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記憶の底
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「オリジナルフィギュアを確保できたか…」
「はい」
通信機から聞こえる有馬の報告に、上杉正継はほくそ笑んだ。
「そうか」
木目調の机の向こうで、革張りの黒い椅子を回転させると、上杉は後ろに飾られた日の丸を見上げた。
「沖縄から、我軍が駐留している鳥取までは海路を使えばすぐだが…」
上杉は机に向かうと、立体モニターを起動させた。木目調の上に日本地図が浮かんだ。
オリジナルフィギュア雷電の愛され人、上杉が率いる部隊は、かつての韓国朝鮮、中国、ロシアを牽制する為に、日本海沿岸の警備を任されていた。
「海を使う限り、陸奥に感知される。私が、6番目のオリジナルフィギュアを陣地内に入れたとなれば、他の愛され人とのバランスが崩れることになる」
上杉は、画面を世界地図に変え、陸奥の現在地を確認した。
(蕪城が、テラと6番目の戦闘に気づいていない訳がない。何故、放置している?)
蕪城が乗る陸奥は、南極方面に向かっていた。
「閣下。如何致しましょうか?」
有馬の問いに、上杉はモニターを切るとこたえた。
「本州からできるだけ、離れた方がよいな。それも、やつらがいない場所」
「やつら?」
「大和、金剛、白鷺…残りのオリジナルフィギュアだ。大和と白鷺は休止しているようだが…金剛が始動を始めたようだ」
上杉は、椅子にもたれた。
「金剛が始動?陸奥以外のオリジナルフィギュアは、皇室の命を受けて冬眠状態に入っているはずです。それこそ、愛され人が傷つけられないかぎり、彼らが勝手に目覚めることは…。ま、まさか、武田卿に何かあったと?」
通信機の向こうで考え込む有馬に、上杉は苦笑した。
「武田卿に何かあるはずがないよ。いらぬ心配はよせ。それよりも、君達は台湾に向かえ、あそこは蕪城卿の担当地域だが、彼女はほとんどいないし、他の愛され人の影響が少ない」
「北海道の案はなくなったのですか?閣下の姉君でもあられる毛利卿ならば!この船も一応所属は、毛利ですし」
「今は時期ではなくなった」
上杉は有馬の言葉を遮った。
「北海道に向かうならば、帝都のそばを通ることになるし、テラから逃げる為の理由ならば、距離がありすぎる。それに、たまたま姉が愛され人になっただけで、毛利家も一枚岩ではない」
上杉は、目を瞑った。
「とにかくだ。帝都から離れた位置に、6番目を置いておくことこそが、最重要課題だ。すぐに、台湾に向かいたまえ」
「かしこまりました」
有馬は通信を切った。
「ふう」
上杉は、溜息をつくと、両肘を机の上に置き…目を瞑った。
『上杉君』
上杉の脳裏に、霧島の顔が浮かんだ。
『先代の愛され人から、これを預かった』
テラに亡命する前、霧島の研究ラボで、上杉は六番目のオリジナルフィギュアのコアを目にしていた。
『こいつは、君が選ばれた雷電達とは違う。雷電達は、レクイエムが生んだ。しかし、こいつはレクイエムが
もとから持っていたものだ。他の五つのフィギュアのように、レクイエムが生んだものかもしれん。しかし、先代である織田卿は、違うと否定された。そして、亡くなる寸前にこれの封印を、直接私に命じられた』
霧島の言葉を思い出し、上杉は目を開けた。
(あれの封印は、先代のレクイエムの愛され人が命じた…。愛され人?)
上杉は首を傾げた。
(その命を破ることが、できるのは…今の愛され人。しかし、あの方は、皇居の奥から姿をみせない)
レクイエムの通信機能を注意して、上杉は心の中で考えていた。
(今、封印を解いた意味はなんだ?)
