宇宙の果てで謎の種を拾いました

くずもち

文字の大きさ
104 / 108

第104話落ち着かない時間

しおりを挟む
 説明しよう。

 外宇宙探索船ニライカナイは、この直径8000メートルに及ぶニライカナイコロニーごと移動するために設計された、全長9000メートルを超える巨大宇宙船である。

 まぁ要するにコロニーに推進力をつけて逃げ出そうというものなのだけれど、そこはきちんと宇宙船としての役割も備えていた。

 純白に染められた魔法金属合金製多重装甲の、流線型ボディ。

 中ほどあたりは少々おデブちゃんだが、余りある格納スペースの証拠でもある。

 快適な居住スペースに、大型の格納庫。

 更にはトラブルに備えて、戦闘用の武装も搭載している。

 そして……とある極めて特殊な機構を備えていることから、若干複雑な内部構造をしているものの、それを補って余りあるパワーと操作性を実現していた。

 現在、僕らは船の中の出来るだけ広い部屋で待機中だ。

 演出用に僕用の椅子を用意したわけだが、やたら目立つ構造になってしまったその場所はまるで王様の部屋の様だ。

 ただ本来の目的はアウターでの模擬戦も想定した、訓練場の予定だから人を沢山迎え入れるのにはお誂え向きだったわけだ。

「まさかこんなものを作っていたとは……」

「なんでこんなでっかいものを隠しておけるんだか」

 傍らにいる、フーさんと白熊さんからは信じられねぇという非難混じりの刺すような視線を向けられているけれど僕はとても、満足だった。

「異世界では収納ボックスと呼ぶらしいよ? ビックリだよね」

「箱なんて規模じゃないでしょ……」

 唇を尖らせるフーさんは納得いっていないようだけど、こちらと理が違うからこその異世界だとそう思っている方が健康には良いと思う。

 おかげで最小限に目撃者を抑えつつ、最高のお披露目を迎えることが出来たわけだ。

 さて、各勢力の船から僕は彼らをニライカナイの中に招き入れることが出来たが、ここからが本番である。

 お客様方は、中に入って来るのを躊躇うかと思いきや思ったよりずっと素直に乗艦してきた。

 それぞれに思惑があるのはもちろんだが、あまりにも行動が迅速なのが個人的には気にかかったくらいである。

「何か企んでいるのは確定ですよ」

 とはオペ子さんの言葉だが、それはそうだと思う。

「そりゃそうだよ。ああ、まぁだからか。遠路遥々やってきて躊躇う時間がもったいないのはわかる」

「危機感がありませんね」

 しかし怪しさしかない言葉に乗ってくるのは、ここに集まったすべての者達の思惑が、まずは僕らの事を知りたいからだろう。

「興味を持ってもらえるのなら喜ばしいよ。結局見てもらった方が早いだろうし」

 僕なんかはそう思うけれど、フーさんはどこか落ち着かない様子だった。

「そうかなぁ。私なんかは面と向かうのは怖いよ?」

「それは僕だって怖い。いったい何を言われるやら」

 とりあえず、なんだこいつという顔は避けられない気がする。

 白熊さんは、困り顔だがそう億劫というわけでもなさそうなのが意外でもあった。

「ワープアイテムのプレゼントも使ってもらえたようだから実に結構な事じゃないか」

「それはホントに。よく実験もせずにいきなり艦隊突っ込んだよ。地球も剛毅だね」

「それはそう。暇なのかな?」

 苦笑する白熊さんに、僕も生温かい笑みを浮かべた。

 そして何気にちょっと気にかかるのは、僕の膝の上にいる鉢植えの事だった。

「……ちなみに。それでいいの、シュウマツさん? 鉢植えになっちゃってるけれど?」

「私も体付きで顔合わせしたくてね。いいだろう?」

「……うん。かっこいい鉢だ」

「私もそう思うよ」

 今シュウマツさんは正装したいと言って、鉢植えに小さな分木で僕の手に抱えられている。

 これが正装で大丈夫なのかなと思ったが、コンパクトなのはいいことだ。

 それに手に何か持っていると少しだけ落ち着く。

 なにせ、これから久しぶりに大人数の前に立たなければいけないのだから、僕にしてみれば遮蔽物はあって困るものではなかった。

「でも怪しい提案に乗ってくれて本当によかった」

 一週間前。

 僕らは白熊さんとオペ子さんの名前で、地球とコロニーに連絡を取った。

 一週間後の同じ時間に来て欲しいと言う招待状と、ついでにワープゲートを使用できるアイテムも添えてである。

 ニライカナイコロニーのセールスポイントを出来る限り詳細に添付しておいたのが良かったのか、それとも白熊さんとオペ子さんの信頼のなせる技かはわからないが、みんな呼び出しに応じて、想像以上にうまくいったのだから脱帽だった。

