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第86話約束されたプレゼント
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本音を言えば、これを世に出したらダメなんじゃないか?っという疑問はあった。
しかし生まれ出たのなら、持つべき者が手にして初めてその価値を発揮できるということもあるだろう。
例えば、ハンターに持つべき装備がないとご飯のおかずのグレードが下がったりだとか。
……それはともかく、明確に作り主が送る相手を決めているのだから、その心意気を無駄にすることはためらわれた。
「え? 新しい剣? ありがとう」
白熊さんの家に例の星の聖剣を渡しに言ったら、なんだかすごく普通の反応だった。
「クッキーが作った力作だから、すごいものだと思うよ」
一応僕は、ほんの少しだけ価値を匂わせてみる。
するとジッと巨大な剣を真顔のまま眺める白熊さんに、僕は思わず生唾を飲み込んでしまった。
「へー……」
「……どうかしたかな?」
「いや、これって……解体とかに使っていい奴なのかなって」
思わず聖剣でそんなことして大丈夫か? そんな表情になってしまった自覚があった。
だが考えてみれば獲物の解体こそ大剣のメインの使い方なのでそこは言っても仕方がなかった。
「……たぶん。大丈夫」
「……刃こぼれとかしたら、怖いやつに見えるんだけど?」
「たぶん大丈夫。刃こぼれ一つしないと思う」
「そんなことある?」
「たぶん」
どうしよう。たぶんとしか言えない。
聖剣って具体的になんなんだろう? 鉄とは違うだろうけど、何せ星の聖剣である。
その名に恥じない性能だと思うのだが、白熊さんの警戒レベルはまた一つ上がってしまったようだった。
「ふーん……」
白熊さんのじっとりとした視線の圧で、僕の背中は冷汗でビシャビシャである。
これはどこまで僕の言うことを信じていいか迷っているな? でも僕は言われた通り、壊れた剣の代わりを持って来ただけなんでなんにも知らないのだよ。
しかしだ、使ってもらわないとクッキーもシュウマツさんも頑張ったかいがないだろうとは思う。
いや頑張ったでいいのかな? なんだかその場のノリと勢いで作ってなかったかな?
……まぁ頑張ったことは間違いないと思う。
ただ、本人の希望を無視したサプライズ的一品ではあるのだろう。
参考までに僕は質問した。
「ちなみに今欲しいものは?」
「でっかい寸胴?」
まさかの即答に。僕は、一拍黙り込んだ。
「……」
「コンソメなんかをね。一から作ってみようかなと」
白熊さんは何ともまた、専門的な分野に一歩を踏み出したものだった。
しかし話には聞いたことがある。
コンソメにはずいぶんと食材と手間暇のかかったプロの味が存在すると。
まして未知の素材しかないこの場所で、いったいどのようなものになるのか、僕にはとても想像できなかった。
「なるほど。大きな寸胴鍋か……それは絶対必要だ。食事がまたグレードアップしそうだね」
「そうなんだよ。コトコト煮だす料理は考えてみると、ここならやりたい放題なわけじゃないか? 食材も、電気料金だって気にしなくていいんだから、こう……大量に鍋を用意して、一からコンソメスープとか、ビーフシチューなんかを作ってみたいわけなんだよ」
「それは素晴らしい」
ワインも手に入ったようだし、確かに色々と煮込み料理は作れそうだと僕は手を打った。
「それに、ほら。君の好きなラーメン! アレも試してみたいなって」
「……よし。すぐ用意しよう。絶対必要な奴だよそれ」
そして激烈に素晴らしいアイディアが飛び出して、僕は事の重要性をようやく理解していた。
スープを一から作るって発想がなかった。僕はそのアイディアを心の底から賞賛したい。
とすれば、速やかに麺も開発せねばならないか……こいつは忙しくなりそうである。
僕と白熊さんがおいしそうな話に花を咲かせている中、その会話をクッキーの焼ける窯の中で聞いている精霊がいることなんて、僕は全然気が付いていなかった。
後日、僕らがシュウマツさんに頼む前にすでに用意されていた寸胴鍋は、なぜだか暗い場所で輝いていた。
星の寸胴鍋……いやまさか、そんなことはあるわけない。
小粋な誰かのプレゼントは、とにかくいい鍋であるのは間違いなかった。
作った煮込み料理は、未だかつてないほどにおいしかったが……きっとなんにも関係ないはずである。