上杉は再び、目を閉じた。
「台湾ねえ」
有馬はブリッジ内で、腕を組んだ。
「あそこは、新兵や学生の町でしょ?日本の最南端で、守る厳しさを学ぶ為の」
城戸の言葉に、有馬は肩をすくねてみせた。
「それだけではないわ。あの島は日本の食糧庫であり、日本が唯一統合した国よ。もともと日本人ではない人が多いわ」
「そんなところによく向かいますね」
「そんなところだから、かもしれないわよ」
有馬は、椅子に座った。
「え?」
目を丸くする城戸に、有馬はきいた。
「ところで、金髪の中にいる少年はどうしてるの?」
「自分から、交渉をもちかけておいて、ユーテラス内からでていません」
今度は、城戸が肩をすくねて見せた。
「まったく!」
有馬は頭をかいた。
草薙の格納庫に入ったアルテミアは…突っ立ったまま、沈黙を守っていた。
「はい」
通信機から聞こえる有馬の報告に、上杉正継はほくそ笑んだ。
「そうか」
木目調の机の向こうで、革張りの黒い椅子を回転させると、上杉は後ろに飾られた日の丸を見上げた。
「沖縄から、我軍が駐留している鳥取までは海路を使えばすぐだが…」
上杉は机に向かうと、立体モニターを起動させた。木目調の上に日本地図が浮かんだ。
オリジナルフィギュア雷電の愛され人、上杉が率いる部隊は、かつての韓国朝鮮、中国、ロシアを牽制する為に、日本海沿岸の警備を任されていた。
「海を使う限り、陸奥に感知される。私が、6番目のオリジナルフィギュアを陣地内に入れたとなれば、他の愛され人とのバランスが崩れることになる」
上杉は、画面を世界地図に変え、陸奥の現在地を確認した。
(蕪城が、テラと6番目の戦闘に気づいていない訳がない。何故、放置している?)
蕪城が乗る陸奥は、南極方面に向かっていた。
「閣下。如何致しましょうか?」
有馬の問いに、上杉はモニターを切るとこたえた。
「本州からできるだけ、離れた方がよいな。それも、やつらがいない場所」
「やつら?」
「大和、金剛、白鷺…残りのオリジナルフィギュアだ。大和と白鷺は休止しているようだが…金剛が始動を始めたようだ」
上杉は、椅子にもたれた。
「金剛が始動?陸奥以外のオリジナルフィギュアは、皇室の命を受けて冬眠状態に入っているはずです。それこそ、愛され人が傷つけられないかぎり、彼らが勝手に目覚めることは…。ま、まさか、武田卿に何かあったと?」
通信機の向こうで考え込む有馬に、上杉は苦笑した。
「武田卿に何かあるはずがないよ。いらぬ心配はよせ。それよりも、君達は台湾に向かえ、あそこは蕪城卿の担当地域だが、彼女はほとんどいないし、他の愛され人の影響が少ない」
「北海道の案はなくなったのですか?閣下の姉君でもあられる毛利卿ならば!この船も一応所属は、毛利ですし」
「今は時期ではなくなった」
上杉は有馬の言葉を遮った。
「北海道に向かうならば、帝都のそばを通ることになるし、テラから逃げる為の理由ならば、距離がありすぎる。それに、たまたま姉が愛され人になっただけで、毛利家も一枚岩ではない」
上杉は、目を瞑った。
「とにかくだ。帝都から離れた位置に、6番目を置いておくことこそが、最重要課題だ。すぐに、台湾に向かいたまえ」
「かしこまりました」
有馬は通信を切った。
「ふう」
上杉は、溜息をつくと、両肘を机の上に置き…目を瞑った。
『上杉君』
上杉の脳裏に、霧島の顔が浮かんだ。
『先代の愛され人から、これを預かった』
テラに亡命する前、霧島の研究ラボで、上杉は六番目のオリジナルフィギュアのコアを目にしていた。
『こいつは、君が選ばれた雷電達とは違う。雷電達は、レクイエムが生んだ。しかし、こいつはレクイエムが
もとから持っていたものだ。他の五つのフィギュアのように、レクイエムが生んだものかもしれん。しかし、先代である織田卿は、違うと否定された。そして、亡くなる寸前にこれの封印を、直接私に命じられた』
霧島の言葉を思い出し、上杉は目を開けた。
(あれの封印は、先代のレクイエムの愛され人が命じた…。愛され人?)
上杉は首を傾げた。
(その命を破ることが、できるのは…今の愛され人。しかし、あの方は、皇居の奥から姿をみせない)
レクイエムの通信機能を注意して、上杉は心の中で考えていた。
(今、封印を解いた意味はなんだ?)
上杉は再び、目を閉じた。
「台湾ねえ」
有馬はブリッジ内で、腕を組んだ。
「あそこは、新兵や学生の町でしょ?日本の最南端で、守る厳しさを学ぶ為の」
城戸の言葉に、有馬は肩をすくねてみせた。
「それだけではないわ。あの島は日本の食糧庫であり、日本が唯一統合した国よ。もともと日本人ではない人が多いわ」
「そんなところによく向かいますね」
「そんなところだから、かもしれないわよ」
有馬は、椅子に座った。
「え?」
目を丸くする城戸に、有馬はきいた。
「ところで、金髪の中にいる少年はどうしてるの?」
「自分から、交渉をもちかけておいて、ユーテラス内からでていません」
今度は、城戸が肩をすくねて見せた。
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草薙の格納庫に入ったアルテミアは…突っ立ったまま、沈黙を守っていた。
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