ダンジョン学園サブカル同好会の日常

くずもち

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第254話あえてしてこなかった質問

 あーあ。バレちゃった。

 まぁいつかはこういうこともあるかもしれないと思ってはいたけど、それは遥か未来の出来事だと思っていただけに複雑な気分だ。

 僕は腕を組み、ウームと唸ってままならないなと呟いたが、言ってしまったものは仕方がない。

「まぁ。いいか。……そもそも僕が目覚めているんだから他にもいると思うのが普通ではあるんだよなぁ」

『それはそうだ……と言いたいところだが……そうある事ではないと思うよ?』

「……ちなみに、うちの学校には僕の他に目覚めている奴いるの?」

『そこにいる彼女以外はまだいない。目覚めそうなのはいるけどね』

「そうなんだ」

 まぁやはりそうか。僕としても、なんとなくだが怪しい人物が数人頭をよぎった。

 ただの勘だが、中々起こらないと言うけれどこいつはどうも当てにならない予言だなと、妙な予感もある。

『誰にでも目覚める可能性があり……目覚めない可能性の方がはるかに高くもある』

「適当過ぎない?」

『こればかりはね。宝くじに当たる方がよっぽど高い確率だと思っておいた方がいい』

「……それが今ここに二人そろってるんだけど?」

『……すごい確率だよね。まぁ皆無とは言わないよ? 大昔からほどほどにあったことさ』

「なんだいそりゃあ。ずいぶん曖昧な話だね」

 さてあえて声に出して僕が攻略君と話す様子を興味深そうに見ているレイナさんは、このすさまじく怪しい光景に釘付けだった。

 そしてレイナさんは堪えきれずに質問した。

「その独り言を呟いているようなの、ひょっとして権能としゃべってますか?」

「そうだよ?」

「そうなんですね!……じゃあワタシもお話できますか!? 神様が頭の中に入ってる?」

「いや、しゃべるかどうかは権能による……でもその能力について少しは説明できるかも?」

「ホント!」

 ぐいぐい来るレイナさんだが、顔が近すぎて照れてしまいますよ?

 まぁまぁ落ち着いてと僕は彼女を抑えつつ頷いた。

「……権能ハデスは、能力的にいうとネクロマンサーの完全上位版って感じ。ネクロマンサーは今ここにいる魂からしかエネルギーを得られないけど、ハデスはそうじゃない。過去から現在まで記録されているあらゆる死者からエネルギーを徴収できる権限、そして無限の資源を生み出す能力が目玉かな」

「……なんですそれ? 強すぎませんか? てっきりギターがめちゃくちゃ丈夫になる能力かと」

「そんなわけないです。アレはでたらめな量のエネルギーが注ぎ込まれた結果だよ。でもその強すぎるって認識は正しい。特に主神クラスの権能はでたらめだ。人間には過剰すぎる力だから、多用は厳禁だよ?」

「了解です! ここぞという時ですね!……まぁ、ここまで来たらそんなことあるのか疑問ですけど」

「まぁねぇ」

 言われてみれば、すでに行けるところまでいった感じはある。

 だがまぁダンジョンだってここだけじゃない。

 もし他に行くことがあるなら強力な手札はいくらあってもいい、そんな場所がダンジョンである。

「じゃあ、ワタヌキも何かすごい力が使えるんですか?」

 ものすごく期待を込めてそう尋ねられたが、まぁすごいと言えばすごいけど、力という感じではないと説明させてもらおう。

「僕の場合は、適切な解説をする能力? かな?」

『大したことない風に解説するのには不満を感じる』

 だまらっしゃい、言葉を選んでいるんだ。

「……なるほど。それは半端じゃないですね」

 しかし予想に反して、おおっと感嘆するレイナさんに僕は首を傾げた。

「……そう? マニュアルを解説するようなことくらいしかできないんだけど?」

 だがそう言った僕に、レイナさんは何を言っているんだと笑った。

「ワタシは世界で一番マニュアルを評価している国から来たんですよ? 私の国はそうやって世界を制したんですから」

「へー……」

 なんて冗談っぽく言ってのけるレイナさんに僕は思わず口ごもる。

 つまるところ高評価みたいだけれど、そんな大したものではないということにしておいてほしかった。

 そしてレイナさんは、少しだけ長めに唸ると更なる質問にも踏みこんで来た。

「ふーむ……じゃあ、この権能というのが何なのかだけ、聞いてもいいですか?」

「権能が……何なのかか」

 ああ、それ聞いちゃうのか。

 だけど僕が気になりつつも明確に目をそらしていた部分にスポットを当てていくレイナさんには、尊敬の念を送っておこう。

 質問すれば答えてくれるのだろうが、聞くのは怖い。

 だがこうして、ここまで明確に先に進むためのキーワードとしてでてきてしまった以上は、知識として知っておくべきかもしれないポイントでもある。

 そして当然、攻略君は訊ねられれば答えてくれた。

『権能がなんなのかか? まぁかみ砕いて言ってしまえば神の力を貸し与えられたものといったところだろう。 人間的に言えば神の声を聴くだとか、神の力を振るうだとかそういったものだね。いずれも強力なものだが、サポートがあったとはいえ、たった2名の覚醒者でここまでこれたのは快挙とも言える。……いや、まぁ当然の結果ではあるけれどね』

 めっちゃ得意げに語るじゃない?

 そしてそのまま伝えると、レイナさんのテンションが上がった。

 そして攻略君は100階到達の成功報酬についても語った。

『まぁひとまずは喜びたまえ。この城は君達のモノになった』

「なんて言ってます?」

「この城が僕らのものになったって」

「そうなんですか? でももう好きな拠点は決めてますから、なんだか驚きは半減ですね」

「そうだねぇ。龍宮城だって見た後だし」

 感覚がマヒしているからだろうか?

 確かに城はすごいけど、いかにも魔王の城的なこの場所は龍宮城のインパクトにやや被るか?

 最近は好き勝手に、ダンジョンの中身をいじくりまわしているのだから今更100階に拠点が一つ増えたところで驚きは少ない。

 しかし攻略君はやれやれと呆れ越えでため息らしきものをついて、不敵に笑っていた。

『そんなことを言っていられるのは今だけだよ。ここは城でもあるがそれだけじゃない。いってしまえば異世界の生産工場だ。錬金釜なんて目じゃないぞ? 神秘を秘めたアイテムを製造する施設はすべてここに揃っていると思ってくれ。……そして何より重要なのが、ここではモンスターも生産、強化できるってことだよ』

「……」

「え? どうしました?」

 その話を聞いた時、僕はここで話していいもんなのか本気で迷った。
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