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教師1年目
5人目
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「次は……、ティムか」
「お願いします」
片手剣と盾を構えた近衛によく見られるスタイルのティムが構える。
ちなみに近衛にこのスタイルが多いのは用心警護にあたる場合が多く、屋内戦闘を基本的に想定しているのでそう魔法を乱射できないからである。
近衛となるレベルなら威力の調整は出来ているだろうが、相手が魔法を使った場合のカウンター、もしくは天井や床が崩れた時の対応のためにとっておくのが良いとされている。
「どうぞ」
「土よ」
「おっ」
今までの生徒たちは魔法は自分の得意な属性を使っていた。
ティムの得意な属性は火だったはずだが、敢えての土。
そしてマロンと同じく待ちのスタイル。
先ほどマロンがそれで完封されたのを見ているはずだが、そのあたりをどう考えているのかがポイントだな。
「先生、笑ってますね……」
テストの場となっている範囲の外側。
各生徒がライヤと戦うのを見守り、応援している他の生徒たち。
その中でウィルがライヤの変化に気づく。
「……楽しそう」
エウレアが言うように、ライヤの笑顔は戦いを楽しんでいるものだった。
本人は認めないが、アンも気づいているようにライヤには戦闘を楽しいと思う素質があった。
元々勝負事が好きだという性質もあるのだろうが、この世界に転生してくるだけの素質を持っていたということだろう。
「はぁっ!」
先ほどよりも幾分気合いが入ったライヤの攻撃がティムを襲うが、攻撃を冷静にさばいていく。
片手剣と盾の利点は何といっても手数。
二刀流のそれと同じで片手ずつなので引き戻すのが難しいという欠点はあるが、成長さえすれば問題ではなくなる。
「ははっ!」
近衛となるべく訓練を積んでいるティムは自分が守りの方が分がいいだろうと踏んでライヤに攻めさせる展開を選んだ。
その中でカウンターの一発でもいれられればいいだろうと。
マロンとの戦いを見ていた限りではそれも可能と考えていた。
だが、乗っているライヤはその時の動きとは違う。
マロンの時は盾持ちであるマロンを正面から突破してやろうという動きだったが、今は小さな魔法を並列で起動させ、ティムに何もさせていない。
むしろどれも頑張れば避けられる場所を狙う事で無理な体勢に追い込んでいる。
「ほい」
「あっ!?」
そして体勢が大きく崩れれば極小威力の水弾でも足をとれる。
尻もちをついたところティムの眼前にライヤの剣がぴたりと止まる。
「……負けました」
「守りの方が分がいいだろうと誘導したのは理解できる。だが、それで勝てるのか? 格上である俺に最初から守りに回るのは悪手だぞ。相手の力量が正確に把握できているならいいが、自分よりどれだけ上かわからないなら、その判断が致命傷になる。近衛兵は要人を守るのが仕事だと思っているだろうし、正解だが守るのも別に受動的である必要はないだろ? ティムが相手に詰めて一対一を行えればウィルの周りは一気に安全になる。攻める手も考えておいた方がいい」
「ありがとうございました」
「あ、あと」
「?」
「厳しいことを言うが、敢えて言っておく。守りに関してだけ言えばマロンの方が上だ。謙虚にな」
ティムは自分の顔が赤くなるのを自覚する。
見透かされていた。
マロンに出来て自分が出来ないことなどないと思って作戦を立てていたことを。
「お疲れぇー。惜しかったねぇー」
そんなティムにマロンが声をかける。
「……さっきのを聞いてなかったんですか?」
「聞いてたよぉー。でも、そんなに怒ることじゃないよねぇー。それで馬鹿にされたんだったら僕も怒るかもだけど。そういうわけじゃないしねぇー。実際、戦ったらティムが勝つでしょー?」
のんびりと話すマロンの様子にティムはまた負けたと思う。
自分のくだらないプライドよりも、互いに実力を正確に把握しているマロンの方がよほど優秀ではないかと。
