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連載
悪魔の壺と賢者編~ダイジェスト~
その壺は悪魔の世界に通じる扉でした。
ずるがしこい悪魔は壺を開けた者の願いを叶える契約をします。その代り人間の魂を奪っていくのです。
悪魔にとってそれは都合の良い壺でした。なにせ獲物の方から自分達を呼び出してくれるのですから。
そのうち被害があまりにも大きくなって、人間達は壺に硬い封印を施しました。
しかし人間とは欲に対して非力なものです。自分だけは大丈夫と悪魔の力を求め、そして彼らの手のひらの上で今日も踊るのです。
ある悪魔もまた、愚かな人間の手によって開かれた扉を潜り、魂を奪い取るために地上に現れました。
悪魔を呼び出したのは、なんとも変な人間でした。
しかし出て来た瞬間、変な人間は悪魔に仮の名を命名したのです。
名前は悪魔にとって重要な物です。こちらの世界で名前を付けるだけで呼び出した側は悪魔をある程度縛る事が出来ます。
出会い頭に命名……この変な人間は只者ではない。
悪魔は気を引き締めました。
悪魔は変な人間に手順通りに問いかけます。
「お前の願いを三つだけ叶えてやろう。さぁなんでも言ってみるがいい」
すると変な人間は答えました。
「私に願いなどありません」
悪魔には嘘をついているかどうか見破る事が出来ましたが、変な人間は全く嘘偽りなど言っていませんでした。
「我はどんなものでもお前に与えられるぞ?」
悪魔が尋ねると変な人間は言いました。
「欲しいものなどありません」
悪魔は思いました。
やはりこの変な人間は只者ではない。
普通、こう尋ねられれば多少の動揺は現れるものです。しかし変な人間には動揺どころか、余裕すら感じられます。
困った悪魔は強引に変な人間に魔法をかける事にしました。
悪魔の魔法は変な人間を支配できるはずでしたが……なんと悪魔の魔法は変な人間にはまったく効きませんでした。
変な人間は、人間だというのに悪魔が驚く程の力を持っていたのです。
悪魔はしまったと思いました。
変な人間の余裕はすでに勝利を確信しているからこそのものだったに違いありません。
自分よりも強い相手を騙そうとしたのですから、そのままやっつけられても仕方がない。
だというのに変な人間は言いました。
「あなたが私の願い事を叶えてくれようとする心使いは素晴らしいです。なにかお礼をさせてくれませんか?」
悪魔はもちろん驚きました。
変な人間は悪魔を責めるどころか。願いを叶えようとした事に感謝していると言ったのですから。
しかし悪魔にもプライドがありました。
契約を守る事は悪魔の最低限のルールです。こんなところで引き下がるわけにはいきません。
悪魔はこの変な人間を困らせてやろうと無理難題を口にします。
ところが変な人間は悪魔の願いをあっという間に叶えてしまいました。
悪魔は騙そうとしていた事も忘れて、変な人間に興味が沸いてきました。
そして簡単に魂を取るのが惜しくなってきたのです。
だから悪魔は言いました。
「お前は人間にしては見どころがある。どうだ? 我と本当の契約をして従えるつもりはないか?」
悪魔は自分の本当の名前を知られると、知られた相手に絶対服従するという決まりがありました。
騙したり騙されたりしない代わりに自由を奪われる契約です。
こんな契約はもちろん、本当に認めた相手にしか出来ません。
しかし変な人間は悪魔の契約を断りました。
「それはいけません。私とあなたに差などあるはずがない。ならば私と友になりませんか?」
なんということでしょう。
よりにもよってこの変な人間は悪魔を友にしようと言うのです。
ここまで来ると、もう変人の粋でしょう。悪魔と人間が仲良くなどありえないのですから。
しかし悪魔は差し出された手をはたいて言いました。
「そんな事は悪魔のプライドが許さない! どうしてもというのなら! 契約を破棄してもらおう!」
あくまで慄然と言った悪魔に変な人間は契約を破棄する事に同意しました。
変な人間はあっさりしたものでした。悪魔の誇りを尊重したのです。
完敗だと、そう悟った悪魔は言いました。
「だが……もし我の力が必要になった時は呼ぶがいい。お前の名付けた名前をな!」
こうして対等になった悪魔と変な人間は友達になりましたとさ。
めでたし、めでたし。
……さて契約を破棄した事で、たまたま自由に動けるようになった悪魔でしたが。
「うむ! それではまず適当にあいつの事を調べてみるか! それから住む場所だな! 高い所がいい! ぬいぐるみも探すぞ! たくさんだ!」
