宇宙の果てで謎の種を拾いました

くずもち

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第33話希望の星

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 白熊さんは、外に出てほどなく僕達の言葉を理解してくれたらしい。

 見上げる視線の先には宇宙空間にワサワサ枝葉を広げる謎の大樹があった。

 本来なら納得には相応の時間が必要だろうけど、ひとまず丸呑みにしてくれただけ立派なものだとそう思った。

「うーん魔法……魔法かぁ。怪我が一瞬で治って、宇宙空間で生身だったり……月の新技術だとばかり思っていたけど……あのでっかい木を見せられると魔法の方がまだ納得できるかもしれない」

「でしょう?」

「それはそう」

 うんうんと頷く僕とフーさんの前には、フワフワと浮かんでいるお馴染みの光の玉が複雑そうな思念を飛ばしていた。

「私の本体は普通にそう言う植物なのだがね? 魔法と一緒にされても困るよ?」

「いや、それは……もっと無茶だと思うよシュウマツさん」

「魔法の大本ってシュウマツさんなんでしょ? 私も知ってる」

「うーん……間違ってはいないのだがね?」

「気になってはいたけど、この光るのは……何なんだろう?」

 未確認生命体とのやり取りに困惑している白熊さんに、僕は一番大事な彼をようやくちゃんと紹介した。

「彼はシュウマツさん。困ったことがあれば彼に頼めば大抵のことは叶えてくれるよ」

「うん。私も家を作ってもらった! 魔法が使えるんだよ!」

「へぇ。じゃあ……宇宙船とか用意してくれたりするの?」

 だが、ちょっとした思い付きのように言った白熊さんの言葉は中々衝撃的だった。

「宇宙船というと、星の海を渡る船かな? それは少し難しいかもしれないね。向こうでは星の海を渡ることはしなかったんだ」

 どう返すのかと思ったが、シュウマツさんの返事に僕は少しだけ驚いていた。

 そうかシュウマツさんの世界の人類は宇宙まで進出しなかったのか。

 ワープまで使いこなせるという高度な文明だと言うのに、不思議なこともあるモノだった。

「?」

「宇宙船というモノの図面を用意して作り方を教えてくれるのなら、どうにかできなくもないと思う」

 しかし例え異世界の人間が宇宙進出していなくとも、設計図の類があればそれらしいものをシュウマツさんなら作れるかもしれない。

 しかし実物を用意するのも図面を用意するのも中々難しいことではあった。

「それは……ボクにはちょっと難しいかもな」

 星間航行船の設計図までは、手持ちのデータにないらしく白熊さんは肩を落とす。

 なら僕はどうだろうと考えると、あの船なら可能かもしれない。

「僕が乗って来た宇宙船のデータならあるけど……さすがに地球まで乗って帰られると困るかも」

 僕が乗って来たのはスペースコロニー産の宇宙船だが、超大型の実験船だった。

 地球に帰るならまさか返却はしないだろうから、丸っと地球に持って帰られるとなるとちょっとまずい気がする。

「それは今どこかにあるの?」

「いや、もう壊れたから一から新造することになるね。シュウマツさんなら、すぐ出来るかもしれないけれど……少し不安な部分もあるかなぁ」

 白熊さんは僕の方を見て、しばし考えていたがやっぱり肩を落として首を横に振った。

「ううん……ボクも星間航行できる宇宙船を一隻貰うって言うのはさすがにだ。となると……ボクも覚悟を決めなきゃいけないか」

「ごめんね? やっぱり帰りたいよね」

 そりゃあいきなりこんな宇宙の果てにやってきてしまったんだから故郷が恋しいだろう。

 心配した僕だったが、白熊さんは今度は深めに眉間に皺を刻んであっさり言った。

「……それがそうでもない。そりゃあ帰った方がいいんだろうなってのはあるけど、今は好奇心の方が勝ってるかな」

「ああ、そうなんだ」

「うん。生まれてこの方戦闘ばっかりの人間だから役立てることはあまりないかもしれないけど。出来そうなことがあるなら何でも言ってくれると助かるよ」

「あっはっはっ。まぁでも僕らしかいないコロニーで戦うことなんて滅多に……」

 苦笑する白熊さんの提案に、僕の頭には唐突に電撃が走って顔色を変えた。

 フーさんの方を見ると、バッチリ目が合う。

 やはりそう思うかい。

 彼女ならひょっとして奴に勝てるかもしれないと。

「……いや、そうでもないかも。やって欲しいことある」

「そうだね。ひょっとするといけるかもしれない」

 僕とフーさんは頷きあい、白熊さんに期待の眼差しを送った。

「え? なんだろう?」

 更にはシュウマツさんもピカピカと希望の光をまき散らしていた。

「ふむ……そういうことなら私もとっておきを提供しなければならないな」

「頼むよシュウマツさん。お食事事情が劇的に改善されるかもしれない」

「うん。やり方次第じゃ、ついにあのモンスターを倒せるかもしれないよ」

「……この妙な盛り上がりは一体何なの?」

 若干引き気味の白熊さんに、僕ら三人は熱い期待を寄せ、代表して僕が彼女に託す。

「じゃあさっそく準備をしよう……今日から君は『給食係』だ」

「給食係?」

 呼び名については勢いなのであまり深く考えないでくれると助かるが、このコロニーの食卓にサラダとカップ麺以外をもたらすかもしれない救世主。

 それが給食係である。
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