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第55話コロニーの変化と役割分担
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チョットした話ではあるが、コロニーに住む僕らはそれぞれ分担して作業をしている。
まず僕の場合は、コロニーの管理と機械の整備や調整。
現状嗜み程度だが、周囲宙域の資源調査と、回収。
あとはワープの研究を少々といったところだ。
非常時に付きオーバーワーク気味だったが、現状はそのうちのいくつかをオペ子さんに引き継いでいる。
通称「連絡係」の彼女は現在、出来上がった設備のシステム面を取り仕切ってくれていた。
続いてフーさんの通称は「生き物係」。
彼女はコロニー内に発生した、植物、動物の情報を集めていた。
そしてシュウマツさんと共に纏めたデータをオペ子さんに送信し、データベースを作り出すのが主な役目となる。
これが予想外に大ごとで、場合によっては捕獲し、センサーを埋め込んだりと危険生物が発生し始めた現状では、重要な役割となっていた。
そしてフーさんが収集したデータベースを基に、食料になりそうな動物を狩っているのが通称「給食係」の白熊さんである。
当初は、家畜の管理の様な役割になるだろうと思われていたが、肉キメラの戦闘能力向上に始まり、後に発生した生物が予想以上の戦闘能力を備えていたことで、役割の危険性と重要度が跳ね上がった。
現在コロニー内という閉鎖環境の都合上、より強力な近接戦闘用の兵器を開発中である。
僕は現状を整理しつつ思ったことを口に出した。
「うーん。これはひどい」
「参考までに聞きたいのだが、どこがひどいのだろうか?」
シュウマツさんが不服そうに明滅していたが、そんなに不思議な事じゃないと思う。
「何がひどいって、野生が過ぎないだろうか? コロニーの中なのに命懸け過ぎない?」
そもそもスペースコロニーとは、人類の生存に最適化された空間である。
いや、植物のシュウマツさんが作り出している以上は、必ずしもそうではないのかもしれないが、ここがコロニーである以上は気になるところも僕にはあった。
「そ、そんなことないと思うけどな。私は……」
「でも、この間フーさんに会ったんだけど……」
そうアレは、いい感じに僕の畑の作物が実ったのでおすそ分けに行った日の事だった。
僕が連絡を取ると、フーさんは用事があるので森の家で待ち合わせをしようということになった。
だから僕は籠に大量の野菜とカップ麺を持っていくと、彼女は木の上から現れた。
ワイヤーを器用に操り、すごい勢いで落ちてきたフーさんに、僕は恥ずかしながら驚いて尻もちをついてしまった。
「よっと! 着地成功! 元気カノー! あ、ゴメン、驚いた?」
「……いや、大丈夫だよ。えっとなんで上から?」
「ちょっと今、目をつけてる奴がいてね。様子見中。今夜辺り、巣を見つけようと思って、準備してるんだよね」
ホラっとフーさんの見せてくれる袋からは、とんでもない匂いが漂っていた。
まさかとは思った。思ったが……僕は尋ねてしまった。
「それは?」
「う〇こだよ! この匂いを体につけるのが、今のところ一番バレない!」
フーさんは曇りのない笑顔で、僕に教えてくれた。
「う〇こ体に塗るんだって……。警戒されずに近づいて、写真撮るついでに何食べてるかとか調べるんだってさ」
それが必要なことだと言うのなら止はしない。
しかし……なんというか、あの妖精の様だった少女が野生に帰っていくその姿を見ると、これでいいのか?っと疑問が沸いただけである。
「お、おう。いや、肥しはいい文化だと思うよ。植物大好き……」
「人間は扱いを間違えると病気になったりもするんだけどな? それと……この間、白熊さんにも野菜を持って行ったんだよ」
「それは喜んだだろう?」
「うん。喜んでもらえた。服も新しくなっていてね? とても元気そうだった」
「ああ、そうなんだ。服は同じものをいくつか作ってほしいと言うから私が送ったよ。かっこよかっただろう?」
「それはありがとう。うん、すごくかっこよかった。良かったんだけど……気にかかるところもあるわけだよ」
そうあれは、僕が白熊さんの家を訪ねた時のことだ。
「いらっしゃい。よく来てくれたね」
「あ、服変えたんだ。すごいな。僕なんてまだインナー着たままなのに」
それは僕にしてみたら、とても素直な賞賛だった。
自分達の作ったコロニーで、宇宙服を脱ぐという行為はかなり勇気がいると思う。
