宇宙の果てで謎の種を拾いました

くずもち

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第83話泥仕合

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 こう……君達、是が非でも勝ちに行ってるね?

 僕は双方強化に余念のないビジュアル面からも物申したい気分である。

 実況席ではシュウマツさんの仮ボディである光の玉とオペ子さん制御下の球体のドローンが、それぞれ意見交換していた。

「今回はステージを用意しました。場外に出れば負けですね」

「ステージと言っても、ただの平たい岩だからいくら壊しても大丈夫だよ」

「どっちも重量級だからなぁ」

 そしてステージの上にはコートが描かれていて、両端にフーさんと白熊さんがアウターを着て立っている。

 両者自信満々の顔で視線をかわし、開始の閃光弾が打ち上げられると、野性味のある笑みを浮かべて指示を飛ばした。

「メタルレックス! レールカノン!」

「メタ子! ドリル流星!」

 メタル化Tレックスは姿勢を低く構え、いきなり背中の砲を使い、やたらでっかい質量弾をぶっ放す。

 対して魔法生物は体に開いた穴から無数のドリルみたいな金属片を撃ち出した。

「かわせ!」

「耐えるんだ!」

 巨大質量弾は、相手の金属片をものともせずに突き進むが、魔法生物はおおよそ生物らしくない、直線的な軌道で弾をかわす。

 一方弾き飛ばされなかった金属片は命中こそしたものの、かすり傷一つMレックスの肌につけることが出来ずに火花だけが散っていた。

「硬いねその子。それにパワーもすごそう」

「そっちもずいぶん速い。わかってはいたけど、変形までするとは思わなかったよ」

 どうやらここまでは予想通りの様で、双方トレーナーに動揺はない。

 僕はあまりの凶悪な攻撃にドキドキしていたけれど、気にしないでもらいたい。

 白熊さんは防御体勢のMレックスに手を振りかざして指示を飛ばした。

「でもレックスも遅いわけじゃないんだよ! 行け! ジェット体当たり!」

「!」

 Mレックスは白熊さんの指示で走り出し、背中のブースターが火を噴いた。

 強靭な脚の踏み込みからの初速はもちろんだが、ブースターに火が灯った瞬間、ピンと体を伸ばし流線形になった辺り、この恐竜わかっている。

 そう言えばワニなんかも、泳ぐ時はこんな感じだったなと、僕はどうでもいい感想を思い浮かべた。

 ただ予想をはるかに超える速度を叩き出すMレックスは自分の速さを完璧に把握していて、強靭な顎は魔法生物の体を完璧なタイミングで捉えた。

「噛みつきだ!」

「ハヤッ! 負けるなメタ子! 巻き付き攻撃!」

 嚙み砕かれると思った魔法生物はしかし砕けない。

 それどころか怯みもせずに長い体を素早くMレックスの体に巻き付けて、締め上げていくあたり、さすが痛みを知らない魔法生物だった。

 そして魔法生物が触れたMレックスの武装は、その体に溶けるように取り込まれていた。

「ギャオオオオ!」

 ギチギチギチギチ!

「マズイ! 振りほどけ! メタルレックス!」

「ヘッヘーん! 接近戦を選んだのは迂闊だったね! メタ子! 放しちゃダメだよ! 一気に食べちゃえ!」

「……! こっちも負けるな!」

 ただど派手にぶつかり合う戦いは、すでに泥沼の様相を呈していた。

 考えてみれば、お互いに金属を捕食する生命体である以上はこうなることもあるだろう。

 モザイクかけなくて大丈夫かな? なんて不思議な心配が頭をよぎっていた僕の前で、しかしその変化は明らかに様子がおかしかった。

 魔法生物が、Mレックスの体に溶けてきている。

 一方でMレックスの捕食も止まらない。

 嚙み砕きあい、混ざり合い。

 一体何がどうなったのか、気が付けばステージの真ん中には、でっかい金属の塊がドンと置いてあった。

「え?」

「どういうことだろう?」

 おっと、さすがにこの現象はトレーナー達も状況を把握していない?

 まったく動きがなくなったバトルフィールドだったが、次の瞬間金属の塊は新たな変化を開始する。

 水晶が金属の塊を突き破って鋭く生えて来た。

 続いて、液体金属のようなものが育った水晶を取り込んで、ドンドンと新しい形を形成してゆく。

 気が付けば、元の状態よりはるかに大きな、全身からクリスタルを生やした二足歩行の金属製恐竜という化け物が誕生した。

「……何アレ?」

「さぁ? 合体したね」

 シュウマツさんの理解すら及ばない新たな現象に、僕は冷や汗をかき。

「ギャオーーーン!」

 新たに生まれた超生物の産声を聞いた。
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