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第8章「聖なる森」
第87話「穢れのもとから、断ち切ってあげましょう」
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(UnsplashのAli Esfehaniyanが撮影)
トーヴは身体をひねって、ザロ伯の手に抵抗した。
「何をするんですかっ!」
「うるさい」
「いやっ、はなしてっ!」
「あんまり大きな声を出すなよ。すぐにヒイヒイ言って、僕を欲しがるようになるよ。
いつだって、女性を夢中にさせちゃうんでねえ……」
どんっ、と天幕に押し込まれる。薄い毛布の上に押し倒された。
「やめてっ! 離れなさいっ!」
「うるさいって言ってんだろ!」
びしっ、とザロ伯の手がトーヴの頬をなぐった。
「……あっ!」
目をみはるトーヴの上で、ザロ伯が下卑た笑いを浮かべる。
「外のやつらに、どういう体位でヤラレているのか、知られたくなければ黙っていろよ」
ずしりとザロの身体がのしかかってくる。
やけに細い指が、トーヴのシャツをひんめくった。
「ほほう。意外と大きい乳房じゃないか。『西の町城』の寝所に着いたら、鎖で縛りつけて、
ムチと短剣で傷だらけにしてやるからな」
つつう、と白い胸に爪の跡が赤く走った。
そこから、誰も触れたことのない乳首をつかむとグネグネとこね回す……。
「いやっ、いたいっ……」
「ちがうだろ、『だんなさま、もっとイジメてください』だろ」
ニヤニヤと笑いながらザロがいった。
「女のしつけは最初が肝心だ。さっそく『お口のご奉公』を仕込んでやる」
ザロの手がまず、自分のズボンにかかった。半分ほど脱ぎ、てらてらと赤黒く光るものを引っ張りだす。
「くわえろ」
ずぶ、とトーヴの口に生臭いものが突っ込まれた。
「んくぅ……っ」
息が止まりそうになる。同時に、汚れたものが粘膜にふれる感覚にトーヴはぞっとした。
鳥肌が立つ。
ザロはトーヴの頭をつかむと、ぐいぐいと奥へ奥へと押し込み始めた。
「んんっ、んっ!」
「くく……たまらんな。『花のトーヴ』の口いっぱいに、僕のものが……そら、しっかり味わえよ」
「んふうっ!」
じゅぶ、じゅぶ、とザロの物が口の中を往復する。イヤな味がひろがる。
「へたくそめ。だから処女はきらいなんだ。まあいい、これから当分は、僕のもの以外は食わせてやらない。
いずれお前から、泣いて頼むんだよ。食い物欲しさにな……。
『旦那さまのご立派なアレを、薄汚いトーヴにくわえさせてくださいいいっ』ってな。
くくく。
たまらんな、純潔の姫を汚すのは……」
ぬるりとした指先が、ねろねろと細い腰を撫でまわす。
「さて、時間がない。下の口にも突っ込んでやる、ありがたく思え」
「……んぷはっ!」
ザロに髪ごと引っ張られ、口が自由になった。下着をはぎ取られる瞬間に、トーヴは右足をガキッ、と上げた。
「なに? どこでそんなものを手に入れた!?」
小さな足にはいた、くるぶしまでの革靴に手を突っ込む。
きらめく短剣が、トーヴの手に握られていた。
さきほど黒マントの男が会話の後に落としたものだ。
なぜあの男がトーヴの味方になってくれたのかわからないが、とにかく助けてくれるつもりだったのだろう。トーヴはすばやくそれを靴に隠した直後に、天幕へ連れて来られたのだ。
トーヴはうろたえるザロを冷静に見て、
「『凶日、凶鳥多し』……お覚悟をっ!」
きらっと短剣を相手の下腹部に突き出した。
距離は十分に測ってある。短剣でも届くはずだ。
赤黒くていびつな、さっきまでトーヴの口中を犯していた、ゆがんだ肉の根元に、短剣を繰り出す。
とっさに、ザロの手が下腹部をおおった。
トーヴはその動きを見て軽やかに笑った。
「まず狙うは、手っ!!」
トーヴは叫んで、ザロの右手に短剣を突き刺した。
「うぎゃああああっ!