これを機にティムは更なる修練を積むようになる。
「お願いします」
片手剣と盾を構えた近衛によく見られるスタイルのティムが構える。
ちなみに近衛にこのスタイルが多いのは用心警護にあたる場合が多く、屋内戦闘を基本的に想定しているのでそう魔法を乱射できないからである。
近衛となるレベルなら威力の調整は出来ているだろうが、相手が魔法を使った場合のカウンター、もしくは天井や床が崩れた時の対応のためにとっておくのが良いとされている。
「どうぞ」
「土よ」
「おっ」
今までの生徒たちは魔法は自分の得意な属性を使っていた。
ティムの得意な属性は火だったはずだが、敢えての土。
そしてマロンと同じく待ちのスタイル。
先ほどマロンがそれで完封されたのを見ているはずだが、そのあたりをどう考えているのかがポイントだな。
「先生、笑ってますね……」
テストの場となっている範囲の外側。
各生徒がライヤと戦うのを見守り、応援している他の生徒たち。
その中でウィルがライヤの変化に気づく。
「……楽しそう」
エウレアが言うように、ライヤの笑顔は戦いを楽しんでいるものだった。
本人は認めないが、アンも気づいているようにライヤには戦闘を楽しいと思う素質があった。
元々勝負事が好きだという性質もあるのだろうが、この世界に転生してくるだけの素質を持っていたということだろう。
「はぁっ!」
先ほどよりも幾分気合いが入ったライヤの攻撃がティムを襲うが、攻撃を冷静にさばいていく。
片手剣と盾の利点は何といっても手数。
二刀流のそれと同じで片手ずつなので引き戻すのが難しいという欠点はあるが、成長さえすれば問題ではなくなる。
「ははっ!」
近衛となるべく訓練を積んでいるティムは自分が守りの方が分がいいだろうと踏んでライヤに攻めさせる展開を選んだ。
その中でカウンターの一発でもいれられればいいだろうと。
マロンとの戦いを見ていた限りではそれも可能と考えていた。
だが、乗っているライヤはその時の動きとは違う。
マロンの時は盾持ちであるマロンを正面から突破してやろうという動きだったが、今は小さな魔法を並列で起動させ、ティムに何もさせていない。
むしろどれも頑張れば避けられる場所を狙う事で無理な体勢に追い込んでいる。
「ほい」
「あっ!?」
そして体勢が大きく崩れれば極小威力の水弾でも足をとれる。
尻もちをついたところティムの眼前にライヤの剣がぴたりと止まる。
「……負けました」
「守りの方が分がいいだろうと誘導したのは理解できる。だが、それで勝てるのか? 格上である俺に最初から守りに回るのは悪手だぞ。相手の力量が正確に把握できているならいいが、自分よりどれだけ上かわからないなら、その判断が致命傷になる。近衛兵は要人を守るのが仕事だと思っているだろうし、正解だが守るのも別に受動的である必要はないだろ? ティムが相手に詰めて一対一を行えればウィルの周りは一気に安全になる。攻める手も考えておいた方がいい」
「ありがとうございました」
「あ、あと」
「?」
「厳しいことを言うが、敢えて言っておく。守りに関してだけ言えばマロンの方が上だ。謙虚にな」
ティムは自分の顔が赤くなるのを自覚する。
見透かされていた。
マロンに出来て自分が出来ないことなどないと思って作戦を立てていたことを。
「お疲れぇー。惜しかったねぇー」
そんなティムにマロンが声をかける。
「……さっきのを聞いてなかったんですか?」
「聞いてたよぉー。でも、そんなに怒ることじゃないよねぇー。それで馬鹿にされたんだったら僕も怒るかもだけど。そういうわけじゃないしねぇー。実際、戦ったらティムが勝つでしょー?」
のんびりと話すマロンの様子にティムはまた負けたと思う。
自分のくだらないプライドよりも、互いに実力を正確に把握しているマロンの方がよほど優秀ではないかと。
これを機にティムは更なる修練を積むようになる。
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