ダンジョン学園サブカル同好会の日常

くずもち

文字の大きさ
3 / 257

第3話攻略君の秘密

 話してみて分かったことは、攻略君は本当にダンジョンの秘密を良く知っているということだった。

 例えばどこにどんなアイテムが落ちているだとか、どこにどんなモンスターが出てくるだとか。

 場合によっては未来予知まがいのことまでやってくるのだから恐れ入る。

 ダンジョンの攻略に関しては特にその精度が良く、より正確な情報を提供できるっぽい。

 ただし僕からは、それが真実かどうかやってみなければわからないのが、いちいち心臓に悪いのは間違いなかった。

 攻略君が頭の中で囁いてくる謎のスキルで、その検証でなければ試そうとも思わない。

 なんならダンジョンより先に幻聴を疑って病院に行くべきだとさえ思える。

 それでも僕が攻略君の言葉に耳を傾けるのは、幻聴にしては妙に具体的で、好奇心が刺激される以上の理由は無かったりする。

「まぁ自分がおかしいとは思いたくないよね」

『その言い草はないんじゃないか?』

「いやこっちだって命掛かってるんだから素直に従っているだけでも褒めて欲しいよ」

『そりゃそうかもしれないが、私の言うことは当たっていただろう?』

「……それはそうなんだけどさ」

 まぁ実際それで的中する回数が多くなればなるだけ、信じない訳にもいかなくなった。

 ただまるっきり言いなりと言うわけでもなく、攻略君は僕の質問に答えると言うスタンスだから、僕の方のリクエストは最初に出していた。


「ダンジョンを危なげなく歩くために最も効率的なチャートは?」

 そんなリクエストに攻略君は答えた。


『攻略君の攻略情報! ダンジョンに入ることによって成長するレベルは人類の
パラメーターを拡張します。しかし確認できるものばかりではなく、鑑定スキルでも見えない隠しパラメーターが存在します』

 攻略君曰く、隠しパラメーターは倒すモンスターの種類で、もらえるものが決まるらしい。

 つまり出て来たモンスターを順に倒していけば、雑多な補正が入ってしまう。

『しかしそこを適当にやると、特色がなくなっていくんだね。だからきちんと計画を立てて自分を育成することですごい変化がある。隠しパラメーターの振り幅は1000ポイント。一つのパラメーターに入れられる上限は500だ』

 そして攻略君が俺にお勧めしてくれたビルドは、攻撃できるタンク型だった。

『物理攻撃と生命力に全振りした型だね。全部振り切ればそう簡単には死ななくなる』

「……それって痛そうだよね」

『即死するより全然いいだろう? この先ソロでもやっていけるし。パーティーを組んでも前衛で活かせる型だ』

「……なるほど、確かに死ぬよりは全然いいかも」

『だろう? 幸い、地下1階に攻撃力と生命力補正のモンスターはいる』

「つまり僕はえり好みしながらきちんと数えてモンスターを1000匹倒せばいいわけだ」

『そういうこと。本格的なレベル上げはそれが終わってからをお勧めするよ。具体的にはこうだ―――』



 というようなやり取りがあって、ある程度納得して僕はダンジョンに入っているのだが、やっていることはひたすら一階を徘徊しているだけだったりするわけだ。

 簡単な話だ。隠しパラメーターに対応するモンスターは1階ですべて出現する。

 じゃあ一番弱いところでコツコツモンスターを倒す方が、安全でかつ効率的なのである。

 しかしこの攻略情報には、致命的な欠陥もあった。

 それは雑魚であろうと1000匹も延々と倒し続けるのには時間がかかる。

 つまり……完全にスタートダッシュに失敗した変わり者の落ちこぼれの完成というわけだった。

『なんかゴメン……』

「いやいや、なんで謝るの。僕は納得してやってるんだって。自分のペースでやるの、僕は結構好きなんだよ」

 そもそもマイペースなのは大好きだ。

 それに攻略君の提案した方法に従うことで確かに得られているものがある。

 攻略君の情報はたぶん正しい。

 そんな実感が日々のモチベーションにもつながっていた。

 だがそれでも攻略君はなぜか、妙な責任を感じているらしい。

『そうだ! 実はここ……大きな事件の起点なんだよ。君が今いるクラスに強い運命を持ってる子が沢山いる』

「うんめいとは?」

 暇つぶしの雑談に、攻略君がまたわけのわからないことを言い出した。

 僕の露骨な表情には気がつかずに、攻略君は何やらさらに語り始めた。

『まぁ……いわゆる主人公? 主人公補正? そんなものだよ』

「…………マジで言ってる?」

『マジだとも。そしてそういう人物の周囲には大抵美女がつきものなのさ。攻略君はすべてを攻略します……運命に選ばれた美少女と恋愛なんてどうだろう? まずはプロフィールから見てみては?』

