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第19話 なんだこのモフモフ天国は!
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・無限収納庫
・【無限キノコ】
・素材変換機
・金属探知機
・【アイアンスライム】
・スライム吸引機
これだけあれば、ルキアール王国のみなさんだけでも線路が作れますね。
操作境界面の使いかたも、リシアンさんに教えてありますから、もう安心してエルムンドキアに帰れます。
「ではリシアンさん、あとは大丈夫ですね?」
「はい。線路を作って、それを森へ向かって並べていく……でしたよね」
「そうです。私はエルムンドキアからルキアール王国へ向かって線路を繋げていくので、中間地点で落ち合いましょう」
「いろいろとお世話になりました。線路が繋がって、やり取りできるのが楽しみです」
「そうですね! 私も、またリシアンさんとお会いできるのを楽しみにしています」
名残惜しいですが、そろそろエルムンドキアの状況も心配です。
みなさん、元気に暮らしていますでしょうか?
ユシルは?
【ネオエルフ】たちは?
ゴブリンたちは?
「空中浮遊!」
私は急いで森へと向かいます。
久しぶりに、はやくみんなに会いたいです。
◇
「……って、これはなんなんですかあああああああ!?」
――モフ。
――モフモフ。
――モフモフモフ。
私の身体のまわりを、モフモフたちが行ったり来たり。
緑のモフモフ、黄色のモフモフ。
くしゃみが出そうです。
「エルキアさま、お初にお目にかかります。私はモフモフ連合の代表、モルコと申します」
「はぁ」
私の前に現れたのは――喋る羊……なんですかね、これ?
なにか彼らだけ作画が違う……というか、そこにいるだけで違和感があるような見た目をしています。
500年生きてきましたが、こんな生物は初めてです。
この森の瘴気がはぐくんだ、特殊な生き物なのでしょうか?
「あの……だれか状況説明を頼めますか?」
「はい! 私が説明しましょう!」
そう名乗り出たのは、ユシルだったでした。
ユシルと話すのもなんだか久しぶりな気がしますね。
「ママがいない間に、彼女たち――モフモフ連合の方たちが突如、このエルムンドキアに現れました」
「はぁ、」
「彼女たちはなんと、この国の偉大さに恐れおののき、ママこそがこの森の指導者だと確信したそうです!」
「そうなんですか……」
つまり、この国に完全降伏し、仲間に加わりたいと……そういうことですか。
まあ私もモフモフはそこそこ嫌いではありませんし……いいでしょう。
「えーっと、モフモフ連合の……モルコさん、でしたっけ? エルムンドキアの王として、あなたたちを歓迎します」
「ありがたきお言葉! 恐悦至極に存じます」
それにしても……喋る羊というのも慣れませんねぇ。
なんとかならないものでしょうか……。
ですがその懸念は、すぐに晴れることになります――。
◇
「おはようございます、エルキアさま!」
「うわぁ!? ……っと、誰!? ですか……?」
翌朝私の前に現れたのは、謎の羊人間でした。
ですが私が驚いたのはその奇妙な見た目にだけではありません。
彼女はどこからどうみても、人間の美少女そのものだったからです。
半裸の美少女の身体に、羊のモフモフがくっついているような……そんな見た目。
「私です! モフモフ連合の代表、モルコですよ!」
「えぇっ!? あなたが昨日の羊なんですか!?」
「そうですよ! 昨日あんなにモフモフした仲じゃないですかやだー」
そんなことを言われても……こうも見た目が違っているのでは……。
いったいどういうことなのでしょうか?
以前にもゴブリンたちが人化するという現象がありましたが……。
あれは世界樹の力だったのでは?
私が疑問に頭を悩ませていると……。
「きっとママの魔力のせいですね」
「私の魔力ですか? ユシル、なにか心当たりが?」
「ええ、ゴブリンたちの人化は、世界樹のせいだと思っていましたが、どうもそれだけではありませんね……。ママの魔力に世界樹が、呼応して、この現象を引き起こしているんだと思います」
なるほど……だから私がこの国に帰ってきた途端に、彼女たちは人化したと。
それにしても、羊人間……可愛すぎます。
「えいっ! もっとモフモフさせてください!」
「えぇ!? エルキアさま! お戯れを~!」
「逃がしませんよ~! うりゃうりゃ! モフモフ!」
「あ、ずるいですママ! 私もモフモフします!」
私とユシルは、モルコさんを追いかけ回し、たっぷりとモフモフさせてもらいました。
これで数週間はモフモフ成分を接種しないで済みます。
「ふぅ……」
「え、エルキアさま……大胆ですぅ……こんな真昼間からぁ……」
モルコさんはなぜか顔を真っ赤にして座り込んでしまっています。
彼女にとっては、それほど恥ずかしいことだったのでしょうか?
だとしたら少し申し訳ないですね。
「モフモフさんたち的には、モフモフされるのはあまりお好きではないんですか?」
「うぅ……そうではありませんが……その……ゴニョニョゴニョ」
モルコさんは私に近づき、耳打ちをします。
その内容は、モフモフを人間同士の行為に例えて説明したものでした。
あまり大きな声では言えませんが……私も思わず顔が赤くなってしまいます。
「えぇ!? モフモフって人間でいうところの、そんな行為に相当するんですか!? それは、ちょっと申し訳ないことをしてしまいましたねぇ……」
「いえいえ! 決して嫌ではありませんので! む、むしろ……エルキアさまなら大歓迎です! ただちょっと……いきなりだったので恥ずかしかっただけで……」
「あ、そうなんですね。ならよかったです。今後も遠慮なくモフモフできそうです」
そんなこんなで、新しい種族がこの国に加わりました!
ここらで一度、国民の内訳を見てみましょうか。
・エルフ一人(私です)
・世界樹の精霊一人(ユシル)
・【ネオエルフ】30人(また増えてました)
・ゴブリンたち50人(内オーク4人)
・モフモフさんたち20人(羊タイプ5人、猫タイプ10人、狐タイプ5人)
けっこう賑やかになって来ましたね……。
でも当分は大丈夫なくらい、家も食料も余っています。
あとはルキアール王国との線路を開通させれば、とりあえずの一仕事は終わりですね!
エルムンドキア再興も目の前です!
頑張れ私!
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