上 下
19 / 67

第19話 筆記試験→ez

しおりを挟む

 なぜかカンナも学校に行くこととなり……俺、カンナ、ライゼ、ティナの四人でトカゲに乗って試験会場にやってきた。
 試験会場は学校に併設された施設で行われるようだ。
 貴族が通うというだけあって、なかなか綺麗な学校で、施設も充実している。
 まるでこの学校全体が一つのお城、いや、街のようなデカさがあった。
 いちおう俺とカンナもローゼンベルク王から爵位をもらっていて、貴族という扱いみたいだ。
 さっさと受付を済ませると、それぞれ別の教室に分かれて机に着席させられる。
 どうやらまず第一回目の試験科目は、筆記試験のようだ。
 俺にとって唯一の不安材料があるとすれば、この筆記試験だが……いったいどうなるやらだな。

「それではこれから、テスト用紙を配る。開始の合図がなるまで、まだ中身を見ないように!」

 やってきた教師が、前から順番に用紙を配っていく。
 なかなかテスト用紙が分厚くて、みんな不安そうな顔をしているな。
 カンナやライゼ、ティナたちとは別々の教室だが、みんな大丈夫だろうか。

「よし! はじめ! 開いていいぞ! テスト時間は140分だ。それまでに書き終えるように」

 教師がそう告げると、みんなバサバサと一斉に用紙を開いて筆記し始めた。
 俺も用紙を開いて、まずは問題を眺めてみるとするか。
 開始からやや経って、見回りの教師が俺の机で足を止めた。

「ん? 君、筆記用具を持っていないようだが? 貸出ならテストが始まるまでに済ませておきなさい。今回は特別だぞ」

 そう言って、教師は俺に筆記用具を差し出した。
 だが、俺はそれを受け取らなかった。

「いや、俺には必要ない。貸出のシステムは知っている。必要なかったから借りなかっただけだ」
「それはどういう……?」

 俺は創造のスキルを使って、空中に筆記用具をつくり出してみせた。
 使用したCPはわずか50ポイント。
 別に俺はいちいち些末なものを持ち運ばなくても、その場で作り出せるのだ。

「ほ、ほう……君、面白いスキルだな。アイテムボックス……か……? ま、まあいい。それだけのスキルを持っているのだ、回答にも期待しているよ……っく……」

 教師はそう言って俺の席を離れていった。
 いらぬ邪魔が入って時間を奪われたな。
 難しい問題かもしれないから、さっさと確認しないと。
 俺はテストを開いて、さっそく解きに入る。
 しかし、俺の予想に反して、テストの問題はあまりにもあまりにも……という感じだった。

「な、なんだこれ……簡単すぎる……」

 どれもこれも、魔法を使う上で当たり前にわかるはずのものばかりだ。
 魔法の原理的なものは、俺も勉強していないからわからないが……。
 ここに書かれている質問は、どれも感覚的に、当たり前にわかってしかるべきものだった。

「これじゃあ、140分もいらないぞ……」

 それどころか、14分くらいで終わってしまいそうだ。
 しばらくくだらない問題に解答していくと、今度は別のカテゴリーの問題に変わった。
 さっきまでは魔法についての問題だったが、今度はモンスターやアイテム類についての知識を問われるようだ。
 伝説の武器や、超危険な特級魔物。
 それから貴重な薬草や、アーティファクトについての問題。
 俺はもちろん、そんなものを勉強したことはない。
 だが――。

「なんだこれ……簡単すぎる……」

 どれもこれも、大魔境で暮らしてきた俺には簡単すぎるものだった。
 伝説の武器とかって言っても、俺はアイリの倉庫で実物を見たことがあるものばかりだった。
 それに、危険な特級魔物や伝説の生き物っていっても、どれもこれも大魔境では普通に生息しているものばかりだ。
 実物を嫌というほど見てきたし、何体も倒している。
 そんな俺の生の知識に、敵うものはいなかった。
 おそらくこれ、問題作ってるやつより俺のほうが詳しいまであるな……。
 貴重なアイテムとか植物っていっても、俺からしたらその辺に生えてた草だからな……。
 やっぱりあの大魔境の環境は、外の世界からしたらすごい場所なんだな。
 そんなふうに簡単すぎる問題を解いていく。
 あっというまに、ものの10分くらいで最後のほうまでたどり着く。
 すると、さっきまでとは全く違う、特殊な問題のページにきた。

「魔法陣……か……」

 それは、実際に魔法陣を描いてみろという設問だった。
しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

大自然の魔法師アシュト、廃れた領地でスローライフ

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:2,229pt お気に入り:24,145

美しすぎてごめんなさい☆

恋愛 / 完結 24h.ポイント:15,605pt お気に入り:575

処理中です...