老害扱いされ隠居した不老不死の大賢者であるエルフ美少女は田舎でスローライフを送りたい。世界の秩序が大変?知るかボケ。

月ノ@最強付与術師の成長革命/発売中

文字の大きさ
12 / 29

第12話 愚かなるもの

しおりを挟む

「ゴブリンの大群です! みなさん、世界樹の上に逃げてください! ツリーハウスに避難です!」

 私は、独自魔法――全域拡声ラウドスピーカーで地上にいる【ネオエルフ】のみなさんに呼びかけます。

「大変だ! エルキアさまが危険を知らせてくださったぞ! みんなで避難するんだ! 急げ!」

 よかった……真っ先に気がついたエルヴィンが、みなを先導してツリーハウスに向かっているようです。
 これでとりあえず、彼らの安全は確保できたでしょう。
 まあ、彼らも不死なので、殺されることはないでしょうが……。
 なんといっても相手はゴブリンです。
 何体か、上位種のオークもいます。
 彼らの手にかかれば、何をされるかわかりません。

「ではユシル、みんなを頼みます。私は、ゴブリンたちを止めてきます」

「はいママ。ここは私に任せてください!」

 私は空中浮遊スカイムーブで森の上空から、ゴブリンたちのもとへ一直線に向かいます。





「止まりなさい! ここより先は、エルフの国――エルムンドキアの領土となります。なにか用事があるのなら聞きますが……」

 ゴブリンのような凶暴な連中には、少し強気で対処したほうが良いです。
 下手に出るとなにをされるかわかりませんからね。
 私の言葉に、一人のゴブリンが反応しました。

「おろかなるものよ、ここはおれたちのなわばりだ……。ころされたくなければ、たちされ!」

 はぁ、そういうわけですか……。
 まったく、彼らのような弱い生物には、私の力がわからないんでしょうかね?
 まあ、無理もありませんか……力の差が違いすぎますもんね。

「違いますよ。ここは500年前から、私たちエルフの土地です。そこにあとから住み着いたのがあなたたちだっていうのに……」

「うおおおおお! ころす! エルフ! ころす! ころす!」

 どうやら話し合いでは解決しませんね……。
 ですがここは自然界。
 弱肉強食の世界です。
 ゴブリンたちもそのことは承知の上で、力を向けている。
 だったら格の違いを見せつけてやるまでです。

「まったく、野蛮なんですから……!」

 500年前とおんなじですね。
 前にもゴブリンとの戦争がありました。
 あの頃は私も未熟で、多くの犠牲を出しましたが……。
 今は違います。

人形製造ゴーレムクリエイト!」

 彼らのような野蛮なモンスターに対しては、物理的な大きさで強さを示すのが一番です。
 私の魔力の膨大さを感じられないような連中ですからね。
 なので、ゴーレムを出してしまえば退くでしょう。
 私も彼らを蹂躙する気はありませんからね。
 無血で済むならそれに越したことはありません。

 ――ゴゴゴゴゴゴゴ!!!!

 大きな地響きとともに、地面から巨大なヒトガタが生えてきました。
 これこそ、古代の魔法技術が誇る、ゴーレムです。

「な、なんだこのおおきさは!? われわれではかてないっ……!」

 さすがのゴブリンたちも、ゴーレムにはびっくりしたみたいですね。
 この時代の人々は、ゴーレムなんて見たこともないでしょうから。
 ゴーレムは、もはや失われた技術です。

「さあ、これで私の力がわかりましたか? 争う気はありません。あなたがたの住居まで侵略していくつもりはありませんから、この森で共存していきましょう?」

 私はゴブリンの長らしき個体に向かって話しかけます。

「す、すみませんでした! あなたさまのお力、よくわかりました!」

 あらら……。
 なかなか素直なゴブリンたちですね。
 でも、負けるとわかっていて無理やり挑んでこない点は、評価します。
 これほど知能のましなゴブリンたちであれば、本当に共存できそうですね。

「ぜひ、われわれをお仲間に入れてください!」

「えぇ!? あなたたち、ゴブリンをですか……!?」

 たしかに私は共存していきましょうとは言いましたが……。
 エルムンドキアの一員に加えるつもりはありませんでした。
 エルフとゴブリンの共同体など聞いたこともありませんし……。
 上手くやっていけるのでしょうか?