 それがお詫びになると本気で思ってそうな攻略君だが、僕はつい鼻で笑ってしまった。

「じゃあ……その人達とあんまりかかわらない方法を教えてくれない?」

『なんでー』

「何でも何もだよ。何でそれで汚名が返上出来ると思ったんだよ」

『えぇーだって。年頃の子はみんな恋愛に興味津々なんだろう?』

「そこは強く否定はしないけどさぁ……程度はまちまちだよ?」

 そして僕はそういうの今一盛り上がれない人である。

 愕然とする攻略君だが、これはボクの気質の問題だった。

「厄介そうだから。深入りしたくないんだよ。とりあえず鍛えておいた方がいいのは分かったけど」

『その心は?』

「巻き込まれて死なないように」

『まぁ、そうだよね……』

 攻略君はシュンとして黙った。なんかすまぬ。

 だが言われてみれば確かに……クラスメイトに妙に美形や美人が多い気がしてはいたが……いるのか。主人公が。

 世の中、漫画みたいな不思議なこともあるモノらしい。

 さて攻略君に元気がなくなってしまったので、僕のテンションが上がる情報も少し聞いてみることにしよう。

「あ、それじゃあ。この近所で来週発売のゲームが確実に手に入るお店を教えてよ」

『……いいけど。そんなんでいいの?』

「……え? できんの? 神じゃん」

『……神だよ? 全然反応が違うね君』

 僕は攻略君の有用性をまだまだなめていたようだ。素晴らしい。

 評価が爆上がりしたというのに攻略君としては釈然としない様子だった。
感想 3

あなたにおすすめの小説

さびれたレンタル道具屋の転生おっさん、道具の使い方を教えまくる。~客のS級冒険者が俺を歴戦の英雄と勘違いして弟子入りを求めてくるんだが~

遥風 かずら
ファンタジー
前世で過労死した久世織人が目を覚ますとそこは異世界の王都、しかも古道具屋の跡取り息子として転生していた。アクセル・リオットとして成長した彼は荷物持ちとして冒険者パーティーに同行、その道中に【無限収納】スキルを開花させる。 パーティー活動から離脱後、四十歳となったアクセルは前世の記憶を思い出し、儲かりそうという考えで道具レンタル屋を始めていた。客足もなく店がさびれる中、道具の使い方が出来てない冒険者によって治安の乱れや魔物討伐の失敗が続いているという話を常連客から聞かされる。あらゆる道具に精通するアクセルは客の冒険者に使い方を教えに行くことを思い立つ。 アクセルの教えにより、やがてS級冒険者や聖女、王女までも勘違いして彼の元には次々と弟子入りを求める者が現れていくのだった。

《カクヨム様で50000PV達成‼️》悪魔とやり直す最弱シーカー。十五歳に戻った俺は悪魔の力で人間の頂点を狙う

なべぞう
ファンタジー
ダンジョンが生まれて百年。 スキルを持つ人々がダンジョンに挑む世界で、 ソラは非戦闘系スキル《アイテムボックス》しか持たない三流シーカーだった。 弱さゆえに仲間から切り捨てられ、三十五歳となった今では、 満身創痍で生きるだけで精一杯の日々を送っていた。 そんなソラをただ一匹だけ慕ってくれたのは―― 拾ってきた野良の黒猫“クロ”。 だが命の灯が消えかけた夜、 その黒猫は正体を現す。 クロは世界に十人しか存在しない“祝福”を与える存在―― しかも九つの祝福を生んだ天使と悪魔を封印した“第十の祝福者”だった。 力を失われ、語ることすら封じられたクロは、 復讐を果たすための契約者を探していた。 クロは瀕死のソラと契約し、 彼の魂を二十年前――十五歳の過去へと送り返す。 唯一のスキル《アイテムボックス》。 そして契約により初めて“成長”する力を与えられたソラは、 弱き自分を変えるため、再びダンジョンと向き合う。 だがその裏で、 クロは封印した九人の祝福者たちを狩り尽くすための、 復讐の道を静かに歩み始めていた。 これは―― “最弱”と“最凶”が手を取り合い、 未来をやり直す物語

俺の家に異世界ファンタジーガチャが来た結果→現実世界で最強に ~極大に増えていくスキルの数が膨大になったので現実世界で無双します~

仮実谷 望
ファンタジー
ガチャを廻したいからそんな理由で謎の異世界ガチャを買った主人公はガチャを廻して自分を鍛えて、最強に至る。現実世界で最強になった主人公は難事件やトラブルを解決する。敵の襲来から世界を守るたった一人の最強が誕生した。そしてガチャの真の仕組みに気付く主人公はさらに仲間と共に最強へと至る物語。ダンジョンに挑戦して仲間たちと共に最強へと至る道。 ガチャを廻しまくり次第に世界最強の人物になっていた。 ガチャ好きすぎて書いてしまった。