心理的に普段着になることを避けてしまいそうだが、白熊さんはすでにその恐怖を克服しているようだった。
「そろそろいいかなと思ってね。ヘルメットはずっと外してるし、やっぱり装備は重量あるからね。それよりどう? 中々いいだろう?」
そう言って自分の着ている服を見せる白熊さんはシンプルな白いシャツに黒いズボン。そして丈夫そうなベージュ生地のエプロンをしていた。
エプロンにはデフォルメされた白熊がプリントされていて、いい感じのワンポイントになっている。
「すごく料理ができそうだ。あと、ネタに吹っ切れてるのもポイントが高いね」
「だろう? 着ているだけでちょっと上がる」
白熊さんはエプロンをつまんで見せながら、実に楽しそうに笑っていた。
「料理の方はどう?」
「いいね。調味料の種類が増えたのが大きい。フーさんに頼んだのは正解だったね。ああ、アレは君にもお礼を言わないとだ」
「いえいえ。順調そうで何よりだよ。僕もおいしいものは食べたいし」
「そうだよね! でも最近はすごく面白いよ、今一番熱いのはやっぱりあれだ、肉。この間のでっかいウミヘビも衝撃的だったけど……君、ドラゴンの尻尾に興味あるかな? あとマンモスの鼻とか?」
「え?」
ただ白熊さんとの日常会話で飛び出したワードに、僕は一瞬思考が固まって、整理がつく前に言葉が口をついた。
「気にはなるけれど。……一度は食べてみたい候補には入ると思うよ?」
「だろう? フーさんの話じゃ……いるらしいよ?」
白熊さんがなぜか小声で言ってきたわけだが、それでようやく僕にも事態が飲み込めて来て、天を仰いだ。
「……いるんだ。いてほしいとは少しだけ思っていたけれど、ホントシュウマツさんは面白い生き物を導入するよね。わからなくはない……わからなくはないんだよ?」
そして僕は精一杯の言葉を白熊さんに送ったが、白熊さんはもうあんまり聞いてはいなかった。
「そっかー……君も食べたいかー。それはちょっと頑張らないとだなー。いや、ボクもマンモスやら、ドラゴンやら狩るのはまずいかなーなんて思ってたんだけど。この間のでっかい蛇もまだあるし」
目に見えてワクワクしている白熊さんは完全に狩るつもりだと、僕は理解した。
「あー……うん。興味深い話だとは思う」
「だろう! よし! じゃあ、一狩り行ってこようかな? ちょっと剣と盾だけじゃ不安があるから……狩りに必要な装備お願いしてもいいかな!」
僕が、その後押しをしたせいで白熊さんは僕にとてもいい笑顔でリクエストしてきた。
「あれは、もうただ単に狩りたいだけだったね。出汁に使われちゃったよ。……僕も修理ならともかく、このコロニーで武器の開発まですることになるとは思わなかった」
今以上となると、本気で兵器開発になるんだけどダイジョブそう?
だいたいあの肉キメラから始まっていて、戦闘能力の水準が高すぎるのが悪いと思う。
シュウマツさんに目はついていないけれど、確実に視線を逸らされたのを感じた。
「まぁ……いつだって武器の開発は狩りから始まるものだよ?」
「狩りは、まぁいいんだけど。コロニーなんだから。居住区に天敵は入れないでしょ普通?」
「食物連鎖ってそういうものじゃないか? こうやって普通に話をしているから勘違いしているかもしれないが、私の持っている記録は何も人間だけの物ではないからね? そして私は植物だから果実なんて食べられること前提だよ?」
「……食べられるのが、僕らじゃ笑えないと思うんだけどなぁ。肝は冷えるんだよ?」
「そこはすまない。でも私の星の末期はもっとひどいものだったから。動物の戦闘力なんて、ここにいる動物の比じゃなかったからね。アレはひどいものだったよ」
「……そうなの? なんでそんなことに?」
今の状態でも十分ひどいと思った僕だったが、続くシュウマツさんの説明にすぐ納得してしまった。
「人間が、錬金術で魔法生物を兵器転用しようとして失敗した」
それを聞いたとたん、僕の脳裏に過ったのは、肉キメラの群れが、地上を制圧する光景だった。
「ああ、なんとなくわかった……」
「でも正直に言うとだね? 私だって驚いているんだよ? 私が知る限りで、精霊がこんなにも一生懸命働くことはなかったし、魔素がこんなに早く生物に影響を与えたこともなかった。私自身、自分から世界を構築しようなんて思ったことはないのだがね? いくら作為的にしようと思ったところで命が思い通りになる事などないのだなーと改めて思い知ったね」
「……ホント、出来るだけ気を付けてね?」
要は制御不能ということなんじゃないだろうか?