「本気で言ってるんですか……?」

「はい。われわれゴブリンは、この森では格下の存在。ぜひ、あなたのような強者のもとで暮らしたい! あなたこそがこの森の王です!」

「うーん……【ネオエルフ】たちがなんと言うか……。そもそも、あなたたち、エルフに暴力は振るわないと約束できるんですか?」

「はい! もちろんです! みなに徹底させます! われわれは知能はエルフのみなさんに比べれば、微々たるものですが、力はあります! 力仕事は任せてください!」

 たしかに、エルフにはない強みを、彼らは持っています。
 彼のように、頭のいい個体も何体かいますしね。
 彼らが力仕事を担ってくれれば、【ネオエルフ】たちの助けにもなりますね……。
 幸い、空の住居は腐るほどあるんです。
 【ネオエルフ】たちが許すのであれば、彼らを受け入れてみましょう。

「はぁ……。仕方ありませんね、ついて来てください。【ネオエルフ】たちに会わせます」

「ありがとうございます! 偉大なるエルフの王よ!」





「ええ、我々は一向に構いませんよ」

「そうですか、よかったです」

 原初のエルフ――エルヴィンとエルシーラに訊ねたところ、二つ返事でオーケーがもらえました。
 これで人類初(?)のエルフとゴブリンの共同体が、ここに誕生しました。

「では、ゴブリン族のみなさん、よろしくお願いしますね」

「はい! 農作業でもなんでも、われわれに任せてください!」

 敵としては恐ろしいイメージしかありませんでしたが、味方になってしまえば頼もしい限りです。
 【ネオエルフ】たちにはそれほど強い力はありませんし、防衛の戦力としても頼りになります。
 まあ【ネオエルフ】は不死身なのであまり気にするところではないかもしれませんが……。
 そのうち【ネオエルフ】たちにも私が魔法を教えて、自衛の手段を身に着けてもらう必要がありそうですね。

「では、私はもう疲れたので、今日は寝ます」

 私が生あくびをしながら、ツリーハウスへ戻ろうとすると――。

「はい、お疲れ様でした、エルキアさま」

「おやすみなさいエルキアさま」

「エルキアさま、エルムンドキアに長寿と繁栄を!」

 みなさん……私を崇めすぎです……。
 眠りにくいじゃないですか……。

「は、はい……お、おやすみなさい……みなさん」





「はぁ……今日は疲れました」

 ――ぼふ。

 私は自室のベッドに倒れるようにして沈み込みます。
 その隣には、可愛い可愛いユシルがちょこんと座っています。

「ママ、お疲れ様です。みんなの神様をやるのは、大変ですよね」

「ですねぇ……。ぬわあああん、もう寝ます! あとのことは明日考えますぅー!」

「あはは、ママ珍しい! そういう子供っぽいところもあるんですね」

「ありますよぅ! 私だってたまにはダラダラしたいんです!」

 そんなふうにして、ユシルとおしゃべりして、じゃれ合っているうちに、私はいつの間にか眠っていました。
 こんなにぐっすり、深く眠ったのはいつぶりでしょう。
 不老不死なせいで、どうしても睡眠を軽視してしまうんですよねぇ……。
 だからかは知りませんが、たまにこうして、どっぷり眠る時間が必要になります。

 このときの私は知りませんでした……。
 朝起きて、あんなことが起こっているとは――。
しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

五年後、元夫の後悔が遅すぎる。~娘が「パパ」と呼びそうで困ってます~

放浪人
恋愛
「君との婚姻は無効だ。実家へ帰るがいい」 大聖堂の冷たい石畳の上で、辺境伯ロルフから突然「婚姻は最初から無かった」と宣告された子爵家次女のエリシア。実家にも見放され、身重の体で王都の旧市街へ追放された彼女は、絶望のどん底で愛娘クララを出産する。 生き抜くために針と糸を握ったエリシアは、持ち前の技術で不思議な力を持つ「祝布(しゅくふ)」を織り上げる職人として立ち上がる。施しではなく「仕事」として正当な対価を払い、決して土足で踏み込んでこない救恤院の監督官リュシアンの温かい優しさに触れエリシアは少しずつ人間らしい心と笑顔を取り戻していった。 しかし五年後。辺境を襲った疫病を救うための緊急要請を通じ、エリシアは冷酷だった元夫ロルフと再会してしまう。しかも隣にいる娘の青い瞳は彼と瓜二つだった。 「すまない。私は父としての責任を果たす」 かつての合理主義の塊だった元夫は、自らの過ちを深く悔い、家の権益を捨ててでも母子を守る「強固な盾」になろうとする。娘のクララもまた、危機から救ってくれた彼を「パパ」と呼び始めてしまい……。 だが、どんなに後悔されても、どんなに身を挺して守られても、一度完全に壊された関係が元に戻ることは絶対にない。エリシアが真の伴侶として選ぶのは、凍えた心を溶かし、温かい日常を共に歩んでくれたリュシアンただ一人だった。 これは、全てを奪われた一人の女性が母として力強く成長し誰にも脅かされることのない「本物の家族」と「静かで確かな幸福」を自分の手で選び取るまでの物語。

メインをはれない私は、普通に令嬢やってます

かぜかおる
ファンタジー
ヒロインが引き取られてきたことで、自分がラノベの悪役令嬢だったことに気が付いたシルヴェール けど、メインをはれるだけの実力はないや・・・ だから、この世界での普通の令嬢になります! ↑本文と大分テンションの違う説明になってます・・・

大自然を司る聖女、王宮を見捨て辺境で楽しく生きていく!

