宇宙の果てで謎の種を拾いました

くずもち

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第54話最近コロニーが騒がしい

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 宇宙に出て清掃活動に励んでいた所、僕は隕石の中に面白い物を見つけていた。

「お、これって……ワープクリスタル?」

 一見すると水晶のようだが、鈍く黒ずんだ色をしているそれを僕は見たことがあった。

 こんなところで見つかるとは驚きだったが、見つけてしまったのなら調べてみなくちゃ始まらない。

 僕はさっそく見つけたそれをコロニーに持っていくことにした。



 そして相談してみているのはシュウマツさんだった。

「すごいの見つけた。ワープクリスタル」

「何なんだいそれは?」

 興味を持ってくれたシュウマツさんに、僕はクリスタルをかざして見せた。

「これこれ。水星で発見された奴とたぶん同じものだよ。これが見つかってワープが真面目に研究されるようになったんだから」

「ほほう」

 このクリスタルに電流を流すと、周囲の空間が歪む。歪んだ空間に巻き込まれるとそのエネルギー量に応じて、一定距離に飛ばされる。

 極めて希少な鉱石だが、水星ではそれなりの量発掘されたようで、発見当初はずいぶん熱心に研究されたと聞いていた。

「飛ぶ方向はランダムなんだけど、同じタイミングで二カ所で使うと物がワープするとか。今のところ安定感が今一で、事故も多いのは知ってると思うけど」

「そうだね。でもこれは……ふむ。確かにこれがあればできるかもしれないな」

「シュウマツさんは何かわかる?」

 シュウマツさんに見せたら何か面白い話が聞けるのではないかとは思っていたが、どうやらその期待は間違っていなかったようだった。

「ああ。私の使う転移と似た力を感じるよ。でもこれだけじゃダメだろうな。“穴”が開いたらきちんと道にして、道しるべもないと」

 そして期待以上にそれっぽいことを言い出したシュウマツさんに、僕はちょっとだけ希望を見いだしていた。

 何かできるのなら試してみたい。

 それに僕にはワープ関連でどうしてもやっておきたい尻ぬぐいもあった。

「どうだろう? 僕はどうにかあの、今出来ている空間の“穴”をふさぎたいんだけど、ワープクリスタルと魔法を使えば行けるかな?」

「うーん。放っておけばそのうち閉じるとは思うが……」

「いやー……いつまでかかるかわからないし。こうポンポン来られるとね」

 僕一人なら気にしないところだが、3人も来たならそう言うわけにもいかない。

 今後同じ事故も増えると言うのなら、手を打たなきゃマズイ。

 最も本来であれば、空間に開いた謎の穴なんて僕にどうこう出来るのがおかしいのだが、そこは困った時のシュウマツさん頼りだった。

 シュウマツさんはしばらく唸っていたが、最終的には引き受けてくれるようだった。

「となると……準備をすればたぶん。大変だと思うけど、やるかい?」

「やるよ。……ここにみんなが流れ着いたのは僕らの実験のせいでもあるんだ。彼女達が望めば帰る算段くらいはつけてあげたいし、危険があるなら“穴”もふさいでおきたい」

 シュウマツさんが大変だと言うくらいだからかなり大変そうだが、まぁシュウマツさんが手を貸してくれるのならどうにかならないこともないだろう。

「よし。じゃあまぁいったん家に戻ろうか。コロニーの中も騒がしくなったことだしね」

「……そうだね」

 僕は頷く。

 シュウマツさんも余計なことを言う。

 最近はアウターから降りたりせずに、コロニーの中を移動するのがデフォルトになっていた。

 すっかり自然豊かになったコロニーは、鳥や虫の声も聞こえるようになった。

 まさに大自然といった様相なのだが……それも過ぎれば、問題である。

 ズズンと大地が揺れて、大木が吹き飛ぶ。

 そして森から大量の鳥と、巨大な蛇が飛び出すのを見て、僕は動揺することなくため息を吐いた。

「ホントに……騒がしくなったよね」

「う、うん。いや、まったく……」

 悪いとは言わないけれど、もう少し大人しく出来なかったものだろうか?

 いや、本当に。悪いとは言わないけど。

 そして飛び出した蛇を追いかけているのは、アウターに乗った青い髪の少女で、彼女は打ち出したワイヤーで蛇を捕まえると、電気ショックでマヒさせて一瞬で蛇を無力化していた。

「あっ! おーい! また危ないの見つけたー。記録とってタグつけるから、気を付けてねー!」

 ぶんぶんアームを振るフーさんに僕も手を振って返す。

「僕の適応力が低いのかもしれないけれど」

「そんなことはないね。君はよくやっているとも。彼女が逞しいんだよ」

「それはそう」

「どうだね? そろそろ私と契約して、魔法でも使ってみるというのは?」

「それは止めとく……ひょっとするとわかっているかもしれないけど、僕はまだこの環境の変化に適応できているとも言い難いんだ」

「だろうね」

「だろうねとは人ごとの様なことを言うなぁ」

 この上、僕自身にまで劇的な変化を起こしそうなことは勘弁してもらいたい。

 シュウマツさんはたまに謎の契約に誘ってくれるけれど、まだまだ科学サイドとして感覚には未練もあった。

 生き物が落ち着くって本来時間がかかるし、個人差がある、そういうものなんじゃないかなって僕は思った。
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