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教師1年目
正解
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「よし、俺が出した答えが出たところで翌日の話をしようか」
シャロンの緩やかなウェーブを描く黒髪をポンポンとしながらライヤは話始める。
「よし、今日もやるか」
「あららー? ライヤ、私は別にしなくてもいいんだけどなー? ライヤがどうしてもって言うならやってあげてもいいけどー?」
「……じゃあ、いいや。アンは俺に600戦くらい負け越しているというのを抱えて生きていくんだな」
「嘘嘘っ! やるわよ!」
「……やるわよ?」
「やってくださいお願いします……」
「そうだよな?」
この時点では2人の立場は友人ではありながら、実力が拮抗してきていたとはいえライヤが明らかに格上であった。
策を講じるのはいつだってアンだったのだ。
よって、今ではあまり見られないライヤの方が立場が上の状況であった。
「さぁ、やろうか」
立ち合いのスタートは昨日と同じ、互いの魔法からスタートする。
「どうするのかしら!?」
アンがライヤとの間に壁を立ち上げる。
アンとて何も工夫しないわけはない。
今回は水魔法による壁だった。
火よりも多少厚みは必要になるが、アンにとってその程度は誤差でしかない。
「!? ちょっと! それ反則よ!?」
ライヤはといえば、壁が2人の間に広がった瞬間に風魔法で飛行。
水魔法による壁だったのも幸いし、高さギリギリから飛び出してアンに迫っていた。
その手には剣を抜いている。
「はっ!」
響くのはアンの気合の声。
ガキィッ!
互いの剣が交差し、けたたましい音をあげる。
「え?」
そのあまりの手ごたえの無さにアンは声を上げ、そして察する。
「俺の勝ちだな」
アンのお腹のあたりに火球を構えたライヤの手が添えられていた。
「熱いわよ!」
「お前が余計に近づいてきたからだろ! とにかく、俺の勝ちだな」
アンが迎撃したライヤの剣はただ振り下ろしただけのものだった。
浮いている状態から上から下に振り下ろしただけあってそれなりに勢いはついていたのだが、アンにとっては何でもない。
ライヤもはじかれる前提で剣を放していたので手がしびれるようなことは無かった。
「うー! 私の綺麗なお腹が火傷なんかしたらどうするのよ!」
「綺麗なお腹って……。その時は治せばいいだろ」
「そういう事じゃないのよ! また負けたなぁ……。ライヤのあの剣を囮にするのはけっこう見慣れてるのになぁ……」
「パターンを変えるだけで有効な攻撃はいっぱいあるからな。アンはどうしても剣を目にすると剣で立ち向かおうとする癖があるから、利用しやすい」
「うぅ……、これ言われるの何回目だっけなぁ……」
「7回目くらいじゃないか? 何度もやられるアンが悪い」
「うぅ……」
ボッコボコな言われようである。
「良かったところは、俺の意図を察してから魔法に対応しようとしたところだな。今までよりも気づくのが早かった。それよりも俺の魔法の発動速度は早いから俺が勝ったわけだが」
「……あの魔法を防いでもライヤは懐から何か出そうとしてたでしょ」
「……バレた?」
「まだライヤの2手先まで届いていないってことじゃない!」
「昨日初めて負けたんだ。そりゃ少し本気にもなる」
「今まで本気じゃなかったの?」
「本気だけどさ。本気にも色々あるだろ。例えばだけど、『ミスしないように絶対に出来ることだけで構築する本気』と『ミスしてもいいからやりたいことに挑戦する本気』とかな?」
「確かに……」
「今まではあの魔法までで確実に決まってたからその一手先を用意しなかったんだ。だが、今回は反応されてた。防ぐには至らなかったが、俺が用意したもう一手も無駄じゃなかっただろ?」
「ちなみにその先を教えて貰えたりは?」
「するわけないだろ。この手で10回は勝たせてもらう」
「お願い♪」
「それで俺が教えたことあったか?」
「ないのよねぇ……」
実は、毎度ギリギリであった。
普段ツンツンしている美人なアンがライヤにだけその姿を見せているという事実だけで萌える。
それを知ってて、役得だと認識しているライヤだからこそ理性が機能しているのだ。
ふとこの顔をその辺の奴に見せたらホイホイなんでもいう事を聞いてくれるに違いない。
余計な誤解を生みそうなのでやめておいた方が賢明だろうが。
「ということで。相手の視界が切れてるのを利用して飛んで詰めるっていうのが一つの正解だな。現に成功してるし。今は全員出来ないだろうが、まぁいずれ出来るようになりたいと思ってくれたらいいかな」
1年生に空を飛べというのは無理ゲーである。
