妻の望みは………貞操逆転世界

クロハナ

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4日目/三神優子【歓喜】

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「きょ、協力したいとは本当か?」


私は驚いた。男性が自ら協力したいなんて聞いた事がない。


「え?いや、このままだと人類滅亡とかなりそうですし、俺一人だけ頑張った所で変わらないかも知れないけど欲しいって願っているなら協力したいですよ。」


本当に人類の為に協力すると……自分を犠牲にしてまで……感動……


 「ぐす、か、感動した。」

涙が出てきた。


 「ここまで協力的な男性がいたなんて……今の男性は私達女性には関心がないものだと……」と井川も涙している。そうだよな井川!


 「汚物でも見るように見られ、召使の様に使われそれでも希望を持って接してきた。」


 と、遠野お前の私生活はどうなっていた?


 「あっ!でも協力するって言っても会ってみてタイプじゃないと子作り無理かもなんで。」


  こ、子作り?


 「な、えっ?子作り?」


 聞き間違いだよな……


 「ん?さっき俺の子供が欲しいって……言いましたよね?」


 何か話が噛み合わない気がするが……


 「子供が欲しいとは……その精子を提供して欲しいと言う事だが……も、もしかしてあっちの子作りの事?」


  こ、子作り申し込み書にそんな簡単に書くつもりだったのか?


 「あぁ~精子の方だったんだ、てっきりエッチな方だと……」


  や、やはり子作りの方だと……協力するだと……


  「そっちも協力的だと……」


 ありえん、男性が子作りする時苦痛だと聞いた事がある。女性は性欲の塊だ。男性が1回2回果てようが終わらない、最低5回は果てる事になる。肉体的に限界まで絞り採られるそうだ、そんな荒行を自ら協力したいとは聞いた事がない……私は理解できず固まってしまった。


 「私も子作りお願いしたいんですけど、協力して貰えますか?」


 と、遠野!お前、この状況でも動けるだと?無茶だ!


 優輝君の目が厳しくなった。やはり怒るか……遠野、骨は拾ってやるからな。


 すると優輝君は信じられない事に指でOKサインをして見せた……は?う、嘘!


 「よっしゃ~~~~~~~~~~~ゆ、夢が叶った~~~~」


後ろで遠野が突然大声で、歓喜の咆哮をあげた。理由は納得だ。

宝くじが当選するよりもありえない事が叶ったのだから……


突然、病室に警報音が鳴り響いた。

「ビー、ビー、ビー、ビー」


あっ!部屋に設置されてる防犯システムが、遠野の大声に反応したのだろう。

病院に限らず男性が長時間滞在するような建物には原則防犯システムを設置する事になっている。

この病院であれば第1にナースステーション第2に1階の警備室、そして第3に警察署に情報が伝達される。

まあ早い話が遠野が始末書を書く事が決まった瞬間だった。


廊下からドタドタと聞こえてきて病室に警護婦が入ってきた。


「どうしました?大丈夫ですか?」


振り返って見ると困惑している様子の警護婦達

私はすまない、うちの部下が騒いだからだと言おうとしたが


「大丈夫だ、すまないな。ちょっと驚いて大声が出たみたいだ。」


と鈴鳴先生が先に警護婦に説明してくれた。


「先生がそういうのであればわかりました、ただ他の患者が脅えるので気をつけてくださいね。お願いします。」


となぜか優輝君に向かって話をして出て行った。遠野に注意するのが普通なのだが……


「と、とりあえず優輝君ありがとうございます。後で申し込み書の書き方教えますので、あの書き方だと申請通らないんで。」


遠野は警護婦が来た事も気にもせずに、確実に攻めて行く。

確定させる為に、追い込むとは……さすがにあの書き方だと心配か。


「わかりました…………あの書き方?」


あっ![あの書き方]に優輝君が気がついてしまった。

ま、不味い、どんな理由や気持ちで書いてくれたかわからないが、訂正するような事になれば私の名前が消されるかもしれない。

優輝君は下を向いて恥ずかしそうに


「見たんですね……すいません、ちょっとした軽い気持ちで……相手側の同意とかの説明なかったんでどうなるのかな~って思って」


「か、軽い気持ちだと……」


軽い気持ちで私と荒行をすると思ってくれたのか……私は何て幸せ者なんだろう。


「す、すいませんでした。」


私はもう表情を隠す事が出来ず舞い上がってしまった。


その後誰かが会話をしていたが耳に入ってこなかった。


「優輝君ありがとう、軽い気持ちだろうがなんだろうが申し込み書に書いて貰えるだけでどれ程名誉な事か……この歳で経験出来るとは……」


事が成就した暁には私は優輝君にどんなお礼をしようか。


「あ~もうよくわからないけど、退院して落ち着いてからですからね。いいですね?」


優輝君は恥ずかしそうに私達に生きる希望をくれた。

そして私達は追われるように病室から出されたが、私と遠野と鈴鳴先生は喜びの中にいる。今なら殴られても怒らないだろう。

病室出たのは覚えているが、気がついたら警察署に着いていた。

後から聞いたのだが、私と遠野は上の空で井川が手を引っ張って車に乗せ警察署まで連れて来たそうだ。


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