たまたまバッサバッサと山に飛ぶ巨大な怪鳥を眺めながら僕は、もう手遅れかもしれないけどと心の中で付け足した。
まず僕の場合は、コロニーの管理と機械の整備や調整。
現状嗜み程度だが、周囲宙域の資源調査と、回収。
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当初は、家畜の管理の様な役割になるだろうと思われていたが、肉キメラの戦闘能力向上に始まり、後に発生した生物が予想以上の戦闘能力を備えていたことで、役割の危険性と重要度が跳ね上がった。
現在コロニー内という閉鎖環境の都合上、より強力な近接戦闘用の兵器を開発中である。
僕は現状を整理しつつ思ったことを口に出した。
「うーん。これはひどい」
「参考までに聞きたいのだが、どこがひどいのだろうか?」
シュウマツさんが不服そうに明滅していたが、そんなに不思議な事じゃないと思う。
「何がひどいって、野生が過ぎないだろうか? コロニーの中なのに命懸け過ぎない?」
そもそもスペースコロニーとは、人類の生存に最適化された空間である。
いや、植物のシュウマツさんが作り出している以上は、必ずしもそうではないのかもしれないが、ここがコロニーである以上は気になるところも僕にはあった。
「そ、そんなことないと思うけどな。私は……」
「でも、この間フーさんに会ったんだけど……」
そうアレは、いい感じに僕の畑の作物が実ったのでおすそ分けに行った日の事だった。
僕が連絡を取ると、フーさんは用事があるので森の家で待ち合わせをしようということになった。
だから僕は籠に大量の野菜とカップ麺を持っていくと、彼女は木の上から現れた。
ワイヤーを器用に操り、すごい勢いで落ちてきたフーさんに、僕は恥ずかしながら驚いて尻もちをついてしまった。
「よっと! 着地成功! 元気カノー! あ、ゴメン、驚いた?」
「……いや、大丈夫だよ。えっとなんで上から?」
「ちょっと今、目をつけてる奴がいてね。様子見中。今夜辺り、巣を見つけようと思って、準備してるんだよね」
ホラっとフーさんの見せてくれる袋からは、とんでもない匂いが漂っていた。
まさかとは思った。思ったが……僕は尋ねてしまった。
「それは?」
「う〇こだよ! この匂いを体につけるのが、今のところ一番バレない!」
フーさんは曇りのない笑顔で、僕に教えてくれた。
「う〇こ体に塗るんだって……。警戒されずに近づいて、写真撮るついでに何食べてるかとか調べるんだってさ」
それが必要なことだと言うのなら止はしない。
しかし……なんというか、あの妖精の様だった少女が野生に帰っていくその姿を見ると、これでいいのか?っと疑問が沸いただけである。
「お、おう。いや、肥しはいい文化だと思うよ。植物大好き……」
「人間は扱いを間違えると病気になったりもするんだけどな? それと……この間、白熊さんにも野菜を持って行ったんだよ」
「それは喜んだだろう?」
「うん。喜んでもらえた。服も新しくなっていてね? とても元気そうだった」
「ああ、そうなんだ。服は同じものをいくつか作ってほしいと言うから私が送ったよ。かっこよかっただろう?」
「それはありがとう。うん、すごくかっこよかった。良かったんだけど……気にかかるところもあるわけだよ」
そうあれは、僕が白熊さんの家を訪ねた時のことだ。
「いらっしゃい。よく来てくれたね」
「あ、服変えたんだ。すごいな。僕なんてまだインナー着たままなのに」
それは僕にしてみたら、とても素直な賞賛だった。
自分達の作ったコロニーで、宇宙服を脱ぐという行為はかなり勇気がいると思う。
心理的に普段着になることを避けてしまいそうだが、白熊さんはすでにその恐怖を克服しているようだった。
「そろそろいいかなと思ってね。ヘルメットはずっと外してるし、やっぱり装備は重量あるからね。それよりどう? 中々いいだろう?」
そう言って自分の着ている服を見せる白熊さんはシンプルな白いシャツに黒いズボン。そして丈夫そうなベージュ生地のエプロンをしていた。
