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第31話新しい地球人
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「な、なんだ? 頭に声が……それに、力が抜ける。薬が効いていないのか?」
可哀そうだがこれは相手が悪かったとしか言いようがない。
シュウマツさんの魔法はどんな薬物を使おうが問答無用で癒して見せる。
そして生身で宇宙魔法生物には残念ながら勝てないのである。
ああ、なんという字面だろうか? ちょっと口頭で説明できる自信はないけれど、彼女には潔く状況を受け入れてほしいところだ。
ハラハラしながら何もできない僕に変わって、シュウマツさんは威圧的に光輝きながら、謎のパイロットに話しかけた。
「まずは落ち着いてくれないかね? 宇宙で遭難しかけて、敵の組織に襲われたのだ、難しいとは思うが」
おお、パイロットが混乱している。シュウマツさんの謎テレパシーは今回いい方向に働いたようだ。
「襲い掛かってないよ! 止めただけ!」
そしてフーさんは、今はちょっと静かに。
「ああうんうん。それはそうだ。フーさんに落ち度はないよ。でも新しく来た彼女にとっては限りなく死に近い綱渡りだったのだと思うんだよ。普通は冷静ではいられないし、抵抗するのも選択肢のうちだ」
とても冷静なシュウマツさんの声は響いていたが、それもいつまで効果があるのかはわからない。
目の前にいるのが優し気に語り掛けてくれる人間であったのなら、落ち着きもするのだろうが、脳に直接響く会話術ではいつそれが恐怖に変わるかわからない。
本来説得の役目は自分がしなければならないことを思い出して、僕は慌てて立ち上がった。
「申し訳ない。警戒させたかったわけではなかったんだ。ここはどの勢力に属していない場所だよ。そして僕らに君を害する意思はない。僕らの目的は遭難していた君の救助だ。心当たりはないだろうか?」
「……」
シュウマツさんの魔法によって、薬の効果が切れたこともあって先ほどの獣のような雰囲気は消え失せていた。
それどころか少し沈静化しすぎたのか、素直に頷いて両手を上げてくれた。
「……もう抵抗はしない。捕虜の扱いは……月人相手じゃ期待できないかな?」
「いやだから捕虜じゃないからね? ついでに言えばここは月でもないよ。今の状況を君はどんな風に考えてる?」
僕がそう尋ねると答えはすぐに帰って来た。
「……詳しくは言えないが、ボクはある実験中にトラブルに巻き込まれたらしい。気が付いたらセンサーの類がすべていかれていて、ここがどこなのかもわからなかった。だけどそこで……妙なアウターに乗った、髪の光る人間を見つけたわけだ。どんな技術か知らないけど顔がむき出しで、乗っているのが月の戦闘用クローンなのはすぐにわかったから、敵勢力と判断。頭を覗かれる前にどうにかしようと頑張った……ってところかなぁ」
「そんなに彼女有名なの?」
「そりゃあ有名だ。月人のクローンはやばい。特に戦闘タイプと顔を合わせたら死んだと思った方がいいって地球じゃ誰でも知ってるよ」
「……そんなに?」
今度はフーさんに振ってみると、フーさんは大いに慌てて視線を逸らした。
「ま、まぁ戦果はすごいって聞いてるかな? ハハハ……死を恐れない速攻―――がスローガンだしぃ……」
「……思ったより肉食系のスローガン掲げてるんだね」
「違うの! 違わないけど違うの!」
うーんいや、妖精みたいな儚いイメージだったんだけど、思ったより蛮族ムーブかましてる月の人に、ちょっと驚いてしまった。
それはともかく実験というと、ここに現れた時点でワープ関係だとは思う。
やっていることがあんまり変わらないところを見ると、今の時点でワープに関しては様々な組織が横並び程度の進行具合だとわかってしまうのが嫌なところだった。