それとちょっと忘れていた星の聖剣は、きちんとそれはそれで喜んでもらえたので念のため。
しかし生まれ出たのなら、持つべき者が手にして初めてその価値を発揮できるということもあるだろう。
例えば、ハンターに持つべき装備がないとご飯のおかずのグレードが下がったりだとか。
……それはともかく、明確に作り主が送る相手を決めているのだから、その心意気を無駄にすることはためらわれた。
「え? 新しい剣? ありがとう」
白熊さんの家に例の星の聖剣を渡しに言ったら、なんだかすごく普通の反応だった。
「クッキーが作った力作だから、すごいものだと思うよ」
一応僕は、ほんの少しだけ価値を匂わせてみる。
するとジッと巨大な剣を真顔のまま眺める白熊さんに、僕は思わず生唾を飲み込んでしまった。
「へー……」
「……どうかしたかな?」
「いや、これって……解体とかに使っていい奴なのかなって」
思わず聖剣でそんなことして大丈夫か? そんな表情になってしまった自覚があった。
だが考えてみれば獲物の解体こそ大剣のメインの使い方なのでそこは言っても仕方がなかった。
「……たぶん。大丈夫」
「……刃こぼれとかしたら、怖いやつに見えるんだけど?」
「たぶん大丈夫。刃こぼれ一つしないと思う」
「そんなことある?」
「たぶん」
どうしよう。たぶんとしか言えない。
聖剣って具体的になんなんだろう? 鉄とは違うだろうけど、何せ星の聖剣である。
その名に恥じない性能だと思うのだが、白熊さんの警戒レベルはまた一つ上がってしまったようだった。
「ふーん……」
白熊さんのじっとりとした視線の圧で、僕の背中は冷汗でビシャビシャである。
これはどこまで僕の言うことを信じていいか迷っているな? でも僕は言われた通り、壊れた剣の代わりを持って来ただけなんでなんにも知らないのだよ。
しかしだ、使ってもらわないとクッキーもシュウマツさんも頑張ったかいがないだろうとは思う。
いや頑張ったでいいのかな? なんだかその場のノリと勢いで作ってなかったかな?
……まぁ頑張ったことは間違いないと思う。
ただ、本人の希望を無視したサプライズ的一品ではあるのだろう。
参考までに僕は質問した。
「ちなみに今欲しいものは?」
「でっかい寸胴?」
まさかの即答に。僕は、一拍黙り込んだ。
「……」
「コンソメなんかをね。一から作ってみようかなと」
白熊さんは何ともまた、専門的な分野に一歩を踏み出したものだった。
しかし話には聞いたことがある。
コンソメにはずいぶんと食材と手間暇のかかったプロの味が存在すると。
まして未知の素材しかないこの場所で、いったいどのようなものになるのか、僕にはとても想像できなかった。
「なるほど。大きな寸胴鍋か……それは絶対必要だ。食事がまたグレードアップしそうだね」
「そうなんだよ。コトコト煮だす料理は考えてみると、ここならやりたい放題なわけじゃないか? 食材も、電気料金だって気にしなくていいんだから、こう……大量に鍋を用意して、一からコンソメスープとか、ビーフシチューなんかを作ってみたいわけなんだよ」
「それは素晴らしい」
ワインも手に入ったようだし、確かに色々と煮込み料理は作れそうだと僕は手を打った。
「それに、ほら。君の好きなラーメン! アレも試してみたいなって」
「……よし。すぐ用意しよう。絶対必要な奴だよそれ」
そして激烈に素晴らしいアイディアが飛び出して、僕は事の重要性をようやく理解していた。
スープを一から作るって発想がなかった。僕はそのアイディアを心の底から賞賛したい。
とすれば、速やかに麺も開発せねばならないか……こいつは忙しくなりそうである。
僕と白熊さんがおいしそうな話に花を咲かせている中、その会話をクッキーの焼ける窯の中で聞いている精霊がいることなんて、僕は全然気が付いていなかった。
後日、僕らがシュウマツさんに頼む前にすでに用意されていた寸胴鍋は、なぜだか暗い場所で輝いていた。
星の寸胴鍋……いやまさか、そんなことはあるわけない。
小粋な誰かのプレゼントは、とにかくいい鍋であるのは間違いなかった。
作った煮込み料理は、未だかつてないほどにおいしかったが……きっとなんにも関係ないはずである。
それとちょっと忘れていた星の聖剣は、きちんとそれはそれで喜んでもらえたので念のため。
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