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第30話最後の抵抗は一人だったら致命傷
「よし! こんなものだよね!」
めちゃくちゃ得意げなのは本日のMVP、フーさんである。
適確に相手の戦闘能力を奪う鮮やかな手並みは、さすがとしか言いようがなかった。
「助かったよ。僕じゃとても止められなかった。でも、なんで襲い掛かって来たんだろう?」
そこはいまいちわからない。
事故に巻き込まれていたのは間違いなく、怪我だってしているだろう。
敵だからといって、あそこまで救助を拒むのは捨て鉢すぎる反応だった。
「まぁ事情は後でだね。それにしてもすごかった。未来予知に迫るって言われるのも頷ける動きだったよ」
僕はフーさんの活躍を絶賛すると、フーさんのお鼻がまた高くなった気がした。
「すごいでしょ? まさかあの子たちの情報も使えるとは思わなかったけど、バッチリだった」
人間以外の頭の中も利用できたのは翻訳魔法のなせる技か。
月人の能力と魔法が合わされば、もっとすごいこともできそうだった。
その結果がこの岩団子である。
おっかないし、おっそろしいなーという話なのだが、無事無力化出来たことは素直に賞賛すべきものだった。
しかしここからは忙しくなる。
致命的な損傷があるとまずいので、速やかに撤収である。
格納庫に岩ごと放り込み、岩の中から解放されたアウターは関節が魔法生物に侵食されて完全に動かなくされていた。
「うーんこれはすごい……」
無力化というのなら、中々これ以上はない気がする。
僕はアウターを装備したまま、ひとまずパイロットの救助をすることにした。
幸い電力は生きているらしい。
ハッチの開閉に成功すると、中の人間が文字通り飛び出してきた。
「うわ!」
転がり出て、銃を構える。
小銃程度ではアウターの装甲は抜けないはずだが、ここまで露骨に敵意を向けられるとドキドキと動悸が早まった。
パイロットのもう片方の手には何やら注射器らしきものを持っていて、それを腕に突き刺したのを僕は見た。
「月人の戦闘タイプ相手に問答は無意味だろうけど……抵抗くらいはさせてもらうよ」
「……そこまで?」
何を打ったのかはわからないけれど、アレはよくないものだとわかった。
簡易注射器を打った血管は不自然に浮き上がり、全身の筋肉が盛り上がっている。
白目が充血を通り過ぎて真っ赤になるなんていうのはとても正常だとは言えない。
「カノー! 後ろに飛んで!」
「はいぃぃ!」
考える前に後ろに飛んだ。
銃を囮に繰り出された拳が、僕が立っていた隔壁の床をベッコリへこませたのは、秒後のことだ。
だが抵抗はそこまでである。
「―――カノーから離れて!」
「……ここで暴れるのは感心しないな。解呪」
「!」
追撃の隙は与えられず、飛んできた魔法生物はU字に変形して、パイロットの四肢を縫いとめ、動きを拘束。
シュウマツさんが語り掛けることでパイロットはようやく止まった。
めちゃくちゃ得意げなのは本日のMVP、フーさんである。
適確に相手の戦闘能力を奪う鮮やかな手並みは、さすがとしか言いようがなかった。
「助かったよ。僕じゃとても止められなかった。でも、なんで襲い掛かって来たんだろう?」
そこはいまいちわからない。
事故に巻き込まれていたのは間違いなく、怪我だってしているだろう。
敵だからといって、あそこまで救助を拒むのは捨て鉢すぎる反応だった。
「まぁ事情は後でだね。それにしてもすごかった。未来予知に迫るって言われるのも頷ける動きだったよ」
僕はフーさんの活躍を絶賛すると、フーさんのお鼻がまた高くなった気がした。
「すごいでしょ? まさかあの子たちの情報も使えるとは思わなかったけど、バッチリだった」
人間以外の頭の中も利用できたのは翻訳魔法のなせる技か。
月人の能力と魔法が合わされば、もっとすごいこともできそうだった。
その結果がこの岩団子である。
おっかないし、おっそろしいなーという話なのだが、無事無力化出来たことは素直に賞賛すべきものだった。
しかしここからは忙しくなる。
致命的な損傷があるとまずいので、速やかに撤収である。
格納庫に岩ごと放り込み、岩の中から解放されたアウターは関節が魔法生物に侵食されて完全に動かなくされていた。
「うーんこれはすごい……」
無力化というのなら、中々これ以上はない気がする。
僕はアウターを装備したまま、ひとまずパイロットの救助をすることにした。
幸い電力は生きているらしい。
ハッチの開閉に成功すると、中の人間が文字通り飛び出してきた。
「うわ!」
転がり出て、銃を構える。
小銃程度ではアウターの装甲は抜けないはずだが、ここまで露骨に敵意を向けられるとドキドキと動悸が早まった。
パイロットのもう片方の手には何やら注射器らしきものを持っていて、それを腕に突き刺したのを僕は見た。
「月人の戦闘タイプ相手に問答は無意味だろうけど……抵抗くらいはさせてもらうよ」
「……そこまで?」
何を打ったのかはわからないけれど、アレはよくないものだとわかった。
簡易注射器を打った血管は不自然に浮き上がり、全身の筋肉が盛り上がっている。
白目が充血を通り過ぎて真っ赤になるなんていうのはとても正常だとは言えない。
「カノー! 後ろに飛んで!」
「はいぃぃ!」
考える前に後ろに飛んだ。
銃を囮に繰り出された拳が、僕が立っていた隔壁の床をベッコリへこませたのは、秒後のことだ。
だが抵抗はそこまでである。
「―――カノーから離れて!」
「……ここで暴れるのは感心しないな。解呪」
「!」
追撃の隙は与えられず、飛んできた魔法生物はU字に変形して、パイロットの四肢を縫いとめ、動きを拘束。
シュウマツさんが語り掛けることでパイロットはようやく止まった。
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