「なるほど……じゃあまず彼女は月人ではあるけど、君と同じく遭難してこの場所に来たから個人として扱ってほしいな。そしてこの場所は火星の先の小惑星帯、ニライカナイコロニーだよ」
「……そんな場所にコロニーなんてないだろ? からかってる?」
「残念ながらからかってはいないんだ。ここは少し特殊なコロニーだからね。でも、ひとまず君の治療は出来ると思う。腕が腫れているようだし、他にも怪我はあるはずだよね?」
まずは怪我の処置なしで落ち着けるわけもない。
もう少しマシな状況を作らなければ、安心して話も出来ないだろう。
もうひと暴れするかもしれないと、フーさんとこっそり目を合わせ警戒したが、それは幸い意味なく終わった。
「……これでも体の頑丈さには自信があるんだけど……確かに少し疲れてる……かな?」
敵意がないと伝わったのかパイロットはそう言うとその場に座り込む。
そして彼女が自分の黒いスペーススーツインナーのヘルメットを脱ぐと、白いツンツンとした髪が飛び出した。
まぁ、ピタッと体のラインが見えるインナーの体型を見ればわかっていたが、パイロットは彼女である。
しかも飛び切りの美人さんだった。
ビックリするほど整った顔立ちの彼女をみると、フーさんを救助した時と同じデジャブを感じた。
こいつは、感動するより先に闇の気配がする。
彼女は素顔をさらした途端、パタリとその場に倒れるように気を失った。
「ふむ……無茶するなぁ。君のところの人類は」
シュウマツさんもちょっとあきれ気味に彼女を見ていたが、同じ宇宙の人類としてはなんともお恥ずかしい話だった。
「返す言葉もないなぁ。シュウマツさん、悪いけど治療手伝ってくれる?」
「もちろん。彼女は君と同郷かな?」
「いや、違う。彼女はたぶん地球から来たんだろうね」
そう言う僕も地球人は初めて見た。
褐色の肌に白い髪。この特徴はもう一つの人類の進化系と言われる地球人のものである。
「ふむ、彼女もまた君達とはずいぶん見た感じが違うのだね」
「ああ、うん。地球人はわかりやすいよ、でも聞いた通りならすごいのは中身の方だね」
僕が薄い知識で地球人の紹介をすると、僕よりもいくらか詳しいらしいフーさんが、説明の補足を買って出た。
「そうそう。地球人はとにかく強いんだ」
「そうなのかい?」
「うん。体が頑丈で、筋肉の密度は月人の3倍はある。何より反射速度が半端じゃないのはさっき見た通りだよ」
ああ確かに。間近に見ていてとても真似出来そうにない動きだった。
知識と、実体験がかみ合ったような感覚は、不思議と満足感がある。
月人が脳を発達させた人類だとすると、地球人は体を発達させた人類だと言われていた。
環境の悪化に適応して、単純に強く、頑丈に進化した。
先ほどの無茶苦茶なアウターの機体性能も彼女達地球人の身体に合わせたカスタマイズというわけだ。
後は、少しばかり面白い話で地球人はシロクマ化しているなんて言う人もいる。
寒くなった環境に適応してメラニン色素が多くなり、少ない太陽光から熱を集め、髪は空気を含むから白いんだということらしい。
その構造はかつて北極に生息していたシロクマと似ているのだとか。
本当のところはわからないが、その驚異的な能力が真実なのは間違いないようだった。
「まぁでも要救助者に出身は関係ない。宇宙の果てじゃ助け合わなきゃいけないよ。普通に大変だよね。あっ……僕も遭難みたいなものだったか」
「ちなみに私も広い意味では遭難みたいなものなのだよな」
ここにいる人はシュウマツさんも含めてみんな遭難していたんだった。
とんでもない共通点だが、実際そうなのだから仕方がなかった。
「そうだね……そういう意味じゃみんな仲間みたいなものだね」
フーさんもそれは認めるところで、気の遠くなった顔をしていた。
ならやっぱり勢力なんて関係なく仲よくしないと始まらない。
