嫌われ悪役王子は死にたくない!!《本編完結済》

えの

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番外編⑹

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「ぐッ…もぅ…ゅるして…ガイ…ごめんなさぃ…」

「今日はどんなに泣こうが喚こうが許さねぇ」

「あ゛あ゛あ゛ぁッ!!それッ…!!ダメぇ!!奥はッ!!」


どうしてこんな事になってしまったのか…俺は涎と涙を流しながらぼんやりと思った。いや、俺が悪いですけどね…でもこれは想定外だわ…。ガイがこんなにも…今日の自分の行動を恨まずにはいられない。


今日はブライアンと城下町に一緒に降りてお買い物をしていたのだ。何故か?それはですね…ブライアンと城内をお散歩していた時、小耳に挟んだのです。アダルトグッズ専門店が城下町にあると…小声で話す会話を必死に壁に張り付き盗み聞きしていた俺には、残念ながら鮮明な場所までは聞こえなかった。ってか場所聞いても分からん。

なので、お傍に居て、会話も一緒に盗み聞きしていたであろう、ブライアンに尋ねてみた。その可愛いお耳動いてたもんね!!

「今の会話…聞こえてたでしょ?」

途端に目を忙しなく泳がせ始めるブライアン。ほぅ?これはこれは…良い反応ではないか…何故かブライアンにだけは俺の秘めたるSッ気が発動してしまう。ニヤリと悪どい笑みを浮かべ問う。

「なぁ、面白そうなお店だよな?行ってみたい」

「シッ、シオン様!!いけません!!あの様なお店に行かれては…」

「あの様な、ね~。どの様な店なのか俺に教えてくれる?」

「えっ、そそその…夜に…いや…えっとですね…」

ぐぅー!!なんて可愛さ…恥じらいながらも一生懸命に俺に伝えようとする姿…キュンキュンしちゃうわ!!もっと見ていたいけど、本題に入らなければ…。

「連れて行って欲しいなぁ~最近ガイも忙しいみたいだし、俺…退屈で死んじゃうかも…」

「そんな…シオン様…」

「ブライアン!!お願いッ!!一生のお願いッ!!」

秘技!!何度でも発動する一生のお願いを使い、ブライアンの服にしがみつく。自然となってしまう上目遣い。眉を下げ悲しげな目を向けると、ブライアンはうっ、とたじろぎ呆気なく陥落した。

うっしゃァァァァァー!!今日はガイもヘラも学園に行って居ない。俺を置いていくなんて…だが、なんて素晴らしいタイミング…俺の外出を咎めるものは誰も居ない。神よ…これはエロを探求する俺へのご褒美なのですね…。想いが伝わったのですね…。

正直、最近本当にガイが忙しくて構って貰えず、欲求不満が爆発しそうなんだよ。1人遊びにも限度があるし…アダルトグッズがあれば良いなと思っていた矢先の出来事。まさに運命!!

そのままの姿では危ないと古びたフード付きマントを着せられた。絶対にブライアンから離れないと約束し、手を握り締め馬車に乗り込む。カーテンの隙間から覗く外は賑わいを見せ、城内とは違う雰囲気に俺は旅行気分味わっているような感覚になった。まさにお土産屋さんでお土産を購入する感じで俺はアダルトグッズを購入しよう。ちょっとぐらい財布の紐が緩んじゃってもいいよね。

大通りを抜け、裏路地に入ると喧騒も聞こえなくなった。ここからは歩いて行くようで、ブライアンは先に馬車から降り、俺をエスコートしてくれる。本当に…俺一人だと人攫いにでもあってしまいそうな場所に目的のお店はあった。看板も何も出ていない。一見、普通の民家のようにみえる。ただ、1つ、扉がどぎつい紫色だということを除いては…。
主張強すぎるだろッ!!こんなの気になって入っちゃうわ!!

