老害扱いされ隠居した不老不死の大賢者であるエルフ美少女は田舎でスローライフを送りたい。世界の秩序が大変?知るかボケ。

月ノ@最強付与術師の成長革命/発売中

文字の大きさ
27 / 29

第27話 追い返す

しおりを挟む

 私がルキアール王国に来てから、数か月が経ちました。
 その間に私がやったことと言えば――。

 土地の改造、それから農耕改革、さらには政治に関する改善まで、多岐にわたります。
 この国のみなさんの努力もあって、今ではすっかり国力を取り戻しています。

 あれだけ荒れ果てていた土地は、もはやどこにも面影がありません。
 辺り一面緑に囲まれ、たくさんの作物が育っています。

「いやぁ、これもシルヴィアさんのおかげですよ」

「いえいえ、リシアンさんもかなり頑張ってましたよ。私一人の力じゃありません」

 私たちは、豊かになった国をしみじみと感じながら歩いて回ります。
 みなさん熱心に農業に励んだり、興行にいそしんでいます。

「あ! リシアン王、それにシルヴィアさんだ!」

「ほんとだ! 今日もお似合いですねぇ!」

「もう、みなさん茶化さないでください」

 二人で歩いていると、よくこうして声をかけられます。
 国民との距離が近くて、気さくな王様です。
 私はそんな平和な、この国が大好きになりました。

 だけどそんなある日、招かれざる客が訪れたのです――。

「シルヴィアさん、昔の知り合いだという方がいらっしゃってますが……」

 私はお城の一室をお借りして、そこに寝泊まりしていました。
 来客を知らせに来てくださったのも、お城の報告係の方でした。

「ありがとうございます。今、参ります」

 私が広間へ行くと、すでにリシアンさんが来客を対応されていました。

「リシアンさん、私の代わりに……? お城へ通してよかったのですか?」

「当然です、シルヴィアさんの昔の知り合いなのでしょう? でしたら、面会を断る理由はありませんよ。むしろ、私もシルヴィアさんの昔話を聞かせてもらいたくて、こうして先にお通ししたのです」

「はぁ、そうですか……」

 たしかに、リシアンさんからすればそうなるのでしょう……。
 ですが、この来客は……。

 昔の知り合い、と言っても――。

「なんの用でしょうか、クロード・キュプロス王子……?」

 そう、来客とは、私を追放した張本人である――ヴァルム王国のクロード・キュプロス王子だったのです。
 いったいどの面を下げてやってこれたのでしょうか。
 しかもわざわざ私の行き先を調べ上げたなんて……気持ち悪いです。

「これはこれはシルヴィアさん、つれないじゃないですか。元婚約者が、わざわざこうして訪ねてきたのですよ? しかもかなり探し出すのには骨を折りましたよ。まさかこんな辺境の地に身を落ち着けていただなんてねぇ……。もっと歓迎してくれてもいいんじゃありません? ねえ、リシアン王」

「えぇ!? お二人は婚約関係にあったのですか!?」

「勘違いしないでくださいリシアンさん。彼はデタラメを言っています。こんな人の言うこと、信じないでください」

「おいおい! 失礼だなぁ! この国は客人にそんな対応するのかよ!」

 相変わらず嫌な感じの人ですね……。
 これがクロードの本性というわけですか。
 今思うと、さっさと婚約を破棄出来てよかったです。

「それで、今更なんの用なのでしょうか?」

「ああ、そうでした……。実はですねぇシルヴィアさん。あなたが居なくなってしまって、大変困っているのですよ……」

「はぁ……?」

 自分たちから追い出しておいて、何を言っているのでしょう?
 さすがに低知能すぎて呆れます……。
 言ってることが滅茶苦茶ですね。

「いえね、あれから皆で話し合って、老人を追放することにしたのです。ですがその政策は失敗に終わりました……。なのでこの状況をなんとかしてほしいのです。暴動が起きてしまって、正直手に負えない」

「え……」

 私はクロードの言葉に絶句しました。
 本当のバカなのでしょうか……。
 まさか私が居なくなって数か月で、ここまでの失策をやらかすとは思ってもみませんでした。
 本来であればクロードの国は、議会に参加できないほどの小国です。
 なのでクロードの知識や統治能力も、大したことないことは、百も承知でした。
 ですがまさかここまでとは……。