人類皆兄弟は、今ここでなら達成出来る目標だと信じたいところである。
「では治療を始めよう。肋骨が2本罅、腕が1本折れてるね」
僕は簡単に診断してシュウマツさんに伝えると、シュウマツさんはさっそく回復魔法を使い始めた。
温かい光がシュウマツさんから照射され、地球人さんに降り注ぐと、すごく腫れてていた患部が元の健康な肌に戻っていった。
「解呪はさっきやったから興奮状態も少しはマシになってるだろう」
「解呪ってそんな効果まであるの?」
治療を面白そうに見ていたフーさんは、シュウマツさんに訊ねると。彼は点滅して肯定した。
「場合によってはね。ずいぶん強い薬で無茶をしていたようだから必要だっただろう。だがいきなり健康になったから、少し体がビックリしてしまったね。ずいぶんと他にも無茶をしているようだし」
「というと?」
「ふむ。おそらくだがあの薬は短期間に身体能力を向上させる代わりに身体を壊すものだよ。他にも体の頑丈さに任せて色々やっていたようだから、まぁ大変だ」
「だ、大丈夫なのそれ?」
僕はシュウマツさんの解析能力に驚いたが、よくもまぁ少し回復しただけでそこまで分かるものだった。
まぁたぶん、解析する魔法とか使ったんだろうって気がするが、聞かぬが花だと僕は思う。
それよりどうにもテレポートの実験に使われるパイロットは色々訳アリが多いようであった。
どう考えてもまずいことになりそうな話だが、シュウマツさんは治療を終えてこれで一命はとりとめたと言った。
「よし。これで完全に健康体だ。眠りから覚めれば彼女も寿命が延びるんじゃないかな?」
「えぇ? 本当に? 勝手にまずくない?」
「何が? 健康になって何か問題があるとでも?」
「ないとは……思うけど」
まぁなんにせよ、ここから先の話は気絶してしまった彼女が目覚めてからになるだろう。
しかしポンポン寿命を延ばしてくるあたり流石魔法だった。
ただ、寿命が延びたとは言っても失った分を取り戻したという側面が強いのは、思うところがある。
壊すのは簡単だが、それを元に戻すのはとても難しい。
それを可能にする魔法は、やはり魔法だなと僕は妙な納得の仕方をしていた。
可哀そうだがこれは相手が悪かったとしか言いようがない。
シュウマツさんの魔法はどんな薬物を使おうが問答無用で癒して見せる。
そして生身で宇宙魔法生物には残念ながら勝てないのである。
ああ、なんという字面だろうか? ちょっと口頭で説明できる自信はないけれど、彼女には潔く状況を受け入れてほしいところだ。
ハラハラしながら何もできない僕に変わって、シュウマツさんは威圧的に光輝きながら、謎のパイロットに話しかけた。
「まずは落ち着いてくれないかね? 宇宙で遭難しかけて、敵の組織に襲われたのだ、難しいとは思うが」
おお、パイロットが混乱している。シュウマツさんの謎テレパシーは今回いい方向に働いたようだ。
「襲い掛かってないよ! 止めただけ!」
そしてフーさんは、今はちょっと静かに。
「ああうんうん。それはそうだ。フーさんに落ち度はないよ。でも新しく来た彼女にとっては限りなく死に近い綱渡りだったのだと思うんだよ。普通は冷静ではいられないし、抵抗するのも選択肢のうちだ」
とても冷静なシュウマツさんの声は響いていたが、それもいつまで効果があるのかはわからない。
目の前にいるのが優し気に語り掛けてくれる人間であったのなら、落ち着きもするのだろうが、脳に直接響く会話術ではいつそれが恐怖に変わるかわからない。
本来説得の役目は自分がしなければならないことを思い出して、僕は慌てて立ち上がった。
「申し訳ない。警戒させたかったわけではなかったんだ。ここはどの勢力に属していない場所だよ。そして僕らに君を害する意思はない。僕らの目的は遭難していた君の救助だ。心当たりはないだろうか?」
「……」
シュウマツさんの魔法によって、薬の効果が切れたこともあって先ほどの獣のような雰囲気は消え失せていた。
