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第84話真なるドラゴン
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「……!」
魔法生物と、金属生命体が混じったら怪獣になった。
目の前で見ていたのに訳が分からないとは驚きである。
「なんか生まれたんだけど……あんなのシュウマツさんの元の世界にいた?」
「……いや、いなかったね」
いなかったんだ。そうか。
……でもこれはイレギュラーすぎて、検証の方は中止した方がいいかもしれない。
そう判断した僕は、すぐに通信を飛ばした。
「オペ子さん! とりあえず今回はお開きにしよう!」
「了解しました。すぐに捕獲いたします」
しかしそこに割って入ったのは、フーさんだった。
「ちょっと待って! ここは任せてもらっていいかな?」
「フーさん……いける?」
「もちろん。あの中には私のメタ子も入ってるんだよ? ピピッと頼めば終わりだよ」
フーさんは元々備わった能力で、自分の脳波を相手に飛ばすことが出来る。
そこに翻訳の魔法が加わることによって、人間以外とも意思疎通が出来るのだ。
魔法生物はほとんど自我が無いようで、脳波を飛ばすだけで命令になる。
確かに同じ性質を持っているなら、簡単に無力化出来るかもしれない。
フーさんは合体生物の前に出て、その目を見る。
合体生物は動かなかったが―――フーさんの方はその目を見た瞬間、あ、やばいと言う顔になった。
「あ……この子。自我が強い。操れ―――」
「危ない!」
合体生物は体中のクリスタルが青白く発光し始めると、その口が一際眩く輝いた。
瞬間、閃光は真っすぐ直進するとステージは真っ二つに焼き切られていた。
知らない攻撃と、思った以上の威力に僕は思わず呆然としてしまった。
「アレはまずいだろう……! フーさん!」
「大丈夫だ! こっちは無事だよ!」
すぐさま返事をしてきたのは白熊さんだった。
フーさんをかかえ、今の一撃から逃れていた白熊さんはこちらに手を振る。
フーさんの方は気を失っているようだが、怪我はないらしい。
気絶も白熊さんの加速に耐えられなかったのが原因の様だ。
「白熊さん! 助かった!」
「こっちは大丈夫! しかしまさか合体するとは……なんかすごい罪悪感」
「いや、ホントに……」
「でもフーさんが操れないとなると……ちょっと力づくになるね」
弱ったなと苦笑する白熊さんは実力行使を申し出るが、僕はこれはまずいかもと提案した。
「どうする? まずそうなら、何か足止めして時間を稼いでから対策を……」
「いや。ボクがやるよ」
「……ホゲ?」
「大丈夫かって? どうかな。でもボクも責任はとらないとね」
トカゲのクッキーも心配そうである。
そりゃそうだろう。それくらいあの合体生物は意味が分からない迫力を有していた。
「そんなに無理しなくてもいいんじゃない?」
僕はコロニー出身者の性か、人間が乗っているもので戦闘は肝が冷える。
白熊さんはしかし、引き下がるつもりはないようだった。
「ここにいる間は全部自己責任だろ? 戦わせることに賛成したのはボクなんだ。誰から言われたわけでも、何を強制されているわけでもない。ただ、そういうの案外心地よくってね。都合が悪くなったからって引っ込めるのは格好がつかないだろ?」
「いやー、今回については逃げても全然いいと思うけどなぁ。……わかった。白熊さんが強いのは知ってる。頑張って」
「ありがとう。期待に応えるよ」
白熊さんは愛用の大剣を構えて、狂戦士化の魔法を発動させた。
どんどん体が大きくなって、分割変形するアウターは我ながらいい仕事である。
「さてやろうかメタルレックス。相手をしてあげるよ」
変形した白熊さんの姿に、合体生物は見覚えがあったらしい。
その表情が見る見るうちに凶悪に歪むと、白熊さんに襲い掛かった。
足を大きく振り上げて、振り下ろす。
