上 下
65 / 85

8日目/永島薫【疑問と鳴らない○○】

しおりを挟む


ユサユサ……私は身体を揺すられていた。


朝か……まぶたが重く開けたくない。カーテンを開けたのだろう太陽の暖かみを顔に感じる。


今日は晴れか……まぶたを少し開くと、いつもと同じく大きな人影が見えた。


まぶたをまた閉じていつもの様に両手を真っ直ぐ天井に伸ばす。


伸ばした腕の間に彼女の顔が入って来てキス出来るほど顔と顔が近付く。


私はいつもの様に彼女の首に両腕を回し力を入れた。


彼女は力を入れたと感じると私をベッドから全身の筋肉を使い浮き上がらせてベッドから床に立たせた。

そして耳元で小さく囁ささやいた。


「隊長、…………………………朝、………………………起きる」


重いまぶたを開けて私はいつもの様に彼女にキスをした。

舌を入れて絡ませる……絡ませた事で、私は昨日の夜の事を思い出し欲望が沸き上がった。『このまま押し倒したい』だが気持ちを抑え、キスを止めた。


なぜなら今日も仕事が始まるからだ。


実際押し倒そうとしても私と彼女とでは身長、体格の違いで倒せない。彼女は身長192㎝の服の上からでもわかる筋肉を纏った戦士。そして私とは30㎝も差がある。


私は彼女の首に回していた腕を離し彼女に


望美のぞみ、おはよう」


私が声をかけると、望美は小さく頷いた。


毎朝の流れで望美に手伝って貰いながら身支度を済ませ、朝食をとる為に食堂に移動した。

勿論、望美は副隊長として隊長の私の2歩後ろを付いてきた。

近付き過ぎず離れ過ぎない距離で、私を守る為に。


食堂に入ると警備部のA隊員20名が静かに椅子に座り、私達が席に座るのを待っていた。


私はいつもの様に自分の席の前に行くと、全員に向かって声をあげた。


「おはよう、諸君!」


「「「「「おはようごさいます」」」」」


「特にこれと言った報告はないようだが、各自気を抜かず任務を全うせよ!私と副隊長は時間はまだ未定だが、鈴鳴市の保護区で打ち合わせがある。私の不在時の対処法は分かっていると思うがA隊坂本!B隊の遠藤、C隊木下と情報の共有をして連携して動けるように準備せよ。わかったな?」


「はい!」


「では、朝食をいだだこう」


私の言葉が合図となり、皆手を合わせ各自で「いただきます」と食事を始めた。


食事でのルールは2つ。


大声を出さない事と喧嘩をしない事だ。


前任の隊長までは[一切会話禁止]がルールだったが、私が隊長になってから変えた。

いくら彼女達が厳しい審査を勝ち抜いてきたと言っても人間、食事の時ぐらい力を抜いた方が精神的にもいいだろう。


建前ではな………私の本当の狙いは違う。


誰と誰が仲がいいのかとか………具体的に言えば関係を持っているかを調べる為だ。


私にはわかる!


中学2年に初恋の相手を襲い、それから数々の女をものにしてきた。


私、永島ながしま薫かおるは狙った獲物は逃した事はない!


世の女性達は叶いもしない数少ない醜い男と、やりたいとか結婚など馬鹿な妄想に励んでいるが、そこに愛などある訳がない。


周りをよく見てみろ!こんなにも快楽を共感出来る自分と同じ女性が沢山選び放題いるじゃないか!


だがしかし選び放題と言っても、私にもルールとゆうものがある。


[奪わない][邪魔しない][遊ばない]の3つだ。


[奪わない]は言葉通りだ。二人で愛し合っている者達から愛する者を奪うなど下劣だ。だったら愛し合う二人ともと3Pすればいいと思う輩やからもいるみたいだが、私からすれば邪道だ。


1対1の裸のぶつかり合い………自分が相手がどれ程快楽に溺れれるかの身体と心の共同作業だ。複数など邪道なのだ。


[邪魔しない]は簡単に1対1の愛に横槍を入れたり騒いだりするなど無粋ぶすいだからだ。


[遊ばない]は身体だけを求めるならそれもありだろう………しかし本当の快楽は愛があって初めてお互いの事を理解して獲えられるものだ。独りよがりなど自慰と変わらん。


また少し熱くなってしまったが、そんな訳で今日も皆の食事風景を観察しているのだが…………何故か今日も皆緊張しながら食べている。


何故だ?


この前食事の時間に遅れて来た時には、皆楽しそうに会話をしながら食べていたじゃないか!


私の顔が怖いのか?


と考えて笑顔にしているじゃないか!

笑顔で食べる様になったらもっと酷くなった気がするが………怖い顔より笑顔の方がいいはずだ。


何故だ?



今日も疑問に思いながらも食事は終わり、足早に皆任務に向かって行った。


皆、仕事熱心で本当に助かってはいる………いるんだが何か胸が痛い、古傷せいだろうか………


今日も何も成果を出せないまま、食堂を後にして私の執務室に入った。


勿論、副隊長の望美も一緒にだ。


そして私は椅子に座り机の上にある時計を見た。

約束の10時はもう少しだった。


鈴鳴家当主の虎太郎様から直々に、ある男性の移動警護を頼まれた。

詳しい詳細は、あの岡崎静子様から10時に電話をくださると………


一体鈴鳴家の誰をなんだろう?


私は鈴鳴家の男性は全て把握している。虎太郎様と静子様が二人も関わるとなれば、虎太郎様のご子息様だろうか?


いやしかし、外に出なければいけない用事となれば虎太郎様も同行するはず………


ご子息様ではない?のだろうか………


疑問に思いながら電話が鳴るのを待っているが………


鳴らない。


5分過ぎても鳴らない。


15分過ぎても鳴らない。


30分過ぎても鳴らない…………も、もしかして忘れていらっしゃるのでは?

しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

目を開けてこっちを向いて

BL / 完結 24h.ポイント:28pt お気に入り:193

【完】眼鏡の中の秘密

BL / 完結 24h.ポイント:14pt お気に入り:42

私の初恋の人に屈辱と絶望を与えたのは、大好きなお姉様でした

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:2,223pt お気に入り:93

【R18】幼馴染が変態だったのでセフレになってもらいました

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:7pt お気に入り:39

あなたの妻にはなれないのですね

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:36,708pt お気に入り:393

性感マッサージに釣られて

恋愛 / 完結 24h.ポイント:49pt お気に入り:17

今度こそ穏やかに暮らしたいのに!どうして執着してくるのですか?

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:30,289pt お気に入り:3,446

処理中です...