ブライアンが震える手でドアをノックし、ゆっくりと押し開ける。カランカランと鐘の音がし、どうぞとお店の人の声が奥から聞こえてきた。

ブライアンの後ろから部屋の中を覗くと、そこは俺にとってまさに夢の国だった。ワクワクが止まらない。棚にずらりと並ぶアダルトグッズの数々、ラックにかけられたコスプレ衣装の品揃えの多さ、あまりの興奮で鼻息が荒くなる。

「最高すぎるだろ…」

俺は持ってきていた仮面を顔に装着した。まぁ、日本でもアダルトグッズ専門店に行く時は顔を見られたくないからマスクしてたけど、こっちの世界は仮面被ってても違和感ないから助かるわ。近くの棚に置かれているローションに手を伸ばした。こちらの世界でも色々な種類があるようだ。お値段は高いのか安いのか相場が不明な俺にはわからん。

「ブライアン、この値段は普通?」

ローションを片手で持ちブライアンの顔の前に押し出す。ぐッ…喉を詰まらせ、狼狽えるブライアン。あぁ…エロいことに対する耐性が低いんだった。途端にイタズラ心が湧き上がる。俺の悪い癖だ。

「これは何に使うのかな?」

ローション置き場のすぐ近くにあった、SMグッズ売り場を指差しで首を傾げ、そして蝋燭を手に持った。

「そっ、それはですね…灯りをともす…」

んな訳ないじゃん。普通の蝋燭をアダルトグッズ専門店で売ってどうすんの?知っててわざと答えをはぐらかしてるんだろうな~。俺はブライアンがヘタレ攻め属性だと思っている。俺でエロ耐性上げておかないと、好きな人が出来た時に逃げられてしまうぞ!!ブライアンの為に…俺は心を鬼にすると決めた。

これは何?あれは何?と聞きまくり、全ての答えを上手いことはぐらかすブライアンに逆に俺は驚かされた。頭がキレるとはこの事か…。ブライアンの新しい一面を知ることが出来て俺は満足し、ぐったりと疲れきったブライアンを質問攻めから解放してあげた。頑張って付き合ってくれたんだし、何かブライアンにも買ってあげよう。


ブライアンを残してお店の奥へと足を進める。のれんが掛けられ奥が見えない場所があった。間違いない!!謎の確信が俺の足を突き動かす。足早にのれんをくぐると、そこにはここに来た目的と言っていい物が棚に並べられていた。

そうです…俺はディルドを買いに来たのです!!ガイの大きなペニスに突かれる快楽を覚えてしまえば、1人遊びが物足りなくて物足りなくて…お尻の穴が俺に強請ってくるんだ…でもガイ以外とセックスしたくないし、ディルドがあれば寂しいお尻を癒してあげれるのにと考えいた。おもちゃは浮気に入らないでしょ?

手に取る前に一つ一つじっくりとディルドの特徴を観察する。あまりにも気合を入れて見ていたいせいか、店員らしき人に声をかけられてしまった…。

「どの様なモノをお求めでしょう?」

声の方に顔を向けると、優しそうなメガネを掛けたお兄さんが立っていた。何故このような怪しいお店で働いているのか不思議なぐらいの清楚感ある出で立ちのお兄さん登場に困惑して固まってしまう。

「失礼致しました。お困りのように見えましたので…私はこの店のオーナー、ヨセフと申します」

丁寧なお辞儀に見蕩れていると、頼んでもいないのに目の前のディルドを指差し一つ一つ丁寧に説明してくれた。実に有難い。俺は異世界のアダルトグッズ事情にはまだまだ疎い。

「俺、人間なんですよ…専用のディルドとかってどこら辺になりますか?」

「でしたら、この辺りになりますね。他にご所望のモノは御座いますか?」

物腰柔らかな言い方に、ついつい何でも聞いてしまいそうになる。とりあえず、使い方を聞いてみたが、俺の知っている知識とは変わりなかった。ローションやらいつ使うのかわらん手錠に、ブライアンのお土産と何だかんだ買い込んでしまった。

「これはオマケです。ディルドを挿入しながらペニスを刺激すると最高ですよ」

ふんわりと笑いながら袋に入れてくれたのは小さなローターだった。太客だと思われたんかな?まぁ実際そうなんですけどね。

「ありがとうございます」

袋を受け取り、ぐったりしているブライアンの手を取って、帰るよと促せば、よろよろとした足取りで歩き出した。ブライアン…お前のヘタレは俺が鍛えてやるから安心しろ!!欲しいものがゲット出来てルンルンの俺は上機嫌だ。ガイ達の帰りは遅いと聞いている。つまり今帰っても充分に1人遊びが出来ちゃう…。あぁ…待ち望んだ初ディルド体験出来ちゃうんですよ!!何時もより濃い妄想出来ちゃうわ…。

城に着くと、ブライアンに頑張ったご褒美の蝋燭を渡し、何に使うか考えて俺に説明する事を無理やり誓わせ、自室に足早に戻った。

さぁッ!!今から最高の時間が始まりますよッ!!

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