ただそれだけの動作で、合体生物の膝丈ほどの大きさの白熊さんには十分に脅威である。
ただ、何度か踏み潰しを避ける白熊さんに襲い掛かったのは、尾による攻撃だった。
身長差がありすぎて死角から襲い掛かった一撃は白熊さんに掠ったが、それでもアウターが軽々と吹き飛ばされる姿は衝撃だった。
「……っ! すごいな、大分パワーアップしてるじゃないか!」
エアの噴射で姿勢を制御し、浮かぶ岩に着地した白熊さんは元より自慢の加速力を全開で使用する。
追加に追加を重ねたバーニアの推進力は、もはや宇宙船に近い。
目で追えないほどの大剣の一振りは、合体生物の首を狙ったがすんでのところでそいつは体をずらした。
ずれた剣戟は腕を落とすが、引き換えに大剣の刀身はグニャリと歪に折れ曲がっていた。
「!」
「危ない!」
僕は叫ぶ。
あの生物にとって、腕なんて代わりの効く部品にすぎないらしい。
すぐさま切られた腕の代わりに、傷口から頭が生えて口を開くと、例の閃光がやって来た。
「!」
全力で白熊さんも後ろに飛ぶが、多少距離を開けたところでこの武装には無意味だった。
「白熊さん!」
僕の声よりも光の方が速い。
どうにかしなければと思った時には、すでに閃光は標的を焼いていた。
僕は体が震えて、膝をつきそうになる。
まさかこんな大ごとになるとはと後悔しかけたところで通信は入った。
「だ……大丈夫! な、なぜか生きてるよ!」
「白熊さん! いったいどうやって……」
状況を確認しようと身を乗り出したけれど、何が起こったのかは一目瞭然だった。
白熊さんを守ったモノが遠目からでもはっきり見える。
それほどまでに巨大なドラゴンが合体生物を見下ろしながら、体が真っ白な色になるまで燃え上がっていた。
「クッキー?」
白熊さんの声が聞こえても、クッキーが何をさすのか最初僕はつながらない。
でもすぐに、あの白熊さんの側にくっついていたトカゲくんがカチリとクッキーという名前に繋がって、僕は二度見してしまった。
「―――え? うそでしょ?」
クッキーはどうやら大怪獣というか、燃えるドラゴンになってしまったようである。
いや、シュウマツさんからドラゴンになるという話を聞いてはいたが、まさか子犬サイズが一瞬でここまで育つとは思わなかった。
説明を求めてシュウマツさんを探すと、こっちはこっちで嬉しそうに輝いていた。
「おお……素晴らしい……私の世界では、真なるドラゴンは精霊の変化したものだけだと言う学者がいたんだよ」
「あれが、真なるドラゴン?」
「そうだよ? コロニーの中にもドラゴンと呼ばれている生き物はいるだろう? でもそれとはまるで違うからね。元の世界の人類が、そう呼んで区別したがる気持ちもわかる」
「……やっぱ強いんだ」
「もちろん。内包するエネルギーの量が違いすぎる」
クッキーは吼える。
合体生物は再び先ほどの光線を放ったが、そんなものはクッキーが放っている熱に飲み込まれてしまった。
クッキーが咆哮と共に放ったのはボール状の炎の塊で、光線を受けても構わず合体生物に突き進み、着弾の瞬間膨れ上がった。
「――――――」
火の玉は燃え上がり、合体生物を一気に飲み込む。
逃げる暇すら与えずに勝負を一瞬でつけたが、一向に炎は消える気配がなく燃え続けていた。
「え? 終わり? 宇宙空間でも燃え続ける消えない炎……」
「真のドラゴンの炎は特別なんだ」
明々と照らされる残った舞台の上で、呆けた様にクッキーを見上げる白熊さんは、恐る恐るクッキーに語り掛けていた。
「……ずいぶんおっきくなっちゃったねクッキー。これじゃあ、もうクッキーを一緒に焼くのは無理そうだ」
「……!」
ところが、さっきまで格好良かったドラゴンがその言葉を聞いたとたん、見てわかるほど目を見開いている。
そして一気に縮んだかと思うと、尻尾を振って白熊さんにアピールし始めた。
それだけはやめてと、真のドラゴンの言葉はこの瞬間だけ僕にも分かった。
「……クッキー」
「ホゲ!」