「そんなの、あたりまえじゃないですか。自業自得ですよ。というか、他の議会員がよく許しましたね……」

 まあきっと、私がいなくなったところで調子に乗っていたのでしょう。
 議会揃って無能ですね……。
 いくら経験がないと言っても、これは……。
 歴史を学ばないからこうなるんです。
 私は500年の間に、知識の累積がありますからね、こんなへまはしません。

「そこをなんとか……! 私も後悔をしているのです! あなたを追い出してしまったことはこの際ですから・・・・・・・謝ります! ですからどうか、最後に一度だけお助けください! シルヴィアさんの魔法なら、なんとかできるはずです!」

「そんな、暴動を鎮めるなんてこと、無理ですよ。魔法で人の心までは操れませんからね。民の心が一度離れたら、その国はもうおしまいですよ」

 まったく、このルキアール王国を見習ってもらいたいものですね。
 するとそこで、さっきまでは比較的穏やかに話していたクロードが、豹変しました。

「っち……下手にでりゃあ、さっきからなんなんだよ! 結局なんにもできねえ、口先だけの老害ババアのくせに!」

 ついに本性を表しましたね……。
 まったく、愚かにもほどがあります。
 どうしましょうかねぇ……。
 私がどう対処するべきか悩んでいると、リシアンさんが急にクロードへと詰め寄りました。

「な、なんだよ!?」

「さっきから聞いていれば……なんなんですかあなたは! シルヴィアさんに向かってその態度は!」

 リシアンさん、私のために……。

「っは! 俺はヴァルム王国のクロード・キュプロス王子だぞ? それに新世界秩序機構ニューオーダーズの一員でもある。そんな俺に、こんな小国の王ごときがたてつこうっていうのか?」

「そんなことは関係ありません、シルヴィアさんは私の恩人です。そしてこのルキアール王国の救世主です。あなたのようにシルヴィアさんにあだなす者は、この国にとっても敵です」

 リシアンさんの気持ちは嬉しいですが……そんなことを言って大丈夫なのでしょうか……。

「ほう……? その言葉、忘れないぞ? こんな無礼な小国、ひねりつぶしてやるからな。覚えておけよ?」

 クロードはそれだけ言うと、怒ったまま帰ってしまいました。

「リシアンさん、ありがとうございました。ですが、リシアンさんまで彼の恨みを買ってしまったのでは?」

「大丈夫ですよシルヴィアさん。あんな男怖くありません。それに、この国も国力を取り戻しつつありますので……。彼らの国からこの国を攻めようと思うと、険しい山や森を抜けてこなければなりませんからね。そう強くは出てこれないでしょう」

「そうですか……」

 だといいのですが……。
 まあ、クロードの国は暴動が起きていると言っていましたし、戦争どころではないでしょうから……。
 放っておいても大丈夫かもしれませんね。

しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

五年後、元夫の後悔が遅すぎる。~娘が「パパ」と呼びそうで困ってます~

放浪人
恋愛
「君との婚姻は無効だ。実家へ帰るがいい」 大聖堂の冷たい石畳の上で、辺境伯ロルフから突然「婚姻は最初から無かった」と宣告された子爵家次女のエリシア。実家にも見放され、身重の体で王都の旧市街へ追放された彼女は、絶望のどん底で愛娘クララを出産する。 生き抜くために針と糸を握ったエリシアは、持ち前の技術で不思議な力を持つ「祝布(しゅくふ)」を織り上げる職人として立ち上がる。施しではなく「仕事」として正当な対価を払い、決して土足で踏み込んでこない救恤院の監督官リュシアンの温かい優しさに触れエリシアは少しずつ人間らしい心と笑顔を取り戻していった。 しかし五年後。辺境を襲った疫病を救うための緊急要請を通じ、エリシアは冷酷だった元夫ロルフと再会してしまう。しかも隣にいる娘の青い瞳は彼と瓜二つだった。 「すまない。私は父としての責任を果たす」 かつての合理主義の塊だった元夫は、自らの過ちを深く悔い、家の権益を捨ててでも母子を守る「強固な盾」になろうとする。娘のクララもまた、危機から救ってくれた彼を「パパ」と呼び始めてしまい……。 だが、どんなに後悔されても、どんなに身を挺して守られても、一度完全に壊された関係が元に戻ることは絶対にない。エリシアが真の伴侶として選ぶのは、凍えた心を溶かし、温かい日常を共に歩んでくれたリュシアンただ一人だった。 これは、全てを奪われた一人の女性が母として力強く成長し誰にも脅かされることのない「本物の家族」と「静かで確かな幸福」を自分の手で選び取るまでの物語。

大自然を司る聖女、王宮を見捨て辺境で楽しく生きていく!