 さて、あらゆる場所からコロニーに侵入可能ではあるけれど、案内板のゴールは宇宙船の僕の居る場所である。

 オペ子さんは艦内の人の動きを正確にモニタリングして、知らせてくれていた。

「来ますよ。銃で武装した一団がなだれ込んできます」

「うん。助かるよ」

 オペ子さんの言葉でピリリと空気が引き締まる。

「さてどうなるかな?」

 シュウマツさんが尋ねてきたけれど、こればかりはやってみなければわからなかった。

「どうだろう? まぁここまで来たらなる様にしかならないよ。ああそうだ、君達に一つ言っておくことがあったんだ」

 僕は呟く。

 何気ない一言を聞き逃さずに、僕の仲間達は僕の言葉を待っていた。

「これだけは守って欲しいんだけれど。絶対僕に何があっても動いちゃダメだからね? これは約束」

 少々不吉な物言いだとはわかっていたが、フーさんも白熊さんも僕の言葉に無言でうなずいた。

 言うべきことを言い終わり、彼らはとうとうやってくる。

 僕は椅子から立ち上がって彼らを出迎えた。

「改めてようこそ。皆さん」

 さて彼らはどういう人達なのだろう?

 僕はここまで期待以上に招待に応じて、僕の前まで来てくれた人達をこの目で見定め―――そしてちょっとだけガッカリした。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

おっさん武闘家、幼女の教え子達と十年後に再会、実はそれぞれ炎・氷・雷の精霊の王女だった彼女達に言い寄られつつ世界を救い英雄になってしまう

お餅ミトコンドリア
ファンタジー
 パーチ、三十五歳。五歳の時から三十年間修行してきた武闘家。  だが、全くの無名。  彼は、とある村で武闘家の道場を経営しており、〝拳を使った戦い方〟を弟子たちに教えている。  若い時には「冒険者になって、有名になるんだ!」などと大きな夢を持っていたものだが、自分の道場に来る若者たちが全員〝天才〟で、自分との才能の差を感じて、もう諦めてしまった。  弟子たちとの、のんびりとした穏やかな日々。  独身の彼は、そんな彼ら彼女らのことを〝家族〟のように感じており、「こんな毎日も悪くない」と思っていた。  が、ある日。 「お久しぶりです、師匠!」  絶世の美少女が家を訪れた。  彼女は、十年前に、他の二人の幼い少女と一緒に山の中で獣(とパーチは思い込んでいるが、実はモンスター)に襲われていたところをパーチが助けて、その場で数時間ほど稽古をつけて、自分たちだけで戦える力をつけさせた、という女の子だった。 「私は今、アイスブラット王国の〝守護精霊〟をやっていまして」  精霊を自称する彼女は、「ちょ、ちょっと待ってくれ」と混乱するパーチに構わず、ニッコリ笑いながら畳み掛ける。 「そこで師匠には、私たちと一緒に〝魔王〟を倒して欲しいんです!」  これは、〝弟子たちがあっと言う間に強くなるのは、師匠である自分の特殊な力ゆえ〟であることに気付かず、〝実は最強の実力を持っている〟ことにも全く気付いていない男が、〝実は精霊だった美少女たち〟と再会し、言い寄られ、弟子たちに愛され、弟子以外の者たちからも尊敬され、世界を救って英雄になってしまう物語。 (※第18回ファンタジー小説大賞に参加しています。 もし宜しければ【お気に入り登録】で応援して頂けましたら嬉しいです! 何卒宜しくお願いいたします!)

タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。

渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。 しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。 「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」 ※※※ 虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。 ※重複投稿作品※ 表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。

『冒険者をやめて田舎で隠居します 〜気づいたら最強の村になってました〜』

チャチャ
ファンタジー
> 世界には4つの大陸がある。東に魔神族、西に人族、北に獣人とドワーフ、南にエルフと妖精族——種族ごとの国が、それぞれの文化と価値観で生きていた。 その世界で唯一のSSランク冒険者・ジーク。英雄と呼ばれ続けることに疲れた彼は、突如冒険者を引退し、田舎へと姿を消した。 「もう戦いたくない、静かに暮らしたいんだ」 そう願ったはずなのに、彼の周りにはドラゴンやフェンリル、魔神族にエルフ、ドワーフ……あらゆる種族が集まり、最強の村が出来上がっていく!? のんびりしたいだけの元英雄の周囲が、どんどんカオスになっていく異世界ほのぼの(?)ファンタジー。