「そっか……ならお礼に、後で飛び切りおいしいクッキーを焼こうか」
元の大きさに戻ったクッキーは翼が少し大きくなっていたけれど、あれならまだ窯の中には入っていられそうだった。
魔法生物と、金属生命体が混じったら怪獣になった。
目の前で見ていたのに訳が分からないとは驚きである。
「なんか生まれたんだけど……あんなのシュウマツさんの元の世界にいた?」
「……いや、いなかったね」
いなかったんだ。そうか。
……でもこれはイレギュラーすぎて、検証の方は中止した方がいいかもしれない。
そう判断した僕は、すぐに通信を飛ばした。
「オペ子さん! とりあえず今回はお開きにしよう!」
「了解しました。すぐに捕獲いたします」
しかしそこに割って入ったのは、フーさんだった。
「ちょっと待って! ここは任せてもらっていいかな?」
「フーさん……いける?」
「もちろん。あの中には私のメタ子も入ってるんだよ? ピピッと頼めば終わりだよ」
フーさんは元々備わった能力で、自分の脳波を相手に飛ばすことが出来る。
そこに翻訳の魔法が加わることによって、人間以外とも意思疎通が出来るのだ。
魔法生物はほとんど自我が無いようで、脳波を飛ばすだけで命令になる。
確かに同じ性質を持っているなら、簡単に無力化出来るかもしれない。
フーさんは合体生物の前に出て、その目を見る。
合体生物は動かなかったが―――フーさんの方はその目を見た瞬間、あ、やばいと言う顔になった。
「あ……この子。自我が強い。操れ―――」
「危ない!」
合体生物は体中のクリスタルが青白く発光し始めると、その口が一際眩く輝いた。
瞬間、閃光は真っすぐ直進するとステージは真っ二つに焼き切られていた。
知らない攻撃と、思った以上の威力に僕は思わず呆然としてしまった。
「アレはまずいだろう……! フーさん!」
「大丈夫だ! こっちは無事だよ!」
すぐさま返事をしてきたのは白熊さんだった。
フーさんをかかえ、今の一撃から逃れていた白熊さんはこちらに手を振る。
フーさんの方は気を失っているようだが、怪我はないらしい。
気絶も白熊さんの加速に耐えられなかったのが原因の様だ。
「白熊さん! 助かった!」
「こっちは大丈夫! しかしまさか合体するとは……なんかすごい罪悪感」
「いや、ホントに……」
「でもフーさんが操れないとなると……ちょっと力づくになるね」
弱ったなと苦笑する白熊さんは実力行使を申し出るが、僕はこれはまずいかもと提案した。
「どうする? まずそうなら、何か足止めして時間を稼いでから対策を……」
「いや。ボクがやるよ」
「……ホゲ?」
「大丈夫かって? どうかな。でもボクも責任はとらないとね」
トカゲのクッキーも心配そうである。
そりゃそうだろう。それくらいあの合体生物は意味が分からない迫力を有していた。
「そんなに無理しなくてもいいんじゃない?」
僕はコロニー出身者の性か、人間が乗っているもので戦闘は肝が冷える。
白熊さんはしかし、引き下がるつもりはないようだった。
「ここにいる間は全部自己責任だろ? 戦わせることに賛成したのはボクなんだ。誰から言われたわけでも、何を強制されているわけでもない。ただ、そういうの案外心地よくってね。都合が悪くなったからって引っ込めるのは格好がつかないだろ?」
「いやー、今回については逃げても全然いいと思うけどなぁ。……わかった。白熊さんが強いのは知ってる。頑張って」
「ありがとう。期待に応えるよ」
白熊さんは愛用の大剣を構えて、狂戦士化の魔法を発動させた。
どんどん体が大きくなって、分割変形するアウターは我ながらいい仕事である。
「さてやろうかメタルレックス。相手をしてあげるよ」
変形した白熊さんの姿に、合体生物は見覚えがあったらしい。
その表情が見る見るうちに凶悪に歪むと、白熊さんに襲い掛かった。
足を大きく振り上げて、振り下ろす。
ただそれだけの動作で、合体生物の膝丈ほどの大きさの白熊さんには十分に脅威である。