向原 行人
ファンタジー
旧題:聖女なのに婚約破棄した上に辺境へ追放? ショックで前世を思い出し、魔法で電化製品を再現出来るようになって快適なので、もう戻りません。 土の聖女と呼ばれる土魔法を極めた私、セシリアは婚約者である第二王子から婚約破棄を言い渡された上に、王宮を追放されて辺境の地へ飛ばされてしまった。 とりあえず、辺境の地でも何とか生きていくしかないと思った物の、着いた先は家どころか人すら居ない場所だった。 こんな所でどうすれば良いのと、ショックで頭が真っ白になった瞬間、突然前世の――日本の某家電量販店の販売員として働いていた記憶が蘇る。 土魔法で家や畑を作り、具現化魔法で家電製品を再現し……あれ? 王宮暮らしより遥かに快適なんですけど! 一方、王宮での私がしていた仕事を出来る者が居ないらしく、戻って来いと言われるけど、モフモフな動物さんたちと一緒に快適で幸せに暮らして居るので、お断りします。 ※第○話:主人公視点  挿話○:タイトルに書かれたキャラの視点  となります。

似非聖女呼ばわりされたのでスローライフ満喫しながら引き篭もります

秋月乃衣
恋愛
侯爵令嬢オリヴィアは聖女として今まで16年間生きてきたのにも関わらず、婚約者である王子から「お前は聖女ではない」と言われた挙句、婚約破棄をされてしまった。 そして、その瞬間オリヴィアの背中には何故か純白の羽が出現し、オリヴィアは泣き叫んだ。 「私、仰向け派なのに!これからどうやって寝たらいいの!?」 聖女じゃないみたいだし、婚約破棄されたし、何より羽が邪魔なので王都の外れでスローライフ始めます。

勝手に召喚され捨てられた聖女さま。~よっしゃここから本当のセカンドライフの始まりだ!~

楠ノ木雫
ファンタジー
 IT企業に勤めていた25歳独身彼氏無しの立花菫は、勝手に異世界に召喚され勝手に聖女として称えられた。確かにステータスには一応〈聖女〉と記されているのだが、しばらくして偽物扱いされ国を追放される。まぁ仕方ない、と森に移り住み神様の助けの元セカンドライフを満喫するのだった。だが、彼女を追いだした国はその日を境に天気が大荒れになり始めていき…… ※他の投稿サイトにも掲載しています。

役立たずと追放された聖女は、第二の人生で薬師として静かに輝く

腐ったバナナ
ファンタジー
「お前は役立たずだ」 ――そう言われ、聖女カリナは宮廷から追放された。 癒やしの力は弱く、誰からも冷遇され続けた日々。 居場所を失った彼女は、静かな田舎の村へ向かう。 しかしそこで出会ったのは、病に苦しむ人々、薬草を必要とする生活、そして彼女をまっすぐ信じてくれる村人たちだった。 小さな治療を重ねるうちに、カリナは“ただの役立たず”ではなく「薬師」としての価値を見いだしていく。

婚約破棄されたので森の奥でカフェを開いてスローライフ

あげは
ファンタジー
「私は、ユミエラとの婚約を破棄する!」 学院卒業記念パーティーで、婚約者である王太子アルフリードに突然婚約破棄された、ユミエラ・フォン・アマリリス公爵令嬢。 家族にも愛されていなかったユミエラは、王太子に婚約破棄されたことで利用価値がなくなったとされ家を勘当されてしまう。 しかし、ユミエラに特に気にした様子はなく、むしろ喜んでいた。 これまでの生活に嫌気が差していたユミエラは、元孤児で転生者の侍女ミシェルだけを連れ、その日のうちに家を出て人のいない森の奥に向かい、森の中でカフェを開くらしい。 「さあ、ミシェル! 念願のスローライフよ! 張り切っていきましょう!」 王都を出るとなぜか国を守護している神獣が待ち構えていた。 どうやら国を捨てユミエラについてくるらしい。 こうしてユミエラは、転生者と神獣という何とも不思議なお供を連れ、優雅なスローライフを楽しむのであった。 一方、ユミエラを追放し、神獣にも見捨てられた王国は、愚かな王太子のせいで混乱に陥るのだった――。 なろう・カクヨムにも投稿

追放したんでしょ?楽しく暮らしてるのでほっといて

だましだまし
ファンタジー
私たちの未来の王子妃を影なり日向なりと支える為に存在している。 敬愛する侯爵令嬢ディボラ様の為に切磋琢磨し、鼓舞し合い、己を磨いてきた。 決して追放に備えていた訳では無いのよ?

処理中です...