国の命運を握る星読みの魔女やってます

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占いの理由

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二人がけのソファに座ると隣に猫姿のレオンが座る。
テーブルを挟んだ向かいのソファにはジェイドだ。
ジェイドの話によると、彼の四つ下の妹であるアメリアが最近病気にかかったしい。
初めは咳と喉の痛みの風邪のような症状だった。
しかし三日前から高熱が出始め、身体中に黒モヤのような模様が出始めた。
医者に見せるも、この様な症例は見たことがなく、アメリアは弱っていく一方だった。
そんな時、彼は思い出したのだ、我が国には星読みの魔女と言われる存在がいることを。
噂によれば、王都の西の森にある館に住んでいるらしい。
いても立ってもいられず、彼は屋敷を飛び出し、星読みの魔女の館を探しに森に行き、探している途中で魔獣に襲われたそうだ。
「自分はもうダメだと思ったのだが、これも星のお導きなのか」
彼の嬉しそうな表情を見ると、占わないとは言いづらい。
それに彼の妹を思う気持ちに心を打たれたのは確かだ。
「わかった、わかったわ。本当は突然やってきて占って欲しいと言われても絶対に占わないけど。今回だけだからね。あと、ここの事や私の事は誰にも言わないと誓ってもらうから」
リリアナがそう言うと、ジェイドは立ち上がってリリアナの手を両手で掴み上下に振った。
「ありがとうございます。星読みの魔女様!! 決して他言致しません」
「まあ、普通の人はここまで辿り着けないがな」
レオンがボソリと呟く。
「え? 何ですか?」
「何でもないわ。独り言よ」
ジェイドの言葉にリリアナは慌てて答える。
(もう、レオンったら。猫が喋ってる事が知られたら困るでしょ)
レオンを見るが、彼は知らんぷりだ。
「じゃあ、占いの部屋に行きましょう」
リリアナは話を変える様に立ち上がるとジェイドを占いに使っている部屋に促した。
「こっちよ」
占いの部屋はミステリアスな雰囲気の夜を思わせる紺色の壁紙にシャンデリアの部屋だ。
丸いテーブルには紺地に金の刺繍が入った大きなテーブルクロス。
アンティーク調の家具には金の燭台が飾ってある。
「そちらにお座りなさい」
ジェイドにテーブルを挟んで向かい合っているアンティークの椅子に座るよう言い、私は反対側の椅子に座る。
足元にはレオンが丸まった。
「さあ、なにを占って欲しいの?」
首にかけていた金のペンダントを外し、手に持つとリリアナは訊ねた。
「妹が何の病気なのか。その治療方法を占っていただきたい」
ジェイドはまっすぐ私の目を見ると答えた。
「わかったわ」
そう言うと、私はペンダントに魔力を注ぎ始めた。
「アストロラーべよ。星読みの魔女リリアナが問う。ジェイドの依頼、妹アメリアの病気とその治療法を教えて」
途端に辺りは星が瞬く夜空になり、目にも星が輝いた。
すると紺色の髪の少女がベッドで寝ている映像が見えた。
美しい少女であろうに、やつれて顔色が悪く酷く衰弱している。
「アメリアの病名は黒霧病。高熱と共に体に黒いモヤのような模様が出始める。処置をしないと衰弱し、一月前後で死に至る事が多い」
感情がこもらない声が自然に口から出ていく。
「何だって!! アメリアが……死んでしまうかもしれないなんて!」
ジェイドは慌てて訊ねた。
「星読みの魔女様!! アメリアをどうかお助けください!」
気持ちはわかるが星読みの魔女は神ではない。
人の生死はどうしようもできないが、治療方法を占う事ならできる。
「落ち着きなさい。治療方法はあります。スピリナ草の花を煎じて飲ませなさい。一度飲ませると翌日には体の模様が消え始め、次第に回復に向かうでしょう」
自分にしか見えないスピリナ草の映像を見ながら心の中で驚いた。
今日たまたま摘みに行った花が特効薬なんて偶然ある? でも悪意のある人はこの屋敷には入れないはずだし……。
その驚きをかき消す様にジェイドが叫んだ。
「スピリナ草の花だって!? 初めて聞いたがどこに行けば手に入るんだ……。こうしている間にもアメリアは苦しんでいるのに」
私は一度目を閉じると、再びゆっくり目を開けた。すると目からは無数の星が消えて、いつもの瞳に戻った、
「慌てる事はありません。スピリナ草の花ならこの屋敷にあります。持っていきなさい」
「え? 本当ですか?」
ジェイドはもう一度私の手を取った。
「是非! 是非お願いします。もちろん代金は必ずお支払いします。手持ちが足りなければ何年かかっても必ず」
「落ち着きなさい。今、スピリナ草を準備します。こちらでお待ちなさい」
そう言って、レオンに目で付いて来るように合図するとキッチンに向かった。
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