エプロンにはデフォルメされた白熊がプリントされていて、いい感じのワンポイントになっている。
「すごく料理ができそうだ。あと、ネタに吹っ切れてるのもポイントが高いね」
「だろう? 着ているだけでちょっと上がる」
白熊さんはエプロンをつまんで見せながら、実に楽しそうに笑っていた。
「料理の方はどう?」
「いいね。調味料の種類が増えたのが大きい。フーさんに頼んだのは正解だったね。ああ、アレは君にもお礼を言わないとだ」
「いえいえ。順調そうで何よりだよ。僕もおいしいものは食べたいし」
「そうだよね! でも最近はすごく面白いよ、今一番熱いのはやっぱりあれだ、肉。この間のでっかいウミヘビも衝撃的だったけど……君、ドラゴンの尻尾に興味あるかな? あとマンモスの鼻とか?」
「え?」
ただ白熊さんとの日常会話で飛び出したワードに、僕は一瞬思考が固まって、整理がつく前に言葉が口をついた。
「気にはなるけれど。……一度は食べてみたい候補には入ると思うよ?」
「だろう? フーさんの話じゃ……いるらしいよ?」
白熊さんがなぜか小声で言ってきたわけだが、それでようやく僕にも事態が飲み込めて来て、天を仰いだ。
「……いるんだ。いてほしいとは少しだけ思っていたけれど、ホントシュウマツさんは面白い生き物を導入するよね。わからなくはない……わからなくはないんだよ?」
そして僕は精一杯の言葉を白熊さんに送ったが、白熊さんはもうあんまり聞いてはいなかった。
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「だろう! よし! じゃあ、一狩り行ってこようかな? ちょっと剣と盾だけじゃ不安があるから……狩りに必要な装備お願いしてもいいかな!」
僕が、その後押しをしたせいで白熊さんは僕にとてもいい笑顔でリクエストしてきた。
「あれは、もうただ単に狩りたいだけだったね。出汁に使われちゃったよ。……僕も修理ならともかく、このコロニーで武器の開発まですることになるとは思わなかった」
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シュウマツさんに目はついていないけれど、確実に視線を逸らされたのを感じた。
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「狩りは、まぁいいんだけど。コロニーなんだから。居住区に天敵は入れないでしょ普通?」
「食物連鎖ってそういうものじゃないか? こうやって普通に話をしているから勘違いしているかもしれないが、私の持っている記録は何も人間だけの物ではないからね? そして私は植物だから果実なんて食べられること前提だよ?」
「……食べられるのが、僕らじゃ笑えないと思うんだけどなぁ。肝は冷えるんだよ?」
「そこはすまない。でも私の星の末期はもっとひどいものだったから。動物の戦闘力なんて、ここにいる動物の比じゃなかったからね。アレはひどいものだったよ」
「……そうなの? なんでそんなことに?」
今の状態でも十分ひどいと思った僕だったが、続くシュウマツさんの説明にすぐ納得してしまった。
「人間が、錬金術で魔法生物を兵器転用しようとして失敗した」
それを聞いたとたん、僕の脳裏に過ったのは、肉キメラの群れが、地上を制圧する光景だった。
「ああ、なんとなくわかった……」
「でも正直に言うとだね? 私だって驚いているんだよ? 私が知る限りで、精霊がこんなにも一生懸命働くことはなかったし、魔素がこんなに早く生物に影響を与えたこともなかった。私自身、自分から世界を構築しようなんて思ったことはないのだがね? いくら作為的にしようと思ったところで命が思い通りになる事などないのだなーと改めて思い知ったね」
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