それどころか少し沈静化しすぎたのか、素直に頷いて両手を上げてくれた。
「……もう抵抗はしない。捕虜の扱いは……月人相手じゃ期待できないかな?」
「いやだから捕虜じゃないからね? ついでに言えばここは月でもないよ。今の状況を君はどんな風に考えてる?」
僕がそう尋ねると答えはすぐに帰って来た。
「……詳しくは言えないが、ボクはある実験中にトラブルに巻き込まれたらしい。気が付いたらセンサーの類がすべていかれていて、ここがどこなのかもわからなかった。だけどそこで……妙なアウターに乗った、髪の光る人間を見つけたわけだ。どんな技術か知らないけど顔がむき出しで、乗っているのが月の戦闘用クローンなのはすぐにわかったから、敵勢力と判断。頭を覗かれる前にどうにかしようと頑張った……ってところかなぁ」
「そんなに彼女有名なの?」
「そりゃあ有名だ。月人のクローンはやばい。特に戦闘タイプと顔を合わせたら死んだと思った方がいいって地球じゃ誰でも知ってるよ」
「……そんなに?」
今度はフーさんに振ってみると、フーさんは大いに慌てて視線を逸らした。
「ま、まぁ戦果はすごいって聞いてるかな? ハハハ……死を恐れない速攻―――がスローガンだしぃ……」
「……思ったより肉食系のスローガン掲げてるんだね」
「違うの! 違わないけど違うの!」
うーんいや、妖精みたいな儚いイメージだったんだけど、思ったより蛮族ムーブかましてる月の人に、ちょっと驚いてしまった。
それはともかく実験というと、ここに現れた時点でワープ関係だとは思う。
やっていることがあんまり変わらないところを見ると、今の時点でワープに関しては様々な組織が横並び程度の進行具合だとわかってしまうのが嫌なところだった。
「なるほど……じゃあまず彼女は月人ではあるけど、君と同じく遭難してこの場所に来たから個人として扱ってほしいな。そしてこの場所は火星の先の小惑星帯、ニライカナイコロニーだよ」
「……そんな場所にコロニーなんてないだろ? からかってる?」
「残念ながらからかってはいないんだ。ここは少し特殊なコロニーだからね。でも、ひとまず君の治療は出来ると思う。腕が腫れているようだし、他にも怪我はあるはずだよね?」
まずは怪我の処置なしで落ち着けるわけもない。
もう少しマシな状況を作らなければ、安心して話も出来ないだろう。
もうひと暴れするかもしれないと、フーさんとこっそり目を合わせ警戒したが、それは幸い意味なく終わった。
「……これでも体の頑丈さには自信があるんだけど……確かに少し疲れてる……かな?」
敵意がないと伝わったのかパイロットはそう言うとその場に座り込む。
そして彼女が自分の黒いスペーススーツインナーのヘルメットを脱ぐと、白いツンツンとした髪が飛び出した。
まぁ、ピタッと体のラインが見えるインナーの体型を見ればわかっていたが、パイロットは彼女である。
しかも飛び切りの美人さんだった。
ビックリするほど整った顔立ちの彼女をみると、フーさんを救助した時と同じデジャブを感じた。
こいつは、感動するより先に闇の気配がする。
彼女は素顔をさらした途端、パタリとその場に倒れるように気を失った。
「ふむ……無茶するなぁ。君のところの人類は」
シュウマツさんもちょっとあきれ気味に彼女を見ていたが、同じ宇宙の人類としてはなんともお恥ずかしい話だった。
「返す言葉もないなぁ。シュウマツさん、悪いけど治療手伝ってくれる?」
「もちろん。彼女は君と同郷かな?」
「いや、違う。彼女はたぶん地球から来たんだろうね」
そう言う僕も地球人は初めて見た。
褐色の肌に白い髪。この特徴はもう一つの人類の進化系と言われる地球人のものである。
「ふむ、彼女もまた君達とはずいぶん見た感じが違うのだね」
「ああ、うん。地球人はわかりやすいよ、でも聞いた通りならすごいのは中身の方だね」