ザロがひっくり返る。短剣を抜こうとじたばたするが、意外と深く刺さっている。
そこへトーヴの第二弾が襲った。今度は尖った枝だ。
「最初に手を狙う。それだけで敵は反撃できなくなる! アデム様の教えです!」
「やめろ、よせ、バカ女!!」
狭い天幕じゅうを逃げまわるザロの左手に向かって、トーヴはためらいもなく、尖った枝を突き刺した。
ずぶり、と肉と突き通す感覚がある。
トーヴは唇を引き締め、目をかっきりと見開いて辺境伯を見た。
泥に汚れた金髪、下腹部を露出し、血だらけの手でみっともなく逃げ回る男。
すうっとトーヴの目に光が集まった。
「何とぶざまな……アデム様の言うとおり、騎士になる基本すらないのですね。
『騎士は、弱き者の右手たるべし』」
「……ひ……ちが、血が出てるよううう、僕の手から、ひいいい……何言ってんだバカ女!」
「騎士則、第一条です。そんなことも知らずに、騎士になろうとはお笑い草ですね」
「は?……僕は、騎士ぞ……辺境伯騎士だぞ……」
「騎士であり、貴族であるということは責任をともなうのです。弱き者を助け、守るのが騎士と貴族の役目です。
ただ着飾っているだけでは、ゴクラクチョウにも劣ります。
まして庇護下にあるべき女を襲うとは……」
す、とトーヴは寝転がり、逃げかけるザロ伯に足をあげた。
「穢れのもとから、断ち切ってあげましょう」
「……わあああ、やめろよううう!」
トーヴの全体重が、ザロ伯の上に乗った。
「ぐひいいいい!」
ザロ伯の……
アレの上へ……。
トーヴは身体をひねって、ザロ伯の手に抵抗した。
「何をするんですかっ!」
「うるさい」
「いやっ、はなしてっ!」
「あんまり大きな声を出すなよ。すぐにヒイヒイ言って、僕を欲しがるようになるよ。
いつだって、女性を夢中にさせちゃうんでねえ……」
どんっ、と天幕に押し込まれる。薄い毛布の上に押し倒された。
「やめてっ! 離れなさいっ!」
「うるさいって言ってんだろ!」
びしっ、とザロ伯の手がトーヴの頬をなぐった。
「……あっ!」
目をみはるトーヴの上で、ザロ伯が下卑た笑いを浮かべる。
「外のやつらに、どういう体位でヤラレているのか、知られたくなければ黙っていろよ」
ずしりとザロの身体がのしかかってくる。
やけに細い指が、トーヴのシャツをひんめくった。
「ほほう。意外と大きい乳房じゃないか。『西の町城』の寝所に着いたら、鎖で縛りつけて、
ムチと短剣で傷だらけにしてやるからな」
つつう、と白い胸に爪の跡が赤く走った。
そこから、誰も触れたことのない乳首をつかむとグネグネとこね回す……。
「いやっ、いたいっ……」
「ちがうだろ、『だんなさま、もっとイジメてください』だろ」
ニヤニヤと笑いながらザロがいった。
「女のしつけは最初が肝心だ。さっそく『お口のご奉公』を仕込んでやる」
ザロの手がまず、自分のズボンにかかった。半分ほど脱ぎ、てらてらと赤黒く光るものを引っ張りだす。
「くわえろ」
ずぶ、とトーヴの口に生臭いものが突っ込まれた。
「んくぅ……っ」
息が止まりそうになる。同時に、汚れたものが粘膜にふれる感覚にトーヴはぞっとした。
鳥肌が立つ。
ザロはトーヴの頭をつかむと、ぐいぐいと奥へ奥へと押し込み始めた。
「んんっ、んっ!」
「くく……たまらんな。『花のトーヴ』の口いっぱいに、僕のものが……そら、しっかり味わえよ」