向原 行人
ファンタジー
旧題:聖女なのに婚約破棄した上に辺境へ追放? ショックで前世を思い出し、魔法で電化製品を再現出来るようになって快適なので、もう戻りません。 土の聖女と呼ばれる土魔法を極めた私、セシリアは婚約者である第二王子から婚約破棄を言い渡された上に、王宮を追放されて辺境の地へ飛ばされてしまった。 とりあえず、辺境の地でも何とか生きていくしかないと思った物の、着いた先は家どころか人すら居ない場所だった。 こんな所でどうすれば良いのと、ショックで頭が真っ白になった瞬間、突然前世の――日本の某家電量販店の販売員として働いていた記憶が蘇る。 土魔法で家や畑を作り、具現化魔法で家電製品を再現し……あれ? 王宮暮らしより遥かに快適なんですけど! 一方、王宮での私がしていた仕事を出来る者が居ないらしく、戻って来いと言われるけど、モフモフな動物さんたちと一緒に快適で幸せに暮らして居るので、お断りします。 ※第○話:主人公視点  挿話○:タイトルに書かれたキャラの視点  となります。

似非聖女呼ばわりされたのでスローライフ満喫しながら引き篭もります

秋月乃衣
恋愛
侯爵令嬢オリヴィアは聖女として今まで16年間生きてきたのにも関わらず、婚約者である王子から「お前は聖女ではない」と言われた挙句、婚約破棄をされてしまった。 そして、その瞬間オリヴィアの背中には何故か純白の羽が出現し、オリヴィアは泣き叫んだ。 「私、仰向け派なのに!これからどうやって寝たらいいの!?」 聖女じゃないみたいだし、婚約破棄されたし、何より羽が邪魔なので王都の外れでスローライフ始めます。

勝手に召喚され捨てられた聖女さま。~よっしゃここから本当のセカンドライフの始まりだ!~

楠ノ木雫
ファンタジー
 IT企業に勤めていた25歳独身彼氏無しの立花菫は、勝手に異世界に召喚され勝手に聖女として称えられた。確かにステータスには一応〈聖女〉と記されているのだが、しばらくして偽物扱いされ国を追放される。まぁ仕方ない、と森に移り住み神様の助けの元セカンドライフを満喫するのだった。だが、彼女を追いだした国はその日を境に天気が大荒れになり始めていき…… ※他の投稿サイトにも掲載しています。

役立たずと追放された聖女は、第二の人生で薬師として静かに輝く

腐ったバナナ
ファンタジー
「お前は役立たずだ」 ――そう言われ、聖女カリナは宮廷から追放された。 癒やしの力は弱く、誰からも冷遇され続けた日々。 居場所を失った彼女は、静かな田舎の村へ向かう。 しかしそこで出会ったのは、病に苦しむ人々、薬草を必要とする生活、そして彼女をまっすぐ信じてくれる村人たちだった。 小さな治療を重ねるうちに、カリナは“ただの役立たず”ではなく「薬師」としての価値を見いだしていく。

追放したんでしょ?楽しく暮らしてるのでほっといて

だましだまし
ファンタジー
私たちの未来の王子妃を影なり日向なりと支える為に存在している。 敬愛する侯爵令嬢ディボラ様の為に切磋琢磨し、鼓舞し合い、己を磨いてきた。 決して追放に備えていた訳では無いのよ?

【完結】追放された子爵令嬢は実力で這い上がる〜家に帰ってこい?いえ、そんなのお断りです〜

Nekoyama
ファンタジー
魔法が優れた強い者が家督を継ぐ。そんな実力主義の子爵家の養女に入って4年、マリーナは魔法もマナーも勉学も頑張り、貴族令嬢にふさわしい教養を身に付けた。来年に魔法学園への入学をひかえ、期待に胸を膨らませていた矢先、家を追放されてしまう。放り出されたマリーナは怒りを胸に立ち上がり、幸せを掴んでいく。

魔法が使えない令嬢は住んでいた小屋が燃えたので家出します

怠惰るウェイブ
ファンタジー
グレイの世界は狭く暗く何よりも灰色だった。 本来なら領主令嬢となるはずの彼女は領主邸で住むことを許されず、ボロ小屋で暮らしていた。 彼女はある日、棚から落ちてきた一冊の本によって人生が変わることになる。 世界が色づき始めた頃、ある事件をきっかけに少女は旅をすることにした。 喋ることのできないグレイは旅を通して自身の世界を色付けていく。

処理中です...