ただ、何度か踏み潰しを避ける白熊さんに襲い掛かったのは、尾による攻撃だった。
身長差がありすぎて死角から襲い掛かった一撃は白熊さんに掠ったが、それでもアウターが軽々と吹き飛ばされる姿は衝撃だった。
「……っ! すごいな、大分パワーアップしてるじゃないか!」
エアの噴射で姿勢を制御し、浮かぶ岩に着地した白熊さんは元より自慢の加速力を全開で使用する。
追加に追加を重ねたバーニアの推進力は、もはや宇宙船に近い。
目で追えないほどの大剣の一振りは、合体生物の首を狙ったがすんでのところでそいつは体をずらした。
ずれた剣戟は腕を落とすが、引き換えに大剣の刀身はグニャリと歪に折れ曲がっていた。
「!」
「危ない!」
僕は叫ぶ。
あの生物にとって、腕なんて代わりの効く部品にすぎないらしい。
すぐさま切られた腕の代わりに、傷口から頭が生えて口を開くと、例の閃光がやって来た。
「!」
全力で白熊さんも後ろに飛ぶが、多少距離を開けたところでこの武装には無意味だった。
「白熊さん!」
僕の声よりも光の方が速い。
どうにかしなければと思った時には、すでに閃光は標的を焼いていた。
僕は体が震えて、膝をつきそうになる。
まさかこんな大ごとになるとはと後悔しかけたところで通信は入った。
「だ……大丈夫! な、なぜか生きてるよ!」
「白熊さん! いったいどうやって……」
状況を確認しようと身を乗り出したけれど、何が起こったのかは一目瞭然だった。
白熊さんを守ったモノが遠目からでもはっきり見える。
それほどまでに巨大なドラゴンが合体生物を見下ろしながら、体が真っ白な色になるまで燃え上がっていた。
「クッキー?」
白熊さんの声が聞こえても、クッキーが何をさすのか最初僕はつながらない。
でもすぐに、あの白熊さんの側にくっついていたトカゲくんがカチリとクッキーという名前に繋がって、僕は二度見してしまった。
「―――え? うそでしょ?」
クッキーはどうやら大怪獣というか、燃えるドラゴンになってしまったようである。
いや、シュウマツさんからドラゴンになるという話を聞いてはいたが、まさか子犬サイズが一瞬でここまで育つとは思わなかった。
説明を求めてシュウマツさんを探すと、こっちはこっちで嬉しそうに輝いていた。
「おお……素晴らしい……私の世界では、真なるドラゴンは精霊の変化したものだけだと言う学者がいたんだよ」
「あれが、真なるドラゴン?」
「そうだよ? コロニーの中にもドラゴンと呼ばれている生き物はいるだろう? でもそれとはまるで違うからね。元の世界の人類が、そう呼んで区別したがる気持ちもわかる」
「……やっぱ強いんだ」
「もちろん。内包するエネルギーの量が違いすぎる」
クッキーは吼える。
合体生物は再び先ほどの光線を放ったが、そんなものはクッキーが放っている熱に飲み込まれてしまった。
クッキーが咆哮と共に放ったのはボール状の炎の塊で、光線を受けても構わず合体生物に突き進み、着弾の瞬間膨れ上がった。
「――――――」
火の玉は燃え上がり、合体生物を一気に飲み込む。
逃げる暇すら与えずに勝負を一瞬でつけたが、一向に炎は消える気配がなく燃え続けていた。
「え? 終わり? 宇宙空間でも燃え続ける消えない炎……」
「真のドラゴンの炎は特別なんだ」
明々と照らされる残った舞台の上で、呆けた様にクッキーを見上げる白熊さんは、恐る恐るクッキーに語り掛けていた。
「……ずいぶんおっきくなっちゃったねクッキー。これじゃあ、もうクッキーを一緒に焼くのは無理そうだ」
「……!」
ところが、さっきまで格好良かったドラゴンがその言葉を聞いたとたん、見てわかるほど目を見開いている。
そして一気に縮んだかと思うと、尻尾を振って白熊さんにアピールし始めた。
それだけはやめてと、真のドラゴンの言葉はこの瞬間だけ僕にも分かった。
「……クッキー」
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