僕が薄い知識で地球人の紹介をすると、僕よりもいくらか詳しいらしいフーさんが、説明の補足を買って出た。
「そうそう。地球人はとにかく強いんだ」
「そうなのかい?」
「うん。体が頑丈で、筋肉の密度は月人の3倍はある。何より反射速度が半端じゃないのはさっき見た通りだよ」
ああ確かに。間近に見ていてとても真似出来そうにない動きだった。
知識と、実体験がかみ合ったような感覚は、不思議と満足感がある。
月人が脳を発達させた人類だとすると、地球人は体を発達させた人類だと言われていた。
環境の悪化に適応して、単純に強く、頑丈に進化した。
先ほどの無茶苦茶なアウターの機体性能も彼女達地球人の身体に合わせたカスタマイズというわけだ。
後は、少しばかり面白い話で地球人はシロクマ化しているなんて言う人もいる。
寒くなった環境に適応してメラニン色素が多くなり、少ない太陽光から熱を集め、髪は空気を含むから白いんだということらしい。
その構造はかつて北極に生息していたシロクマと似ているのだとか。
本当のところはわからないが、その驚異的な能力が真実なのは間違いないようだった。
「まぁでも要救助者に出身は関係ない。宇宙の果てじゃ助け合わなきゃいけないよ。普通に大変だよね。あっ……僕も遭難みたいなものだったか」
「ちなみに私も広い意味では遭難みたいなものなのだよな」
ここにいる人はシュウマツさんも含めてみんな遭難していたんだった。
とんでもない共通点だが、実際そうなのだから仕方がなかった。
「そうだね……そういう意味じゃみんな仲間みたいなものだね」
フーさんもそれは認めるところで、気の遠くなった顔をしていた。
ならやっぱり勢力なんて関係なく仲よくしないと始まらない。
人類皆兄弟は、今ここでなら達成出来る目標だと信じたいところである。
「では治療を始めよう。肋骨が2本罅、腕が1本折れてるね」
僕は簡単に診断してシュウマツさんに伝えると、シュウマツさんはさっそく回復魔法を使い始めた。
温かい光がシュウマツさんから照射され、地球人さんに降り注ぐと、すごく腫れてていた患部が元の健康な肌に戻っていった。
「解呪はさっきやったから興奮状態も少しはマシになってるだろう」
「解呪ってそんな効果まであるの?」
治療を面白そうに見ていたフーさんは、シュウマツさんに訊ねると。彼は点滅して肯定した。
「場合によってはね。ずいぶん強い薬で無茶をしていたようだから必要だっただろう。だがいきなり健康になったから、少し体がビックリしてしまったね。ずいぶんと他にも無茶をしているようだし」
「というと?」
「ふむ。おそらくだがあの薬は短期間に身体能力を向上させる代わりに身体を壊すものだよ。他にも体の頑丈さに任せて色々やっていたようだから、まぁ大変だ」
「だ、大丈夫なのそれ?」
僕はシュウマツさんの解析能力に驚いたが、よくもまぁ少し回復しただけでそこまで分かるものだった。
まぁたぶん、解析する魔法とか使ったんだろうって気がするが、聞かぬが花だと僕は思う。
それよりどうにもテレポートの実験に使われるパイロットは色々訳アリが多いようであった。
どう考えてもまずいことになりそうな話だが、シュウマツさんは治療を終えてこれで一命はとりとめたと言った。
「よし。これで完全に健康体だ。眠りから覚めれば彼女も寿命が延びるんじゃないかな?」
「えぇ? 本当に? 勝手にまずくない?」
「何が? 健康になって何か問題があるとでも?」
「ないとは……思うけど」
まぁなんにせよ、ここから先の話は気絶してしまった彼女が目覚めてからになるだろう。
しかしポンポン寿命を延ばしてくるあたり流石魔法だった。
ただ、寿命が延びたとは言っても失った分を取り戻したという側面が強いのは、思うところがある。
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