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第58話 冒険者登録
しおりを挟む暗黒大陸へ渡るには、国の特別な許可証が必要らしい。
それは学院の研究者団と共にいくことで、なんとかなりそうだが……。
問題はハンターライセンスのほうだ。
暗黒大陸へ渡航するには、SSSランクのハンターライセンスが必要。研究者であればBランクのハンターライセンスでいいらしいので、サテナは大丈夫そうだ。
ということで、俺とカンナは冒険者ギルドへやってきた。
暗黒大陸へは、俺とカンナだけでいくことになっている。他のメンバーがいくには、あまりに危険だからだ。
研究目的以外で一般の人間が行って帰ってこられるような場所ではない。
ライゼたちを危険にさらすのは、俺も避けたいしな。
「あのー冒険者登録をしたいんだが」
とりあえずライセンスを発行してもらおう。
俺は冒険者ギルドのカウンターにいる受付嬢に話しかける。
「えーっと、それでは、こちらの水晶に手をかざしていただけますか? そして、魔力を…………そうですね、全力の十分の1ほどでいいので、注いでください」
「こうか……?」
俺はいわれた通り、魔力を10分の1ほど水晶に流し込む。
すると――。
――ズドーン!!!!
――ズガドシャアアアア!!!!
水晶からエネルギー波がとびだし、一瞬にしてギルドの壁と天井を破壊した。
「あ、あの……こ、これは……」
「いや、10分の1だとこうなるのか……」
ここは手加減をして100分の1程度にしておくべきだったか。
まあ、なってしまったもんは仕方がない。
「それで、俺のランクはいくつからスタートなんだ……?」
「それが……今ので水晶も壊れてしまいまして……」
「ああ……」
さすがに俺が魔力を流し込むと水晶も機能しないか。
おそらくは魔力の量を測るための水晶だったのだろうが……。
これではランクもわからないな。
「と、特別に……今回はSランクスタートということで」
「わかった」
Sランクからか、目標のSSSランクへはまだまだだな。
いくつかクエストをクリアするだけでいけるといいのだが……。
「ギルド、破壊して悪かったな」
「へ……?」
俺はその場で創造スキルをつかった。
かなりポイントを消費することになるが、俺が壊したのだから仕方ない。
俺は創造スキルで、ギルドを元通りの姿に建築しなおした。
すると、受付嬢は目を丸くして驚いていた。
「あ、あの……今何を……」
「いや、自分で壊したものを治しただけだが?」
「あ、ありがとうございます……! 私が首になるところでした……」
「はは……まあいいってことだ。あ、水晶もなおしておくか」
水晶をなおし、俺はSランクのハンターライセンスを受け取った。
これからクエストを受けて、さっさとSSSランクにしてしまおう。
続いて、カンナが水晶に手をかざす。
俺はさっきの自分の失敗を踏まえて、カンナに忠告する。
「おいカンナ、10分の1じゃだめだ。これ。100分の1くらいに手加減しろ」
「おう、わかったぞ!」
しかし――。
カンナが魔力を水晶に注ぐと……。
――ズドーン!!!!
――ズガドシャアアアア!!!!
「あ……間違えて10倍にしてしもうたわ……」
「このバカ……」
今度はギルドだけじゃなく、周辺の家屋もぶっ壊れてしまった。
これでは幸先が思いやられるな……。
結局、それらも俺が創造スキルで直すはめになった。
おかげで、あれだけため込んだCPがかなり減ってしまった。
まあまだまだ残ってはいるけど、暗黒大陸へもいくことだし、なるべく残しておきたいのだ。
「さあて、ギルドも直したことだし……さっそくクエストを受けるか」
俺はクエストボードに目を通す。
クエストをひととおり見て、俺はひどく驚くことになる――。
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