素材ガチャで【合成マスター】スキルを獲得したので、世界最強の探索者を目指します。

名無し
ファンタジー
学園『ホライズン』でいじめられっ子の生徒、G級探索者の白石優也。いつものように不良たちに虐げられていたが、勇気を出してやり返すことに成功する。その勢いで、近隣に出没したモンスター討伐に立候補した優也。その選択が彼の運命を大きく変えていくことになるのであった。

ダンジョンのある生活《スマホ片手にレベルアップ》

盾乃あに
ファンタジー
進藤タクマは25歳、彼女にフラれて同棲中の家を追い出され、新しい部屋を借りたがそこにはキッチンに見知らぬ扉が付いていた。床下収納だと思って開けたらそこは始まりのダンジョンだった。  ダンジョンを攻略する自衛隊、タクマは部屋を譲り新しい部屋に引っ越すが、そこにもダンジョンが……  始まりのダンジョンを攻略することになったタクマ。    さぁ、ダンジョン攻略のはじまりだ。

ダンジョントランスポーター ~ 現代に現れたダンジョンに潜ったらレベル999の天使に憑依されて運び屋になってしまった

海道一人
ファンタジー
二十年前、地球の各地に突然異世界とつながるダンジョンが出現した。 ダンジョンから持って出られるのは無機物のみだったが、それらは地球上には存在しない人類の科学や技術を数世代進ませるほどのものばかりだった。 そして現在、一獲千金を求めた探索者が世界中でダンジョンに潜るようになっていて、彼らは自らを冒険者と呼称していた。 主人公、天城 翔琉《あまぎ かける》はよんどころない事情からお金を稼ぐためにダンジョンに潜ることを決意する。 ダンジョン探索を続ける中で翔琉は羽の生えた不思議な生き物に出会い、憑依されてしまう。 それはダンジョンの最深部九九九層からやってきたという天使で、憑依された事で翔は新たなジョブ《運び屋》を手に入れる。 ダンジョンで最強の力を持つ天使に憑依された翔琉は様々な事件に巻き込まれていくのだった。

ダンジョン発生から20年。いきなり玄関の前でゴブリンに遭遇してフリーズ中←今ココ

高遠まもる
ファンタジー
カクヨム、なろうにも掲載中。 タイトルまんまの状況から始まる現代ファンタジーです。 ダンジョンが有る状況に慣れてしまった現代社会にある日、異変が……。 本編完結済み。 外伝、後日譚はカクヨムに載せていく予定です。

オッサン齢50過ぎにしてダンジョンデビューする【なろう100万PV、カクヨム20万PV突破】

山親爺大将
ファンタジー
剣崎鉄也、4年前にダンジョンが現れた現代日本で暮らす53歳のおっさんだ。 失われた20年世代で職を転々とし今は介護職に就いている。 そんな彼が交通事故にあった。 ファンタジーの世界ならここで転生出来るのだろうが、現実はそんなに甘く無い。 「どうしたものかな」 入院先の個室のベッドの上で、俺は途方に暮れていた。 今回の事故で腕に怪我をしてしまい、元の仕事には戻れなかった。 たまたま保険で個室代も出るというので個室にしてもらったけど、たいして蓄えもなく、退院したらすぐにでも働かないとならない。 そんな俺は交通事故で死を覚悟した時にひとつ強烈に後悔をした事があった。 『こんな事ならダンジョンに潜っておけばよかった』 である。 50過ぎのオッサンが何を言ってると思うかもしれないが、その年代はちょうど中学生くらいにファンタジーが流行り、高校生くらいにRPGやライトノベルが流行った世代である。 ファンタジー系ヲタクの先駆者のような年代だ。 俺もそちら側の人間だった。 年齢で完全に諦めていたが、今回のことで自分がどれくらい未練があったか理解した。 「冒険者、いや、探索者っていうんだっけ、やってみるか」 これは体力も衰え、知力も怪しくなってきて、ついでに運にも見放されたオッサンが無い知恵絞ってなんとか探索者としてやっていく物語である。 注意事項 50過ぎのオッサンが子供ほどに歳の離れた女の子に惚れたり、悶々としたりするシーンが出てきます。 あらかじめご了承の上読み進めてください。 注意事項2 作者はメンタル豆腐なので、耐えられないと思った感想の場合はブロック、削除等をして見ないという行動を起こします。お気を悪くする方もおるかと思います。予め謝罪しておきます。 注意事項3 お話と表紙はなんの関係もありません。