「んふうっ!」
じゅぶ、じゅぶ、とザロの物が口の中を往復する。イヤな味がひろがる。
「へたくそめ。だから処女はきらいなんだ。まあいい、これから当分は、僕のもの以外は食わせてやらない。
いずれお前から、泣いて頼むんだよ。食い物欲しさにな……。
『旦那さまのご立派なアレを、薄汚いトーヴにくわえさせてくださいいいっ』ってな。
くくく。
たまらんな、純潔の姫を汚すのは……」
ぬるりとした指先が、ねろねろと細い腰を撫でまわす。
「さて、時間がない。下の口にも突っ込んでやる、ありがたく思え」
「……んぷはっ!」
ザロに髪ごと引っ張られ、口が自由になった。下着をはぎ取られる瞬間に、トーヴは右足をガキッ、と上げた。
「なに? どこでそんなものを手に入れた!?」
小さな足にはいた、くるぶしまでの革靴に手を突っ込む。
きらめく短剣が、トーヴの手に握られていた。
さきほど黒マントの男が会話の後に落としたものだ。
なぜあの男がトーヴの味方になってくれたのかわからないが、とにかく助けてくれるつもりだったのだろう。トーヴはすばやくそれを靴に隠した直後に、天幕へ連れて来られたのだ。
トーヴはうろたえるザロを冷静に見て、
「『凶日、凶鳥多し』……お覚悟をっ!」
きらっと短剣を相手の下腹部に突き出した。
距離は十分に測ってある。短剣でも届くはずだ。
赤黒くていびつな、さっきまでトーヴの口中を犯していた、ゆがんだ肉の根元に、短剣を繰り出す。
とっさに、ザロの手が下腹部をおおった。
トーヴはその動きを見て軽やかに笑った。
「まず狙うは、手っ!!」
トーヴは叫んで、ザロの右手に短剣を突き刺した。
「うぎゃああああっ!
ザロがひっくり返る。短剣を抜こうとじたばたするが、意外と深く刺さっている。
そこへトーヴの第二弾が襲った。今度は尖った枝だ。
「最初に手を狙う。それだけで敵は反撃できなくなる! アデム様の教えです!」
「やめろ、よせ、バカ女!!」
狭い天幕じゅうを逃げまわるザロの左手に向かって、トーヴはためらいもなく、尖った枝を突き刺した。
ずぶり、と肉と突き通す感覚がある。
トーヴは唇を引き締め、目をかっきりと見開いて辺境伯を見た。
泥に汚れた金髪、下腹部を露出し、血だらけの手でみっともなく逃げ回る男。
すうっとトーヴの目に光が集まった。
「何とぶざまな……アデム様の言うとおり、騎士になる基本すらないのですね。
『騎士は、弱き者の右手たるべし』」
「……ひ……ちが、血が出てるよううう、僕の手から、ひいいい……何言ってんだバカ女!」
「騎士則、第一条です。そんなことも知らずに、騎士になろうとはお笑い草ですね」
「は?……僕は、騎士ぞ……辺境伯騎士だぞ……」
「騎士であり、貴族であるということは責任をともなうのです。弱き者を助け、守るのが騎士と貴族の役目です。
ただ着飾っているだけでは、ゴクラクチョウにも劣ります。
まして庇護下にあるべき女を襲うとは……」
す、とトーヴは寝転がり、逃げかけるザロ伯に足をあげた。
「穢れのもとから、断ち切ってあげましょう」
「……わあああ、やめろよううう!」
トーヴの全体重が、ザロ伯の上に乗った。
「ぐひいいいい!」
ザロ伯の……
アレの上へ……。
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