れとはまたちょっと違うんだけどな……」
翌日の放課後。
自宅でシャロンからの世界史の質問に答えていたライヤだったが、放課後という事もあり、少し気が緩んでいた。
「……疲れてるなら、私、もう自分で……」
「いやいや! 本当に疲れてはないんだ! ちょっと気が重いだけで!」
気を遣って勉強道具を片付け始めるシャロンを必死に引き留める。
折角質問に来てくれたのだから、ちゃんと教えなくては。
「……悩みですか……?」
「ちょっと、違うかな……。なんて言えばいいんだろうな」
いきなり戦争が近いですよって言われ、とりあえずはまだ秘密ね、と爆弾を抱えさせられた気持ち。
「……ちょっと、休憩……?」
「……そうだな、そうさせてもらうか」
あまり無理をしてもよくないだろう。
そう自分に言い聞かせて布団に潜り込むライヤ。
「シャロン。悪いが自習か、休憩しておいてくれ。十分したら起きるから」
どこでもいつでも寝れるのが得意なライヤ。
1分も経たずに眠りに落ちていった。
「……先生……?」
1人残されたシャロンは、ライヤが本当に寝ているかどうかを確かめる。
「……えへへ……」
そしてライヤの寝顔を見ながら、軽く笑顔を浮かべる。
恋心だと自覚してはいないものの、その姿は間違いなく恋する少女のそれであった。
「ちょっと失礼」
「きゃあ……!」
「おっと、騒がない騒がない。ライヤ君が起きてしまうじゃないか」
「……! ……大家さん……?」
「フィオナと呼んでくれたまえ。よしよし、良く寝てるね」
天井からシュタッと降り立ち、当然のようにライヤの布団に潜り込むフィオナにシャロンは目を丸くする。
「……え、なにを……?」
「何って、添い寝さ」
当然、といった様子のどや顔を披露するフィオナ。
「こう見えても私はライヤ君のことが好きでね。何度もアプローチはしているのだが、どうにも振り向いてもらえない」
突然の告白に顔を真っ赤にするシャロン。
「そこで、何度か夜這いを試したんだけど。どうにも1人で寝てる時のライヤ君の警戒心は高くてね。気づかれてしまうんだよ」
「だが、君がいればライヤ君が安心して眠るんじゃないかという仮説は正しかった。ふふ、これで間違いでも寝相でもなんでも、私に手を出してくれればそれで私の勝ちさ……!」
「……そ、そんなの……!」
「おや? 言っている意味が分かるのかい。君も実はむっつりなんだねぇ」
シャロンはその指摘に口をパクパクさせてそれまで以上に顔を真っ赤にする。
シャロンの実家、ヨンド家は子供に無知ゆえの間違いなどないように、しっかりと性教育を行う家系であった。
よって、本当に細かいところまでは知らずとも、ある程度の知識はあったのだ。
「それとも、君も混ざるかい?」
「!?」
「私は独り占めにしたいという欲望はないからね。歓迎するよ?」
さぁ、と自分が入っている方と逆のライヤの横を示すフィオナに混乱したシャロンは従ってしまった。
そして、少しして自分がどれだけ不埒なことをしてしまっているかという事実に思い至り、固まってしまう。
それから5分後。
顔を真っ赤にして固まっているシャロンと、いつも通りの過激な格好でニヤニヤしているフィオナに囲まれてライヤは目を覚ます。
「どんな状況だこれ……?」
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