普通に教える内容をライヤがミスったのではないだろうか。
シャロンの緩やかなウェーブを描く黒髪をポンポンとしながらライヤは話始める。
「よし、今日もやるか」
「あららー? ライヤ、私は別にしなくてもいいんだけどなー? ライヤがどうしてもって言うならやってあげてもいいけどー?」
「……じゃあ、いいや。アンは俺に600戦くらい負け越しているというのを抱えて生きていくんだな」
「嘘嘘っ! やるわよ!」
「……やるわよ?」
「やってくださいお願いします……」
「そうだよな?」
この時点では2人の立場は友人ではありながら、実力が拮抗してきていたとはいえライヤが明らかに格上であった。
策を講じるのはいつだってアンだったのだ。
よって、今ではあまり見られないライヤの方が立場が上の状況であった。
「さぁ、やろうか」
立ち合いのスタートは昨日と同じ、互いの魔法からスタートする。
「どうするのかしら!?」
アンがライヤとの間に壁を立ち上げる。
アンとて何も工夫しないわけはない。
今回は水魔法による壁だった。
火よりも多少厚みは必要になるが、アンにとってその程度は誤差でしかない。
「!? ちょっと! それ反則よ!?」
ライヤはといえば、壁が2人の間に広がった瞬間に風魔法で飛行。
水魔法による壁だったのも幸いし、高さギリギリから飛び出してアンに迫っていた。
その手には剣を抜いている。
「はっ!」
響くのはアンの気合の声。
ガキィッ!
互いの剣が交差し、けたたましい音をあげる。
「え?」
そのあまりの手ごたえの無さにアンは声を上げ、そして察する。
「俺の勝ちだな」
アンのお腹のあたりに火球を構えたライヤの手が添えられていた。
「熱いわよ!」
「お前が余計に近づいてきたからだろ! とにかく、俺の勝ちだな」
アンが迎撃したライヤの剣はただ振り下ろしただけのものだった。
浮いている状態から上から下に振り下ろしただけあってそれなりに勢いはついていたのだが、アンにとっては何でもない。
ライヤもはじかれる前提で剣を放していたので手がしびれるようなことは無かった。
「うー! 私の綺麗なお腹が火傷なんかしたらどうするのよ!」
「綺麗なお腹って……。その時は治せばいいだろ」
「そういう事じゃないのよ! また負けたなぁ……。ライヤのあの剣を囮にするのはけっこう見慣れてるのになぁ……」
「パターンを変えるだけで有効な攻撃はいっぱいあるからな。アンはどうしても剣を目にすると剣で立ち向かおうとする癖があるから、利用しやすい」
「うぅ……、これ言われるの何回目だっけなぁ……」
「7回目くらいじゃないか? 何度もやられるアンが悪い」
「うぅ……」
ボッコボコな言われようである。
「良かったところは、俺の意図を察してから魔法に対応しようとしたところだな。今までよりも気づくのが早かった。それよりも俺の魔法の発動速度は早いから俺が勝ったわけだが」
「……あの魔法を防いでもライヤは懐から何か出そうとしてたでしょ」
「……バレた?」
「まだライヤの2手先まで届いていないってことじゃない!」
「昨日初めて負けたんだ。そりゃ少し本気にもなる」
「今まで本気じゃなかったの?」
「本気だけどさ。本気にも色々あるだろ。例えばだけど、『ミスしないように絶対に出来ることだけで構築する本気』と『ミスしてもいいからやりたいことに挑戦する本気』とかな?」
「確かに……」
「今まではあの魔法までで確実に決まってたからその一手先を用意しなかったんだ。だが、今回は反応されてた。防ぐには至らなかったが、俺が用意したもう一手も無駄じゃなかっただろ?」
「ちなみにその先を教えて貰えたりは?」
「するわけないだろ。この手で10回は勝たせてもらう」
「お願い♪」
「それで俺が教えたことあったか?」
「ないのよねぇ……」
実は、毎度ギリギリであった。
普段ツンツンしている美人なアンがライヤにだけその姿を見せているという事実だけで萌える。
それを知ってて、役得だと認識しているライヤだからこそ理性が機能しているのだ。
ふとこの顔をその辺の奴に見せたらホイホイなんでもいう事を聞いてくれるに違いない。
余計な誤解を生みそうなのでやめておいた方が賢明だろうが。
「ということで。相手の視界が切れてるのを利用して飛んで詰めるっていうのが一つの正解だな。現に成功してるし。今は全員出来ないだろうが、まぁいずれ出来るようになりたいと思ってくれたらいいかな」
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普通に教える内容をライヤがミスったのではないだろうか。
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