冤罪で辺境に幽閉された第4王子

satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。 「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。 辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。

99歳で亡くなり異世界に転生した老人は7歳の子供に生まれ変わり、召喚魔法でドラゴンや前世の世界の物を召喚して世界を変える

ハーフのクロエ
ファンタジー
 夫が病気で長期入院したので夫が途中まで書いていた小説を私なりに書き直して完結まで投稿しますので応援よろしくお願いいたします。  主人公は建築会社を55歳で取り締まり役常務をしていたが惜しげもなく早期退職し田舎で大好きな農業をしていた。99歳で亡くなった老人は前世の記憶を持ったまま7歳の少年マリュウスとして異世界の僻地の男爵家に生まれ変わる。10歳の鑑定の儀で、火、水、風、土、木の5大魔法ではなく、この世界で初めての召喚魔法を授かる。最初に召喚出来たのは弱いスライム、モグラ魔獣でマリウスはガッカリしたが優しい家族に見守られ次第に色んな魔獣や地球の、物などを召喚出来るようになり、僻地の男爵家を発展させ気が付けば大陸一豊かで最強の小さい王国を起こしていた。

勇者パーティーにダンジョンで生贄にされました。これで上位神から押し付けられた、勇者の育成支援から解放される。

克全
ファンタジー
エドゥアルには大嫌いな役目、神与スキル『勇者の育成者』があった。力だけあって知能が低い下級神が、勇者にふさわしくない者に『勇者』スキルを与えてしまったせいで、上級神から与えられてしまったのだ。前世の知識と、それを利用して鍛えた絶大な魔力のあるエドゥアルだったが、神与スキル『勇者の育成者』には逆らえず、嫌々勇者を教育していた。だが、勇者ガブリエルは上級神の想像を絶する愚者だった。事もあろうに、エドゥアルを含む300人もの人間を生贄にして、ダンジョンの階層主を斃そうとした。流石にこのような下劣な行いをしては『勇者』スキルは消滅してしまう。対象となった勇者がいなくなれば『勇者の育成者』スキルも消滅する。自由を手に入れたエドゥアルは好き勝手に生きることにしたのだった。

少し冷めた村人少年の冒険記 2

mizuno sei
ファンタジー
 地球からの転生者である主人公トーマは、「はずれギフト」と言われた「ナビゲーションシステム」を持って新しい人生を歩み始めた。  不幸だった前世の記憶から、少し冷めた目で世の中を見つめ、誰にも邪魔されない力を身に着けて第二の人生を楽しもうと考えている。  旅の中でいろいろな人と出会い、成長していく少年の物語。

追放されたS級清掃員、配信切り忘れで伝説になる 「ただのゴミ掃除」と言って神話級ドラゴンを消し飛ばしていたら世界中がパニックになってますが?

あとりえむ
ファンタジー
【5話ごとのサクッと読める構成です!】 世界を救ったのは、聖剣ではなく「洗剤」でした。 「君のやり方は古いんだよ」 不当な理由でS級クランを追放された、ベテラン清掃員・灰坂ソウジ(38歳)。 職を失った彼だったが、実は彼にはとんでもない秘密があった。 呪いのゴーグルのせいで、あらゆる怪物が「汚れ」にしか見えないのだ。 ・神話級ドラゴン  ⇒ 換気扇の頑固な油汚れ(洗剤で瞬殺) ・深淵の邪神  ⇒ トイレの配管詰まり(スッポンで解決) ・次元の裂け目  ⇒ 天井の雨漏りシミ(洗濯機で丸洗い) 「あー、ここ汚れてるな。チャチャッと落としておくか」 本人はただ業務として掃除をしているだけなのに、その姿は世界中で配信され、人類最強の英雄として崇められていく! 可愛い元ダンジョン・コアや、潔癖症の聖女も入社し、会社は今日も大忙し。 一方、彼を追放した元クランは、汚れ(モンスター)に埋もれて破滅寸前で……? 「地球が汚れてる? じゃあ、一回丸洗いしますか」 最強の清掃員が、モップ片手に世界をピカピカにする、痛快・勘違い無双ファンタジー! 【免責事項】 この物語はフィクションです。実在の人物・団体とは関係ありません。 ※こちらの作品は、カクヨムと小説家になろうでも公開しています。

処理中です...