卒業証書は受け取れない!?

17話 温泉でのテンプレなんて期待しないよ

「ここだよ！」


走ってついていくと、少し開けた場所に、本当に温泉があった。
装飾なんかは、自然の中にあるものだから、ほとんどないけど、人の手が入っていない自然は、十分すぎるほどきれいで、日本の温泉にも負けない感じだった。


「よし！じゃあ周りの警戒よろしく！」
「はいはい。わかったよ。」
「大丈夫だって！あとで交代してあげるから。さあ男子諸君は行った行った。あ、覗いたら承知しないからね？」


バレットシューターを浮かべながらそう言う七海。
なんか怖い。


「大丈夫だって。そんなことしないよ。アハハハ。」
「なんか最後の笑い方が少しおかしかった気もするけどまあ良いや。じゃあよろしく！」


 そう言うと七海たちは、大きめな岩の陰に隠れていった。
僕達は少し離れて周囲を見張ってないとね。


＊＊＊＊＊＊＊


『浅賀:なあ優太、ここから見えると思うか？』


僕と浅賀は、少し離れた森の中で二手に別れて、モンスターや、人が来ないか見て回っていた。
そしたら、浅賀から、メッセージが飛んできた。
絶対覗く気だな。


『優太:やめとけよ。弾が飛んでくるぞ。』
『浅賀:わかってる分かってる。そんときゃお前を道連れにするさ。』
『優太:はぁ！？ざけんな！』
『浅賀:本当はお前さんだって見たいんだろう？ならいいじゃねえか。』
『優太:まぁそうだけど...』
『優太:って、違う！僕はやんないからな！』
『浅賀:そうか、んじゃぁ、お前の分もしっかり目に焼き付けてきてやるぞ。』
『優太:勝手にしろ。僕は知らないからな。』
『浅賀:そか、んじゃ行くわ。』
『優太:はぁ！？マジで行くのか？』


浅賀からの誘惑を断ち切って、行かないことにしたが、あれから浅賀からの反応はない。
というか既読もつかない。
あいつマジで行ったのか？
僕も行けばよかった。
なんて思っていたけど、その2分後に、温泉の方から悲鳴が聞こえて、浅賀が飛んできた。
やっぱ辞めといて正解だったね。


＊＊＊＊＊＊


「浅賀、お前マジで行ったのか。」
「まあな。けど七海の反応が早くてな。結局何も見えなかったぜ。」
「まぁ、自業自得さ。七海からの連絡が来たら戻ろう。それまでは周りを見てないとね。」


その後、吹っ飛んで来た浅賀をそこに置いて、見回りを再開した。
そして、直ぐに連絡が来た。


『七海:変態がいる所で安心してお風呂になんて入れません。早く戻ってきて』


「あー七海怒ってるねー。頑張れ東郷君。」
「まぁ何とかなるだろ。」


その後僕達は、怒られたくないのでゆっくりと帰っていった。