悪魔は実にのびのびと高い空へと消えて行きました。
ずるがしこい悪魔は壺を開けた者の願いを叶える契約をします。その代り人間の魂を奪っていくのです。
悪魔にとってそれは都合の良い壺でした。なにせ獲物の方から自分達を呼び出してくれるのですから。
そのうち被害があまりにも大きくなって、人間達は壺に硬い封印を施しました。
しかし人間とは欲に対して非力なものです。自分だけは大丈夫と悪魔の力を求め、そして彼らの手のひらの上で今日も踊るのです。
ある悪魔もまた、愚かな人間の手によって開かれた扉を潜り、魂を奪い取るために地上に現れました。
悪魔を呼び出したのは、なんとも変な人間でした。
しかし出て来た瞬間、変な人間は悪魔に仮の名を命名したのです。
名前は悪魔にとって重要な物です。こちらの世界で名前を付けるだけで呼び出した側は悪魔をある程度縛る事が出来ます。
出会い頭に命名……この変な人間は只者ではない。
悪魔は気を引き締めました。
悪魔は変な人間に手順通りに問いかけます。
「お前の願いを三つだけ叶えてやろう。さぁなんでも言ってみるがいい」
すると変な人間は答えました。
「私に願いなどありません」
悪魔には嘘をついているかどうか見破る事が出来ましたが、変な人間は全く嘘偽りなど言っていませんでした。
「我はどんなものでもお前に与えられるぞ?」
悪魔が尋ねると変な人間は言いました。
「欲しいものなどありません」
悪魔は思いました。
やはりこの変な人間は只者ではない。
普通、こう尋ねられれば多少の動揺は現れるものです。しかし変な人間には動揺どころか、余裕すら感じられます。
困った悪魔は強引に変な人間に魔法をかける事にしました。
悪魔の魔法は変な人間を支配できるはずでしたが……なんと悪魔の魔法は変な人間にはまったく効きませんでした。
変な人間は、人間だというのに悪魔が驚く程の力を持っていたのです。
悪魔はしまったと思いました。
変な人間の余裕はすでに勝利を確信しているからこそのものだったに違いありません。
自分よりも強い相手を騙そうとしたのですから、そのままやっつけられても仕方がない。
だというのに変な人間は言いました。
「あなたが私の願い事を叶えてくれようとする心使いは素晴らしいです。なにかお礼をさせてくれませんか?」
悪魔はもちろん驚きました。
変な人間は悪魔を責めるどころか。願いを叶えようとした事に感謝していると言ったのですから。
しかし悪魔にもプライドがありました。
契約を守る事は悪魔の最低限のルールです。こんなところで引き下がるわけにはいきません。
悪魔はこの変な人間を困らせてやろうと無理難題を口にします。
ところが変な人間は悪魔の願いをあっという間に叶えてしまいました。
悪魔は騙そうとしていた事も忘れて、変な人間に興味が沸いてきました。
そして簡単に魂を取るのが惜しくなってきたのです。
だから悪魔は言いました。
「お前は人間にしては見どころがある。どうだ? 我と本当の契約をして従えるつもりはないか?」
悪魔は自分の本当の名前を知られると、知られた相手に絶対服従するという決まりがありました。
騙したり騙されたりしない代わりに自由を奪われる契約です。
こんな契約はもちろん、本当に認めた相手にしか出来ません。
しかし変な人間は悪魔の契約を断りました。
「それはいけません。私とあなたに差などあるはずがない。ならば私と友になりませんか?」
なんということでしょう。
よりにもよってこの変な人間は悪魔を友にしようと言うのです。
ここまで来ると、もう変人の粋でしょう。悪魔と人間が仲良くなどありえないのですから。
しかし悪魔は差し出された手をはたいて言いました。
「そんな事は悪魔のプライドが許さない! どうしてもというのなら! 契約を破棄してもらおう!」
あくまで慄然と言った悪魔に変な人間は契約を破棄する事に同意しました。
変な人間はあっさりしたものでした。悪魔の誇りを尊重したのです。
完敗だと、そう悟った悪魔は言いました。
「だが……もし我の力が必要になった時は呼ぶがいい。お前の名付けた名前をな!」
こうして対等になった悪魔と変な人間は友達になりましたとさ。
めでたし、めでたし。
……さて契約を破棄した事で、たまたま自由に動けるようになった悪魔でしたが。
「うむ! それではまず適当にあいつの事を調べてみるか! それから住む場所だな! 高い所がいい! ぬいぐるみも探すぞ! たくさんだ!」
悪魔は実にのびのびと高い空へと消えて行きました。
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